国内PCの平均価格が12万3,095円で上期過去最高|出荷23%減でも安くならない理由
本記事にはアフィリエイト広告(Amazon・楽天市場等)のリンクが含まれています。
出荷23%減でも安くならない理由
電子情報技術産業協会(JEITA)の国内出荷統計をもとに算出した2026年上期のPC平均出荷単価は12万3,095円で、暦年上期として過去最高を記録しました。ただしこの数字は店頭での平均販売価格ではなく、参加8社の出荷金額を出荷台数で割った平均出荷単価です。出荷台数が23.1%も減っているのに価格が下がらない理由と、読み違えやすいポイントを整理します。
国内で出荷されるパソコンの平均単価が、過去最高の水準に達しました。JEITAの国内出荷統計をもとに算出した2026年上期(1月から6月)のPC平均出荷単価は12万3,095円で、現在の調査方式へ移行した2007年度以降、暦年上期として最も高い金額になっています。前年同期比10.7%、2021年上期の10万3,306円と比べると19.1%の上昇で、5年間でPC1台あたりの平均単価が約2万円高くなった計算です。
一方で、2026年度第1四半期(4月から6月)の出荷台数は前年同期比23.1%減の202万3,000台でした。需要が大幅に減っているにもかかわらず価格は下がるどころか高止まりしており、メモリやSSDを中心とした部品価格の上昇、PCメーカーの価格改定、AI PCなど高価格モデルの増加が重なったことで、「売れなくなれば安くなる」というこれまでの値下がりパターンが働きにくくなっています。
この記事では、12万3,095円という数字が店頭での平均販売価格ではなく、JEITA参加8社の出荷金額を出荷台数で割った平均出荷単価であるという前提を最初に整理したうえで、月別の価格推移、値上げの背景、出荷減少の主因、そして「ゲーミングPCがそのまま10.7%値上がりした」と読み違えないための注意点まで、公式統計と業界レポートに基づいて確認します。
統計の読み方12万3,095円は店頭での平均販売価格ではない
最初に注意したいのは、12万3,095円という数字の意味です。
これは、家電量販店や通販サイトで販売されたPCの価格を集計したものではありません。JEITA参加企業の出荷金額を出荷台数で割って算出した、1台あたりの平均出荷単価です。
2026年度のJEITA自主統計には、次の8社が参加しています。
- Apple Japan
- NECパーソナルコンピュータ
- セイコーエプソン
- Dynabook
- パナソニック コネクト
- 富士通クライアントコンピューティング
- ユニットコム
- レノボ・ジャパン
国内でPCを販売する全メーカーを網羅した統計ではなく、一般向け、法人向け、教育向けの製品も合算されています。ゲーミングPCだけの平均価格が12万3,095円になったという意味ではありません。
店頭ではセールやポイント還元、カスタマイズ、流通在庫などによって販売価格が変わるため、実際に消費者が支払う平均額とも一致しません。
それでも、同じ調査方法による過去の実績と比較すれば、PCメーカーから国内市場へ出荷される製品の価格水準が上がっていることは読み取れます。
店頭での実売価格の平均ではなく、参加8社の出荷金額を出荷台数で割った数字という点を混同しないようにしてください。一般向け・法人向け・教育向けPCが合算されており、ゲーミングPC単独の集計ではありません。
出典:JEITA「パーソナルコンピュータ国内出荷実績」統計トップ(jeita.or.jp)
月次推移2026年4月には平均13万9,821円まで上昇
2026年上期の平均出荷単価を月別に見ると、4月以降の上昇が目立ちます。
| 月 | 出荷台数 | 出荷金額 | 平均出荷単価 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 57万9,000台 | 781億円 | 約13万4,888円 |
| 2月 | 60万4,000台 | 766億円 | 約12万6,821円 |
| 3月 | 138万8,000台 | 1,436億円 | 約10万3,458円 |
| 4月 | 56万台 | 783億円 | 約13万9,821円 |
| 5月 | 50万1,000台 | 686億円 | 約13万6,926円 |
| 6月 | 約96万2,000台 | 約1,203億円 | 約12万5,052円 |
出典:JEITA月次統計をもとに算出。四捨五入のため実際の平均単価とわずかに異なる場合があります(jeita.or.jp/2026年1月実績ほか1〜6月各月ページ)
4月の平均出荷単価は13万9,821円となり、3月の10万3,458円から約35%上昇しました。5月も13万6,926円と、14万円に近い水準を維持しています。
ただし、3月から4月への35%上昇が、そのまま「同じPCが1カ月で35%値上がりした」ことを意味するわけではありません。
3月には、GIGAスクール構想で整備される1台5万5,000円前後の教育用端末が多く含まれ、全体の平均単価を押し下げていました。4月に教育向けの低価格端末が減ったことで、平均が大きく上がった面もあります。ただし、GIGAスクール向け端末が基本的に含まれない「ノート型・その他」だけで比較しても、平均単価は3月の11万865円から4月には14万8,473円へ34%上昇しており、製品構成の変化だけでなくPCそのものの価格上昇も同時に起きていると考えられます。
価格改定4月からPCメーカーの値上げが本格化
平均単価が急上昇した理由の一つが、PCメーカーによる価格改定です。
部品価格が上がり始めた2026年1月以降も、法人需要が集中する年度末までは価格を維持し、2026年4月の新年度から値上げしたメーカーが多かったとみられます。
取材によれば、あるメーカーが4月に数%から30%、平均で約20%の値上げを実施しました。特にメモリやSSDを多く搭載する上位モデルほど、値上げ率が高かったとされています。
2025年末に国内PCメーカー13社を対象に行われた調査でも、値上げを実施済み、または2026年1月から3月までに実施予定と回答した企業が多く、部品コストや為替の変動が価格へ影響するとの見方が示されていました。
価格改定前に仕入れた旧モデルはセール価格で残ることがありますが、新製品や新しい部品構成へ切り替わるほど、上昇したコストが販売価格へ反映されやすくなります。
部品高騰メモリとSSDの高騰がPC価格を押し上げる
2026年のPC価格上昇で、特に大きな要因となっているのがDRAMとNANDフラッシュです。
DRAMはPCのメインメモリ、NANDフラッシュはSSDに使用されます。AIサーバーやデータセンター向けの需要が拡大するなか、メモリメーカーがサーバー関連製品を優先し、PCやスマートフォン向け部品の供給が厳しくなっています。
業界調査会社の予測では、2026年第1四半期のPC向けDRAM契約価格が前四半期比で少なくとも2倍になるとされていました。第2四半期も一般的なDRAMの契約価格は58〜63%、NANDフラッシュは70〜75%上昇すると予測されています。
契約価格の上昇率が、そのままPC本体の値上げ率になるわけではありません。PC本体の価格にはCPU、GPU、ディスプレイ、筐体、物流、サポートなど、さまざまなコストが含まれるためです。
それでも、メモリ32GBやSSD 1TB以上を標準搭載するPCでは、部品価格上昇の影響が大きくなります。
ゲーミングPCは一般的な事務用PCよりメモリやSSDの搭載量が多く、グラフィックボードも必要になるため、部品価格の変動を受けやすい構成です。
出典:業界調査会社によるDRAM/NANDフラッシュ価格予測(trendforce.com・2026年2月公表)
AI PCAI PCの増加も平均単価を引き上げ
PC価格の上昇は、部品不足だけが原因ではありません。
AI PCの普及と部材価格の上昇が、平均単価に反映されているとの見方もあります。NPUを内蔵した新しいCPU、大容量メモリ、高性能なカメラやディスプレイを搭載するAI PCは、従来の低価格ノートPCより高くなりやすい構成です。
企業では、生成AIの利用、Web会議、セキュリティ対策を考慮し、メモリ16GB以上を標準構成とする動きも進んでいます。
調査会社の分析でも、今後はAI PCやメモリ16GB以上が標準仕様になり、性能や消費電力効率を含めた総合的な投資判断が必要になるとされています。
低価格PCが消えたというよりも、市場で出荷される製品が、メモリ8GBや小容量SSDを搭載した低価格モデルから、より高い仕様へ移行していることも平均単価を押し上げています。
出荷減出荷台数は前年同期比23.1%減
価格が過去最高となる一方、2026年度第1四半期(4月から6月)のPC出荷台数は202万3,000台でした。
前年同期の262万9,000台から23.1%減少しています。出荷金額も前年同期比4.7%減の2,672億円となりました。
内訳は次のとおりです。
| 分類 | 2026年4〜6月の出荷台数 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| PC全体 | 202万3,000台 | 23.1%減 |
| ノートPC | 181万9,000台 | 21.5%減 |
| モバイルノート | 101万2,000台 | 33.7%減 |
| ノート型・その他 | 80万7,000台 | 2.1%増 |
| デスクトップPC | 20万4,000台 | 34.5%減 |
| デスクトップ単体 | 16万9,000台 | 37.7%減 |
出典:JEITA「2026年度第1四半期 パーソナルコンピュータ国内出荷実績」(jeita.or.jp)
特に減少率が大きいのは、GIGAスクール向け端末を含むモバイルノートと、単体型のデスクトップPCです。
ただし、出荷減少のすべてを値上げの影響と考えるのは適切ではありません。
反動出荷減の主因は2025年の特需の反動
2025年度には、2つの大きなPC買い替え需要が重なりました。
一つは、2025年10月14日に終了したWindows 10の通常サポートに伴う企業・個人の買い替えです。もう一つは、学校用端末を更新するGIGAスクール構想第2期です。
2025年度の国内PC出荷台数は前年度比32.6%増の1,805万9,000台となり、1995年の統計開始以来、過去最大を記録したとされています。GIGAスクール向けだけで約400万台が出荷されたとみられます。
2026年度に出荷台数が減っているのは、市場が突然4分の3に縮小したというより、買い替え需要が2025年度へ集中した反動が大きいといえます。
実際、2026年度第1四半期の出荷台数は前年同期を23.1%下回ったものの、2024年度第1四半期と比べると25.7%多くなっています。2025年度を除けば、2020年度以降で最も多い水準です。
現時点では、PC需要そのものが極端に冷え込んだとは言い切れません。
出典:国内PC出荷実績と2026年度予測に関する調査(m2ri.jp)
金額比較台数ほど出荷金額が減っていない
2026年度第1四半期は出荷台数が23.1%減少しましたが、出荷金額の減少率は4.7%にとどまりました。
ノートPCでは、出荷台数が21.5%減少したのに対し、出荷金額は2.2%減にとどまっています。ノート型・その他に限ると、台数は2.1%増、金額は14.5%増となっています。
高価格モデルの比率が上がり、1台あたりの金額が増えたことで、台数減少による影響を補っている格好です。
メーカー側から見ると、販売台数が減っても高単価モデルが売れれば売上金額を維持しやすくなります。一方、消費者にとっては、購入できる低価格モデルの選択肢が減る可能性があります。
誤読注意ゲーミングPCも同じ割合で値上がりしたわけではない
今回の統計だけを見て、「ゲーミングPCが10.7%値上がりした」と判断することはできません。
- 2026年上期の国内PC平均出荷単価は12万3,095円で、暦年上期として過去最高です。
- 前年同期比10.7%、2021年上期比19.1%の上昇と、複数年にわたり単価が切り上がっています。
- メモリ・SSDなどの部品価格上昇、メーカーの価格改定、AI PC比率の上昇という複数要因が同時に効いています。
- 12万3,095円は店頭での平均販売価格そのものではありません。メーカーの平均出荷単価です。
- ゲーミングPCだけを独立集計した数字ではありません。法人向け・Mac・教育向け端末なども含みます。
- 「ゲーミングPCも同じ10.7%値上がりした」という一律の断定はできません。
- 3月から4月への35%上昇には、教育向け端末の構成比変化を含む見かけ上の変動も混ざっています。
JEITAの統計はゲーミングPCを独立したカテゴリーとして集計しておらず、法人向けPC、Mac、モバイルノート、教育向け端末なども含みます。また、国内の主要BTOメーカーや海外メーカーのすべてが調査へ参加しているわけではありません。
ただし、ゲーミングPCに使われるメモリ、SSD、CPU、GPUの調達価格が上昇すれば、完成品にも影響が及びます。影響は単純な販売価格の上昇だけではありません。
- 同じ価格のままメモリ容量が減る
- SSDが1TBから500GBへ変更される
- 電源やマザーボードのグレードが下がる
- 上位CPUを搭載した構成が減る
- カスタマイズ料金が高くなる
- セール対象モデルが限定される
表面上の価格が変わっていなくても、構成内容を含めると実質的に値上がりしている場合があります。過去のモデルと比較するときは、本体価格だけでなく、メモリ、SSD、電源、CPUクーラー、保証期間まで確認したいところです。
先行き2026年後半にPC価格は下がる?
2026年後半に、PC価格が大幅に下がると期待するのは難しい状況です。
業界調査会社の予測では、2026年第3四半期も一般的なDRAMの契約価格が前四半期比13〜18%、NANDフラッシュが10〜15%上昇するとされています。上昇率は第1・第2四半期より鈍化するものの、部品価格は引き続き上向く見通しです。
調査会社の分析では、Windows 10とGIGAスクールの更新需要が一巡することに加え、PC価格上昇の影響から、2026年度の国内出荷台数が前年度比37.8%減の1,123万台になると予測されています。
ただし、需要が弱まれば、各メーカーが在庫処分や期間限定セールを実施する可能性はあります。
市場全体の標準価格は高いままでも、旧世代CPUや在庫を確保済みの部品を使ったモデルだけ、一時的に安くなる展開は考えられます。
出典:業界調査会社によるDRAM/NANDフラッシュ価格見通し(trendforce.com・2026年7月公表)/ 2026年度出荷台数予測(m2ri.jp)
購入判断PCは今買うべきか
現在使用しているPCに不満がなく、Windows 11にも対応しているなら、過去最高の平均単価を理由に慌てて買い替える必要はありません。
一方、故障の兆候がある、仕事で使用する、遊びたいゲームの必要スペックを満たさないといった場合は、値下がりだけを期待して長期間待つリスクもあります。
特にメモリやSSD価格については、2026年第3四半期も上昇が予測されています。
ゲーミングPCを購入するときは、次の点を確認したいところです。
- 通常価格ではなく、同一構成の実売価格を比較する
- メモリは可能なら16GB以上、長期利用なら32GBも検討する
- SSD容量と空きスロットの有無を確認する
- CPUよりGPUへ予算を優先する
- 同等構成の旧モデルやアウトレットも比較する
- 値引き額ではなく、値引き後の構成と価格で判断する
ゲーム用途だけであれば、NPU性能を理由に高価なAI PCを選ぶ必要性は低いといえます。デスクトップでは、AI機能よりGPU性能、電源容量、冷却性能、拡張性を優先した方が、ゲームでの満足度につながりやすくなります。
おすすめ本体の買い替え前にメモリ・SSD増設という選択肢
ここまでの内容を踏まえると、平均単価が過去最高となっている今、本体を丸ごと買い替えるより先に、手元のPCをメモリとSSDの増設で延命する方が費用対効果に優れる場面が増えています。ゲーム用途では、CPUやAI機能より先にGPU予算を優先し、メモリとSSDは必要なタイミングで着実に足していく判断が現実的です。
結論安いPCがなくなる可能性に注意
2026年上期の平均出荷単価12万3,095円は、国内で販売された全PCの平均購入価格ではありません。
それでも、平均単価が前年同期から約1割、5年前から約2割上昇し、4月と5月には14万円近い水準へ達したことは、PC市場の価格帯が上へ移動していることを示しています。
2026年度の出荷減少は、Windows 10とGIGAスクール需要の反動が主因であり、直ちにPC市場の崩壊を意味するものではありません。
一方、メモリとSSDの価格上昇、メーカーの価格改定、高性能モデルへの移行は続いています。
今後は最高性能のPCだけでなく、「必要十分な構成を手頃な価格で買えるか」が、これまで以上に重要になります。価格だけが安い製品を選ぶのではなく、メモリやSSDを後から増設できるか、何年間使用できる性能を備えているかまで確認して選びたいところです。
12万3,095円という数字は、店頭での平均販売価格ではなくJEITA参加8社の平均出荷単価であり、ゲーミングPCが一律10.7%値上がりしたことを示すものでもありません。それでも、メモリ・SSDの高騰とメーカーの価格改定という実質的な値上げ圧力は続いており、出荷が23.1%減っても価格が下がらない構造は当面変わらないとみられます。
本体の買い替えを急ぐより、今のPCをメモリ・SSD増設で延命しつつ、購入時期が来たら実売価格と構成内容の両方を確認するのが現実的な判断です。





