CPS DA360-ARGB-BKを1年3ヶ月使った実機レビュー|ポンプは劣化したか、Cinebench76.0℃と騒音を実測
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エントリークラスの360mm簡易水冷は、経年でポンプが唸り出すのか
エントリークラスの360mm簡易水冷は、数年使うと本当に壊れるのか。ポンプが唸り出したり、冷えなくなったりするのか。この疑問に答えられるのは、実際に使い続けた個体だけです。
CPS(PCCOOLER)の「DA360-ARGB-BK」をRyzen 7 7800X3Dに載せて1年3ヶ月使った状態で、CPU温度と騒音を測り直しました。結論を先に言うと、ポンプは30cm換算で約32dB(A)と室内の暗騒音を下回り、冷却性能もCinebenchの全コア負荷で76.0℃です。上限89℃まで13℃の余裕がありました。
すでに販売終了扱いで後継のV2に切り替わっているため、V2との仕様差もあわせて整理しました。新品開封時のレビューでは見えない、使い込んだあとの状態を中心にまとめます。
目次
結論1年3ヶ月でポンプは劣化していませんでした
最初に測定結果をまとめます。距離30cm・サイドパネルを閉じた状態・室内の暗騒音35dB(A)という条件です。
| 測定項目 | 結果 |
|---|---|
| ポンプの騒音 | 30cm換算で約32 dB(A)(暗騒音35dB(A)を下回る) |
| ポンプ回転数 | 3,252〜3,269 RPM で安定 |
| アイドルCPU温度 | 43℃ |
| Cinebench全コア | 76.0℃(上限89℃まで13℃の余裕) |
| 付属ファンの騒音 | 全開で54 dB(A) / 733 RPMで47 dB(A) |
測定を始めた時点では、このPCはアイドルで54dB(A)ありました。しかし音源を切り分けると、ポンプの寄与は騒音の総量に対して0.03dB、つまり事実上ゼロです。
鳴っていたのは付属ファンで、原因はアイドル時でも1,788 RPMで回り続けていた回転数設定でした。製品の劣化ではありません。切り分けの手順はファンの回転数が下がらない原因を実測で特定する記事にまとめています。
仕様スペックと現在の入手性
DA360-ARGB-BKは、360mmラジエーターを採用したエントリー向けの簡易水冷です。公称仕様は次のとおりです。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| ラジエーター | 394 × 120 × 27 mm |
| ファン | 120mm × 3基 / 500〜1,800 RPM ± 10% |
| ファン最大風量 | 73.6 CFM |
| ファン最大静圧 | 2.43 mmH2O |
| ファン最大騒音 | 33.8 dB(A) |
| ポンプ | 最大3,000 RPM ± 10% / 最大28 dB(A) / Ceramic Bearing |
| チューブ長 | 400 mm |
| 対応ソケット | Intel LGA 115X / 1200 / 1700 / 1851 / 20XX、AMD AM4 / AM5 |
| 保証 | 1年 |
2026年9月時点で、このモデルはメーカーの製品ページで販売終了扱いになっています。製品ページのURLにも販売終了を示す区分が含まれており、現在の入手先は流通在庫に限られます。後継はDA360-V2-ARGB-BKです。
環境測定した構成と条件
簡易水冷の温度と騒音はケース構成で大きく変わるため、条件を先に記載します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| CPU | Ryzen 7 7800X3D(8コア16スレッド / TDP 120W / 上限89℃) |
| GPU | GeForce RTX 3060 |
| マザーボード | MSI MAG B650 TOMAHAWK WIFI |
| ケース | Antec DF700 FLUX(4mm強化ガラス側板 / メッシュフロント) |
| ラジエーター位置 | トップマウント |
| ケースファン | フロント3基 + 電源シュラウド上のリバースファン1基 + リア1基の計5基 |
| 騒音計 | 測定範囲30〜130dB / A特性 / 三脚固定 |
| 測定距離 | ケース前面から30cm・左斜め前・ケース中央高さ |
| 暗騒音 | 35 dB(A) |
冷却Cinebenchで76.0℃、上限まで13℃の余裕
温度はCinebenchの全コア負荷で測定しました。ファンを全開(1,788 RPM)で回した状態と、733 RPMまで絞った状態の2条件です。
| ファン回転数 | CPU安定 | CPU最高 | VR温度 | チップセット |
|---|---|---|---|---|
| 1,788 RPM | 76.0℃ | ― | 38.5℃ | 42.5℃ |
| 733 RPM | 78.0℃ | 79℃ | 39.0℃ | 42.5℃ |
8コアのRyzen 7 7800X3Dに対して、360mmラジエーターは明確に余裕があります。全開で76.0℃、上限89℃まで13℃残りました。
注目したいのは、回転数を41%まで落としても温度が2.0℃しか上がらない点です。付属ファンを1,788 RPMから733 RPMへ下げて78.0℃、最高値でも79℃にとどまりました。この構成では、ファンを全開で回す意味がほとんどありません。
安定時78.0℃に対して最高値が79℃と、振れ幅が1℃しかない点も特徴です。ラジエーターの熱容量が瞬間的な発熱を吸収しているため、温度が平坦に推移します。アイドル時のCPU温度は、どちらの回転数でも43℃で変わりませんでした。
電源まわりの温度も確認しています。VRMは38.5℃から39.0℃へ0.5℃、チップセットは42.5℃で変化なしでした。ファンを絞っても二次的な影響は出ていません。
騒音付属ファンは全開で54dB、絞れば47dB
騒音は距離30cm・サイドパネルを閉じた状態で測定しました。室内の暗騒音は35dB(A)です。
| 条件 | 騒音 |
|---|---|
| 暗騒音(電源オフ) | 35 dB(A) |
| ファン733 RPM | 47 dB(A) |
| ファン1,788 RPM | 54 dB(A) |
| PWM 100%固定 | 60 dB(A) |
付属ファンの公称最大騒音は1基あたり33.8dB(A)です。メーカーは測定距離を公表していないため直接の比較はできませんが、3基を全開で回すと実測で54dB(A)に達します。全開運用を前提にすると、静音構成には向きません。
一方で733 RPMまで絞れば47dB(A)まで下がり、しかも温度は2℃しか変わりません。このクラスの製品は、ファンを絞って使ってこそ本領が出ます。
なお公称の最低回転数は500 RPMです。400 RPMまで落とすこともできましたが、下限を下回る運用は起動不良のリスクがあるため、600〜750 RPM付近が実用的な範囲になります。
経年1年3ヶ月使ったポンプの状態
簡易水冷で最も気になるのはポンプの寿命です。ファンは交換できますが、ポンプが唸り出したら製品ごと交換するしかありません。
そこでケースファンとラジエーターファンをすべて止め、ポンプだけが動いている状態で測定しました。結果は距離15cmで40dB(A)、暗騒音を補正して38.3dB(A)です。これを30cmに換算すると約32dB(A)になります。
30cm換算の約32dB(A)は、この部屋の暗騒音35dB(A)を下回ります。つまり通常の使用距離では聞き取れません。アイドル時の騒音の総量に対してポンプが足している分を計算すると0.03dBで、測定上は無視できる大きさです。
ただしこの40dB(A)にはGPUファンの音も含まれているため、ポンプ単体はこれより静かということになります。また暗騒音との差が5dBしかなく測定精度には限界があるため、上限値として受け取ってください。
数値だけでは判断できない部分もあるため、耳でも確認しました。ケースファンとラジエーターファンを止めた状態でケースに近づいても、ポンプの音はほとんど気にならないレベルでした。「ジー」という高周波音も、気泡が回るような音も出ていません。
この確認には意味があります。騒音計のA特性は低い音を大きく減衰させるため、ポンプの回転に由来する低周波のうなりは数値に出にくいからです。測定値と体感の両方で問題が出なかったことで、1年3ヶ月時点のポンプは正常と判断できます。
回転数も3,252〜3,269 RPMで安定しており、公称の最大3,000 RPM±10%の範囲に収まっています。長時間の負荷をかけても回転が落ちたり不安定になったりする兆候は見られませんでした。

外観も確認しました。ラジエーターファンは羽根の縁に沿ってホコリが筋状に付着していますが、フィンを塞ぐほどの堆積ではありません。ARGB用の半透明な羽根はわずかに色味が沈んでいる程度で、割れや変形はありませんでした。

ポンプヘッドのARGBはリング全周が点灯しており、LEDの欠けや部分的な色ムラは確認できませんでした。1年3ヶ月でイルミネーションが劣化した様子はありません。
エントリークラスの製品で、1年3ヶ月使ってポンプがこの状態を保っているのは評価できる結果です。
設置トップに360mmが載るかはケース次第
360mmラジエーターは全長394mmあり、ケースとの相性がそのまま導入可否を決めます。今回の構成では、Antec DF700 FLUXのトップに問題なく搭載できました。

ケース側の仕様表でもトップは120/240/280/360mmに対応と記載されており、実機でもそのとおりに収まりました。ラジエーターの両端とケース枠の間には余裕があり、無理な押し込みは必要ありません。

AM5環境ではソケット標準のバックプレートを流用し、専用の固定金具をネジ2本で留める方式です。チューブの根元とポンプヘッドの周辺を確認しましたが、にじみや冷却液が乾いた白い結晶は見当たりませんでした。
ケースの対応表と実物が食い違う例は珍しくないため、ラジエーターの設置可否は購入前に実機写真や導入事例を確認しておくと安全です。チューブ長は400mmで、ミドルタワーのトップマウントであれば取り回しに余裕があります。
後継DA360 V2との違いは冷却力ではなく静音の置き場所
後継のDA360-V2-ARGB-BKは実機を所有していないため、以下は公称スペックの比較になります。
| 項目 | DA360-ARGB-BK | DA360-V2-ARGB-BK |
|---|---|---|
| ラジエーター | 394×120×27mm | 394×120×27mm |
| ポンプ回転数 | 最大3,000 RPM | 最大2,600 RPM |
| ポンプ騒音 | 最大28 dB(A) | 最大15 dB(A) |
| ファン回転数 | 500〜1,800 RPM | 400〜2,000 RPM |
| ファン最大風量 | 73.6 CFM | 80.74 CFM |
| ファン最大静圧 | 2.43 mmH2O | 2.91 mmH2O |
| ファン最大騒音 | 33.8 dB(A) | 36.5 dB(A) |
| チューブ長 | 400mm | 420mm |
| 保証 | 1年 | 1年 |
ラジエーターの寸法は同一です。変わったのはポンプとファンで、方向が逆になっています。ポンプは回転数を下げて騒音値を28dB(A)から15dB(A)へ半減させる一方、ファンは上限回転数と風量を引き上げて、最大騒音値を2.7dB上げています。
つまりV2の変更は冷却力の純増ではなく、静音の置き場所を移した設計変更と読むのが妥当です。今回の実測でポンプの寄与が0.03dBだったことを踏まえると、ポンプを静かにした効果が体感に出る場面は限られます。実用上効いてくるのは風量が7.14 CFM増えたファン側で、最低回転数が400 RPMまで下がった点も絞って使う前提なら有利です。
判断向く人と向かない人
- 8コアクラスのCPUをエントリー価格帯で冷やしたい人。Cinebench全コアで76.0℃、上限まで13℃の余裕があります。
- ファンカーブを自分で調整する人。733 RPMまで絞っても温度は2℃しか変わらず、47dB(A)まで下がります。
- ポンプの寿命を不安視している人。1年3ヶ月時点で暗騒音を下回る静けさを保っていました。
- イルミネーションを重視する人。ポンプヘッドはインフィニティミラー仕様です。
- 設定を変えずに使いたい人。初期設定のままだと付属ファンが高回転で回り続けます。
- 無音に近い環境を求める人。ファンを絞っても47dB(A)が下限で、それ以上はファン交換が必要です。
- 長期保証を重視する人。保証期間は1年で、5〜6年保証の製品と比べると短めです。
- 今から新品で買いたい人。すでに販売終了扱いで、入手先は流通在庫に限られます。
おすすめ今から360mm簡易水冷を選ぶなら
DA360-ARGB-BKはメーカーでは販売終了扱いですが、流通在庫を扱う店はまだあります。今回の検証で分かったのは、360mmクラスは8コアCPUに対して冷却力が余るということと、実用上の差はファンの低回転性能と保証期間に出るということです。実機そのものと、これから新規に組む場合の現行品を並べます。

※価格・在庫は変動します。最新の価格はAmazonの商品ページでご確認ください。
FAQよくある質問
まとめまとめ|絞って使えば良いエントリー水冷です
1年3ヶ月使ったDA360-ARGB-BKは、ポンプの静粛性という点で良好な状態を保っていました。30cm換算で約32dB(A)、室内の暗騒音を下回る水準です。回転数も安定しており、エントリークラスの製品として経年後の状態は評価できます。
冷却性能もCinebenchの全コア負荷で76.0℃、上限89℃まで13℃の余裕がありました。8コアのCPUに対して360mmラジエーターは明確にオーバースペックで、その余裕はファンを絞るための原資になります。
弱点は付属ファンです。全開で回すと54dB(A)に達し、静音構成にはなりません。ただし733 RPMまで絞れば47dB(A)で、温度は2.0℃しか上がりませんでした。この製品は絞って使うことを前提に評価すべきです。
すでに販売終了扱いで後継のV2に切り替わっていますが、V2の変更はポンプを静かにしてファンを風量側に振ったもので、冷却力の純増ではありません。流通在庫が大きく安いなら旧モデルにも合理性がありますが、そうでなければ保証とサポートの面でV2が無難です。
1年3ヶ月使ってポンプは暗騒音を下回る静けさを保ち、耳で近づいても気になりませんでした。Cinebench全コアで76.0℃、上限まで13℃の余裕がありました。エントリークラスの360mm簡易水冷として、経年後の状態は十分に合格です。ただし付属ファンは全開で54dB(A)に達するため、ファンカーブを自分で調整できる人向けの製品です。
出典:サイズ「CPS DA360 ARGB BLACK」製品ページ / サイズ「CPS DA360 V2 ARGB BK」製品ページ / Antec「DF700 FLUX」製品ページ / AMD「Ryzen 7 7800X3D」製品仕様
温度・騒音はいずれも上記の構成における実測値です。簡易水冷の温度と騒音はケース構成・室温・設置方法で変わるため、同じ数値が再現されるとは限りません。





