『ウィッチャー4』はUnreal Engine 5ゲームに見えない|CDPRとEpicが共同改良、PS5で60fps実現の中身
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CD PROJEKT RED共同CEOが明言、EpicとFastGeo Streaming等を共同改良
出典:VideoCardz(CDPR、ウィッチャー4は他のUnreal Engine 5ゲームのようには見えないと発言)、The Game Business(元インタビュー記事)、CD PROJEKT REDプレスセンター(2025年UE5技術デモ発表資料)、CD PROJEKT 2026年上半期(H1)決算資料(PDF)にもとづきます。
『ウィッチャー4』はUnreal Engine 5(UE5)への移行を公表して以来、「結局、他のUE5採用タイトルと同じような画作りになるのでは」という不安の声が根強くありました。UE5を採用した大型タイトルの中には、独特のぼやけた質感や、カクつき(スタッター)を指摘されるものが少なくないためです。
CD PROJEKT RED共同CEOのミハウ・ノワコフスキー氏は、2026年9月上旬、CD PROJEKT REDの2026年上半期(H1)決算発表と同時期に行われたインタビューで、この懸念に正面から答えました。エンジンを切り替えると発表した当時から「またUnrealっぽい見た目のゲームになるんだろう」と言われることは分かっていたとしたうえで、「そうはならない」と明言。Epic Gamesと共同で大規模オープンワールド向けにエンジンを改良してきた経緯を明かしています。
本記事では、この発言の裏付けとなる具体的な技術要素——FastGeo Streaming・Nanite Foliage・Unreal Animation Framework——を、2025年に公開されたUE5技術デモの内容に沿って整理します。そのうえで、Epicとの改良の一部がUnreal Engine本体にも反映されている点、2028年発売目標のPC版に何を期待できるかまで踏み込んで解説します。
目次
発言ノワコフスキー共同CEOが「他のUE5ゲームには見えない」と明言
CD PROJEKT RED共同CEOのミハウ・ノワコフスキー氏は、2026年9月上旬のインタビューの中で、『ウィッチャー4』の見た目について踏み込んだ発言をしています。
「エンジンを切り替えると発表したとき、『ああ、またUnrealっぽい見た目のゲームになるんだろう』と言われることは分かっていました。でも、そうはなりません。私たちは間違いなく差別化できます」(ミハウ・ノワコフスキー共同CEO)
ノワコフスキー氏はさらに、使用しているゲームエンジンそのものは、最終的にプレイヤーにとって「無関係」になるという見方も示しています。
「プレイヤーは、これはこれまでどおりCDPRのゲームだと感じるはずです。裏側で使われている技術は、純粋なファンの視点から見ればもはや無関係になります」(ミハウ・ノワコフスキー共同CEO)
『ウィッチャー4』は、独自エンジンのREDengineから一新してUE5へ完全移行した作品です。UE5を採用したオープンワールド作品では、独特の質感の均一化やシェーダーコンパイルによるカクつきがしばしば話題になっており、今回の発言はそうした懸念に対する明確な回答という位置づけです。
技術FastGeo Streaming・Nanite Foliage・Unreal Animation Frameworkの中身
ノワコフスキー氏の発言を裏付ける材料としてたびたび参照されるのが、2025年に「State of Unreal 2025」でCD PROJEKT REDとEpic Gamesが共同発表したUE5技術デモです。劇中に登場する新エリア「Kovir」を舞台に、標準版のPlayStation 5上で60フレーム毎秒(fps)で動作する様子が披露されました。
このデモで使われている要素技術は、いずれもEpicとの協業で作り込まれたものです。
- FastGeo Streaming — Epic Gamesと共同開発した機能。広大な環境を、視覚的な破綻やパフォーマンスの妥協なしに素早く滑らかに読み込みます
- Nanite Foliage — UE5のNanite仮想ジオメトリを森・草原の植生に適用し、密度の高いディテールを保ちながらパフォーマンスを維持します
- Unreal Animation Framework(UAF) — 人が多く行き交う賑やかなシーンでも、現実的なキャラクターの動きを実現するアニメーション基盤です
- Mass / ML Deformer / MetaHuman — 大規模な群衆制御(Mass)、筋肉レベルの自然なキャラクターアニメーション(ML Deformer)、表情や質感を作り込む顔面技術(MetaHuman)も組み合わされています
CD PROJEKT REDはこのデモを一貫して「tech demo(技術デモ)」と位置づけており、製品版のゲームプレイ映像として発表したものではありません。ここで示された60fpsという数値や描画内容は、あくまでエンジンと要素技術のポテンシャルを示すものであり、2028年発売目標の製品版でそのまま再現される保証はない点に注意してください。
背景Epicとの共同改良——R&D段階の「まだ足りない」という結論から始まった
CD PROJEKT REDとEpic Gamesの戦略的パートナーシップは2022年に発表されており、今回の技術的な作り込みはその延長線上にあります。ノワコフスキー氏によると、UE5への移行を検討していたR&D(研究開発)段階で、社内では『ウィッチャー4』が必要とする大規模オープンワールドの要件を「UE5はまだ満たせていない」という結論に至ったといいます。それでも移行に踏み切った理由について、同氏は「Epicと一緒なら実現できると考えた」という趣旨で説明しています。
その後の協業では、CD PROJEKT REDがUnreal Engine内部の設計にまで深く関与できる体制が組まれました。ノワコフスキー氏は「Epicは私たちに、Unreal Engineの“ブラックボックス”の中まで踏み込むことを許してくれました。Epic自身を除けば、それを実際にやっている企業は今のところ私たちだけです」とも述べたと伝えられています。
この協業の成果は、CD PROJEKT RED側だけにとどまりません。2025年のUE5技術デモ発表時点でCD PROJEKT REDは、Epicと共同開発した新ツールや強化機能の一部を、一般のUnreal Engine開発者にも公開していく方針を明らかにしています。『ウィッチャー4』のために磨き上げられた技術の一部が、Unreal Engine本体の機能として一般化され、他のスタジオが手がけるUE5タイトル全般の底上げにつながる可能性があるという点は、技術的に興味深いポイントです。
判断2028年目標のPC版に、今の時点で何を期待できるか
『ウィッチャー4』の発売は、CD PROJEKT RED自身が2028年を目標として掲げている段階です。今回の発言だけを根拠に、PC版のグラフィック品質や必要スペックを正確に見積もることはできません。それでも、現時点でわかっている情報から、期待できる点とまだわからない点を整理しておく価値はあります。
- 単なるUE5標準機能ではなく、Epicとの共同改良を経た独自基盤が使われる
- 2025年の技術デモでは、標準版PS5という限られたハードウェアでも60fps動作が確認されている
- PC版にはすでにRTX Mega Geometryの採用が発表されており、パストレーシング込みの森林描画が想定されている
- 500人超の開発体制と2028年という発売目標から、作り込みの時間は十分に確保されている
- PC版の公式必要スペックは、本記事執筆時点で一切発表されていない
- 今回の発言はあくまで開発陣の見解であり、実機での見た目の評価は発売後まで判断できない
- 技術デモの60fpsは製品版の動作を保証するものではない
- 2028年はまだ先で、その間にPCゲーマー側のGPU環境も変わりうる
PC版のグラフィック要件について現時点で最も具体的な手がかりは、RTX Mega Geometryの採用発表です。GDC 2026で公開されたデモでは、2兆トライアングル超の森をリアルタイムパストレーシングで描画しており、対応GPU世代ごとの目安は既存記事で詳しく解説しています。今回のUE5改良の話とあわせて考えると、『ウィッチャー4』のPC版は、他のUE5大型タイトルと同等かそれ以上のGPU負荷になる可能性が高いと見ておくのが妥当です。公式スペックが発表され次第、本記事もあわせて更新します。
FAQよくある質問
総括まとめ|UE5採用でも「CDPRのゲーム」であり続けるための改良
CD PROJEKT RED共同CEOのミハウ・ノワコフスキー氏は、『ウィッチャー4』がUnreal Engine 5を採用しても、他のUE5タイトルのような見た目にはならないと明言しました。エンジンを切り替えると発表した当初から「またUnrealっぽいゲームになるのでは」という声があったことを認めたうえで、Epic Gamesと共同で大規模オープンワールド向けにエンジンを改良してきたと説明しています。
この発言を裏付ける具体的な材料が、2025年公開のUE5技術デモです。FastGeo Streaming・Nanite Foliage・Unreal Animation Frameworkといった要素技術を組み合わせ、標準版のPlayStation 5上で60fps動作を実証しています。R&D段階では要件を「UE5はまだ満たせていない」という結論から、Epicとの深い協業に踏み切った経緯もうかがえます。
PCゲーマーにとって重要なのは、公式の必要スペックが本記事執筆時点でまだ発表されていないという点です。すでに採用が発表されているRTX Mega Geometryを含め、現時点でわかっている技術要素から判断すると、他のUE5大型タイトルと同等かそれ以上のGPU負荷になる可能性を見込んでおくのが妥当です。発売は2028年目標とまだ先ですが、公式スペックの発表など続報が入り次第、本記事もあわせて更新します。



