CPUクーラーは使い回せる?Noctuaの無料マウントキット申請手順|領収書なしでも通る条件・対応ソケット・対象外のキット
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領収書なしでも通る条件・対応ソケット・対象外のキット
出典:Noctua公式ブログ「A cooler for life: Celebrating half a million mounting upgrade kits」(2026年5月2日付)、公式FAQ、公式の申請フォームにもとづきます。内容は本記事公開時点(2026年9月6日)に確認したものです。
CPUを新しくするとき、多くの人が一緒にCPUクーラーも買い直します。ソケットが変わると付属の取り付け金具が使えなくなるからです。実際、Intel LGA1700からLGA1851へ、AMD AM4からAM5へ移った人はここで一度立ち止まったはずです。
ところがNoctuaのクーラーに限っては、金具だけを無料で取り寄せられます。公式サイトのフォームから申請すると、選んだクーラーの機種と移行先のソケットに合わせた部品が、送料込みで届きます。制度そのものは2006年のAMD AM2から続いていて、Noctua公式は2026年5月2日に累計50万個の出荷を達成したと発表しました。
この記事では、無料になるソケットと有料になるもの、申請フォームで実際に入力する項目、領収書を失くしていた場合の代替、そして日本から申請するときに知っておきたい制約を整理します。あわせて、使い回さないほうがよいケースにも触れます。
目次
結論買い直しになるかどうかは3点で決まる
先に判断の枠組みを出します。CPUクーラーを使い回せるかは、金具の入手可否だけでは決まりません。次の3点をすべて満たしたときだけ、買い直さずに済みます。
- Noctua製のCPUクーラーを使っていて、移行先が後述の対応ソケットに含まれている人
- 新しいCPUのTDPが、いま使っているクーラーの想定範囲に収まっている人
- ケースの高さ制限とメモリの高さに、これまでどおり収まる構成の人
- クーラー本体に破損や取り付け部の変形がない人
- Noctua以外のメーカーで、無料の金具提供制度がない人
- 今より発熱の大きいCPUへ乗り換える人(金具が付いても冷やしきれません)
- ケースやマザーボードごと替えて、クリアランスが変わる人
- すぐに組み上げたい人(無料便は最大20営業日かかります)
金具さえ手に入れば必ず使い回せる、という話ではない点に注意してください。付くかどうかと、冷やしきれるかどうかは別の問題です。この2つ目については記事の後半で扱います。
対象無料で送ってもらえるソケットと、有料になるもの
Noctua公式のFAQに、現在マウントキットを提供しているソケットが列挙されています。ここに載っていれば無料の対象ですが、同じページに有料になるものも明記されています。
| メーカー | 無料で提供されているソケット | 有料になるもの |
|---|---|---|
| AMD | AM5 / AM4 / AM2(+) / AM3(+) / FM1 / FM2(+) | AM5用のオフセットマウントバー |
| Intel | LGA1851 / LGA1700 / LGA115x / LGA1200 / LGA20xx Square-ILM / LGA20xx Narrow-ILM / LGA775 / LGA1366 | LGA1851用のオフセットマウントバー(NH-D15 G2専用) |
※Noctua公式FAQ「I changed my CPU and need a new mounting kit, where can I order one?」の記載(2026年9月6日確認)。加えて公式ブログでは、ワークステーション・サーバー向けのマウントキットは従来どおり所定の手数料がかかり、オフセットバーのような特殊なキットも少額の手数料が発生する場合があると説明されています。
ここで押さえておきたいのは、「すべての金具が無料」ではないということです。無料なのはソケット移行のための標準的なマウントキットで、性能を追い込むためのオフセットバーや、ワークステーション・サーバー向けの製品は別扱いになります。
Noctua公式によると、無料のマウントアップグレードは2006年のAMD AM2登場時に始まり、その後AM2+・AM3・AM3+へ拡大しました。Intel側は2009年のLGA1156(NM-I3 SecuFirm2)から始まり、LGA1155・LGA1150・LGA1200へ。2017年のAM4(NM-AM4)は同社史上でも大規模なキャンペーンとなり、後にAM5へ拡張されています。2021年のLGA1700向けキット(NM-i17xx-MP83/MP78)も、そのままLGA1851へ拡張されました。新しいソケットが出るたびに追加されてきた制度で、今回始まったものではありません。
手順申請フォームで実際に入力する項目
申請はNoctua公式サイトの専用フォームから行います。入力欄は次のとおりです。実際のフォームを開いて確認した内容で、日本から申請するときにつまずきやすい箇所も併記します。
| 入力欄 | 入力する内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| CPU cooler | 使っているクーラーの機種を選ぶ | 選んだ機種に合う部品だけが送られます |
| Socket | 移行先のソケットを選ぶ | 前掲の対応表にあるものだけが選べます |
| Purchase date | クーラーの購入日 | 日/月/年の順です。月日を逆にしないよう注意 |
| Invoice of Noctua cooler | クーラーの購入証明を添付 | 無い場合は後述の写真で代替できます |
| Invoice of motherboard/CPU | 新しいマザーボードまたはCPUの購入証明を添付 | クーラー側とあわせて2つ必要です |
| Street 1 / Street 2 | 住所(ローマ字) | それぞれ最大30文字。番地とマンション名を分けて入れます |
| Shipping | 配送方法の選択 | 無料の航空便は最大20営業日・追跡なしと明記されています |
※Noctua公式のマウントキット申請フォームの入力欄を2026年9月6日に確認。氏名・会社名(任意)・メールアドレス・電話番号・国/地域・郵便番号・市区町村の入力欄もあります。
実務的にいちばん引っかかるのが住所欄の30文字制限です。日本の住所をローマ字で書くと、番地までで30文字を超えることがあります。Street 1に番地まで、Street 2に建物名と部屋番号を分けて入れると収まりやすくなります。
フォームにも「Or source locally」という案内があり、すぐにキットが必要な場合はAmazonや販売店での購入を検討するよう明記されています。無料便は最大20営業日かかるうえ追跡がありません。組み上げの予定が決まっているなら、有料で購入したほうが確実です。この場合は少額の手数料がかかります。
証明領収書を失くしていても申請できる
申請にはクーラーと、新しいCPUまたはマザーボードの購入証明が2つ必要です。ここで多くの人が止まります。何年も前に買ったクーラーの領収書が残っている人は多くないからです。
ただしNoctua公式は、この場合の代替手段を用意しています。請求書がもう手元にない古いクーラーについては、自分の名前を書いた紙をクーラーの横に置いて撮影した写真をアップロードすればよいと説明されています。CPUやマザーボードの購入証明についても同じ扱いです。
誤解しやすいのは、これが「証明が不要」という意味ではないことです。無料サービスを公平に保つために証明は求められていて、その形式として写真が認められている、という順序です。撮影するときはクーラーの機種が分かるように写しておくのが無難です。
公式ブログには、2008年に購入したNH-U12PにAM5用のマウントキットを請求したフィンランドの顧客の例が紹介されています。購入から最初のアップグレードまで17年で、同社の記録だそうです。10年以上前のクーラーだから対象外だろう、と自己判断で諦める必要はありません。
費用無料でも把握しておきたい3つの条件
「無料」と聞いて申請する前に、次の3点は確認しておいてください。いずれも公式が明記している内容です。
1つ目は関税です。キットはオーストリアの本社か台湾の生産拠点から送られます。公式は送料込みで無料としたうえで、「場合によっては関税がかかることがある」と注記しています。日本から申請する場合、ここが唯一の実費になり得ます。
2つ目は日数と追跡です。無料の配送は最大20営業日かかり、地域によっては追跡番号が付きません。20営業日は土日祝を除いた日数なので、実際には1か月前後を見ておくのが現実的です。追跡付きの有料配送は多くの地域で選べます。
3つ目は送られてくる部品の範囲です。申請は選んだクーラーの機種と移行先ソケットに合わせて処理され、多くの場合、その用途に必要な部品だけが送られます。フルセットが届くわけではないので、手元の付属品を捨てずに残しておいてください。
準備付け直す前に用意しておくもの
金具が届いても、それだけでは作業が完了しません。クーラーを一度取り外して付け直す以上、CPUグリスは塗り直しになります。手元に残っていなければ、キットの到着を待つ間に用意しておくと作業が止まりません。
グリスは種類によって扱いやすさが変わります。導電性のないタイプなら、はみ出しても周辺の部品をショートさせる心配がないため、久しぶりに組む人でも安心して作業できます。

取り外しと再取り付けの手順そのもの、ラジエーターの向きや温度が下がらないときの対処は、当サイトの取り付けガイドにまとめてあります。詳しくは記事末の関連記事を参照してください。
注意金具が付いても使い回さないほうがよい場合
ここが記事の前半で触れた「付くかどうかと、冷やしきれるかどうかは別」という話です。マウントキットはあくまで物理的に取り付けるための部品であって、冷却性能を保証するものではありません。
判断が要るのは主に2つです。1つは発熱の大きいCPUへ乗り換える場合。ソケットが変わるタイミングは世代が変わるタイミングでもあるので、今より上位のCPUを選ぶ人が多くなります。クーラーの想定するTDPを超えると、付いていても温度が下がりません。
もう1つはケースやメモリとの干渉です。マザーボードを替えるとメモリスロットの位置やヒートシンクの形状が変わり、これまで入っていた大型クーラーが干渉することがあります。ケースを替える場合はさらに注意が必要で、メーカー公称の最大クーラー高さと実際に入る高さが一致しないことをNoctua自身が100台以上で実測しています。この件は当サイトで別途詳しく扱っています。
この2つに当てはまるなら、無理に使い回さずクーラーを選び直したほうが結果的に安く済みます。手持ちのクーラーで足りるかどうかの目安は、関連記事の選び方ガイドで確認できます。
FAQよくある質問
まとめまとめ|買い直す前に金具だけ取り寄せられないか確認する
CPUを買い替えるからといって、CPUクーラーまで買い直すとは限りません。Noctua製なら、公式サイトのフォームから新しいソケット用のマウントキットを送料込みで無料で取り寄せられます。2006年のAM2から続く制度で、累計50万個が出荷されました。AM5・AM4からLGA1851・LGA1700まで、現行の主要ソケットはカバーされています。
申請でつまずきやすいのは2箇所です。購入証明はクーラーと新しいCPU・マザーボードの2つが必要ですが、領収書がなくても名前を書いた紙とクーラーを一緒に撮った写真で代替できます。もう1つは住所欄で、最大30文字ずつの2行に分けて入力する必要があります。
一方で、無料便は最大20営業日かかり追跡が付かないこと、関税が発生する場合があること、オフセットバーやサーバー向けキットは有料であることは把握しておいてください。そして金具が付くことと冷やしきれることは別の問題です。発熱の大きいCPUへ移るなら、クーラー自体を選び直すほうが結果的に得になります。



