『No Man’s Sky』発売10周年|大型アップデートを有料DLCにしない理由をSean Murray氏が語る
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大型アップデートを有料DLCにしない理由をSean Murray氏が語る
出典:GamesRadar+「Sean Murray doesn’t care how much money No Man’s Sky DLC would’ve made」、同「if people keep playing it, I could work on this forever」、同「there is probably some end」、同「No Man’s Sky Cosmos is the next big update」、Steam公式ストアページ、Hello Games公式「No Man’s Sky: Remnant」、同「No Man’s Sky: Xeno Arena」、同「No Man’s Sky: The Swarm」、VGC「I am truly grateful」(Sean Murray氏の10周年書簡についての報道)にもとづきます。レビュー件数等の数値は2026年8月13日に確認したものです。
『No Man’s Sky』が2026年8月で発売10周年を迎えました。10年間にわたってゲームの規模を拡大し続けてきたHello Gamesですが、今後についてもアップデートを無料で提供し続ける方針です。Hello Games共同創設者のSean Murray氏はGamesRadar+のインタビューで、『No Man’s Sky』のアップデートは今後も無料であり続けると明言しています。
ここだけを見ると「長年遊んでいるプレイヤーへのサービス」という話に見えるかもしれません。しかしMurray氏の説明を詳しく見ていくと、無料アップデートを続ける理由はそれだけではないことが分かります。有料DLCによってプレイヤーを分けないことが、過去に追加したシステムをさらに発展させる本作独特の開発スタイルにもつながっています。
この記事では、なぜ有料DLCにしないのか、10年間この方針を続けてこられた背景、そして次に控えるアップデートまで、GamesRadar+のインタビューをもとに整理します。
目次
要点今後もアップデートは無料のまま
2016年8月12日発売のSteam公式ページには、発売以来のすべての大型アップデートをこのタイトル1本で遊べることが明記されています。Sean Murray氏は10周年を迎えたいまも、この方針を変える予定はないとGamesRadar+に語っています。
『No Man’s Sky』はPCやPS4向けとして発売され、その後10年にわたりアップデートを重ねてきました。Steam公式ページに掲載されている歴代の大型アップデート名を数えると、Foundation・Pathfinder・Atlas Rises・NEXT・The Abyss・Visions・BEYOND・Synthesis・Living Ship・Exo Mech・Desolation・ORIGINS・Next Generation・Companions・Expeditions・Prisms・Frontiers・Sentinel・Outlaws・Endurance・Waypoint・Fractal・Interceptor・Echoes・Omega・Orbital・Worlds Part I・Worlds Part II・Relics・Beacon・VOYAGERS・Remnant・Xeno Arena・The Swarmの34件です。一度ゲームを購入したプレイヤーが、こうした大型コンテンツを追加料金なしで遊び続けられる形です。
理由なぜ有料DLCにしないのか|「全員が遊べる」ことを重視
これだけの規模のアップデートを10年間無料で続けているとなると、「有料DLCとして販売すればもっと収益を得られたのでは」と考える人もいるでしょう。Murray氏自身もGamesRadar+のインタビューで、その可能性を否定していません。
「誰かに呼び出されて、DLCやアプリ内課金をやっていたらもっと稼げていたはずだというパワーポイントを見せられるかもしれない」とMurray氏は語ります。「それは事実かもしれない。でも私はそのパワーポイントを絶対に見たくない」。
それでも無料を維持する理由として挙げているのが、開発したものをできる限りすべてのプレイヤーに体験してもらいたいという考え方です。「自分が作っているものを、すべてのプレイヤーが体験することになると分かって作業するのが、本当に楽しい。チームもそこにやりがいを感じていると思う」とMurray氏は説明しています。
構造有料DLCにすると「次のアップデート」を作りにくくなる
ここからが『No Man’s Sky』の開発スタイルを理解するうえで興味深いところです。Murray氏は、アップデートで新機能を追加するとき、その機能だけを完成させて終わりとは考えていないと説明しています。数回先のアップデートでその機能をどう発展させられるのか、その上にさらに何を積み重ねられるのかまで考えて開発しているといいます。
たとえばポケモン風の生物対戦を導入したXeno Arenaのようなアップデートを追加するとき、Hello Gamesは「2、3回先のアップデートでこの機能がどう見えるか、その上に何を積み重ねられるか」を常に考えているとMurray氏は語ります。
「それはオーディエンスを分断していたら成立しない」とMurray氏は語ります。「一部のプレイヤーだけがこのアップデートを持っていて、別のプレイヤーは別のアップデートを持っている」という状態では、Hello Gamesはここまで踏み込んでコミットできなかっただろうとしています。
つまり『No Man’s Sky』にとって無料アップデートは、単なる価格戦略ではありません。過去に追加した機能も、次のアップデートで再び前提として使える環境を維持するための開発戦略でもあると考えられます。Murray氏は「それが私たちのモチベーションの大きな部分で、朝ベッドから出る理由になっている。だから商業的に最も効率のいい方法でなくても構わない。10年経ってもまだこの仕事にワクワクできることの方が大事だと思う」と語っています。
直近のアップデートを見ても、この積み重ねの実例は分かりやすい形で表れています。2026年2月のRemnantでは、周囲の物体を磁力で操作できる新装備「Gravitino Coil」が追加されました。4月のXeno Arenaでは、惑星上の野生生物を捕獲して育成し、ターン制のバトルで対戦させられる要素が加わっています。5月27日のThe Swarmでは、惑星の上空に浮かぶ巨大な敵艦「Hive of Glass」に挑む大規模戦闘と、プレイヤーが参加できる3つのコミュニティ派閥が実装されました。これらもすべて追加料金なしで、既存プレイヤーがそのまま遊べる内容です。
体制Hello Gamesは今も12〜20人の小規模チーム
無料アップデートを支えている要因のひとつが、Hello Gamesの規模です。Murray氏によると、開発初期のチームは平均6人ほどで、発売時に15人に増えたときは「とても大きく感じた」と振り返っています。現在は新作『Light No Fire』の開発なども並行して進むなか、『No Man’s Sky』には常時12〜20人ほどが関わっているといいます。
「私たちはとても小さなチームなので、その点では幸運だと思う」とMurray氏は語ります。「業界の外で起きているような騒がしさから、ある程度守られている」。上場企業のような株主からの商業的なプレッシャーを受けにくい構造が、無料での長期アップデートを可能にしている面もありそうです。
今後次のアップデート「Cosmos」、そして「いつか終わりは来る」
Hello Gamesは現在、『No Man’s Sky』とは別に新作『Light No Fire』を開発しています。新作の開発が本格化すれば、『No Man’s Sky』の更新が縮小していくのではないかと考えるのは自然でしょう。しかし現在確認できる発言はむしろ逆です。
「みんなが遊び続けてくれるなら、私はこの仕事を永遠に続けられる。大好きだから」とMurray氏はGamesRadar+に語っています。GamesRadar+によれば、Hello Gamesが次に進めている大型アップデートは「Cosmos」という名前で呼ばれているとのことです。惑星の内部より宇宙側の要素に重点が置かれるのではないかとGamesRadar+の記者は推測していますが、記事の時点では詳細はまだ明らかになっていません。
一方でMurray氏は、この方針が永遠に続くとは断言していません。「おそらくいつか終わりの時期はあると思う」と認めつつ、「でも5年前の自分に聞いたら、もうとっくに終わっていると思っていたはずだ」とも語っています。Voyagersアップデートを完成させたとき、チームが「もう十分やり切った」という空気になると思いきや、実際には「これも、あれも追加できる」と盛り上がっていたというエピソードも紹介しています。
Murray氏は、いつか本格的な開発が止まる日が来たとしても、それで完全に終わりというわけではないとも語っています。開発30年を迎えた『Quake』にMachineGamesが新しいレベルを追加したことを例に挙げ、「30年前のゲームに新しいレベルを出す。それを見て『何の意味があるんだ』と思う人もいるだろうけど、私にとってはすごく素敵で嬉しいことだ」と述べています。
評価発売当初から評価も大きく変わった
『No Man’s Sky』といえば、発売当初の評価を覚えている人も多いでしょう。2016年の発売時には、発売前にプレイヤーが期待していた内容と実際のゲームとのギャップなどから厳しい評価を受けました。しかし、それから10年間にわたってゲーム内容が追加され続けています。
2026年8月13日にSteamで確認したところ、全言語の購入者レビュー41万件超のうち85%が好評で「非常に好評」の評価になっています。10年前の発売時点からゲームそのものが大きく変化しただけでなく、プレイヤーからの評価も長い時間をかけて変化してきたタイトルといえます。
一方でMurray氏は、10周年にあたってコミュニティ向けに公開した書簡の中で、本作の宇宙の規模の大きさにも触れています。10年間にわたり多くのプレイヤーが探索を続けてきたにもかかわらず、これまでに発見された惑星は全体の1%にも満たないとのことです。あわせて2026年は、発売から10年を経てなお、ゲーム発売以来もっとも多くのプレイヤーが遊んだ年になったとも明かしています。
Q&Aよくある質問
総括まとめ|無料であることが、10年続けるための仕組みそのもの
『No Man’s Sky』の無料アップデートが注目されると、どうしても「10年間無料なのは太っ腹」という話になりがちです。もちろんプレイヤー側から見れば、それだけでも大きなメリットがあります。しかし今回のSean Murray氏の発言から見えてくるのは、もう少し違う考え方です。
Hello Gamesにとって無料アップデートとは、プレイヤーへの還元であると同時に、ゲームそのものを10年間一つにつないでおく仕組みでもあります。過去のアップデートで追加した機能を、次のアップデートでさらに広げる。その機能を特定のDLC購入者だけのものにしないことで、次の新要素を全プレイヤー共通の土台として作れる。この積み重ねが続いた結果、2016年版と2026年版の『No Man’s Sky』は、同じタイトルでありながら内容の規模が大きく異なるゲームになりました。
10周年を迎えた2026年も更新は終了せず、次のアップデート「Cosmos」の名前だけは明らかになっています。発売10周年はゴールというより、まだ長い旅の途中と考えた方がよさそうです。



