Keychron ZGMとは?オープンソースのゲーミングマウス用ファームウェアとG6 HEとの関係を解説【2026年版】
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Zephyr RTOS基盤の仕組み、QMK・ZMKとの違い、Keychron G6 HEとの関係を解説します
出典:Keychron/zgm 公式GitHubリポジトリ・ZGM公式サイト(zgm.gg)にもとづきます。情報は本記事公開時点(2026年8月5日)のものです。
ZGMは「Zephyr Gaming Mouse」の略称で、クリック、センサー、スクロールホイール、LED、無線通信などを制御するマウス内部のソフトウェアです。一般的な設定アプリとは異なり、マウス本体で動作するファームウェアのソースコードを公開し、処理内容を確認・改良できる仕組みを目指しています。
ZGMはZephyr RTOSを基盤とし、低遅延な入力処理、複数のセンサーやスイッチへ対応できるモジュール構造、有線・無線接続への対応を特徴として掲げています。ソースコードはGPL-3.0ライセンスで公開される予定です。
この記事では、ZGMで何が変わるのか、QMKやZMKとの違い、低遅延化への期待、既存マウスへの導入可否、Keychron G6 HEとの関係を解説します。
目次
基礎知識ZGMとは|マウス内部で動く公開ファームウェア
ZGMは、Keychronが開発しているオープンソースのゲーミングマウス用ファームウェアです。ゲーミングマウスの内部には、センサーから移動量を読み取り、ボタンの押下を判定し、その情報をUSBや2.4GHz無線でパソコンへ送るためのマイコンが搭載されています。このマイコン上で動くソフトウェアがファームウェアです。
ファームウェアは、マウスの入力遅延、クリック判定、デバウンス処理、ポーリングレート、スクロールホイールの動作、センサーの設定、バッテリー管理などに関係します。一般的なゲーミングマウスでは、こうした内部処理のソースコードはメーカーしか確認できません。ユーザーはメーカーが提供する設定アプリを使えますが、アプリに用意されていない処理を確認・変更することは困難です。
Keychronは、キーボードではQMKやZMKのようなオープンソースファームウェアが普及している一方、ゲーミングマウスは依然としてメーカー独自の非公開ファームウェアが中心であることをZGM開発の理由に挙げています。ZGMではマウスのファームウェアを公開し、開発者やメーカーが内部処理を調査・変更・検証できる環境を作ることが目標です。
位置づけZGMは設定ソフトではない
ZGMは、Logicool G HUB、Razer Synapse、SteelSeries GG、Keychron Launcherのような設定アプリとは異なります。設定アプリは、メーカーがファームウェア内に用意した機能を操作するためのソフトウェアです。DPI、ポーリングレート、ボタン割り当て、マクロ、RGBライティングなどを変更できますが、クリック判定やセンサー処理そのものを書き換えられるわけではありません。
Keychronの現行マウスも、ブラウザ上で動作するKeychron Launcherを使ってボタン割り当て、デバウンスタイム、ポインター設定、レポートレートなどを変更でき、ファームウェア更新もKeychron Launcherから実行できます。ZGMは、その設定アプリより下の階層で動作するものです。
ZGMが完成すれば、メーカーが許可した項目を変更するだけでなく、マウスがクリックやセンサー入力をどのように処理しているかをソースコードから確認できるようになります。ただし、オープンソースであることと、誰でも簡単に設定できることは同じではありません。ファームウェアを自分で変更するには、プログラミング、ビルド環境、マイコン、電子回路などの知識が必要になる可能性があります。一般ユーザー向けには従来どおりKeychron Launcherなどの設定画面が用意され、開発者や上級者が必要に応じてZGMを編集する形になると考えられます。
計画範囲ZGMで変更できるようになる予定の項目
ZGMの公式ロードマップでは、ボタン、スクロールホイール、センサー、USB HID、ライティング、無線通信、バッテリー管理などへの対応が計画されています。
ただし、これらは2026年8月時点で利用できる完成済み機能ではありません。公式リポジトリに掲載されているのは、ZGMが今後対応を目指す範囲です。
構造モジュール構造で複数のマウスへ対応
ZGMは、特定の1機種だけで動作するファームウェアではなく、複数のマイコン、センサー、スイッチ、ホイールへ対応できる基盤を目指しています。マウスの共通処理と、製品ごとに異なるハードウェアの処理を分離するモジュール構造を採用する計画です。センサー、ボタン、スクロールホイール、LEDなどを個別のドライバーとして扱い、ハードウェアを変更してもファームウェア全体を書き直さずに済む設計が想定されています。
たとえば、同じファームウェア基盤を使いながら、搭載する光学センサーだけが異なる複数のマウスを開発できます。右クリックや左クリックのスイッチ、サイドボタン、ホイールエンコーダーが異なる場合も、対応するドライバーを追加すれば共通部分を再利用しやすくなります。この仕組みが完成すれば、Keychron以外のメーカーや個人開発者がZGMを別のマウスへ移植できる可能性もあります。ただし、ソースコードを入手しただけで、あらゆるマウスへ導入できるわけではありません。マイコン、センサー、基板、無線チップなどに合わせたドライバーと設定が必要です。
基盤OSZephyr RTOSとは
ZGMの基盤には「Zephyr RTOS」が採用されています。RTOSはReal-Time Operating Systemの略称で、日本語ではリアルタイムOSと呼ばれます。通常のWindowsやLinuxとは異なり、限られた性能やメモリで動作するマイコンや組み込み機器向けのOSです。
Zephyrはオープンソースで開発されており、複数のマイコンアーキテクチャ、デバイスドライバー、通信機能に対応しています。小規模なセンサーからウェアラブル機器、IoTゲートウェイまで、幅広い組み込み機器を対象としています。KeychronがZephyrを採用する理由として、幅広いマイコンと周辺機器への対応、デバイスドライバーの仕組み、構成を管理するビルドツール、長期間保守しやすい構造が挙げられています。マウスごとに異なるセンサーやスイッチへ対応するには、ハードウェア固有の処理と共通処理を分離しなければならず、複数のデバイスへ対応する仕組みを持つZephyrは、ZGMのモジュール構造と相性がよいと考えられます。
比較ZGMはQMKやZMKのマウス版なのか
ZGMは、QMKやZMKをそのままマウス用に変更したファームウェアではありません。QMKとZMKは、主にキーボードで使われているオープンソースファームウェアです。キー配列、レイヤー、マクロ、コンボ入力などを細かく設定でき、自作キーボードや市販キーボードで広く利用されています。KeychronもQMKやZMKを採用したキーボードを販売し、公式GitHubでファームウェアを公開しています。
ZGMはQMKやZMKのコードを流用することよりも、キーボードで普及したオープンソース文化をゲーミングマウスへ広げることを目標としています。QMKやZMKでは、ユーザーや開発者がソースコードを確認し、新しい機能や対応機種を追加できます。ZGMも同様に、メーカーだけでなくコミュニティが改良へ参加できる仕組みを目指しています。
ただし、キーボードとマウスでは必要な処理が異なります。キーボードは主にキーが押されたかどうかを処理しますが、ゲーミングマウスでは光学センサーから高速で移動量を取得し、クリック、ホイール、無線通信を低遅延で処理する必要があります。そのため、ZGMはZephyr RTOSを基盤に、マウス向けの新しい設計として開発されています。
ライセンスオープンソース化のメリットとGPL-3.0の意味
ZGMの大きなメリットは、マウス内部の処理を第三者が確認できることです。従来のマウスでは、クリック遅延、デバウンス処理、センサー補正、無線通信などの詳細が公開されていない場合があります。ZGMではソースコードが公開されるため、入力処理や遅延対策がどのように実装されているかを確認でき、不具合がある場合もメーカーからの更新を待つだけでなく、開発者が原因を調査し修正案を提出できる可能性があります。製品の販売が終了した後も、ソースコードと対応ハードウェアの情報が残っていれば、コミュニティによる保守を続けられる可能性もあります。
ZGMはGPL-3.0ライセンスで公開されています。GPL-3.0では、ソースコードを閲覧、変更、再配布できますが、ZGMを改変して配布する場合は、GPL-3.0の条件に従い対応するソースコードを提供する必要があります。そのため、別のメーカーがZGMを採用して独自機能を追加した場合も、配布方法によっては変更部分のソースコード公開が必要になります。これは、ZGMを採用しながら重要な部分だけを非公開にすることを難しくする仕組みです。一方、ZGMを参考にして完全に別のファームウェアを開発する場合や、ZGMと連携する外部ソフトウェアについては、構成や配布方法によって扱いが異なります。
性能低遅延化に期待できる?
ZGMは低遅延な入力処理を主要目標に掲げています。公式サイトでは、センサーのポーリング、ボタンとクリックの処理、スクロールホイールの統合を最適化し、競技用途を想定した応答性を目指すと説明しています。オープンソース化によって、どの処理に時間がかかっているかを調査しやすくなり、コミュニティが測定方法や修正案を共有できる可能性があります。
ただし、ZGMを搭載すれば既存のゲーミングマウスより必ず低遅延になるとは限りません。入力遅延はファームウェアだけでなく、スイッチ、センサー、マイコン、USB、無線チップ、レシーバー、ポーリングレートなどにも影響されます。ZGMのGitHubリポジトリでは、遅延・安定性・回帰テストの測定手順を将来追加する計画が示されていますが、現時点ではZGMを搭載した完成品を使った第三者ベンチマークは公開されていません。
互換性既存のKeychronマウスへ導入できる?
2026年8月5日時点では、既存のKeychron M3、M4、M6、G3、G4、G5などへZGMを導入する方法は公開されていません。ZGMの公式リポジトリは初期準備段階で、ファームウェア本体、対応ボード、ビルド方法、書き込み手順がまだ公開されていないためです。
ZGMが完成した後も、現在販売されているすべてのKeychronマウスが対応するとは限りません。マウスに搭載されているマイコンがZephyrに対応していることに加え、センサー、スイッチ、ホイール、無線チップ用のドライバーが必要です。安全に書き換えるためのブートローダーや復旧手段も欠かせません。対応していないファームウェアを書き込むと、マウスが起動しなくなる可能性があります。Keychronが正式に対応を発表するまでは、既存マウスへ非公式に書き込むことは避けた方がよいでしょう。
対応製品最初の対応予定製品はKeychron G6 HE
ZGMの最初の対応製品として案内されているのが、Keychron G6 HE UltraLightです。G6 HEは、光学式と磁気式を組み合わせたMagOpticスイッチを搭載するワイヤレスゲーミングマウスです。日本では2026年7月28日から先行販売が始まり、バッテリー交換タイプは約46g、バッテリー固定タイプは約42gと案内されています。ZGMは2027年第1四半期の公開が予定され、G6 HEが対応製品になると報じられています。
ただし、日本で2026年7月から販売されているG6 HEが、出荷時点からZGMを搭載しているわけではありません。日本向け製品ページでは、ボタンや入力感度の設定にKeychron Launcherを使用すると説明されており、ZGMへの更新、対応時期、更新方法については記載されていません。そのため、現在販売されているG6 HEを購入すれば、将来必ずZGMへ更新できると断定することはできません。既存のG6 HEへファームウェア更新で提供されるのか、2027年以降の新しい製造分だけが対応するのか、別モデルとして発売されるのかは、今後の正式発表を確認する必要があります。
G6 HEをZGM目的で今すぐ買うべき?
ZGMだけを目的にG6 HEを購入する場合は、正式な対応情報を待った方が安全です。現在のG6 HEには、約42gまたは約46gの軽量設計、8,000Hzポーリングレート、MagOpticスイッチ、交換式バッテリーなど、ZGM以外にも特徴があります。これらのハードウェアに魅力を感じるなら、現行ファームウェアとKeychron Launcherを前提に購入を検討できます。一方、ZGMのソースコードを編集したい、独自ビルドを書き込みたい、クリック処理を検証したいという目的なら、対応方法が公開されるまで待つ必要があります。ZGMの公式ロードマップにも、具体的な公開日を保証するものではないと記載されています。2027年第1四半期という時期は現時点の計画であり、開発状況によって変更される可能性があります。
安全性オープンソースなら安全性も高くなる?
ソースコードを公開すると、第三者が不審な処理や脆弱性を調査しやすくなります。メーカー以外の開発者がコードを確認できるため、通信処理、更新機能、メモリ管理などの問題が発見される可能性があります。一方で、オープンソースであるだけで自動的に安全になるわけではありません。コードを確認する開発者が少なければ、問題が長期間残る可能性があります。改変された非公式ファームウェアへ悪意のある処理が追加される危険もあります。
ユーザーが自分でビルドしたファームウェアと、Keychronが公式に配布するバイナリが同じソースコードから作られているかを確認できる仕組みも重要です。一般ユーザーは、公式リポジトリ、公式ビルド、対応機種、チェックサム、署名の有無を確認し、出所が不明なファームウェアを書き込まないようにする必要があります。デバウンス処理の検証や、ラピッドトリガー誤入力・チャタリングの見分け方についてはゲーミングキーボードが二重入力する原因と直し方も参考になります。
課題ZGMの課題
ZGMが普及するには、ファームウェアを公開するだけでは不十分です。マウスごとに異なるマイコン、センサー、無線チップへ対応するドライバーが必要になります。遅延、バッテリー駆動時間、接続安定性を検証するための測定環境も欠かせません。
設定を変更する一般ユーザー向けのインターフェースも必要です。ソースコードを編集できても、毎回開発環境を構築してビルドしなければならない仕組みでは、多くの購入者が利用できません。ファームウェア更新に失敗したときの復旧方法も重要です。キーボードと異なり、マウスはOSを操作するために必要な入力機器なので、書き込み失敗によって使用できなくなる影響が大きくなります。ワイヤレス機では、マウス本体とUSBレシーバーの両方を管理する必要があり、通信方式や暗号化、ペアリング、バッテリー制御までオープンにできるかも注目点です。ZGMの公式ロードマップでは、ファームウェアの骨格、入力処理、センサー統合、USB対応、ハードウェア抽象化、測定方法、無線やライティングなどを段階的に実装する計画が示されています。
今後ZGMでゲーミングマウス市場は変わる?
ZGMが完成し、複数の製品やメーカーで採用されれば、ゲーミングマウスの選び方が変わる可能性があります。現在は重量、形状、センサー、スイッチ、ポーリングレートなどが主な比較項目です。将来は、ファームウェアの公開範囲、コミュニティによる保守、独自ビルドへの対応も製品選びの要素になる可能性があります。同じハードウェアでも、クリック処理やセンサー設定を変更し、自分の用途に合わせて最適化できるようになるかもしれません。販売終了後もコミュニティが更新を続けられれば、製品寿命を延ばす効果も期待できます。
ただし、ゲーミングマウスはキーボードよりも高速なセンサー処理や無線通信への依存が大きいため、QMKやZMKと同じ規模で普及するかは分かりません。最初の重要な判断材料は、ZGMを搭載した実機で低遅延、接続安定性、バッテリー駆動時間を両立できるかどうかです。ポーリングレートや軽量設計にこだわりたい人は、現行製品を比較したLogicool G PRO X2 SUPERSTRIKEのレビュー記事も参考にしてください。
Q&AZGMに関するよくある質問
総括まとめ|ゲーミングマウスにもオープンソースの波
ZGMは、Keychronが開発しているオープンソースのゲーミングマウス用ファームウェアです。Zephyr RTOSを基盤とし、ボタン、センサー、スクロールホイール、ライティング、有線・無線通信などをモジュール化することで、複数のマウスやハードウェアへ対応できる基盤を目指しています。
従来の設定アプリとは異なり、マウス本体で動作する処理をソースコードから確認・変更できる点が特徴です。ただし、2026年8月5日時点では初期開発段階で、ファームウェア本体・ビルド手順・対応機種・書き込み方法はまだ準備中です。最初の対応製品にはKeychron G6 HEが予定されていますが、現在日本で販売されているモデルが将来必ずZGMへ更新できるかは発表されていません。
ZGMが実用化されれば、ゲーミングマウスでもキーボードのQMKやZMKに近いオープンな開発環境が広がる可能性があります。今後は2027年第1四半期に予定される初期公開、G6 HEへの提供方法、既存Keychronマウスへの対応、実機における入力遅延とバッテリー駆動時間が注目点です。

