DLSS 5発表——「フレーム生成」の次はAIが映像を描き直す。ニューラルレンダリングの仕組みと2026年秋の対応ゲームを解説
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fpsを上げる技術ではなく、AIが映像を描き直す技術
出典:NVIDIA公式・日本語(DLSS 5発表・2026年3月16日)、NVIDIA公式「DLSS 5: Neural Rendering Brings Lifelike Lighting to NBA 2K27」、NVIDIA公式 GeForce Game Ready Driver 616.64、NVIDIA Developer Blog、NVIDIA Research(DLSS 5)(確認日2026年10月5日)
DLSSはバージョンが上がるたびに「何が変わったのか」が分かりにくくなりますが、DLSS 5は過去最大の方向転換です。DLSS 4.5までの目的はフレームレートを上げることでした。DLSS 5は、GPUが描いたフレームの光と質感をAIが描き足し、映像の質そのものを引き上げます。
2026年3月16日のGTC 2026で発表され、約半年後の2026年9月3日(日本時間9月4日)に『NBA 2K27』で正式配信が始まりました。対応GPUはGeForce RTX 50シリーズのデスクトップ用とノート用で、RTX 40以前では動きません。fpsは上がらず、下がります。
負荷は軽くありません。公開されている『NBA 2K27』の計測では、1080pで約3割、4Kで約6割近くフレームレートが落ちています。オンにしたいかどうかは、手持ちのGPUと解像度、そして遊びたいゲームが対応しているかで決まります。
目次
違いDLSS 4.5との違い|「速くする」と「綺麗にする」は別の技術
DLSS 4.5のDynamic MFGは、GPUが描いた1フレームからAIが追加のフレームを作り、最大で5フレームを生成してfpsを引き上げます。映像の質は変わらず、滑らかさが増える技術です。DLSS 5は逆に、フレーム数は増やさずに1枚ごとの絵の質を上げます。
| 項目 | DLSS 4.5(Dynamic MFG) | DLSS 5(ニューラルレンダリング) |
|---|---|---|
| やること | フレームを増やす | ライティングとマテリアルを描き直す |
| 効果 | fpsが上がる | 映像の質が上がる(fpsは下がる) |
| 対応GPU | RTX 20〜50 | RTX 50のみ |
| 状況 | 利用可能 | 2026年9月3日に配信開始 |
DLSS 5はSuper Resolutionやフレーム生成を置き換えず、併用します。画質の底上げをDLSS 5が、フレームレートの確保をDLSS 4.5が担う分業です。fpsが足りないときはDLSS 5を切るより先に、Super Resolutionの品質を落とす、フレーム生成を足すといった調整が効きます。
仕組みニューラルレンダリングの仕組み|AIは何を描き直すのか
DLSS 5は、完成した映像に後からかけるフィルターとは違います。NVIDIAの説明では、ゲームエンジンが出力したカラーとモーションベクトルを入力に、AIモデルが写真のようなライティングとマテリアルを加えます。加えた内容はゲームの3Dコンテンツに根差したもので、フレームごとに矛盾しないよう作られています。
DLSS 4.5までが元の映像をなるべく正確に再現しようとする技術だったのに対し、DLSS 5は最終的に表示される見た目そのものをAIが生成します。この違いが、後述するアートディレクションをめぐる議論の出発点です。
発表時のデモは、RTX 5090を2台使い、1台でゲーム、もう1台でDLSS 5のモデルを動かす構成でした。NVIDIAは発表から約6か月で処理を5倍に高速化したと説明しており、製品版は1枚のGPUで動きます。
懸念賛否が割れた理由|幻覚描写とアートディレクション
発表直後から、ハードウェア系メディアの評価は二極化しました。ライティングの品質を絶賛する声がある一方で、実ゲームで同じ品質が出るのかを疑う声も出ています。主な懸念は次の3つです。
開発者向け制御顔だけAI処理から外せる|SIGGRAPH 2026で公開された制御機能
2026年7月のSIGGRAPH 2026で、NVIDIAは開発者向けの制御を公開しました。効果を「構造」と「色調」に分けて調整する2つのスライダー(Structure Intensity、Tone Intensity)、AIが認識した対象を処理から外すセマンティックマスク、エンジン側でガラスや水滴、植物などの特定アセットを指定するマスクが用意されています。複数のモデルをシーンやカットシーンごとに使い分けることも可能です。
制御するのは開発者であり、プレイヤーにできるのはオンとオフの切り替えです。『NBA 2K27』ではF9キーで切り替えながら見比べられます。詳細はDLSS 5の開発者向け制御をNVIDIAが公開で、顔立ちの批判の経緯はDLSS 5でキャラの顔が別人化するという懸念で取り上げています。
負荷どれだけ重いのか|1080pで約3割、4Kで約6割のfps低下
正式版の負荷は、『NBA 2K27』の最高画質にレイトレーシングを最大にした状態で、Ryzen 7 9800X3D環境の計測が公開されています。フレーム生成は使っていません。
| 条件 | DLSS 5オフ | DLSS 5オン |
|---|---|---|
| 1080p・RTX 5060 Ti | 107fps | 75fps(約30%低下) |
| 4K・RTX 5090 | 162fps | 68fps(約58%低下) |
| 4K・RTX 5080 | 133fps | 60fps未満 |
4Kで平均60fpsを超えたのはRTX 5090だけで、RTX 5080はオフなら133fpsなのにオンでは60fpsに届きませんでした。RTX 5060 Tiの4Kは平均25fpsです。WQHDで60fps以上を保てるのはRTX 5070(66fps)からです。解像度が上がるほど負荷の割合が増えるため、4Kで使うなら現状の選択肢はRTX 5090に限られます。計測の詳細はDLSS 5は実際どれだけ重いのかにまとめています。
対応GPU対応GPUはRTX 50シリーズだけ
NVIDIAはDLSS 5を、GeForce RTX 50シリーズのデスクトップ用GPUとノート用GPU、そしてGeForce NOW Ultimateで利用できると案内しています。発表当初は「どのグレードから実用になるか」が不明でしたが、配信開始で範囲が確定しました。
| GPU | DLSS 5 | 補足 |
|---|---|---|
| RTX 50(デスクトップ・ノート) | 使える | ドライバー616.64以降。実用的に回せる解像度はグレードで変わる |
| GeForce NOW Ultimate | 使える | クラウド側のRTX 50で動作 |
| RTX 40シリーズ | 使えない | 対応拡大に着手する方針をNVIDIAが表明。提供時期は未定 |
| RTX 30以前・Radeon・Intel Arc | 使えない | 対応の予定は示されていない |
RTX 40については、NVIDIAが海外メディアに「RTX 50向けのモデル更新を今秋に予定しており、RTX 50の性能が十分に仕上がった段階でRTX 40への公式対応拡大に取り組む」と回答しています。今秋に予定されているのはRTX 50向けの更新で、RTX 40で使える時期は決まっていません。経緯はNVIDIA、DLSS 5のRTX 40シリーズ対応を公式に認めるで整理しています。
対応ゲーム対応ゲームの現状|遊べるのは1本、16タイトルが対応を表明
対応を表明しているのは、CAPCOM、Ubisoft、Bethesda、Warner Bros. Games、Tencent、NetEaseなどのタイトルで、確認できているのは16本です。ただし、実際にDLSS 5をオンにできるのは2026年10月5日時点で『NBA 2K27』の1本だけです。ほかのタイトルは各ゲームがDLSS 5対応パッチを配信して初めて使えるようになります。
| タイトル | パブリッシャー | 状況 |
|---|---|---|
| NBA 2K27 | 2K Games | 配信中(設定名は「DLSS Neural Rendering」) |
| バイオハザード レクイエム | CAPCOM | 対応表明済み・パッチ未配信 |
| アサシン クリード シャドウズ | Ubisoft | 対応表明済み・パッチ未配信 |
| Starfield | Bethesda | 対応表明済み・パッチ未配信 |
| ホグワーツ・レガシー | Warner Bros. Games | 対応表明済み・パッチ未配信 |
| Delta Force | Tencent | 対応表明済み・パッチ未配信 |
全タイトルの一覧と、アニメ調の作品でどう見えるかはDLSS 5 対応タイトル一覧で更新しています。有効化の手順はDLSS 5は自分のグラボで使えるかをご覧ください。
おすすめDLSS 5を試すならどのRTX 50か
DLSS 5を重視するなら、解像度で選ぶのが近道です。WQHDまでならRTX 5070クラスで60fps前後を狙え、4Kで常用したいならRTX 5090が現実的な唯一の選択肢になります。
FAQよくある質問
まとめDLSS 5は「速さ」から「映像品質」への方向転換、ただし今は待ちの段階
DLSS 5は、DLSSの目的をfpsの向上から映像品質の向上へ変えた最初の技術です。ライティングと質感の説得力は大きく上がる一方で、負荷の重さ、幻覚描写、アートディレクションへの影響という課題が残っています。
対応GPUはRTX 50シリーズのみで、遊べるのは『NBA 2K27』の1本だけです。4Kで60fpsを保てるのはRTX 5090だけ、1080pならRTX 5060 Tiでも75fpsを維持できます。RTX 40対応は着手の方針が示された段階で、バイオハザード レクイエムなど他のタイトルは対応パッチ待ちです。買い替えを急がず、対応ゲームが増えてから判断するのが堅実です。








