Epic GamesがArtStation・Sketchfab売却|Fabは対象外、UE6とFortniteへ集中【2026年8月】
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買い手は3Dアセット大手のKitBash——Fabは今回の対象外、EpicはUnreal Engine 6とFortniteへ集中
出典:Sketchfab公式ブログ「KitBash Acquires Sketchfab and ArtStation」/KitBash3D公式/Greyscalegorilla公式/Epic Games公式ニュース/80 Level/Unreal Engine公式「State of Unreal 2026」。発表文の公開時刻は日本時間2026年8月11日未明(協定世界時8月10日17時31分)です。本記事の内容は同日時点の各社公式発表にもとづきます。
ゲームや映像の仕事をしている人にとって、ArtStationは作品を並べて仕事につなげる場所であり、Sketchfabは3Dモデルをブラウザ上で回して見せられる数少ない場所です。その2つを運営していたEpic Gamesが、両方とも手放しました。使っている側からすれば、まず気になるのは「サービスが終わるのか」「アップロードした作品はどうなるのか」でしょう。
結論から書くと、今回の発表時点で終了の予定は出ていません。ポートフォリオもライブラリも埋め込みも従来どおり動き、作品の知的財産権は引き続きアップロードした本人に帰属すると各社が明記しています。さらに、Epicがアセット販売の中心に据えているマーケットプレイス「Fab」は、今回の売却対象として発表されていません。
そのうえでこの発表を読むと、Epicが何を手放して何を残したのかがかなりはっきり見えてきます。Epicは同じ発表のなかで、今後はUnreal Engine 6、Fortnite、開発者向けのエコシステム、Epic Games Storeの構築を優先すると明言しました。3月の大規模な人員削減から続く流れのなかで、この線引きが何を意味するのかまで含めて整理します。
目次
要点今回の発表を3行で整理
ArtStationとSketchfabは、3DアセットのKitBash3Dや3Dデザイン向けツールのGreyscalegorillaを展開するKitBashへ移ります。両サービスの使い方、ポートフォリオ、ライブラリ、既存のワークフローに変更はなく、作品の権利もアップロードした本人のものです。Epicのアセットマーケットプレイス「Fab」は今回の売却対象として発表されておらず、Epicは今後Unreal Engine 6、Fortnite、開発者エコシステム、Epic Games Storeへ注力するとしています。取引条件と金額は公開されていません。
発表内容ArtStationとSketchfabはKitBashのもとへ移る
各社の発表文によると、ArtStationとSketchfabはEpic Gamesを離れ、KitBashの一員になります。KitBashは、ゲームや映画、VFX向けの3Dアセットやマテリアルを提供するKitBash3Dと、3Dデザインやモーショングラフィックス向けのツール・素材・学習コンテンツを提供するGreyscalegorillaを展開している会社です。作品を「作る」ための素材とツールを持っている会社が、作品を「見せる」「探す」ためのプラットフォームを手に入れた形になります。
Epic GamesでUnreal Ecosystemを統括するBill Clifford氏は、発表文のなかで「ArtStationとSketchfabは、アーティストが作品を共有し管理するための定番プラットフォームです。KitBashは、制作のあらゆる段階でアーティストがつながり、新しい形で作品を披露できる機会を広げてくれるでしょう」と述べています。KitBashで共同最高経営責任者を務めるBanks Boutté氏も「これらは人々がポートフォリオやキャリア、コミュニティを築いてきた場所です。その信頼は本物であり、私たちの最優先事項は各プラットフォームでユーザーが最も大切にしているものを守ることです」とコメントしました。
Epic GamesがArtStationを買収したのは2021年4月、Sketchfabを買収したのはその3か月後の2021年7月です。約5年でどちらも別の会社のもとへ移ることになりました。なお、今回の取引の金額や条件は各社とも公開していません。
影響いま使っている人に何が変わるのか
結論としては、当面の使い勝手はほとんど変わりません。各社が公開したよくある質問の回答は、いずれも「今日と同じように動き続ける」という趣旨で揃っています。
マーケットFabは今回の売却対象に含まれていない
今回のニュースでいちばん誤解されやすいのが、SketchfabとFabの関係です。名前が似ているうえ、どちらも3Dアセットを扱っているため、Sketchfabの売却をそのまま「Epicがアセット販売から手を引いた」と読んでしまいがちですが、この2つは2026年時点ではすでに役割が分かれています。
Fabは、Epicが2024年10月に開始したデジタルアセットのマーケットプレイスです。Unreal Engine MarketplaceとSketchfab Storeの後継にあたり、Quixel Megascansの提供場所も兼ねています。Unreal Engineだけでなく他の制作環境でも使えるコンテンツを扱う場として設計されており、Fabの開始と同時にSketchfab Storeは閉鎖されました。有料販売の機能はこの時点でFabへ移っています。
つまり今回売却されたSketchfabは、3Dモデルを公開して共有するコミュニティ側の機能を担うサービスであり、販売の中核はすでにEpicのFabにあります。そして、Epic、KitBash3D、Greyscalegorilla、Sketchfabの各発表文とよくある質問を通して読んでも、Fabの所有権が変わるという記述は見当たりません。今回発表されたのはArtStationとSketchfabの2つに関する譲渡だけです。
今回確認できるのは、Fabが売却対象として発表されていないという事実までです。Epicが今後もFabを運営し続けると改めて明言したわけではないため、この点は今後の発表を待つ必要があります。
背景2026年3月の大規模な人員削減から続く選択と集中
Epicが売却の理由を細かく説明しているわけではありませんが、2026年のEpic全体の動きと並べると、今回の判断は突然出てきたものではないことが分かります。
Epic Gamesは2026年3月24日、1,000人を超える人員削減を発表しました。創業者で最高経営責任者のTim Sweeney氏は社内向けのメッセージで「2025年に始まったFortniteのエンゲージメント低下により、稼いでいる額を大きく上回る支出が続いており、会社の資金を維持するために大きな削減が必要だ」と説明しています。同時に、業務委託、マーケティング、採用枠を対象に5億ドルを超えるコスト削減も進めるとしました。削減後の従業員数はおよそ4,000人とされています。
今回のArtStationとSketchfabの売却は、その約5か月後です。Epic自身は資金面を売却理由として挙げていないため、直接の因果関係を断定することはできません。ただ、会社全体の支出を見直しながら中核事業へ寄せていく流れのなかに、今回の判断が並んでいるのは確かです。
Epicが買収したサービスを手放すのは初めてではありません。2023年にも約830人、当時の従業員の約16パーセントにあたる人員削減と同時に、音楽販売プラットフォームのBandcampを他社へ売却しています。当時と今回で違うのは、手放す対象がクリエイター向けの中核サービスそのものになった点です。
今後Unreal Engine 6は2027年のEarly Accessが目標
今回の発表でEpicが優先分野として名前を挙げたのは、Unreal Engine 6、Fortnite、開発者エコシステム、Epic Games Storeの4つです。このうちPCゲーマーにとって影響が大きいのは、次世代のゲームエンジンであるUnreal Engine 6でしょう。
Epicは2026年6月17日に開催した開発者向けイベント「State of Unreal」で、Unreal Engine 6を発表しました。これは既存のUnreal Engine 5の大型アップデートではなく、Unreal Engine 5と、Fortnite向けの制作環境であるUnreal Editor for Fortniteを1つのエンジンへ統合するという構想です。Early Accessは2027年、正式リリースはそこから12か月から18か月後という見通しが示されています。
同じイベントで公開されたUnreal Engine 5.8は、現在のロードマップ上ではUnreal Engine 5系として最後に予定されているメジャーリリースです。不具合修正などのサポートは継続され、状況によっては追加のリリースがある可能性も残されていますが、開発の主軸がUnreal Engine 6へ移りつつあることははっきりしています。ゲーム開発でよく使われるビジュアルスクリプティングのBlueprintも、Unreal Engine 6の初期バージョンには残るものの、新しい枠組みが十分に成熟した段階で非推奨になる方針が示されました。
Unreal Engineは多くのPCゲームで採用されているため、この移行は将来のPCゲームがどう作られるかに直結します。今回の売却は、その移行にEpicがどれだけ本腰を入れているかを示す材料の1つと見ることができます。
判断影響が小さい人と、確認しておきたい人
- ゲームを遊ぶだけのPCゲーマー。Epic Games Storeのライブラリやゲームの動作環境は今回の発表で変わりません
- Unreal Engineを使っている開発者。エンジンもFabも今回の売却対象ではなく、アセットの購入場所がすぐに変わるわけでもありません
- Sketchfabの有料プラン利用者と法人契約のユーザー。価格・プラン・エンタープライズ契約はいずれも据え置きです
- KitBash3D、Greyscalegorilla、Cargoの利用者。既存のアセットと権利、サブスクリプションはそのまま維持されます
- ArtStationやSketchfabを仕事の入り口として使っているクリエイター。統合の長期計画はまだ発表されていません
- アカウントやアセットの管理方法が将来どう整理されるかを気にする人。各社とも「まず声を聞いてから」の段階です
- Fabの位置づけを重視する人。売却対象ではないものの、今後の運営方針が改めて示されたわけではありません
- Unreal Engine 5でゲームを開発している人。5.8がロードマップ上で最後のメジャーリリースにあたります
FAQよくある質問
まとめ手放したものと残したものが、はっきり分かれた発表
Epic Gamesは日本時間2026年8月11日、ArtStationとSketchfabをKitBashへ譲渡すると発表しました。KitBashは3DアセットのKitBash3Dと、3Dデザイン向けツールのGreyscalegorillaを展開する会社です。ArtStationは2021年4月、Sketchfabは2021年7月にEpic傘下へ入っており、約5年で新しい運営会社のもとへ移ることになります。取引の金額と条件は公開されていません。
利用者にとっての実害は、現時点では見当たりません。ポートフォリオ、投稿済みの3Dモデル、埋め込み、既存のワークフローは従来どおり動き、作品の知的財産権はアップロードした本人に帰属すると各社が明記しています。Sketchfabの価格やプラン、法人向けのエンタープライズ契約も据え置きで、買い手側のKitBash3D、Greyscalegorilla、Cargoにも値上げや即時の統合は予定されていません。ただし、長期的にどう統合していくかの計画はまだ公開されておらず、各社とも先にコミュニティの声を聞く段階だとしています。
注目すべきなのは、Epicが同じ発表のなかでUnreal Engine 6、Fortnite、開発者エコシステム、Epic Games Storeを優先分野として名指ししたことです。2026年3月には1,000人を超える人員削減と5億ドル超のコスト削減を発表しており、6月にはUnreal Engine 5とUnreal Editor for Fortniteを統合するUnreal Engine 6を打ち出しました。Early Accessは2027年、正式リリースはその12か月から18か月後という長期戦です。作品を見せる場と探す場は専門の会社へ任せ、エンジンとアセット流通とゲーム販売という土台を自社で握り直す。今回の売却は、その線引きが表に出た発表だと考えると分かりやすくなります。

