Phanteks「EX5」シリーズ発表|CPU・GPU・電源を区画分離、大型空冷CPUクーラーはほぼ非対応に【2026年9月】

(更新: 2026.9.10)
Phanteks「EX5」シリーズ発表|CPU・GPU・電源を区画分離、大型空冷CPUクーラーはほぼ非対応に【2026年9月】

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Phanteks公式発表 / 2026年9月8日
Phanteks「EX5」シリーズ発表
CPU・GPU・電源を区画分離、大型空冷CPUクーラーはほぼ非対応に
Phanteksは2026年9月8日、CPU・GPU・電源ユニットをそれぞれ専用の区画に分け、各区画へ直接外気を送り込む「compartmentalized architecture(区画分離構造)」を採用した新型ATXミドルタワー「EX5」シリーズを発表しました。ラインナップはEX5・EX5 Plus・EX5 Maxの3モデルで、価格は109.99ドルから229.99ドルです。マザーボード裏の120mmファンが分離した区画へ風を送り込む一方、CPU区画の内部の余裕は非常に限られており、大型の空冷CPUクーラーはほぼ収まりません。
CPU・GPU・電源を区画ごとに分離大型空冷CPUクーラーはほぼ非対応価格109.99〜229.99ドル・国内未定

出典:Phanteks公式 EX5シリーズ発表ページPhanteks公式ストアのEX5製品ページ同EX5 Max製品ページ海外レビューメディアの記事(いずれも2026年9月9日確認)、およびPhanteks公式のEX5製品ページ仕様表にもとづきます。CPUクーラー高さ・GPU厚さ・GPU幅・電源長などのmm単位の数値は、2026年9月10日に同仕様表で直接確認して確定させました。

PCケースのエアフローを見直すとき、多くの人がまず検討するのはケースファンの追加です。前面から吸気し天面や背面へ排気するという基本構造は変えずに、ファンの基数や口径を増やして風量を底上げする発想です。しかし、CPU・GPU・電源という発熱源をひとつの空間で同時に冷やす限り、後段のパーツは手前のパーツが暖めた空気を吸い込むことになり、ファンを増やすだけでは解決しきれない部分が残ります。

Phanteksが2026年9月8日に発表した新型ATXミドルタワー「EX5」シリーズは、このエアフローの前提そのものを変える設計です。CPU・GPU・電源ユニットをそれぞれ専用の区画に分け、各区画へケース外から直接新鮮な外気を取り込む「compartmentalized architecture(区画分離構造)」を採用しました。ラインナップはベースモデルのEX5(109.99ドル)、360mm簡易水冷を標準搭載するEX5 Plus(159.99ドル)、6インチディスプレイも備えるEX5 Max(229.99ドル)の3モデルです。

この記事では、区画分離構造がどう機能するのかという理屈の説明にとどまらず、購入前に確認しておきたい実務的なポイントを中心に整理します。特に、区画を分けたことの代償として大型の空冷CPUクーラーがほぼ使えなくなっている点、GPU対応の実寸、そして「向いている人・様子見でよい人」の判断軸まで扱います。

目次

要点CPU・GPU・電源を区画分離する新設計、価格は109.99ドルから

区画分離構造を採用した新型ATXミドルタワー、価格は3モデルで109.99〜229.99ドル

Phanteksは2026年9月8日、compartmentalized architecture(区画分離構造)を採用した新型ATXミドルタワー「EX5」シリーズを発表しました。ラインナップはEX5(109.99ドル)、EX5 Plus(159.99ドル)、EX5 Max(229.99ドル)の3モデルです。CPU・GPU・電源ユニットをそれぞれ独立した区画に分け、各区画へケース外から直接新鮮な外気を取り込む設計で、マザーボード背面には120mmファン「S25」を標準搭載します。GPUは最大358mmまで対応し、全モデルが360mmラジエーターに対応します。EX5 Plus・EX5 Maxには専用の360mm簡易水冷「Glacier One 360S25-SE」があらかじめ組み込まれており、EX5 Maxはさらに6インチディスプレイを備えます。国内価格・発売日は2026年9月9日時点で未発表です。

項目仕様
ブランド・シリーズPhanteks EX5 / EX5 Plus / EX5 Max
発表日2026年9月8日(Phanteks公式)
設計コンセプトcompartmentalized architecture(区画分離構造)
対応マザーボードATX/Micro-ATX/Mini-ITX(E-ATXは非対応)
GPU最大長358mm
GPU最大幅175mm
GPU対応厚さスロット1配置時4.6スロット/93mm、スロット2配置時3.6スロット/73mm、スロット3配置時2.6スロット/53mm
CPUクーラー高さ上限72mm(Phanteks公式)
CPUクーラーEX5はユーザー選択(AIO前提)/EX5 Plus・MaxはGlacier One 360S25-SE標準搭載
ラジエーター対応360mm(側面搭載・全モデル共通)/搭載空間413×134×60mm
マザーボード裏ファン120mm「S25」標準搭載(全モデル)
ディスプレイEX5 Maxのみ6インチ高解像度ディスプレイ搭載
外形寸法449×234×474mm(本体重量7.85kg)
電源ユニット最大長210mm
保証5年限定保証
フロントI/OUSB Type-C(20Gbps)、USB 3.0×2、コンボオーディオ端子
ストレージ3.5インチ×1、2.5インチ×1
価格(海外)EX5 109.99ドル/EX5 Plus 159.99ドル/EX5 Max 229.99ドル
国内価格・発売日2026年9月9日時点で未発表

※Phanteks公式ストアの製品ページにもとづきます(2026年9月9日時点)。GPU・ラジエーターなどの最大搭載能力は、すべて同時に利用できるとは限りません。

構造CPU・GPU・電源を3段の区画に分けるcompartmentalized architecture

一般的なPCケースは、フロントファンで取り込んだ外気をケース内部全体に行き渡らせ、CPU・GPU・電源のすべてが同じ空気の流れの中で冷やされます。この方式では、空気の流れの後段に位置するパーツほど、手前のパーツがすでに吸収した熱で温まった空気を吸い込むことになります。

Phanteksの区画分離構造は、この「共有された空気の流れ」を分割する設計です。EX5シリーズは内部を上からCPU・マザーボード用の区画、GPU・拡張スロット用の区画、電源ユニット用の区画という3段の独立したチャンバーに分け、それぞれへケース外から新鮮な外気を直接取り込みます。最上段のCPU区画には、マザーボード裏面に取り付けられた120mmファン「S25」が標準搭載されており、CPUソケット周辺・VRM・メモリへ直接風を送り込みます。

Phanteks EX5(ブラック)の斜め正面。上からCPU区画・GPU区画・電源区画の3段に分かれている
EX5は内部を3段の区画に分割。最上段のガラス越しに見えるのがマザーボード裏の120mmファン「S25」(Phanteks公式ストアより)
Phanteks EX5の背面。マザーボード裏の120mmファンとPCIe拡張スロット、下部の電源区画が確認できる
背面から見ると、CPU区画のファン・GPU区画の拡張スロット・独立した電源区画の位置関係が分かりやすい(Phanteks公式ストアより)

公式説明によれば、このマザーボード裏の120mmファンはVRMとメモリを冷やすだけでなく、上昇してくるGPUの熱がCPU側の区画へ流れ込むのを遮る「air curtain(空気のカーテン)」の役割も担うとされています。GPUの排熱がマザーボード裏側やメモリへ回り込みにくくなる、という理屈です。GPUはさらに下段の専用区画に収まり、電源ユニットも最下段の独立した区画に分離されています。

冷却ファンを減らせるという主張は理屈として妥当、ただし実測はこれから

Phanteksは、この構造により「ケースファンを大量に追加しなくても効率的な冷却が狙える」と説明しています。区画ごとに新鮮な外気を直接送り込む設計自体は理屈として妥当で、フロントから吸気した生ぬるい空気を全パーツで使い回す一般的な構成より、各パーツが吸う空気の温度は低くなりやすいと考えられます。

ファンの搭載数が少ないことは、必ずしも静かであることを意味しません

この主張はPhanteksの設計思想としての説明であり、量産版のEX5シリーズを対象にした独立した温度・騒音の実測ベンチマークは、本稿執筆時点でまだ出揃っていません。区画を分けたことで、マザーボード裏の120mmファン1基がCPU・VRM・メモリに加えてGPU側の熱まで一手に引き受ける格好になり、負荷が集中すれば高回転を強いられる可能性もあります。冷却性能・騒音のどちらについても、実機レビューが出るまでは判断を保留するのが妥当です。

注意もっとも見落としやすいのがCPUクーラーの高さ制限

区画分離構造でもっとも見落としやすいのが、CPUクーラーの高さ制限です。CPU区画はマザーボード裏の120mmファンとセットで設計されているため、内部の余裕は一般的なミドルタワーよりかなり限られます。Phanteks公式ストアのEX5製品ページの説明文でも、対応するCPU冷却として案内されているのは「市販の一般的なAIO簡易水冷(standard off-the-shelf AIO liquid coolers)」のみで、大型の空冷タワークーラーへの言及はありません。

公式仕様で確定しました。CPUクーラー高さの上限は72mmです(2026年9月10日 更新)

本稿の初出時点(2026年9月9日)はPhanteks公式の詳細な仕様表にアクセスできず、海外のレビュー記事が伝えていた約78mmという数値を参考値として記載していました。その後Phanteks公式の製品ページで確認したところ、正しくは72mm(2.83インチ)でした。参考値より6mm低い数値だったため、記述を差し替えています。
この72mmという上限では、Noctua NH-D15やbe quiet! Dark Rock Proのような全高160mmを超える大型ツインタワー型空冷クーラーはもちろん、一般的なサイドフロー型もまず収まりません。収まる可能性があるのは背の低いトップフロー型に限られ、ハイエンドCPUを空冷で運用する用途には向きません。

いずれにせよ、区画分離構造そのものが「市販のAIO一体型水冷を前提とした設計」であることは、Phanteks公式ストアの製品説明でも明言されています。空冷でCPUを冷やしたい人、あるいはすでに大型の空冷クーラーを所有している人は、EX5シリーズを選ぶ前提を見直す必要があります。

GPUGPU対応は最大358mm、厚さはマザーボードのスロット配置で変わる

GPU対応長は全モデル共通で最大358mmです。厚さについては、Phanteks公式ストアの製品ページに掲載されている数値をスロット単位でそのまま示すと、マザーボードのPCIeスロットが最上段(スロット1)に配置されている場合は最大4.6スロット厚、一般的なスロット2配置のATXマザーボードでは最大3.6スロット厚、スロット3配置ではさらに狭い2.6スロット厚までとなっています。

スロット数のmm換算はあくまで参考値拡張スロットの規格上、1スロットの間隔は約20.3mm(0.8インチ)です。この間隔をもとに単純計算すると、4.6スロットは約93mm、3.6スロットは約73mm相当という目安になりますが、これはPCIe規格の標準寸法から算出した参考値であり、Phanteks公式が公表しているmm単位の数値ではありません。
大型OCモデルは実測厚さの確認が必須RTX 5090・5080クラスの大型OCモデルを検討する場合は、スロット数の目安と、手持ちまたは購入予定のグラフィックボードの実測厚さを必ず照らし合わせてください。マザーボードのPCIeスロット位置によって使える枠が変わる点も見落としやすいポイントです。
GPUサポートブラケットを標準搭載EX5シリーズはサーバー級のGPUサポートブラケットを標準搭載しており、大型GPUのサグ(垂れ下がり)や輸送時のズレを抑える設計になっています。

比較EX5・EX5 Plus・EX5 Maxの違いはCPU冷却とディスプレイの有無

EX5シリーズは、CPU冷却の構成とディスプレイの有無によって3段階に分かれています。価格差そのものは、AIO簡易水冷とディスプレイという追加装備に対して支払う金額と捉えると分かりやすくなります。

ベースモデル
EX5
109.99ドル税別・海外価格
  • CPU冷却ユーザー選択(AIOなど市販クーラーを自分で用意)
  • ラジエーター360mm対応(AIO自体は付属なし)
  • マザーボード裏ファン120mm「S25」標準搭載
  • ディスプレイなし
  • 向く人手持ちのAIOを流用したい人
AIO一体型
EX5 Plus
159.99ドル税別・海外価格
  • CPU冷却Glacier One 360S25-SE標準搭載
  • 配線チューブを隠す配線でno-tubesの見た目
  • マザーボード裏ファン120mm「S25」標準搭載
  • ディスプレイなし
  • 向く人AIOを新規購入する予定だった人
フラッグシップ
EX5 Max
229.99ドル税別・海外価格
  • CPU冷却Glacier One 360S25-SE標準搭載
  • ディスプレイ6インチ高解像度ディスプレイ搭載
  • マザーボード裏ファン120mm「S25」標準搭載
  • 用途システム情報などをリアルタイム表示
  • 向く人ディスプレイ表示に価値を感じる人

単体で販売されるGlacier One 360S25-SEの価格は79.99ドルです。EX5とEX5 Plusの価格差(50ドル)を踏まえると、もともとAIOの購入を予定していた場合、Plusを選ぶ方が実質的な追加負担は小さくなります。ディスプレイに魅力を感じない場合は、Plusが素直な選択です。

価格海外価格は3地域で公式案内、国内価格・発売日は未発表

海外での価格帯は、米ドル・ユーロ・英ポンドの3地域で公式に案内されています。

モデル価格(米ドル/ユーロ/英ポンド)
EX5109.99ドル/109.90ユーロ/95.90ポンド
EX5 Plus159.99ドル/159.90ユーロ/139.90ポンド
EX5 Max229.99ドル/229.90ユーロ/199.90ポンド
Glacier One 360S25-SE単体79.99ドル

※Phanteks公式ストアの製品ページにもとづきます(2026年9月9日時点)。海外価格は税別表記です。

国内価格・発売日は、2026年9月9日時点でPhanteks公式サイト・国内正規代理店のいずれからも発表されていません。海外価格をそのまま為替レートで換算した金額と、実際の国内発売価格が一致するとは限らないため、この記事では海外価格を参考値として扱い、国内発表があり次第更新します。

判断軸向いている人・様子見でよい人

検討する価値がある人
  • AIO一体型水冷を最初から使うつもりの人(EX5 Plus・Maxなら配線も隠せる)
  • ケースファンをまとめ買いするコストを抑えたい人
  • CPU・GPU・電源を独立した区画で管理する見た目・構造にこだわりたい人
  • RTX 5080・5090級の高発熱GPUを1枚積む予定で、GPU専用区画の恩恵を試したい人
!
今は様子見でよい人
  • 大型の空冷CPUクーラーをすでに持っている人、または空冷にこだわりたい人
  • 独立した温度・騒音の実測データが出るまで判断を保留したい人
  • 国内価格・発売日が判明してから検討したい人
  • E-ATXなどATXより大きなマザーボードを使う予定の人(ATX対応のみ)

Q&Aよくある質問

EX5シリーズはいつ発表されましたか
Phanteksが2026年9月8日に発表しました。ラインナップはEX5・EX5 Plus・EX5 Maxの3モデルで、価格は109.99ドルから229.99ドルです。
EX5・EX5 Plus・EX5 Maxの違いは何ですか
CPU冷却の構成とディスプレイの有無です。EX5はCPUクーラーをユーザーが選択、EX5 Plus・MaxはAIO「Glacier One 360S25-SE」を標準搭載します。EX5 Maxはさらに6インチディスプレイを備えます。
大型の空冷CPUクーラーは使えますか
使えません。Phanteks公式の仕様表でCPUクーラー高さの上限は72mmと明記されています。一般的なサイドフロー型は全高150〜170mm前後あるため収まらず、収まる可能性があるのは背の低いトップフロー型に限られます。区画分離構造そのものが市販のAIO一体型水冷を前提とした設計です。
RTX 5090のような大型GPUは入りますか
長さは最大358mm対応です。厚さはマザーボードのPCIeスロット配置により、スロット1配置で4.6スロット・93mm、スロット2配置で3.6スロット・73mm、スロット3配置で2.6スロット・53mmと変わります。幅も最大175mmまでなので、手持ちのグラフィックボードの実測寸法と照らし合わせてください。
日本での発売日・価格はいつ分かりますか
この記事を書いている2026年9月9日時点で、国内発売日・国内価格はいずれも未発表です。国内正規代理店からの発表があり次第、この記事を更新します。

まとめまとめ|区画分離の代償として、CPU冷却の自由度は大きく下がる

2026年9月9日時点の結論

Phanteksの新型ケース「EX5」シリーズは、CPU・GPU・電源をそれぞれ専用の区画に分け、各区画へ直接外気を送り込むことでケースファンの追加を減らせるという設計です。マザーボード裏の120mmファンがGPUの熱の回り込みを遮る役割も担うなど、理屈としては合理的な部分が多い一方、量産版を対象にした独立した温度・騒音の実測データはまだ出揃っていません。

もっとも見落としやすいのが、CPUクーラーの高さ制限です。区画分離構造は市販のAIO一体型水冷を前提とした設計で、大型の空冷CPUクーラーはほぼ収まらないとみられます。すでに大型空冷クーラーを持っている人や、空冷にこだわりたい人は、購入前にこの点を必ず確認してください。

国内価格・発売日は本記事執筆時点(2026年9月9日)でまだ発表されていません。海外価格は109.99ドルから229.99ドルの3モデル構成で、国内正規代理店からの発表があり次第、この記事を更新します。

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