AMD EXPO ULLとは?性能・対応BIOSと設定方法|Trident Z5 Royal NeoXの価格も【2026年10月】
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「BIOS更新だけで速くなる」は誤解です
目次
仕組みEXPO ULLとは何か|周波数を上げずにレイテンシを削る新規格
EXPO Ultra-Low Latencyは、AMDがComputex 2026で正式発表したEXPOプロファイルの拡張規格です(EXPO 1.2仕様の一部)。これまでのEXPOプロファイルが収録していたのは周波数と主要タイミングまででしたが、ULLではセカンダリ・ターシャリといったサブタイミングの最適化値を初めてメモリのSPDに収録できるようになりました。手動で詰めれば数十項目の調整が必要だった領域を、メーカー検証済みの値で自動適用する仕組みです。
結果として、同じDDR5-6000でもCL26のような極めて詰めたプロファイルが規格として成立し、通常のDDR5-6000 EXPOキット比で実効レイテンシを5〜7ナノ秒削減できるとされています。
AMDは、Ryzen 7 9700X+RTX 5090の環境で30タイトル超を対象に行った社内テストの結果として、次の効果を公表しています。
| 比較対象 | 平均fps | 1% Low |
|---|---|---|
| vs JEDEC定格(DDR5-5600) | 平均+13% | 平均+15% |
| vs 通常のEXPO | 平均+4% | 平均+4% |
Ryzen 7 9700Xを使った30タイトル超のAMD社内テストにおける平均値です。個別ゲームで同じ伸びが出る保証ではありません。AMD発表値の掲載記事で試験条件を確認できます。
検証Ryzen 7 9700Xのゲーム実測では差が小さいタイトルも
| タイトル・画質 | ULL CL36 最高 / 最低fps | 通常EXPO CL30 最高 / 最低fps |
|---|---|---|
| F1 25・高、TAA | 277.9 / 214.4 | 266.4 / 206.5 |
| Cyberpunk 2077・高、DLSS品質 | 164.6 / 87.3 | 158.9 / 84.5 |
| Baldur’s Gate 3・最高、DLSS品質 | 384.6 / 259.4 | 379.7 / 225.4 |
| Counter-Strike 2・非常に高 | 388.0 / 130.9 | 378.6 / 130.7 |
Hardwareluxxの測定環境はRyzen 7 9700X、ASUS ProArt X670E-Creator WIFI、AGESA 1.3.0.1bです。比較対象はDDR5-6000 CL30の通常EXPOメモリで、ゲームは1080pで計測されています。GPU型番はレビューのテスト環境欄に記載されていないため、この値は掲載された環境での比較として見てください。ゲーム別の最高・最低fpsを載せており、平均fpsや1% Lowとして読み替えられる数値ではありません。
この実測からは、EXPO ULLへ替えるだけでゲーム全般が大きく速くなるわけではないと分かります。CPUやゲームがメモリ性能に依存する度合い、解像度や画質によって効果は変わります。メモリ速度・CL値とゲーム性能の関係はDDR5メモリの選び方も参考になります。
価格価格はCL値と国内販売価格で比較する
EXPO ULL対応メモリの価格はCL値や販売店によって異なります。同容量・同速度の通常EXPOキットとの価格差を確認し、必要な用途に合うかで選んでください。
国内販売中のTrident Z5 Royal NeoXは、2026年10月20日に確認した時点で、32GB(16GB×2)のCL36モデルが114,300円、CL30モデルが139,100円です。CLの数字だけでゲーム性能の差を決めつけず、容量・タイミング・価格を同時に見比べてください。
メモリ価格と店頭在庫は変動します。販売ページでは購入直前に価格、在庫、型番が一致するか確かめてください。
条件最大の注意点|既存のEXPOメモリでは使えません
ULLのプロファイルはメモリ側のSPDチップに書き込まれているため、いま挿しているEXPOメモリをBIOS更新でULL化することはできません。BIOS更新はあくまで「受け皿」の準備で、効果を得るにはULL認証済みの新しいキットが必要です。海外の一部見出しはこの点が紛らわしいので注意してください。
ULLを使うための条件は次の3つです。
X3D CPUでは、EXPO ULLの効果を非X3D Ryzenと同じように見積もれません。『Assassin’s Creed Mirage』の1440pテストでは、Ryzen 7 9700Xで約3%の伸びが見られた一方、Ryzen 7 9850X3Dでは差が最小限でした。両CPUはMSI MAG X870 Tomahawk WiFiとRadeon RX 9070 XTの同一環境で比較されています。Hardwareluxxの9700X実測とはCPU・ゲーム・解像度が異なるため、数値を横並びにはできません。X3D環境では買い替え効果を個別に見積もってください。試験条件と比較結果
ULLは新しいメモリキットへの買い替えが前提ですが、マザーボードがMSI製なら、手元のDDR5メモリのままBIOS設定だけでレイテンシを詰められる場合があります。MSI High-Efficiency Modeは、ULL認証キットへの買い替えが難しい場合の選択肢になります。
新製品対応キットが増えた|Flare X5XとTrident Z5 Royal NeoX【2026年10月20日更新】
2026年6月の発売時点でULL認証キットとして流通していたのは、RGB付きの上位シリーズが中心でした。その後2026年8月31日、G.SKILLがULL対応の新シリーズ「Flare X5X」を発表しています。
初弾の仕様はDDR5-6000 CL36-36-36-76、32GB(16GB×2)です。EXPO ULLプロファイルには、標準EXPOに加えて調整されたサブタイミングが含まれ、メモリ速度を維持したままレイテンシの低減を狙います。

ここまでULL対応キットはRGB搭載モデルが主体だったため、光らせない構成でもULLを選べるようになったのが実質的な変化です。CL36というビンも、前の項目で触れたとおり通常のEXPOキットに近い価格帯に収まりやすい水準にあたります。
あわせて、G.SKILL公式は仕様ページの注記でこう明示しています。「BIOSでEXPOを有効にする前は、対応ハードウェアであってもSPD速度(初期値)で起動する」。ULL対応キットを挿しただけでは何も変わらないという点は、次の節で扱う注意点と同じ話です。有効化の操作は必須だと考えてください。
2026年9月9日にG.SKILLが「Trident Z5 Royal NeoX」を発表しました。ミラー仕上げのシルバーまたはゴールドのヒートスプレッダに、クリスタル調のRGBライトバーを組み合わせたRoyal系の意匠に、ULLプロファイルを載せたシリーズです。G.SKILL公式の発表仕様では、4バリアントはいずれも32GB(16GB×2)・DDR5-6000で、タイミングはCL36-36-36-76、CL30-38-38-32、CL28-36-36-32、CL26-36-36-32です。有効化には対応するAMDのCPU・マザーボード・BIOSが必要です。
国内では2026年10月20日、OVERCLOCK WORKSで2モデルの販売が始まりました。32GB(16GB×2)のCL36モデル「F5-6000A3636F16GX2-TR5NXS」は114,300円、CL30モデル「F5-6000A3038F16GX2-TR5NXS」は139,100円で、販売店ページではどちらも即納表示です。いずれもDDR5-6000ですが、CL値とサブタイミングが異なるため、価格だけでなく仕様と在庫を購入時に確認してください。CL36モデルの販売ページとCL30モデルの販売ページで、価格・在庫・仕様を確認できます。
ここで誤解しやすいのがCL26という数字自体は新しくないという点です。標準EXPOのTrident Z5 Royal Neoは以前からDDR5-6000 CL26を用意しており、ULL側でもNeoX RGBがCL36・CL30・CL28・CL26の4仕様を揃えています。Royal NeoXとNeoX RGBは、同じCLの仕様同士で比べると、主な違いはミラー仕上げのヒートスプレッダとクリスタル調RGBライトバーという外観です。ゲーム性能のために選ぶなら、意匠と販売価格を分けて検討できます。10月20日に国内販売が確認できたRoyal NeoXはCL36とCL30の2モデルです。
CL26とCL36、レイテンシの差を計算すると
DDR5-6000は転送速度(MT/s)の表記で、メモリコントローラーの実クロックはその半分の3000MHzです。CASレイテンシを時間に換算する式「CL ÷(メモリ速度MHz ÷ 2)× 1000」に当てはめると、CL26は26 ÷ 3000 × 1000で約8.67ナノ秒、CL30は30 ÷ 3000 × 1000で約10ナノ秒、CL36は36 ÷ 3000 × 1000で約12ナノ秒です。CL26とCL36の差は約3.33ナノ秒にとどまります。
3.33ナノ秒という差分は、CPUのキャッシュ構成やメモリコントローラーの実装、ULLで最適化されるサブタイミング、GPU側の負荷、ゲームエンジンの作りといったほかの要因に比べると相対的に小さい部類です。冒頭で紹介した実機検証で、CL36の認証キットでも通常EXPO比2〜4%台の差にとどまったのは、こうした背景も影響していると考えられます。
この差がさらに縮みやすいのが、Ryzen 7 9800X3DなどX3Dシリーズを使う場合です。海外メディアのClub386は、Royal NeoXのようなULL認証キットについて、3D V-Cacheを搭載したX3Dチップと組み合わせても恩恵を感じられないことがあると指摘しています。X3Dチップは非X3Dチップに比べてメモリ構成への感度が低い傾向にあるためだとしています。大容量の3D V-Cacheがメインメモリへのアクセス頻度自体を減らすため、メモリ側のレイテンシを削っても効果が出にくくなるという理屈です。CL26モデルとCL36モデルの価格差が大きいなら、X3D搭載機で組む場合はその差額をGPUのグレードアップに回したほうが、フレームレート向上には効きやすいと考えられます。
ULLを目的に組むのであれば、まずCL36からCL30あたりの現実的なビンで検討したほうが、費用対効果は合わせやすくなります。Royal NeoXのCL26のような最上位ビンは、非X3D環境かつ予算に余裕がある場合の選択肢として位置づけておくのが実用的です。
新製品BIWIN DW100にも48GBのEXPO ULLモデルが登場
2026年9月、メモリメーカーのBIWINが「Black Opal DW100」シリーズにEXPO ULL対応モデルを追加しました。BIWINにとって初めてのEXPO ULL対応キットです。
仕様は24GB×2枚の48GB、DDR5-6000・CL28です。BIWINはAMD対応プロセッサー・マザーボードと対応BIOSでEXPO ULLプロファイルを有効化できると案内しています。
48GB(24GB×2)は、32GBより容量に余裕を持たせつつ、64GBまでは必要ない構成向けの選択肢です。ゲームとブラウザー、通話や配信ソフトを併用する場合は、容量と価格を通常EXPOキットと比べて選べます。
対応状況対応マザーボードとBIOSの確認方法(2026年10月20日確認)
EXPO ULL対応BIOSの配布状況は、メーカーやマザーボードの型番・リビジョンごとに異なります。導入前に製品サポートページで現行BIOSの更新履歴を開き、ULL対応の記載とメモリQVLに購入予定のキットがあることを確認してください。
製品ページのサポート欄で正確な型番とリビジョンを選び、BIOSの更新履歴にEXPO ULL対応が記載されているか確認してください。
製品サポートのBIOS一覧でマザーボードの型番を指定し、各バージョンの説明とメモリQVLを照合してください。
サポートページでマザーボードの型番を選び、BIOSの説明にEXPO ULL対応があるか確認してください。
同じチップセットでも対応BIOSは機種ごとに異なります。マザーボードのサポートページとメモリQVLで型番を確認してください
チップセット名だけでは判断できません。2026年10月20日時点の現行情報は各社の製品サポートページで確認し、正確な型番・リビジョン、CPU、BIOSバージョン、メモリQVLを照合してください。
メーカー公式の確認先:AMD Ryzen互換メモリ / ASUS BIOSダウンロード / ASRock BIOS一覧。メーカーのページで機種を選び、BIOS更新履歴とQVLを照合してください。
手順有効化の手順|対応キットなら「EXPOをオンにするだけ」
ULLを含むEXPOの適用は定格外動作にあたり、AMD自身も仕様外のパラメータ変更にはリスクと保証への影響の可能性があると注記しています。実際のトラブルはまれですが、性質は理解した上で使ってください。
結論結局、今やるべきか|タイプ別の判断
- 買い替える必要はありません。既存の通常EXPOキットではULLを有効にできません。Ryzen 7 9700Xの検証では、ゲームタイトルにより差が小さい結果もあります。新規購入時も、必要な容量や予算と販売価格を比べて選ぶのが現実的です。
- 通常のEXPOメモリとの差額に納得できれば選択肢になります。10月20日に確認したRoyal NeoXはCL36が114,300円、CL30が139,100円でした。購入時の在庫・価格と、マザーボードの対応BIOS・メモリQVLを確認してください。
参考参考|いま32GBを揃えるなら現行の定番EXPOメモリ
通常のEXPOメモリを選ぶ場合は、容量とマザーボードのQVLを確かめてください。以下はEXPO対応の32GBキットの例です。
EXPO Ultra-Low Latencyの規格概要とBIOS対応状況は、AMD公式のメモリ互換性リスト、Royal NeoXの仕様はG.SKILL公式のプレスリリース、BIWIN DW100の対応仕様はBIWINの発表で確認しました。ゲーム実測値と条件はHardwareluxxのレビュー(2026年7月6日公開)を参照しました。






