OptiScalerがFSR 4をRX 6000/7000に解放|AMD「誤公開」発の非公式INT8技術【経緯・性能・注意点】

(更新: 2026.5.22)
OptiScalerがFSR 4をRX 6000/7000に解放|AMD「誤公開」発の非公式INT8技術【経緯・性能・注意点】

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2026/05/20 追記 本記事の更新絵文字をCSSアイコンに統一、h2セクション番号バッジ追加、FSR 4公式対応のRDNA 4 GPU紹介セクションを追加しました。
OptiScaler × FSR 4 INT8
RX 6000/7000シリーズにFSR 4が降ってきた
AMDの「誤公開」が起こした非公式革命
AMDが誤ってFSR 4のソースコードをオープンソース公開してしまったことを発端に、コミュニティがINT8版DLLをビルド。OptiScalerがそれを取り込み、RDNA 4専用のはずだったFSR 4がRX 6000/7000シリーズでも動作するようになりました。
OptiScaler v0.7.9+FSR 4 INT8(非公式)RDNA 2 / RDNA 3 対応
3行でわかる OptiScaler × FSR 4 INT8
  • AMDが誤って公開したFSR 4のソースコード(MITライセンス)をもとに、コミュニティがINT8版DLLをビルド。これをOptiScalerが取り込んだことで、RDNA 4専用だったFSR 4がRX 6000/7000シリーズ(およびNVIDIA RTX 30/40系)でも動作するようになった。
  • FSR 3.1比で画質は明確に向上するが、パフォーマンスは9〜20%低下する。RDNA 4が持つFP8専用ハードウェアを持たない旧世代GPUでは、INT8整数命令で代替するためオーバーヘッドが生じる。ただし解像度や設定によって差は変わる。
  • 非公式ツールであるためEasyAntiCheat/BattlEye搭載ゲームでは使用不可。OptiScaler自体はGPL-3.0ライセンスのオープンソースで、シングルプレイゲームを中心に現在556タイトルで動作が確認されている。
目次

OptiScalerとは何か|「どのゲームでもFSR 4を使う」ためのプロキシDLL

OptiScalerは、ゲームが呼び出すアップスケーラー(DLSS・FSR・XeSS)のDLL呼び出しをインターセプトし、ユーザーが選んだ別のバックエンドに差し替えるツールです。ゲームの実行フォルダに専用のプロキシDLLを1枚置くだけで動作し、ゲーム本体のファイルを書き換える必要はありません。

たとえば「DLSSにしか対応していないゲーム」でも、OptiScalerを使えばバックエンドをFSR 4に変更してプレイできます。AMD製GPUを使っているのに「DLSS専用」で弾かれてきたユーザーにとって、特に恩恵が大きいツールです。

1
ゲームが呼び出す
DLSS / XeSS / FSR
2
OptiScalerが横取り
プロキシDLL
3
実際に動くのは
FSR 4(INT8)
OptiScalerはGPL-3.0のオープンソースプロジェクト。GitHubで無償公開されており、特定の企業や個人が商業的に販売しているものではありません。ただし「非公式」かつ「ゲームの保証外の使い方」であることは明確に認識しておく必要があります。

なぜFSR 4はRDNA 4専用なのか|FP8とINT8の違い

FSR 4はAMDの機械学習ベースのアップスケーリング技術で、従来のFSR 3.1(空間アップスケーリング)と異なり、ニューラルネットワークを使って映像を再構成します。その演算の核心にあるのがFP8(8ビット浮動小数点)専用命令です。

項目RDNA 4(RX 9000系)RDNA 2/3(RX 6000/7000系)
AI演算命令FP8 WMMA(Wave Matrix Multiply-Accumulate)DP4a(整数ドット積、INT8相当)
FSR 4モードFP8(公式対応)INT8(非公式・コミュニティビルド)
処理オーバーヘッド約2〜4%約9〜20%
画質(FSR 3.1比)大幅改善明確に改善(FP8版より若干劣る)
AMD公式サポートありなし

RDNA 4が持つWMMA命令は、行列積演算をハードウェアレベルで加速するユニットです。FSR 4のニューラルネットワーク推論はこの命令に最適化されており、RDNA 4では処理コストが最小に抑えられています。RDNA 2/3にはWMMAが存在しないため、代わりにDP4a命令(整数ドット積)を使って近似しますが、これがパフォーマンスコストの原因です。

FSR 4 INT8 DLLの出所|AMDの「誤公開」事件

FSR 4 INT8版が誕生した経緯は、普通のソフトウェア開発の話ではありません。AMDが引き起こした「うっかりオープンソース公開」事件がすべての発端です。

2025年8月22日
AMDがFSR 4のソースコードをMITライセンスで誤公開
AMD は FidelityFX SDK 2.0 を GitHub に公開した際、本来非公開であるはずだったFSR 4のINT8対応コードを含むソースファイルを誤って混入させた。ライセンスは MIT — つまり誰でも自由に使用・改変・再配布が可能な形で。
数時間後
AMDがリポジトリを削除——しかし「インターネットは忘れない」
AMD は誤りに気づき、リポジトリをすぐに削除。しかしコミュニティが既にフォークしており、ファイルはネット上に永続的に残ることになった。「一度付与したMITライセンスは取り消せない」という原則から、法的に有効なまま残っている。
数日後
コミュニティがINT8版DLLをビルド・公開
Reddit ユーザー u/AthleteDependent926 を中心に、INT8ファイルからFSR 4 DLLを自前でビルドし公開。RDNA 2/3、さらにNVIDIA RTX 30/40系でもFSR 4の画質向上を体験できることが実証された。
2025年秋〜2026年3月
OptiScalerがINT8版を取り込み、実用化が加速
OptiScalerがFSR SDK 4.0.2(INT8対応版)を統合。パフォーマンス最適化・ゴーストイングアーティファクトの修正を重ね、RDNA 2での実用レベルを引き上げた。2026年3月時点で556タイトルで動作確認済み。
AMDのINT8版に対する公式見解は「no updates to share」(2026年3月時点)。RDNA 3向けには追加リソースを投入中との情報がありますが、RDNA 2への公式対応は否定的です。現在使えるINT8版はあくまでコミュニティビルドであり、AMD公式のサポートはありません。

実際の性能はどうなのか|RDNA 2/3での計測データ

「画質は上がるが速度は落ちる」——これがRDNA 2/3でのFSR 4 INT8の現実です。具体的にどの程度かを、実測データで確認します。

GPUアーキモードFSR 3.1比 fps変化処理時間(ms)
RX 6800 XTRDNA 2Quality 1440p約−10%0.4ms → 1.2ms
RX 6800 XTRDNA 2Performance 1440p約−13%
RX 7800 XTRDNA 3Quality 1440p約−9%
RX 7800 XTRDNA 3Performance 1440p約−12%
RX 9070 XTRDNA 4(参考)Quality 1440p約−3%
「10〜20%ロス」は状況次第でばらつく。Quality モードでは9〜10%程度に収まるケースが多く、Performance モードや負荷が高い場面では13〜20%まで拡大します。元の fps が高いほど実害は小さく、たとえば100fps出るゲームなら10%落ちても90fpsを維持できます。

一方、画質面では複数の検証者が「FSR 3.1を大幅に上回り、場面によってはXeSS DP4aより優れる」と評価しています。特に文字の鮮明さ・動く物体の輪郭・遠景の細部再現で差が出やすいとされています。

対応GPU・対応タイトルの実態|どこで使えてどこで使えないか

動作する環境
  • RDNA 2(RX 6000系) — INT8モードで動作。9〜20%のオーバーヘッドあり
  • RDNA 3(RX 7000系) — INT8モードで動作。9〜12%のオーバーヘッドあり
  • RDNA 4(RX 9000系) — FP8公式対応。OptiScaler経由でさらに多くのタイトルに適用可能
  • NVIDIA RTX 30/40系 — DP4a命令を持つため、INT8モードで動作(RDNA 2/3と同程度のオーバーヘッドと推定)
  • DX11 / DX12 ネイティブタイトルの大多数(556タイトルで動作確認済み)
使用できない環境
  • EasyAntiCheat 搭載タイトル(Apex Legends、Fortnite等) — 起動拒否またはBANリスク
  • BattlEye 搭載タイトル(Rainbow Six Siege等)
  • EA AntiCheat 搭載タイトル(EA WRC等)
  • Vulkan ネイティブタイトル(従来版では非対応。最新テストビルドで対応中)
  • オンライン対戦を含むタイトル全般(シングルプレイ部分でも規約上グレーゾーン)
最も恩恵を受けやすいのは、シングルプレイ中心のDLSS/XeSS対応タイトル。たとえば「Cyberpunk 2077」「Hogwarts Legacy」「Black Myth: Wukong」のようなゲームは、RDNA 2ユーザーが公式にはFSR 3.1しか使えないところをOptiScaler経由でFSR 4に差し替えられます。

AMDの公式見解と今後の動向

AMDはINT8版FSR 4に対して公式には沈黙を続けています。CES 2026でAMD副社長のDavid McAfeeが「旧世代ハードウェアへの移植は非常に困難な技術的課題だ」と述べており、RDNA 2への公式対応は現時点では否定的です。

一方、複数の情報筋によればAMDはRDNA 3向けINT8版の開発チームに追加リソースを投入しているとされています。公式対応が実現すればOptiScalerを使わずともRX 7000系でFSR 4が使えるようになりますが、2026年3月時点では「no updates to share」の回答が続いています。

RDNA 2(RX 6000系)
公式対応の予定なし
AMDは否定的。OptiScaler経由の非公式INT8が現実的な選択肢。
RDNA 3(RX 7000系)
開発リソース追加中(未確定)
公式対応の可能性あり。リーカー情報ベースで確定情報ではない。
RDNA 4(RX 9000系)
公式FP8対応済み
OptiScaler経由でさらに多くのタイトルでFSR 4を利用可能。

使う前に必ず知っておくべきこと

OptiScalerを使用する際の重要な注意事項
  • オンライン対戦ゲームには絶対に使わない。EasyAntiCheat・BattlEye等の搭載ゲームでは起動を拒否されるか、最悪の場合アカウントがBANされる可能性があります。
  • 非公式ツールであるため、ゲームアップデートで動作しなくなることがある。OptiScalerの更新で対応されることが多いですが、タイムラグが生じる場合があります。
  • FSR 4 INT8 DLLはAMDの公式サポート対象外。AMDがMITライセンスを誤付与したコードに基づいており、法的には有効とみなされていますが、AMDの保証は一切ありません。
  • RDNA 2ではパフォーマンスロスが生じる。元の fps に余裕がない場合(60fps付近など)はFSR 3.1の方が快適なプレイ体験になる可能性があります。

参考|FSR 4を公式かつ高効率で使えるRDNA 4 GPU 2選

OptiScalerでINT8版を使うとパフォーマンスロスが9〜20%発生します。「FSR 4を画質劣化なし+速度ロス最小で使いたい」「乗り換えの選択肢を知りたい」という方には、FSR 4公式対応のRDNA 4 GPUが現実解です。同じ価格帯でRTX 50系より16GB VRAMを確保しやすい点もメリット。

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