Intel CEOが新メモリアーキテクチャに強い意欲|CPU積層構想とXBM特許、元SK hynix CEO招聘の狙いは
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CPU積層構想とXBM特許、元SK hynix CEO招聘の狙いは
出典:投資家Michael Marks氏のポッドキャスト「TechSurge」でのLip-Bu Tan氏発言を報じたTom’s Hardware、Intel公式NewsroomのLee氏就任発表およびSAIMEMORYとのZAM協業発表、TrendForceのXBM特許報道にもとづきます。本記事の情報は2026年8月14日時点のものです。
Intel CEOのLip-Bu Tan氏が、投資家Michael Marks氏のポッドキャスト「TechSurge」で、新しいメモリアーキテクチャへの強い関心を明らかにしました。「以前はメモリはコモディティビジネスだから投資すべきではないと考えていたが、今は状況が変わった」と述べ、新技術が生まれる余地が大きくなっているとの認識を示しています。
Tan氏はさらに、CPUとメモリを積層する構成や、メモリの新しいアーキテクチャを模索していることを明らかにし、これを自身の「pet project(個人的に力を入れているプロジェクト)」の一つと表現しました。あわせて、元SK hynix CEOのSeok-Hee Lee氏をIntelへ招いたことにも触れています。
この記事では、Tan氏の発言内容、CPU・メモリ積層構想の背景、Lee氏招聘の意味に加え、関連が指摘されているIntelのXBM特許やZAMプロジェクトとの関係、そして「Intelがメモリ事業へ再参入する」と断定できない理由まで、一次情報にもとづいて整理します。
目次
要点まず何が語られたか
発言「以前は投資すべきでないと考えていた」
Tan氏はTechSurgeで、メモリに対する自身の考え方の変化を率直に語っています。「以前は、メモリは一種のコモディティビジネスだから投資すべきではないと考えていた。しかし今は状況が違う」と述べ、AIの普及などを背景に新技術が生まれる余地が大きくなっているとの見方を示しました。そのうえで「新しい技術がたくさん出てきている。だから、私たちは自分のpet projectの一つとして、新しいメモリアーキテクチャに注目している」と説明しています。
英語で「pet project」は、正式な業務指示というより、本人が個人的に強い関心を持って推進しているプロジェクトを指す表現です。CEO自らが力を入れているテーマだと示す言い回しではありますが、正式な事業計画や製品発表とは異なる点に注意してください。
構想CPUとメモリの積層、新アーキテクチャの模索
Tan氏は同じインタビューで、「CPUとメモリについて、一緒に積層するいろいろな方法があると思う」「メモリの新しいアーキテクチャも模索していきたい」とも述べています。現在のAI向け需要の高まりを受けて、CPUとメモリを別々のコンポーネントとして扱うのではなく、両者を統合した設計を模索する方向性がうかがえます。ただし、この発言はあくまで方向性を示したものであり、具体的な製品名・アーキテクチャの詳細・発売時期などは明らかにされていません。
人事元SK hynix CEOのSeok-Hee Lee氏を招聘
Tan氏はインタビューの中で、「私が誰か良い友人を採用したというニュースを見たと思う。SK hynixを率いていたSeok-Hee Lee氏だ。だから、私が何を考えているか、少しは分かってもらえると思う」と述べ、新メモリ構想への意欲とLee氏の招聘を結び付けて語っています。
Intel公式の発表によると、Lee氏は2026年6月18日付でIntel FoundryのExecutive Vice Presidentに就任し、Advanced Packaging(先端パッケージング)、System Integration(システム統合)、バックエンド技術の開発・製造を統括しています。Intelはこの人事について、ロジック・メモリ・ネットワークなどを緊密に統合し、高性能コンピューティングシステムを構築する能力を強化するものだと説明しています。Lee氏は2018年12月からSK hynixのCEOを務め、その在任中にMR-MUF(Mass Reflow Molded Underfill)パッケージング技術の採用を主導し、SK hynixがHBM3世代で存在感を高める転換点をつくった人物です。Tan氏が語る「CPUとメモリの統合」という方向性と、Lee氏のパッケージング領域での実績には重なりがうかがえます。
なお、Lee氏はSK hynixのCEO在任中、IntelのNAND/SSD事業をSK hynixが買収する2020年の取引を主導した当事者でもあります。かつてIntelから自社へメモリ関連事業を引き継いだ人物が、今度はIntel側に迎えられたという巡り合わせも、今回の人事の興味深い点です。
関連特許XBM特許、HBM4に迫る新設計
Tan氏の発言と直接結び付けられて報じられているわけではありませんが、関連する動きとして、Intelが出願していた「XBM(Cross-Batch Memory)」という新しいメモリ設計の特許が2026年7月2日に公開されています。この特許は2024年12月の出願です。
XBMは、現行のHBM(広帯域幅メモリ)が使うシリコンインターポーザーを使わない設計が特徴です。DRAMのトランジスタを前工程ではなく後工程の配線層(BEOL)に組み込んだ1T1C構造とし、UCIe(Universal Chiplet Interconnect Express)規格の高速シリアルリンク(32 GT/s)でベースダイと接続します。インターポーザーを省くことで組み立てコストを抑えつつ、HBM4相当のフットプリントを目指すとされています。海外の半導体業界メディアの報道では、商用化時期は「2030年以降」と、後述するZAMプロジェクトと同程度の時期が見込まれています。
XBMの特許公開とTan氏のTechSurgeでの発言は、時期が近く技術的な方向性も重なりますが、Tan氏自身がXBMという名称に言及したという報道は見当たりません。特許は2024年12月出願のIntel社内の技術開発であり、Tan氏が語った「新しいメモリアーキテクチャ」がXBMそのものを指しているのか、あるいは別の構想なのかは、現時点で確認できていません。
既存事業ZAM(Z-Angle Memory)プロジェクトとの関係
Intelとソフトバンク子会社のSAIMEMORYは、2026年2月2日付ですでに次世代メモリ開発プロジェクト「ZAM(Z-Angle Memory)」での協業を正式発表しています。ZAMは現在の広帯域メモリを超えることを目標とした積層DRAMアーキテクチャで、メモリ容量の拡大と消費電力の削減、AIシステムのスケール時に生じるメモリボトルネックの解消を狙っています。Intel公式によると、Intelが技術・イノベーション・標準化で協力し、SAIMEMORY側が商用化を主導する体制で、2027年に試作品、2030年までの商用化を目標としています。
ZAMはXBMと同様、Tan氏の今回の発言より前から進んでいた既存プロジェクトです。Tan氏がインタビューで名指ししたわけではないため、今回の「pet project」発言がZAMそのものを指しているとは限りません。ただし、いずれも「CPUとメモリの統合」「積層」「AI向けの新メモリ」という同じ方向性を向いている点は共通しています。
注意点「メモリ事業へ再参入」と断定はできない
今回の一連の情報を「Intelがメモリメーカーとして正式に事業再参入する」と断定するのは早計です。Tan氏が明らかにしたのは、新しいメモリアーキテクチャへの関心、CPUとメモリの積層構想、関連する人材の採用までで、製品名・具体的な発売時期・量産工場・SamsungやSK hynix、Micronと直接競合するDRAM製品の投入計画などは発表されていません。
また、Intelは過去にNAND/SSD事業をSK hynixへ売却した経緯があります。2021年の第一段階では、SSD事業と大連のNAND工場を70億ドルでSK hynixへ移管しました。今回の一連の動きは、この時に手放したNAND/SSD事業をそのまま復活させるという話ではなく、あくまでAI時代の高帯域・高密度メモリとCPUの統合、積層、先端パッケージングに焦点を当てたものである点に注意してください。
Q&Aよくある質問
総括まとめ|「意欲」の段階、確定計画ではない
Intel CEOのLip-Bu Tan氏は、TechSurgeポッドキャストで新しいメモリアーキテクチャへの強い関心を明らかにし、CPUとメモリの積層構想や、元SK hynix CEOのSeok-Hee Lee氏招聘の背景について語りました。かつてメモリを「コモディティビジネス」と捉えていた考えを転換し、AI時代の需要を背景に新技術の余地が広がっているとの認識を示しています。
関連が指摘されるXBM特許やZAMプロジェクトはいずれも商用化目標が2030年前後で、まだ研究開発段階です。現時点では、CEOが「意欲」を語った段階であり、製品化を確定した計画ではありません。今後の正式な事業発表や製品ロードマップの続報を注視する必要があります。
Intel CEOのLip-Bu Tan氏は、投資家Michael Marks氏のポッドキャスト「TechSurge」で、新しいメモリアーキテクチャへの強い関心を明らかにしました。かつてメモリを「コモディティビジネス」と捉えていた考えを転換し、CPUとメモリの積層構想を自身の「pet project」と表現。元SK hynix CEOのSeok-Hee Lee氏をIntel Foundry EVPに招いた背景にも言及しています。関連が指摘される技術として、シリコンインターポーザーを使わない新設計「XBM」の特許(2026年7月公開、商用化目標2030年以降)や、SAIMEMORYと協業する積層DRAM「ZAM」(2027年試作・2030年商用化目標)がありますが、いずれもTan氏の発言と直接結び付けられて確認されたわけではありません。製品名・発売時期・量産計画は未発表で、「Intelがメモリ事業へ正式再参入する」と断定できる段階ではない点に注意してください。



