COLORFIRE Lingchuang K16は買いか|96GBをVRAMにできるAIノート、ROG Flow Z13との違い
本記事にはアフィリエイト広告(Amazon・楽天市場等)のリンクが含まれています。
128GBメモリのうち最大96GBをVRAMにできるAIノート、ゲーム目的なら優先度は低い
出典:VideoCardz、AMD公式ブログ、ASUS Store公式(ROG Flow Z13-KJP)にもとづきます。情報は2026年9月13日時点のものです。
ノートPCなのに、最大96GBをGPU用メモリとして確保できる。この数字だけを見ると、GeForce RTX 5090などを大幅に超えるGPUを積んでいるように思えるかもしれません。
しかし、Lingchuang K16の面白さはゲームのfpsを極限まで高めることではありません。通常のノートPCではメモリ容量の壁で起動すら難しい大型LLMを、1台のノートPCに読み込めることにあります。
この記事では、96GBをVRAMとして使える仕組み、ローカルAIで何ができるのか、ゲーム性能はどの程度か、そして日本から検討する場合にROG Flow Z13という選択肢とどう違うのかまで整理します。

目次
基本スペックRyzen AI Max+ 395と最大128GBメモリを搭載
Lingchuang K16は、2026年6月に中国で発売済みの16型ノートPCです。2026年9月10日に北京で開催されたAMDのイベントで、192GBユニファイドメモリを搭載する上位機「Lingchuang Mini Pro」とともに改めて展示されました。
中心となるRyzen AI Max+ 395は、開発コードネーム「Strix Halo」と呼ばれるAMDの高性能APUです。CPUとGPU、NPUを1パッケージに統合し、大容量かつ広帯域なメモリを共有することで、ディスクリートGPUなしでもゲームやGPUコンピューティング、ローカルAIまで処理できるようにした設計です。チップ単体の詳しいアーキテクチャや前世代との比較は、上位チップ「Ryzen AI Max+ PRO 495」のスペック解説記事で整理しています。
| 項目 | Lingchuang K16(128GBモデル) |
|---|---|
| CPU | Ryzen AI Max+ 395(Zen 5・16コア32スレッド・最大5.1GHz) |
| GPU | Radeon 8060S(RDNA 3.5・40基・最大2.9GHz) |
| NPU | XDNA 2(最大50TOPS、CPU+GPU+NPU合計で最大126TOPS) |
| メモリ | 最大128GB LPDDR5X-8000(256bit)、うち最大96GBをGPUへ割当可 |
| ディスプレイ | 16型IPS、2560×1600、最大165〜180Hz(構成により異なる)、100% sRGB・500nit |
| ストレージ | 最大2TB(4TBモデルも追加済み)、PCIe 4.0 SSD |
| インターフェース | USB4、HDMI 2.1、2.5GbE、microSD、OCuLink |
| バッテリー・通信 | 99Wh、Wi-Fi 7 |
出典:COLORFUL公式サイト、VideoCardzの報道より。構成により数値が異なる項目(ディスプレイのリフレッシュレート等)は確認できた範囲を記載しています。
仕組み128GBメモリのうち最大96GBをVRAMとして確保できる
Lingchuang K16で最も注目したいのが、最大96GBをGPU用メモリとして設定できる点です。AMDはRyzen AI Max+ 395の128GB構成について、AMD Variable Graphics Memory(VGM)を利用するとシステムメモリの最大96GBを「Dedicated Graphics Memory」として確保できると公式に説明しています。設定を上げるほどCPU側が使えるシステムメモリはその分減る仕組みで、「128GBのRAMとは別に96GBのVRAMが追加される」わけではありません。VGMの具体的な設定手順はRyzen AI MaxのVRAM設定ガイドで解説しています。
ここでいう96GBは、GeForceやRadeonのグラフィックボードに搭載されている専用GDDRメモリとは異なります。Lingchuang K16はCPUとGPUがLPDDR5Xを共有するユニファイドメモリ方式で、その一部をGPU専用領域として予約しているにすぎません。96GBという数字はGPUの演算速度を示すものではなく、GPUが一度に保持できるデータ量を増やす仕組みです。Lingchuang K16の価値は「96GB VRAMのGPUと同等に高速」なのではなく、「一般的なGPUではメモリに入りきらないデータを扱える」という点にあります。
ローカルAIなぜ96GBものVRAMが重要なのか
LLMをローカルで動かす場合、GPU性能と同じくらい問題になるのがメモリ容量です。どれだけ高速なGPUでも、モデル自体がVRAMへ入りきらなければ、GPUだけで効率よく推論することはできません。
AMDは公式ブログで、128GB版Ryzen AI Max+ 395について、LM Studioを使えば最大128Bパラメータ級のLLMをWindows上で実行できると説明しています。一例がOpenAIのGPT-OSS 120Bです。AMD自身の説明、および同モデルを実際に検証したMindStudioのベンチマークでは、Ryzen AI Max+ 395・128GB構成でGPT-OSS 120Bがおよそ30tokens/sで動作したと報告されています。通常のゲーミングノートでは、VRAMが8GBや12GB、16GBしかなければ、60GBを超えるモデルを丸ごとGPUへ載せること自体ができません。Lingchuang K16はRadeon 8060Sの演算性能自体が最上位ディスクリートGPUほど高くないものの、メモリ容量によって「そもそも実行できるモデルの範囲」を大きく広げています。
GPT-OSS 120Bの約30tokens/sという数値は、AMD公式ブログおよび第三者のMindStudioベンチマークで確認できるRyzen AI Max+ 395・128GB構成の一般的な実測値です。中国の一部レビュー記事にはLingchuang K16固有の詳細なベンチマーク数値(3DMarkの個別スコア、UL Procyonの各モデル別tokens/s、実ゲームのfps等)を掲載しているものもありますが、複数のメディア・レビューを突き合わせた結果、数値の食い違いや「K16」という型番の異なる製品(他社の同名モデル)との混同が疑われる情報が見つかったため、本記事では裏付けが取れなかった個別の数値は掲載していません。製品固有の詳細なベンチマークは、独立した検証記事が出てから追記を検討します。
ゲーム性能96GB VRAMだからRTX 5090より速いわけではない
ここがゲーミングPCユーザーにとって最も誤解しやすい部分です。Lingchuang K16は最大96GBをGPUへ割り当てられますが、ゲーム性能が96GB VRAM搭載の超ハイエンドGPU相当になるわけではありません。
Radeon 8060Sは40基のRDNA 3.5 GPUです。同じRadeon 8060Sを搭載するLenovo Yoga Pro 7a Gen 11の実測記事やRyzen AI Max+搭載ミニPCの比較記事で確認している範囲では、GeForce RTX 4060 Laptop GPUからRTX 4070 Laptop GPU付近に位置する性能とされています。「内蔵GPU」という言葉から想像する性能よりかなり高いのは間違いありませんが、これをRTX 4080 LaptopやRTX 5090 Laptopクラスと考えるべきではありません。96GBというメモリ容量とGPUそのものの描画性能は、分けて考える必要があります。
また、メモリ帯域幅もゲーム性能を考えるうえで重要です。Ryzen AI Max+ 395のLPDDR5X-8000は256bit幅で約256GB/sの帯域を確保していますが、ハイエンドのディスクリートGPUに搭載される専用GDDRメモリほど高速ではありません。Lingchuang K16は「大量のVRAMと最高クラスのGPU演算性能を両方持つマシン」ではなく、「比較的高速な統合GPUから非常に大きなメモリ空間へアクセスできるマシン」と考えた方が分かりやすいでしょう。
拡張性OCuLink搭載で外付けGPUも使える
Lingchuang K16はUSB4、HDMI 2.1、2.5GbE、microSDに加えてOCuLinkを搭載しています。OCuLink対応の外付けGPUボックスを用意すれば、自宅やオフィスではGeForceやRadeonのディスクリートGPUを追加し、外出時にはRadeon 8060Sだけで運用するといった使い方も可能です。ただし、外付けGPUのVRAMとRyzen AI Max+ 395の96GB VGMが1つの巨大なVRAMとして結合されるわけではなく、あくまでゲーム性能を追加するための拡張手段です。
価格中国では128GB+2TBモデルが当初27,999元
| 時期 | 構成 | 価格(中国国内) |
|---|---|---|
| 2026年6月発売時 | 64GB+1TB | 23,999元 |
| 2026年6月発売時 | 128GB+2TB | 27,999元 |
| 2026年9月追加 | 128GB+4TB | 39,999元 |
| 2026年9月時点(JD.com) | 128GB+2TB | 34,999元 |
出典:VideoCardz、COLORFIRE公式JD.comストアの表示より。発売直後とはかなり価格差があるため、購入時期やキャンペーンによって価格が変動する点には注意してください。
現時点では中国市場向けが中心で、グローバル発売やスペック違いの海外版が用意されている様子は確認できていません。日本で気軽に購入できるノートPCとは言いにくい状況です。
日本の選択肢128GB版ROG Flow Z13という代替もある
Ryzen AI Max+ 395と128GBメモリの組み合わせ自体は、Lingchuang K16だけのものではありません。日本ではASUSが「ROG Flow Z13-KJP」の128GBモデルを正式販売しています。
| 項目 | Lingchuang K16(128GB) | ROG Flow Z13-KJP(128GB) |
|---|---|---|
| チップ | Ryzen AI Max+ 395 | Ryzen AI Max+ 395 |
| フォームファクタ | 16型クラムシェル | 13.4型タブレット型(2-in-1) |
| ディスプレイ | 2560×1600・最大165〜180Hz | 2.5K・180Hzタッチパネル |
| 拡張性 | OCuLink・2.5GbE搭載 | OCuLink非搭載(モデルによる) |
| 日本での販売 | 未発売(個人輸入のみ) | ASUS Store公式で正規販売中 |
| 価格 | 34,999元(2026年9月・中国国内) | 739,800円(2026年9月・ASUS Store) |
ROG Flow Z13-KJPは「KOJIMA PRODUCTIONS」コラボモデルで、『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』PC版が付属する点も特徴です。13.4型のタブレット型2-in-1でLingchuang K16より携帯性を重視した設計になっており、同じチップ・同じメモリ容量でも方向性はかなり異なります。日本で正規に、サポート込みで同等スペックを手に入れたい場合は、ROG Flow Z13-KJPが現実的な選択肢になります。Lingchuang K16を個人輸入するのであれば、本体価格だけでなく保証やサポートまで含めて比較した方がよいでしょう。
代替機日本でAmazonから買えるRyzen AI Max+ 395機
ROG Flow Z13-KJP以外にも、同じRyzen AI Max+ 395・大容量LPDDR5Xメモリという組み合わせは、日本のAmazon.co.jpで買えるミニPCとしてすでに流通しています。ノートPCではなくミニPCのため持ち運びには向きませんが、正規販売・日本語サポートを重視するなら現実的な選択肢です。
判断ゲーム目的だけならLingchuang K16を選ぶ必要は薄い
- ゲームもするが本命はローカルLLM・VLM・AI画像生成という人
- 大型デスクトップや複数GPU環境を構築せず、1台のノートPCで128GBの高速ユニファイドメモリを使いたい人
- 外出先でも大型モデルを利用したい研究・開発者
- ゲームだけが目的の場合。同価格帯ならGeForce RTX搭載のゲーミングノートの方がゲーム性能は高い
- 日本国内での正規販売・保証・サポートを重視する場合はROG Flow Z13-KJPが現実的
- ゲームでは96GBものVRAMが必要になる場面はほとんどなく、コストを活かし切れない
FAQよくある質問
まとめまとめ|本当の強みは「速さ」より「載ること」
COLORFIRE Lingchuang K16は、Ryzen AI Max+ 395と最大128GBのLPDDR5Xメモリを搭載し、そのうち最大96GBをAMD Variable Graphics MemoryによってGPU用メモリとして確保できる16型AIノートPCです。GPT-OSS 120Bのような大型LLMをノートPC1台に載せられる点が最大の特徴で、AMD公式・第三者ベンチマークともに約30tokens/sという動作実績が確認できます。
ただし最大96GBというVRAM容量とGPU性能は混同してはいけません。ゲーム性能はRadeon 8060SというGPU自体の性能(RTX 4060〜4070 Laptop級)で決まり、ゲームだけを目的にするなら同価格帯のGeForce RTX搭載ノートを選ぶ方が合理的です。また2026年9月13日時点で日本での正規販売はなく、同じチップ・同じメモリ容量を日本で正規に入手したい場合はROG Flow Z13-KJPが現実的な選択肢になります。
Lingchuang K16は、Ryzen AI Max+ 395・最大128GB LPDDR5Xメモリ・最大96GBのGPU用メモリ割当(VGM)を特徴とする16型AIノートPCです。中国では2026年6月発売、128GB+2TBモデルが2026年9月時点でJD.comにて34,999元。日本での正規販売はなく、同構成を日本で正規に入手したい場合はASUS「ROG Flow Z13-KJP」(739,800円)が選択肢になります。ゲーム性能はRadeon 8060SによりRTX 4060〜4070 Laptop級とされ、96GBのVGMはゲーム性能を引き上げる仕組みではありません。価値はGPT-OSS 120B級の大型LLMをノートPC1台で動かせる点にあり、AMD公式・第三者ベンチマークの双方で約30tokens/sの動作実績が報告されています。





