HP ZBook Ultra G3a 16の192GBモデルがレビュー機に|最大160GB VRAM・100W化で何が変わる?
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最大160GB VRAM・100W化で何が変わる?
出典:StorageReview「HP ZBook Ultra G3a 16 Preview」、HP公式「ZBook Ultra G3a」製品ページ、HP公式「Local AI Value Calculator」、AMD公式Ryzen AI Max+ PRO 495製品ページ、Lenovo公式PSREF「ThinkPad P16 Gen 2」(いずれも2026年9月19日確認)にもとづきます。
AMD Ryzen AI Max+ PRO 495と192GBのメモリを搭載する16インチモバイルワークステーション「HP ZBook Ultra G3a 16」の試作機が、海外メディアStorageReviewに到着しました。最大構成では192GBのLPDDR5X統合メモリのうち最大160GBをRadeon 8065Sのグラフィックスメモリとして確保でき、HPは最大3000億パラメータ級のLLMをローカルで扱えるとしています。
この「192GB・160GB VRAM」という組み合わせ自体は、GMKtec・ACEMAGIC・COLORFIRE・AOOSTARなど複数のミニPCブランドがすでに採用済みで、今回が初めてではありません。今回のポイントはノートPCとしての実装で、前世代ZBook Ultra G1aの最大55Wから、新型では最大100Wまで電力設計が引き上げられている点です。
2026年9月19日時点で分かっている情報を、試作機ならではの注意点も含めて整理します。

目次
要点まず結論
Ryzen AI Max+ PRO 495・192GB・160GB VGMという構成は、すでに複数のミニPCで採用されている組み合わせです。ZBook Ultra G3a 16の新しさは、これをノートPCの薄型筐体へ収め、前世代の最大55Wから最大100Wへ電力設計を引き上げた点にあります。StorageReviewに届いたのは量産前の試作機で、正式なベンチマークは2026年10月の量産機到着後に実施される予定です。
仕様ZBook Ultra G3a 16の試作機スペック
| 項目 | 試作機の仕様 |
|---|---|
| CPU | AMD Ryzen AI Max+ PRO 495(Zen 5・16コア32スレッド・最大5.2GHz) |
| GPU | Radeon 8065S(RDNA 3.5・40CU・最大3.0GHz) |
| NPU | XDNA 2・最大55TOPS |
| メモリ | 192GB LPDDR5X-8533(試作機実測) |
| GPU向けメモリ上限 | 最大160GB(Variable Graphics Memory) |
| ストレージ | PCIe Gen5 x4 M.2×1(試作機は2TB、最大8TB構成可) |
| ディスプレイ | 16型 WQUXGA 3840×2400・120Hz・500nit・DCI-P3 100% |
| バッテリー | 96Wh(着脱式)、公称最大約14時間 |
| 電源 | 180W GaN ACアダプター |
| 重量 | 約1.9kg(4.2ポンド)から |
| 最大電力 | 最大100W(前世代G1aは最大55W) |
| 発売予定 | 2026年10月 |
※StorageReviewが受領した試作機には「PRE-PRODUCTION」のラベルが付いており、正式なベンチマークは量産機到着後に実施予定です。CPU・GPU・メモリの基本仕様はRyzen AI Max+ PRO 495のスペック解説記事、160GB VGMの仕組みはVariable Graphics Memory設定記事で詳しく整理しています。
電力前世代の最大55Wから100Wへ、今回はこちらが重要
ZBook Ultra G3a 16でもっとも大きく変わったのが電力設計です。HPによると、前世代ZBook Ultra G1a(14インチ)の最大TDPは55Wでしたが、G3aでは最大100Wとなりました。増加率は81.8%です。Ryzen AI Max+ PRO 495自体はAMDの仕様上45〜120WのcTDPに対応するため、HPはチップ上限の120Wまでは使わず、16インチの薄型筐体の中で最大100Wまで使えるよう設計したことになります。
StorageReviewが確認した冷却構造は、SoCと周辺メモリを1枚の大型ヒートスプレッダーで覆い、左右にDeltaファンを2基配置、後部の縁に沿って銅製ヒートパイプと広いラジエーターを配置する構成です。180W GaN ACアダプターを組み合わせ、100Wを持続的に供給できる設計を狙っています。前世代G1aについてStorageReviewは、128GB統合メモリのうち最大96GBをGPUへ割り当てて大型AIモデルをロードできた一方、55Wという電力枠が処理速度を制限していたと評価しており、Gemma 3 27Bの生成速度は8.96トークン/秒にとどまっていました。メモリ容量だけでなく電力枠も同時に引き上げられたことで、この制約がどこまで解消されるかが今回の焦点です。
注意試作機はLPDDR5X-8533、HP公式では192GB版が8000MT/s
StorageReviewに届いた試作機は「192GB LPDDR5X-8533」とされ、AMD公式のRyzen AI Max+ PRO 495仕様も最大LPDDR5X-8533対応です。ところがHPのZBook Ultra G3a公式製品ページでは、16GB・32GB・64GB構成を最大8533MT/sとする一方、128GBと192GB構成については最大8000MT/sと記載しています。256bitメモリバスで単純計算すると、8533MT/sの理論帯域は約273GB/s、8000MT/sなら約256GB/sで、差は約6.7%です。ただしStorageReviewの個体には明確に「PRE-PRODUCTION」と記されており、試作機だけ8533MT/sなのか、HP製品ページの8000MT/s表記が最終仕様なのかは現時点で断定できません。
容量優先の192GB構成だけメモリ速度が下がるのであれば、統合メモリを直接利用するRadeon 8065SやローカルAIの推論速度に無視できない影響が出ます。量産機レビューでは、まずメモリクロックの確認が必要です。
仕組み「160GB VRAM」はGeForceの専用VRAMとは意味が違う
「最大160GB VRAM」という表現には注意が必要です。Ryzen AI Max+ PRO 495はCPUとGPUがLPDDR5Xの統合メモリを共有しており、AMDのVariable Graphics Memory機能でシステムRAMの一部をGPU専用領域として確保する仕組みです。192GB構成から160GBをGPUへ割り当てた場合、単純計算ではCPU側に残るシステムメモリは約32GBになります。GeForce RTXなどが持つGDDR系の専用VRAMとは構造もメモリ帯域も異なり、「32GB GDDR7搭載GPUの5倍のグラフィックス性能がある」という意味ではありません。仕組みの詳細はVariable Graphics Memory設定手順の記事で解説しています。

HPは最大300B、つまり3000億パラメータ級のLLMをローカルで実行できると説明していますが、300億パラメータを4bit量子化しただけでも重みは約150GBに達し、160GBのGPU専用領域に対して残りは10GB程度しかありません。KVキャッシュやランタイムも別途メモリを使うため、300Bという数字はかなり上限に近い条件です。HP自身も、実際の能力は構成・モデルサイズ・ソフトウェア・ワークロードによって変わると注記しています。
ゲームRadeon 8065Sは8060Sから大幅強化されたGPUではない
Radeon 8065Sは前世代Radeon 8060Sと同じ40CU構成で、最大クロックが2.9GHzから3.0GHzへ上がった程度です。CPUもMax+ PRO 395の16コア32スレッド・最大5.1GHzから、Max+ PRO 495では同じ16コア32スレッドのまま最大5.2GHzとなり、公開スペックから大幅な世代交代は確認できません。8060S世代の実測ゲーム性能(RTX 4070 Laptop級に近いタイトルもある一方でタイトル差も大きいこと)や、ミニPC各社との横並び比較はACEMAGIC F9Aの比較記事とRyzen AI Max+搭載ミニPC比較記事で詳しく扱っています。ZBook Ultra G3a 16でゲーム性能が伸びるとすれば、GPU自体の刷新よりも100Wまで使える電力・冷却設計の影響を検証する必要があります。ゲーム目的なら192GB・160GB VRAMはほぼ不要で、32〜64GB程度でも余裕があるケースがほとんどです。
訂正「192GBノートPC世界初」ではない点に注意
今回の報道では「AMD初の192GBノートPC」という表現も見られますが、これは「192GBを搭載した世界初のノートPC」とは意味が異なります。Intelプラットフォームでは、Lenovo ThinkPad P16 Gen 2が4枚の48GB DDR5 SO-DIMMで最大192GB、MSI Titan 18 HX A14Vも4スロットで最大192GBに対応しており、以前から192GB搭載ノートは存在していました。
AMD陣営に限っても、HPより先に中国のSixunitedがRyzen AI Max+ PRO 495・最大192GB LPDDR5X-8533に対応する「AXN88B-160M-YD」というリファレンスデザインを公開しており、最大120W動作にも対応するとされています。ただしSixunitedはODM(他社ブランドでの販売を前提とした設計会社)で、消費者が直接購入できる製品として展開するとは限りません。そのためZBook Ultra G3a 16を評価するなら、「192GBという数字そのものが世界初」ではなく、HPという大手ワークステーションブランドの正式な製品として192GB統合メモリと最大160GB VGMを実装し、試作機が第三者のレビュー環境まで到達したことに注目すべきでしょう。
制約192GBメモリは増設できない
大容量だからといって、ThinkPad P16 Gen 2のようにSO-DIMMを追加して192GBへ増設できるわけではありません。StorageReviewが確認した試作機ではLPDDR5XメモリがSoCの周辺へ直接実装されています。Ryzen AI Max+ PRO 495は256bit LPDDR5Xを前提にした構成で、この広いメモリインターフェースによってCPUと40CUのiGPUが同じ高速メモリを共有しますが、購入後にメモリ容量を変更することはできません。ローカルAI目的で購入する場合は、必要なモデルサイズを踏まえて購入時に容量を決める必要があります。
価格未発表だが、HP公式ツールに7,449ドルの参考構成
ZBook Ultra G3a 16は2026年10月に発売予定です。正式な販売価格についてHPは発売時期が近づいてから発表するとしており、2026年9月19日時点では未発表です。ただし、HP公式の「Local AI Value Calculator」には、Ryzen AI Max+ PRO 495・192GBメモリ・512GBストレージ・FHDディスプレイを搭載した参考構成が7,449ドルとして掲載されています。これは投資対効果を試算するための「Reference configuration」であり、正式な開始価格ではありません。
参考までに、前世代ZBook Ultra G1a(14インチ)の日本HP希望小売価格は、Ryzen AI Max+ PRO 395・128GB・2TB・通常液晶構成で73万9,200円、英語OS・2.8K OLED構成では346万5,000円に達しています。192GB最上位構成が一般的なゲーミングノートとはまったく異なる価格帯になる可能性を考える材料になりますが、日本発売時の実売価格は別途確認が必要です。
今後本当の評価は量産機ベンチマークが出てから
今回StorageReviewへ届いた個体は製品版ではなく試作機です。StorageReviewは現時点ではフルベンチマークを実施せず、10月に量産機が届いてからUL Procyon AI Text Generation、LM Studio、Ollamaでの70B超モデル推論、消費電力、バッテリー駆動時間などを測定するとしています。現状分かっているのは、「192GB搭載機が実際に存在する」「160GBをGPUへ割り当てられる」「100W対応の冷却構造を持つ」というハードウェア面までです。Radeon 8065Sのゲーム性能がどこまで伸びるのか、160GBを割り当てた大型モデルが何トークン/秒で動作するのか、100Wを長時間維持できるのか、試作機のLPDDR5X-8533が量産機でも維持されるのかは、いずれも量産機の到着を待つ必要があります。
FAQよくある質問
まとめまとめ|192GBより100W化と量産機の実測が焦点
HP ZBook Ultra G3a 16は、AMD Ryzen AI Max+ PRO 495と最大192GBのLPDDR5X統合メモリ、うち最大160GBをRadeon 8065S向けに確保できる構成を持つ16インチモバイルワークステーションです。この構成自体はすでに複数のミニPCで採用されており、192GBという数字そのものが世界初でもありません。
今回注目すべきは、ノートPCの薄型筐体でこの構成を実現したこと、そして前世代ZBook Ultra G1aの最大55Wから最大100Wへ電力設計が引き上げられたことです。Radeon 8065SはGPU自体が大幅強化されたわけではないため、ゲーム性能を左右するのはむしろこの電力・冷却設計になる可能性があります。
試作機のメモリクロック(LPDDR5X-8533)とHP公式製品ページの192GB構成表記(8000MT/s)には差があり、最終仕様がどちらになるかも未確認です。価格もHP公式ツール上の参考構成7,449ドルが手がかりになる程度で、正式発表はまだ先です。2026年10月に量産機が届いた際は、192GBという容量そのものより、100Wを持続できるか、160GB VGMでのLLM推論速度、そしてメモリクロックが最終的にどちらになるかを確認する必要があります。



