紅の砂漠がAI生成アセット混入を認め謝罪——「プレースホルダー誤混入」説の真偽、Steam規約違反、株価30%急落までを整理する
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差し替えは5月末のパッチまで続き、株価30%急落の原因は別にあった
2026年3月19日に発売された紅の砂漠で、屋内の壁に飾られた2D絵画に生成AI特有の崩れ(足が余った馬、溶けた顔)が見つかり、開発元のPearl Abyssは3月22日にAI使用を認めて謝罪しました。
結論から言うと、問題の絵画は謝罪から1週間後の3月29日のパッチ1.01.00から差し替えが始まり、4月23日(1.04.00)、5月22日(1.08.00)、5月29日(1.09.00)まで、少なくとも4回のパッチノートに「2D visual assets を差し替えた」という記載があります。一方で「何点がAI生成だったか」「監査が完了したか」は、2026年10月6日時点で公式には示されていません。
「プレースホルダーの誤混入」という説明は、否定する材料も裏づける材料もなく、白黒はつきません。ただし株価の約30%急落は、AIが発覚する前の発売日にMetacriticの78点で起きたものです。AI炎上と株価を結びつけて読むと判断を誤ります。
目次
要点まず何が起きたか
Pearl Abyssは3月22日にXで、一部の2Dビジュアルプロップを実験的な生成AIツールで作り、最終製品に残ってしまったと認めました。Steamストアの「AI Generated Content Disclosure」の欄は、2Dプロップアセットの制作に補助的に使ったと開示しています。差し替えは3月29日の1.01.00から始まり、5月29日の1.09.00まで続いています。
AI生成だったアセットの総数、監査の完了報告、「意図的ではなかった」ことを裏づける内部の記録は、いずれも公開されていません。
経緯発売から差し替えまでの流れ
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 3月19日 | PC・PS5・Xbox Series X|Sなどで発売。Pearl Abyssの株価は同日に約29%下落(後述)。 |
| 3月20〜21日 | プレイヤーが壁掛け絵画の不自然な描写を発見し、X・Reddit・Steamフォーラムで拡散。この時点では疑惑の段階。 |
| 3月22日 | Pearl Abyssが公式Xで生成AIの使用を認めて謝罪。全アセットの監査と差し替えを約束。 |
| 3月29日 | パッチ1.01.00で「2D visual assets」の差し替えが始まる。 |
| 4月23日〜5月29日 | 1.04.00・1.08.00・1.09.00のパッチノートに、同じ趣旨の差し替えが追記される。 |
| 6月11日 | 累計600万本を突破したとPearl Abyssが発表。 |
対象問題のアセットとは何か
問題になったのは3Dモデルやメインテクスチャではなく、屋内の壁に飾られた2D絵画・装飾イラスト(プロップ)です。プレイヤーが特に指摘したのは、マナーハウス内の複数の壁掛け絵画でした。
馬の脚が尾の位置から生え、騎乗者が馬に溶け込んだ絵。顔の輪郭が崩れ、目や鼻の位置がおかしい人物画。人体の比率や関節の向きが成り立たない戦場の絵。いずれも生成AIによく見られる崩れ方です。
AI画像検出ツールで「高確率でAI生成」と判定したという報告もありましたが、検出ツールの精度は100%ではないため、当初は「本当にAIか」という議論が続いていました。Pearl Abyssが使用を認めたことで、疑惑は事実になりました。一部の人物描写が特定のステレオタイプを想起させるという指摘もありますが、意図的か学習データ由来の偶発かは分かっておらず、Pearl Abyssも個別の描写にはコメントしていません。
規約Steamの開示ルールと「後追い開示」
ValveはSteamで販売するゲームに、事前に生成されたAIコンテンツが含まれる場合、ストアページで開示することを求めています。紅の砂漠は発売時点でこの開示がなく、AI混入の発覚後に追加されました。ストアページの現在の記載は次のとおりです。
“Generative AI technology is used in a supplementary capacity during the creation of some 2D prop assets. Any such assets are replaced through our production pipeline by our art and development teams, ensuring they meet our quality standards and creative direction.”
購入者の立場では、「AIが含まれると知っていたら買わなかった」という選択が発売前には存在しませんでした。批判が集中したのは、AIを使ったこと自体より、この情報が買う前に出ていなかったことです。ValveがPearl Abyssに何らかの対処をしたという公式の発表は、確認できた範囲ではありません。
声明「プレースホルダー誤混入」説は信用できるか
Pearl Abyssの声明の骨子は、初期のイテレーション作業で、雰囲気を素早く確かめるために2Dプロップを実験的な生成AIツールで作り、最終的にはアートチームの制作物に差し替える意図だったが、一部が製品版に残った、というものです。声明は「AIの使用を明確に開示すべきだった」とも認めています。
- 壁の装飾絵画はゲームプレイに影響せず、最終確認の優先度が下がりやすい
- 謝罪の1週間後に差し替えパッチが出ており、後から取り繕った動きとは考えにくい
- 差し替えが5月末まで複数回のパッチで続いている
- 7年の開発期間と約2,000億ウォンの開発費に対して、確認漏れの説明は軽い
- 該当アセットが複数あり、1点の見落としでは済まない
- Steamの開示ルールは出す側が把握しているはずで、「うっかり」は通りにくい
現時点で意図的か誤混入かを断言できる材料はありません。「説明は理解できる」と「完全に信用できる」は別の話で、監査の結果が出ていない以上、前者にとどめておくのが妥当です。
数字株価30%急落はAI炎上の結果ではない
「AIを認めて謝罪、株価30%急落」と並べて語られることがありますが、時系列を見ると因果は逆でした。
| 項目 | 数字 | 補足 |
|---|---|---|
| 株価の下落 | 約29%(3月19日午前) | 65,600ウォンから46,600ウォン前後へ。原因は発売直後のMetacriticが78点と、市場が見込んだ80点台半ば〜後半を下回ったこと |
| AI疑惑の拡散 | 3月20〜21日 | 株価急落の後。AI炎上は急落の原因になっていない |
| 販売数 | 発売初日200万本、1か月弱で500万本 | Pearl Abyssが6月11日に累計600万本と発表 |
つまり、AI問題は販売の勢いを止めていません。投資家が反応したのは評価スコアで、AI絵画の発覚はその後に重なった別の問題です。
二次炎上元Blizzard社長「Man up」発言
謝罪の直後の週末に、元Blizzard社長で現在はPrizePicksのCEOを務めるMike YbarraがPearl Abyssの投稿に返信し、二次炎上を招きました。
“Why apologize? AI, in one form or another, will be in every single video game. I don’t get why devs feel the need to bend over for the few folks who can’t accept the reality that AI will be in every single thing – from video games to your fridge (it already is). Man up.”
謝罪する必要はない、AIはいずれすべてのゲームに入るという主張で、複数の海外メディアが批判的に取り上げました。争点は、AIを使うこと自体の是非と、使ったことを買う前に知らせる義務を分けて考えられるかどうかです。批判する側の論点の中心は後者で、Ybarra氏の発言はこの区別を飛ばしていました。
現状差し替えパッチの記録と今の状況
差し替えは公式パッチノートに残っています。いずれも「AIの絵を差し替えた」とは書かず、美術方針に合わせた「2D visual assets」の差し替えという表現です。
| パッチ | 配信日 | 該当する記載 |
|---|---|---|
| 1.01.00 | 3月29日 | replaced select 2D visual assets to better align with the game’s art direction |
| 1.04.00 | 4月23日 | replaced select 2D visual assets to better align with the game’s art direction |
| 1.08.00 | 5月22日 | certain 2D visual assets have been replaced to better align with the game’s art direction |
| 1.09.00 | 5月29日 | certain 2D visual assets have been replaced to better align with the game’s art direction |
※Steamで公開されているパッチノートのうち、「2D visual assets」の差し替えを記載していたもの。2026年10月6日に1.00.02〜2.03.02を確認し、6月以降のパッチノートに同じ記載は見当たりませんでした。
差し替えの記載が5月29日で止まっていることから、作業は一段落したとみられます。ただし、Pearl Abyssは「全アセットの包括的な監査」の結果を公表しておらず、すべて差し替え済みだと断言できる根拠はありません。
ゲーム体験の中心である3Dモデルや戦闘は今回の問題の対象外です。AI生成物が一切含まれないことを購入条件にしている場合は、開示文が「補助的な利用」とだけ書いていて範囲が示されていない点を踏まえて判断してください。
おすすめ紅の砂漠を快適に遊ぶためのGPU
紅の砂漠は描画負荷の高いタイトルで、4K・高画質を狙うならRTX 5070 TiかRX 9070 XTが目安です。重さの検証はGPU別ベンチマークにまとめています。
まとめまとめ|問題は「AIを使ったこと」より「買う前に知らせなかったこと」
批判の中心は、AIツールの使用そのものより、使ったことを買う前に開示しなかった点です。差し替えは5月29日までのパッチで進みましたが、監査の結果は公表されていません。株価の急落は評価スコアが原因で、AI炎上とは別の出来事でした。
AI絵画の差し替えは1.01.00〜1.09.00の4回のパッチで進み、6月以降は記載なし。「誤混入」説は裏づけも否定もできず、監査結果は未公表。株価の約29%下落はAI発覚の前で、原因はMetacriticの78点。購入前の開示が論点です。
出典:Steam「Patch Notes Version 1.01.00」、同 1.04.00、同 1.08.00、同 1.09.00、Steamストアページ、Engadget、Seoul Economic Daily、GamesBeat、PC Gamer




