Steam FrameがLinux 7.4の本流カーネルに対応|SteamOS以外で使える?できること・足りないこと【2026年10月】
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入ったのは「土台」だけで、VRとして動く保証ではない
Steam FrameはSteamOSで動くのに、なぜLinuxカーネル本体への対応が話題になるのでしょうか。Valveが出荷時に載せているのは自社で手を加えたカーネルで、今回はその機器設定が、世界中のLinuxの共通の本流(メインライン)にも入ったという話です。
取り込まれたのはLinux 7.4向けで、作業したのはLinaro(Armの開発支援会社)のNeil Armstrong氏です。取り込まれた範囲は、メモリ配置、電源まわり、UFSストレージ、USB、Wi-Fi 7とBluetooth、SDカードスロットといった基本部分に限られます。ディスプレイやトラッキングなどVRとして使う部分は、説明に挙がっていません。
購入を考えている人は、いままでどおりSteamOSで使うのが前提です。何も変わりません。他のLinuxを入れたい人も、今回の取り込みだけでは足りず、Steamクライアントやエミュレーターなど、カーネルより上の層が別に必要です。

目次
要点何がLinux本流に入ったのか
Device Treeは、機器ごとに「どの部品がどこにつながっているか」を書いた設定ファイルです。Steam Frame(開発コード名Deckard)の初期版が、10月25日(日)にLinux 7.4向けのSoC(システム全体を1つにしたチップ)関連の変更として取り込まれました。完全版ではなく、最も作り込まれているのは今もValveのSteamOS用カーネルです。
Steam Frameは、Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3(カーネル上の名前はSM8650)を積んだVRヘッドセットです。Armの機器は、チップを載せただけではLinuxが部品の位置を判断できません。そこでDevice Treeに、メモリの予約領域や電源の配線などを書いておきます。
取り込みの説明には、次の範囲が挙がっています。
- メモリの予約領域、電源の供給回路(レギュレーター)、ボタン入力、電源管理チップの機能
- 電源管理チップのADC(電圧などを読み取る回路)
- UFSストレージ(本体の内蔵ストレージ)
- USBガジェット機能(ヘッドセット側をUSB機器として接続する機能)
- WCN7850によるWi-Fi 7とBluetooth
- I2Cと基本的な周辺機器
- SDカードスロット
起動の条件も1つ書かれています。ブートローダー(起動時に最初に動くプログラム)はLinuxをEL2という特権レベルで始めるため、EL1やDSP関連の記述を外し、予約メモリの割り当てを定義しています。他のLinuxが載るときは、この前提に合わせる必要があります。
背景SteamOSのカーネルと何が違うのか
Steam FrameはValveが9月に出荷し、これまでもSteamOSのカーネルは対応していました。これはValveが自社用に持つ変更入りのカーネルで、Linuxの本流とは別系統です。出荷した機器ではこちらが正式な動作環境で、今後も最も作り込まれた対応はここにあります。
本流に入ると、Linuxのどのディストリビューションも、同じカーネルのソースからSteam Frame向けの起動を作れます。機器ごとの独自パッチを抱えずに済むので、他のLinux向けの対応が現実的になります。他のディストリビューションが対応しやすくなる点が、今回の取り込みの意味です。
ただし、本流入りは「Linuxが起動する土台ができた」だけです。Steam Frameで遊ぶには、その上にさらに次の層が要ります。
カーネルより上の層がSteam Frameでは重い
Steam FrameはArm64のチップで、Windows向けのPCゲームの多くはx86です。SteamOSでは、FEX(x86をArmで動かすエミュレーター)とProtonを組み合わせて動かしています。仕組みはFEX 2608の解説で書いたとおりです。
一般のArm Linux機でSteamを動かす部分も、公式の保証はありません。Valve社員はGitHubで「Steam for Linux is not currently supported on ARM based hardware」と答えています。有志の移植はありますが、カーネルが動いても、Steamが使えるかは別の問題です。起動しないときの確認点はSteam Arm Linuxの解説にまとめています。
Steam Frame向けのSteamOSをAndroid携帯機へ移した有志の移植も出ていますが、Valveの保証外です。経緯はSteamOS ARMの移植の記事が詳しいです。
影響購入前の判断とSteamOS以外で使う条件
- 他のLinuxがSteam Frameに対応するための共通の土台ができた
- Valveの依頼で作られたパッチなので、機器の設定としてメインラインに載った
- SteamOSで使う人は、そのまま使い続けられる
- 取り込み範囲は初期版で、VRとして使う機能は説明に挙がっていない
- Valveが他のOSの導入手順を案内したわけではない
- Steamクライアント、FEX、Protonなどは別に必要
SteamOSのまま使う人
何もする必要はありません。今回の取り込みはSteamOS側のカーネルを置き換えるものではなく、更新の内容も変わりません。国内での購入や価格はSteam Frameの日本価格の記事で整理しています。
他のLinuxを入れたい人
現時点では、実験として試す立場になります。カーネルの下地が本流にあるので、機器ごとの独自パッチを足さずに起動を試せる土台はあります。一方で、ディスプレイ、トラッキング、カメラなど、VRとして使う部分は説明に挙がっておらず、画面に映ってヘッドセットとして成立するかは未確認です。Valveの保証もありません。
Windows PCのVRとの違い
Steam FrameはPCに接続して遊ぶ使い方と、本体だけで遊ぶ使い方があります。PCにつなぐ使い方では、ゲームを動かすのはWindows PCで、OSの選択肢は今回の話と関係ありません。本体だけで動かす場合は、Armで動くSteamOS上のゲームになります。PCから映像を送る使い方はデスクトップPCを母艦にしたリモートプレイの解説で整理しています。
FAQよくある質問
まとめまとめ|他のLinuxの下地はできたが、実用は今もSteamOS
Steam FrameのDevice TreeはLinux 7.4向けに取り込まれ、他のLinuxが対応するための共通の土台ができました。ただし範囲はメモリ、電源、ストレージ、Wi-Fi 7、Bluetooth、USB、SDカードなどの初期版です。VRとして遊ぶなら、いまもSteamOSが前提で、Steamクライアントやx86ゲームの動作もカーネルとは別の層で決まります。
SteamOSで使うなら変化なし。他のLinuxは「載せられる下地ができた」段階で、VRとして遊べる保証はまだありません。
出典:Phoronix「Steam Frame VR Headset Sees Mainline Support With Linux 7.4」、TechPowerUp「Steam Frame Gets Mainline Linux Support, Signalling SteamOS Alternatives for VR Gaming」、GitHub「ValveSoftware/steam-for-linux #13689」


