AMD EXPO Ultra-Low Latencyとは?BIOS更新だけでは速くならない理由と対応メモリ・有効化手順【2026/07/24更新:実機検証・国内価格情報】
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「BIOS更新だけで速くなる」は誤解です
AMDの新メモリ認証規格「EXPO Ultra-Low Latency(ULL)」対応BIOSが、600シリーズのマザーボードにも展開され始めました。通常のEXPO比で最大4%のfps向上(AMD公称)という規格ですが、最大の注意点は既存のEXPOメモリでは使えないこと。仕組み・条件・手順・今やるべきかを整理します
- EXPO ULLは周波数を上げずにサブタイミングの最適化値をメモリ側に収録する新認証規格。通常EXPO比で最大4%、JEDEC定格比で最大13%のfps向上(いずれもAMD公称値)
- 最大の落とし穴は既存のEXPOメモリでは使えないこと。ULL認証プロファイルを書き込んだ新しいキット(2026年6月から順次発売)が必要で、「BIOSを更新するだけで速くなる」わけではない
- 対応BIOSはGIGABYTEがAM5全機種に展開済み、ASUS・MSIも600シリーズへ拡大中。有効化はBIOSでEXPOをオンにするだけで、対応キットなら自動適用される
目次
EXPO ULLとは何か|周波数を上げずにレイテンシを削る新規格
EXPO Ultra-Low Latencyは、AMDがComputex 2026で正式発表したEXPOプロファイルの拡張規格です(EXPO 1.2仕様の一部)。これまでのEXPOプロファイルが収録していたのは周波数と主要タイミングまででしたが、ULLではセカンダリ・ターシャリといったサブタイミングの最適化値を初めてメモリのSPDに収録できるようになりました。手動で詰めれば数十項目の調整が必要だった領域を、メーカー検証済みの値で自動適用する仕組みです。
結果として、同じDDR5-6000でもCL26のような極めて詰めたプロファイルが規格として成立し、通常のDDR5-6000 EXPOキット比で実効レイテンシを5〜7ナノ秒削減できるとされています。
【7月19日追記】海外メディアの実機検証結果
キット発売から1ヶ月あまりが経ち、海外メディアによる第三者検証が出そろい始めました。海外の技術系メディアが、G.SkillのULL認証キット「Trident Z5 NeoX RGB DDR5-6000 CL36」をRyzen 7 9700X環境で検証しています。
結論として、EXPO ULLはまったく効果のない機能ではないものの、一般的なEXPOメモリからの乗り換えであらゆるゲームが大きく高速化するような技術でもないことが、実機検証によって裏付けられた形です。ゲームがCPU/メモリ側にどれだけ依存しているかによって、効果の出方は大きく変わります。
【7月19日追記】実売価格はAMDの説明より高額
AMDは発表当初、ULL認証メモリについて「通常のEXPOキットと実質同等の価格になる」との見通しを示していました。しかし、発売が始まったG.Skill製品には、この説明とは異なる価格差が確認されています。
32GBのDDR5-6000 CL26モデルは1,099.99ドルで、同容量・同クロックの通常版Trident Z5 Neo(CL26)より約57%高い価格でした。CL28モデルではその差が約79%に達しています。1ドル=約162円(2026年7月17日時点)で換算すると、CL26モデルはおよそ17万8,000円前後、CL28モデルはおよそ16万2,000円前後という水準です。
国内での取り扱いは本記事執筆時点で未確認
本記事の執筆時点(2026年7月19日)で、ark・TSUKUMO・ドスパラといった国内主要販売店、およびG.Skillの日本国内正規代理店であるリンクスインターナショナルの取り扱い製品一覧を確認しましたが、いずれもULL認証の「NeoX」シリーズは掲載されていません。国内で購入できるのは、通常のEXPOに対応した「Trident Z5 Neo」「Trident Z5 Neo RGB」シリーズのみです。
上記のドル建て価格・円換算はあくまで海外(主に米国)での実売価格を参考として示したものです。国内での正式な取り扱い・価格は今後発表される見込みで、現時点で国内価格を断定することはできません。購入を検討する場合は、ark・TSUKUMOなど主要販売店の新着情報を確認してください。
【2026年7月24日追記】国内でも取り扱い開始・CL値で値上げ幅に大差
本追記後、秋葉原のOC・自作パーツ専門店「OVERCLOCK WORKS」でULL認証「Trident Z5 NeoX RGB」シリーズの取り扱いが確認されました。CL26モデル(DDR5-6000)が221,800円、CL30モデルが122,300円などで販売されており、上記の米国価格からの円換算よりもさらに割高な水準です。ark・TSUKUMOなど大手量販店ではまだ扱いがなくても、こうした専門店経由であれば国内でも入手自体は可能な状況になっています。
また、値上げ幅はCL値によって大きく異なることも判明しています。米国価格ベースで比較すると、CL26は通常品比+57%、CL28は+79%と大幅な上乗せがある一方、CL30は+14%、CL36は+10%程度にとどまり、レイテンシを詰めた上位ビンほど価格差が拡大する傾向です。「多少の予算超過は許容できる」という人は、CL30・CL36モデルなら通常のEXPOキットに近い価格で導入できます。
この価格差についてG.Skillは公式に、「ULL製品の価格自体は非ULL製品と同水準に据え置いているが、DRAMチップ価格の高騰と、値上げ前の在庫を抱える販売店が旧価格のまま併売していることで、市場に見かけ上の価格差が生じている」と説明しています。ULLモデルはより厳格な選別・検証を経たチップを使うため、製造コスト自体も通常品より高いとしています。
最大の注意点|既存のEXPOメモリでは使えません
ULLを使うための条件は次の3つです。
もうひとつ押さえておきたいのは、X3D系CPUでは効果が相対的に小さいという点です。メモリメーカー自身が「とくに非X3DのAMDデスクトップCPUで効果が大きい」と説明しており、3D V-Cacheがメモリレイテンシの影響を吸収する9800X3Dなどでは、4%という数字をそのまま期待しないほうが現実的です。
対応マザーボードの現在地(2026年6月13日時点)
6月1日のプレスでAM5マザーボード全製品への展開を発表。B650・X670系の最新BIOS(AGESA 1.3.0.1)で対応済みで、現時点で最も対応が広いベンダーです
X670E系(ROG Crosshair・Strix・ProArt・TUF)にベータBIOS 3803を配布。B650などミドル帯は「数週間以内」に展開予定とされています
X670E GODLIKEの先行対応に続き、6月上旬からB650系列(A620の廉価モデル含む)のBIOSリリースノートにULL対応が記載されています
確認できているのは800シリーズの一部のみ。600シリーズへの展開は2026年6月13日時点で未確認です
有効化の手順|対応キットなら「EXPOをオンにするだけ」
結局、今やるべきか|タイプ別の判断
買い替える必要はありません。実機検証でも得られるのはタイトルによって2〜4%程度で、ゲームによっては測定誤差に近い差にとどまります。X3Dの大容量L3キャッシュを使っている人はさらに効果が薄く、【7月19日追記】の実売価格(通常品比57〜80%高)を踏まえると費用対効果はよくありません
通常のEXPOキットと価格差が小さければ検討する価値はあります。ただし当初AMDが説明していた「実質同価格」は現時点では実現しておらず、【7月19日追記】の通り57〜80%高い製品も出ています。【7月24日追記】の通りCL値によって値上げ幅は10〜80%と幅があり、CL30・CL36モデルなら通常品に近い価格で導入できるため、まずはCL値ごとの実売価格を比較してから判断してください
参考|いま32GBを揃えるなら現行の定番EXPOメモリ
ULL認証キットの国内流通は始まったばかりで、選択肢が出揃うまでもう少し掛かります。いますぐ32GBが必要な人向けに、現行のEXPO対応定番を挙げておきます(差は最大4%なので、価格と入手性で選んで問題ありません)。





