「The Witcher 4」がRTX Mega Geometry採用——2兆トライアングルの森をパストレで描く技術と、PC版に必要なGPU
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2兆トライアングルの森をパストレで描く技術と、PC版に必要なGPU
出典:NVIDIA GeForce公式(GDC 2026発表まとめ)、TechSpot(Witcher 4のフォレストデモをRTX 4070で実行)、TechSpot(NVIDIA GDC 2026まとめ)、PC Gamer(RTX Mega GeometryとWitcher 4の森)、NVIDIA Developer Blog(RTX Innovations)
パストレーシングは光を物理的に正確に計算できる反面、木々が密集する屋外では負荷が跳ね上がり、「室内や都市ならいけるが、森は無理」というのがこれまでの常識でした。『ウィッチャー4』のPC版は、その森をパストレーシングで描くことを前提に作られています。
それを支えるのが、NVIDIAのRTX Mega Geometryです。レイトレーシングの「シーンの地図」を作り直すコストを大きく減らし、従来比で最大100倍多いトライアングルを扱えるようにします。NVIDIAが公開した約100万本の木があるフォレストデモは、RTX 4070(VRAM 12GB)でも1440p・DLSS Balancedで58fpsを出しています。
ただしデモは、キャラクターもゲームロジックもない5km×5kmの風景です。製品版の要件は未発表で、発売も2028年目標なので、GPUの買い替えを急ぐ理由はありません。判断の分かれ目は、RTX 40系以上を持っているか、パストレーシングを4Kで使いたいかです。
目次
技術RTX Mega Geometryとは——「フォリッジをパストレで描けない」問題を解決する
パストレーシングは光の反射・透過・遮蔽を物理的に正確に計算するレンダリング手法です。DOOM: The Dark Agesやサイバーパンク2077のような室内・都市シーンでは実用的な速度で動作しますが、木々が密集した屋外シーンでは長らく「理論上は可能でも実用的ではない」状態が続いていました。
その核心にある問題が、TLAS(Top-Level Acceleration Structure)と呼ばれるレイトレーシング用の「シーンの地図」です。
レイトレーシングはシーン内の全ジオメトリをTLASに格納し、毎フレーム更新します。密な森林では数千万〜数兆トライアングルが存在するため、TLASのリビルドだけで数十msかかります。「RTオンでも森のシーンだけオフにせざるを得ない」という状況が続いていたのはこれが原因です。
RTX Mega Geometryは、この問題を3つの仕組みで突破します。
- ジオメトリクラスタリング — 数百万〜数十億のトライアングルを小さなクラスター群に圧縮し、フレームをまたいで再利用します。同じジオメトリを毎フレーム再処理するムダをなくし、TLASの更新コストを根本から削減します
- 分割TLAS選択更新 — シーン全体のTLASを毎フレーム作り直すのではなく、「変化のある区画だけ」を選択的に更新します。これで従来比最大100倍のトライアングルを扱えるようになります
- Opacity Micromaps統合 — 葉・枝など半透明・複雑形状のジオメトリをレイトレーシングする際のアルファテストコストを削減します。密なフォリッジの精度を保ちながら処理を軽量化します
実装実績もあります。Alan Wake 2(Remedy Entertainment)ではRTX Mega Geometryの適用によりパストレーシング時に+5〜20% FPS向上、VRAM消費が約300MB削減されました。The Witcher 4はこれをさらに大規模なシーン(森林・開けた大地)に拡張した実装です。
採用理由The Witcher 4が採用した理由——Nanite × RTX Mega Geometryの二段構え
The Witcher 4はREDengineからUnreal Engine 5への完全移行を果たした作品です。UE5のNaniteによる仮想ジオメトリ、Hardware LumenによるリアルタイムGIを基盤としながら、PC版のパストレーシングにRTX Mega Geometryを組み合わせています。エンジン改良の経緯はウィッチャー4はUE5ゲームに見えないと明言した発言でも整理しています。
「開発中のRTX Mega Geometry技術を使用することで、完全にパストレースされた森林をウィッチャーの世界にもたらすことができます」
GDC 2026のデモで公開された映像は、広大な森を上空から見渡すフライスルーです。近景の個別の葉・枝から遠景の樹冠まで、2兆トライアングル超のジオメトリをすべてリアルタイムパストレーシングで描画していました。RTX Mega Geometryなしでは実現不可能な規模です。
CD PROJEKT REDはUE5の「Nanite Foliage」(葉・枝のマイクロポリゴン仮想化)とRTX Mega Geometryを組み合わせています。Naniteがラスタライズ側で植生を効率的に管理し、RTX Mega GeometryがRT側でそのジオメトリをパストレース可能にする——PC版における植生描画の「二段構え」です。RTX Mega Geometry向けフォリッジシステムのコードは2026年後半にオープンソース公開が予定されています。
The Witcher 3と技術スタックを比較すると、今回の移行がどれほど大きなものかがわかります。
| 項目 | The Witcher 3(2015年) | The Witcher 4(2028年発売目標) |
|---|---|---|
| ゲームエンジン | REDengine 3 | Unreal Engine 5 |
| ライティング | プリベイク+リアルタイム混在 | Hardware Lumen(完全リアルタイムGI) |
| フォリッジ処理 | 従来インスタンシング | Nanite Foliage + RTX Mega Geometry(PC版) |
| レイトレーシング | 後付け(Next-Gen Patch 2022年) | 設計段階から統合 |
| パストレーシング | RTX版のみ(後付け) | 初期から完全PT対応 |
| アップスケーリング | DLSS 2.x | DLSS 4.5以降(予定) |
デモNVIDIAのフォレストデモはRTX 4070で58fps——約100万本の木を1440pで描く
GDCの発表後、NVIDIAはThe Witcher 4の樹木アセットを使ったフォレストデモを公開しました。4月3日時点で確認できる内容は次のとおりです。
| GPU | 解像度・設定 | fps |
|---|---|---|
| GeForce RTX 4070 VRAM 12GB | 1440p・DLSS Balanced(内部解像度960p) | 約58fps |
| GeForce RTX 5090 | 1440pからDLSSで4Kへアップスケール | 約80fps |
シーンは5km×5kmの森で、約100万本の木が並びます。遠くの木は単純なボクセルに置き換わり、近くの木は最大で1000万ポリゴンになり、平面の板を並べずに松の木を1本ずつ描いています。RTX 4070のVRAM 12GBにこのシーンが収まっている点も見逃せません。
このシーンにはキャラクターもゲームロジックもありません。実際のゲームでは敵やNPC、天候、戦闘のエフェクトが加わるので、同じGPUで同じfpsが出るとは限りません。それでも、パストレーシングの森が「RTX 40系の中位でも成立する」ことを示した点には意味があります。
対応GPU対応GPU——RTX世代別のポジション
RTX Mega GeometryはNVIDIAのRTコア(Ray Tracing Cores)が必須です。GTX世代はパストレーシング自体が動作しません。AMD・Intelは通常のパストレーシングには対応していますが、RTX Mega Geometry専用のAPIには非対応です。
| GPU世代 | 判定 | 見立て |
|---|---|---|
| GTX 16 / 10系以前 | パストレーシング非対応 | RTコアなし。RTX Mega Geometryも使えず、The Witcher 4はラスタライズ描画のみで動く見込みです |
| RTX 20 / 30系 | 動作するが負荷は大きい | ソフトウェア実装でRTX Mega Geometryを利用できます。ただしThe Witcher 4規模の広大なシーンでは1080p最低設定でも厳しい場面が予想されます |
| RTX 40系 | ソフトウェア実装・1440pパストレが視野 | フォレストデモはRTX 4070で1440p・DLSS Balancedの58fpsでした。製品版では余裕を見てRTX 4070 Ti以上が1440pパストレーシングの目安です。RTX 4090でも4Kパストレは重く、DLSS SRは必須です |
| RTX 50系(Blackwell) | ハードウェア加速内蔵・最も効率的 | BlackwellにはRTX Mega Geometry専用のハードウェアアクセラレーターが入っており、同じ負荷でもRTX 40系より処理効率が高くなります。DLSS 4.5 Dynamic MFGとの組み合わせで最大限の体験が得られます |
RX 9000シリーズ(RDNA 4)やIntel Arc Bシリーズはパストレーシング自体には対応しています。ただしRTX Mega GeometryはNVIDIAのRTXMG SDKを使用するため、これらのGPUでは利用できません。The Witcher 4でAMD/IntelのGPUを使う場合、パストレーシングは動作しますが、Mega Geometryによるフォリッジ最適化は受けられない形になります。
PC要件Witcher 4のPC要件予測——パストレーシング込みで必要なスペック
公式スペックはまだ発表されていません。UE5とパストレーシングを採用した現行タイトルの傾向、Witcher 4の技術基盤、上のフォレストデモの実測から推測した目安です。
| 設定 | GPU | CPU・RAM・想定fps |
|---|---|---|
| 最低 1080p ラスタ | RTX 3060 12GB / RX 6700 XT | Core i5-11600K / Ryzen 5 5600X、RAM 16GB、60fps |
| 推奨 1440p RTなし | RTX 4070 / RX 7800 XT | Core i5-13600K / Ryzen 5 7600X、RAM 24GB、60〜80fps |
| パストレ 1440p MG有効 | RTX 4070 Ti以上(DLSS SR必須) | Core i7-13700K / Ryzen 7 7700X、RAM 24GB、50〜70fps(DLSS込み) |
| ウルトラ 4K パストレ | RTX 5080以上(MFG推奨) | Core i9 / Ryzen 9、RAM 32GB、60fps以上(MFG込み) |
公式スペック未発表の推定値です。UE5採用パストレゲーム(DOOM: The Dark Ages等)の傾向とNVIDIAのフォレストデモから算出しており、実際の要件は発売後に変わる可能性があります。
CD PROJEKT RED共同CEOのミハウ・ノワコフスキー氏がgamescom 2026直前の公式動画で、The Witcher 4は2028年の発売を目標にしていると明かしました。あくまで目標であり確定発売日ではありません。gamescom 2026本編ではThe Witcher 4自体は出展されず、ウィッチャー3新拡張「追憶の調べ」が披露されます。GPUの買い替えを検討している方は、Witcher 4のために急ぐ必要はありません。発売時点のGPU世代で改めて判断するのが得策です。
三層構造RTX 50系で「真価」が出る三層構造
NVIDIAのGDC 2026での発表を整理すると、The Witcher 4のPC版体験は三つの技術が積み重なることで最大化される設計になっています。
- Layer 1:RTX Mega Geometry(RTX全世代で動作、RTX 50系はハードウェア加速) — フォリッジを含む広大なシーン全体をパストレーシングで描画できるようにする基盤です。これがなければ「森の中でパストレON」は非現実的です
- Layer 2:DLSS 4.5 Super Resolution(RTX全世代対応) — 内部解像度を下げて高品質にアップスケーリングし、パストレの描画コストを解像度側で軽減します。RTX全世代で使えるため「最低限の快適さ」を底上げします
- Layer 3:DLSS 4.5 Dynamic MFG(最大6倍、RTX 50系専用) — 実フレームから複数フレームをAIで生成し、パストレ時のfps不足を補います。黒神話:悟空の4KパストレでRTX 5080が246fpsを達成しています
RTX 40系以前はLayer 3が使えません。1440pならRTX 40系でも成り立つことはデモで示されましたが、4Kのパストレーシングを快適に楽しむならRTX 5070以上、できればMFGの効果が大きいRTX 5070 Ti以上が現実的な選択肢になる見込みです。発売は2028年目標で、その頃にはさらに世代が進んでいる可能性もあります。
おすすめGPU2028年発売目標を見据えた長期投資——おすすめグラフィックボード
The Witcher 4 発売は2028年目標ですが、DOOM Dark Ages / Directive 8020 / 007 First Light など RTX Mega Geometry に近いパストレーシングタイトルがすでに到来しています。今 RTX 50 系を選んでおけば、これらを快適に楽しみつつ、2028年目標の Witcher 4 にもそのまま対応可能。長期投資の観点で4機種を選定しました。


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