GPU-ZのPerfCap Reason「VRel」「VOp」とは|故障・電圧不足ではない理由とPwr・Thrmとの見分け方
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故障・電圧不足ではない理由とPwr・Thrmとの見分け方
出典:NVIDIA公式 GPU Boost技術解説・NVIDIA公式 nvidia-smiドキュメント・NVIDIA公式 NVML ClocksEventReasonsドキュメント・TechPowerUp公式 GPU-Z製品ページにもとづきます。
GPU-Zの「Sensors」タブを開くと、PerfCap Reasonという項目に「VRel」「VOp」と表示されることがあります。PwrやThrmと違って一目で意味が伝わりにくい略語のため、電圧が足りていないのではないか、電源ユニットの出力が不安定なのではないか、GPUが劣化しているのではないかと不安になるかもしれません。
しかし、GPU-ZのPerfCap Reasonにおける「VRel」「VOp」は、いずれもNVIDIA GPUに搭載されたGPU Boostが電圧側の条件によってクロック上昇を止めていることを示す表示で、電圧不足や部品の劣化を診断した結果ではありません。VRelは次の電圧の段階へ進むとGPUコアの動作が安定しなくなるために制限されている状態、VOpはGPUに許可された動作電圧の上限そのものに到達している状態で、それぞれ性質が異なります。
GPU-ZのPerfCap Reasonの基本的な仕組みはGPU-ZのPerfCap Reason「Pwr」とはで電力上限による制限を解説しました。本記事はその続きとして、電圧に関連するVRel・VOpに絞り、両者の違い、電源ユニットとの関係、Undervolt・OC時の判断基準、電圧表示以外に疑うべき症状までを整理します。
目次
基礎PerfCap ReasonとVRel・VOpの意味
PerfCap ReasonはGPU Boostが今何に制限されているかを示す項目です
PerfCap Reason(Performance Cap Reason)は、GPU-Zの「Sensors」タブに表示される項目で、GPUの現在のクロックがそれ以上に上がらない理由を示します。基本的な仕組みはGPU-ZのPerfCap Reason「Pwr」とはで解説していますが、要点は、GPUにはNVIDIA公式が説明するGPU Boostという仕組みがあり、電力・温度・電圧・負荷といった複数のデータを見ながらクロックと電圧をリアルタイムに調整しているという点です。PerfCap Reasonは、そのときGPUがどの条件によってブーストを止めているかを表示しているだけで、何らかの理由が表示されていること自体は異常ではありません。
VRel・VOpは電圧に関連する制限で、公開ドキュメントに専用の定義はありません
NVIDIA公式のnvidia-smiドキュメントやNVML ClocksEventReasonsドキュメントには、電力上限による制限(SW Power Cap)や温度上限による制限(SW Thermal Slowdown)といった項目は定義されていますが、電圧に関連する制限を示す項目は定義されていません。GPU-Zは、NVIDIAドライバーが内部で保持しているより詳細なGPU Boostの状態を独自に取得して表示しており、VRel・VOpはそのうち電圧に関連する2つの状態を示しています。公開ドキュメントに載っていないからといって、特殊な異常や未知の不具合を示しているわけではありません。
比較VRelとVOpの違い
GPUの電圧は一つの値に固定されているわけではなく、クロックに応じて何段階にも分かれたステップで管理されています。NVIDIA公式のGPU Boost技術解説でも、GPU Boostは電力に加えて速度と電圧の両方をリアルタイムに調整していると説明されています。VRelとVOpは、この電圧のステップに関する2つの異なる制限です。
VRel・VOpのどちらが表示されても、GPUが仕様の範囲内で電圧の上限まで動作している結果であり、優劣や深刻さの違いを示すものではありません。ゲーム中にVRelとVOpが入れ替わったり、両方が同時に表示されたりすることもあります。
誤解電源ユニット不足という意味ではありません
VRel・VOpはGPU自身の電圧上限を示す値で、PSUの出力電圧とは別です
「Voltage」という言葉から、電源ユニットの出力電圧が足りていないのではないかと考えてしまうかもしれません。しかし、VRel・VOpはGPUコア自体に設定された電圧の上限(信頼性を維持できる電圧のステップ、または許可された最大動作電圧)に関する表示で、PCの電源ユニットが出力する12Vなどの系統電圧を直接判定しているわけではありません。電源ユニットを750Wから1000Wへ交換しても、GPU側の電圧上限そのものは変わらないため、VRel・VOpは同じように表示される可能性があります。
VRel・VOp表示だけを理由にした電源ユニット交換は、多くの場合で症状の解決になりません。まずはGPUクロック・GPU使用率・FPS・温度をセットで確認し、それでも異常が疑われる場合に補助電源コネクターの接続状態や別の症状を確認してください。
HW Power Brakeという別の仕組みと混同しないようにします
NVIDIA公式のnvidia-smiドキュメントには、GPU自身の電圧上限とは別に「HW Power Brake」という制限理由が定義されています。原文では「External Power Brake Assertion is triggered (e.g. by the system power supply)(システム電源側などによって、外部の電力保護信号がトリガーされている状態)」と説明されており、これは電源ユニット側の信号などが関係しうる、VRel・VOpとは仕組みの異なる制限です。GPU-ZのPerfCap ReasonにVRel・VOpが表示されているからといって、このHW Power Brakeが同時に発生しているとは限りません。
電源ユニットや補助電源を疑うべきなのは別の症状があるときです
電源ユニットや補助電源コネクターを疑う必要があるのは、VRel・VOp表示単体ではなく、GPU高負荷時にPCが突然再起動する、電源が落ちる、画面がブラックアウトする、12V-2×6コネクターや8ピン補助電源の差し込みが甘い、コネクター付近だけ異常に発熱しているといった症状が別に存在する場合です。ゲーム中にPCが落ちる・固まる原因はゲーム中にPCが落ちる・固まる原因と直し方で、電源不足からドライバまで5つの診断手順を解説しています。12V-2×6コネクターの接触不良は、VRel・VOpという表示の有無ではなく、こうした物理的な症状で確認します。
指標ゲーム中のVRel・VOpが正常かどうかの判断基準
PerfCap ReasonがVRel・VOpかどうかは、GPUクロック・GPU使用率・FPS・GPU温度・ゲームの安定性をセットで確認すると判断しやすくなります。GPU使用率と消費電力の関係についてはグラボ使用率が99%なのに消費電力が低い原因でも詳しく解説しています。
- GPUクロックが公称のBoost Clock付近、またはそれを超える水準まで伸びている
- GPU使用率が高い重量級ゲームやベンチマークで表示されている
- FPSや1% Lowが同型GPUの一般的な結果と大きく変わらない
- ゲームがクラッシュしたりアーティファクトが出たりせず安定して動作している
- GPUクロックが本来期待される水準(たとえば2,500MHz前後で動作するはずが1,000MHz程度までしか上がらない)より大幅に低い
- 同じGPUの一般的なベンチマーク結果よりFPSが明らかに低い
- 高負荷時だけPCが再起動する、または電源が落ちる
- ドライバーがリセットされる、画面にアーティファクトが出る
GPU Boostは電力や温度に余裕があれば、製品としてカタログに記載されているBoost Clockを超えてブーストする場合があります。VRelは電圧側の条件で制限されている状態を示すだけなので、公称のBoost Clockを超えた状態でVRelが表示されても異常ではありません。
対処Undervolt・OC時の判断基準と疑うべき症状
Undervolt・OC失敗の判断基準はVRel・VOp表示ではなく安定性です
アンダーボルトやオーバークロックを試したあと、VRel・VOpが表示されるようになった、あるいは表示されなくなったというだけでは、設定の成否を判断できません。判断基準になるのは、ゲームがクラッシュしないか、画面にアーティファクトが出ないか、ドライバーがリセットされないかといった安定性です。こうした症状が出た場合は、まず定格設定に戻して同じ症状が再現するかを確認してください。手順はGPUアンダーボルト完全ガイドで解説しています。
VRel・VOpを消すことを目標にする必要はありません
Core Voltageを引き上げたりVBIOSを書き換えたりして、VRel・VOpという表示自体を消そうとする必要はありません。ひとつの上限を緩和しても、GPUは電力(Pwr)や温度(Thrm)など別の条件に到達するだけで、際限なく高いクロックへ到達し続けるわけではありません。GPU-ZのPerfCap Reasonは、何も表示されていない状態を目指すための指標ではなく、そのときGPUがどの条件で動作しているかを確認するための情報です。
疑うべきなのはVRel・VOpとは別の症状です
VRel・VOpという表示そのものより、次のような症状が別に出ていないかを優先して確認してください。
- GPUクロックが仕様から大きくかけ離れて低い
- 特定のゲームだけでなく複数のアプリで頻繁にクラッシュする
- 画面に色化けやノイズなどのアーティファクトが出る
- ドライバーがリセットされ、一時的に画面が乱れてから復帰する
- 高負荷時にだけPCが再起動する、または電源が落ちる
判別Pwr・Thrmとの見分け方
GPU-Zで一緒に確認すべき項目
VRel・VOp単体を見るのではなく、GPU-Zの「Sensors」タブでGPU Clock、GPU Load、GPU Voltage、Board Power Draw、GPU温度を同じ時間軸で確認します。VRel・VOpが表示されている瞬間に、GPUクロックが十分な水準まで伸び、GPU使用率が高く、温度も正常範囲であれば、GPU Boostが正常に動作している状態です。
ゲーム中にPwr・Thrm・VRel・VOpが入れ替わるのは正常です
GPU負荷はゲームのシーンによって変動するため、同じゲーム内でもPerfCap ReasonがPwrからVRelへ、あるいはThrmとVRelが同時に表示されるといった変化は珍しくありません。GPU-ZのPerfCap Reason「Pwr」とはでも解説しているとおり、電力上限による制限を示すPwr、温度上限による制限を示すThrm、電圧上限による制限を示すVRel・VOpは、いずれもGPU Boostが今どの条件で動作しているかを示しているだけで、どれか一つが常に表示されているべきという正解はありません。
Q&APerfCap Reasonの「VRel」「VOp」に関するよくある質問
総括まとめ|VRel・VOpはまず正常な動作として確認します
GPU-ZのPerfCap Reasonが「VRel」「VOp」でも、それだけで電圧不足や電源ユニットの故障、GPUの劣化とは判断できません。VRelはGPUコアが次の電圧のステップへ進むと安定動作できなくなるために制限されている状態、VOpはGPUに許可された最大動作電圧の上限に到達している状態で、いずれもGPU Boostが電圧の面からGPUを保護するための表示です。
まず確認するのはGPUクロック・GPU使用率・FPS・ゲームの安定性です。クロックが公称のBoost Clock付近まで伸び、FPSも安定していて、ゲームがクラッシュしたりアーティファクトが出たりしていなければ、VRel・VOpは無理に消す必要のない自然な動作です。アンダーボルトやオーバークロックを試した後の成否も、VRel・VOp表示の有無ではなく安定性で判断します。
電源ユニットや補助電源コネクターを疑うのは、突然の再起動やブラックアウトなど、VRel・VOp表示とは別の症状が存在するときです。電力上限による制限はGPU-ZのPerfCap Reason「Pwr」とは、アンダーボルトの具体的な手順はGPUアンダーボルト完全ガイド、PCがゲーム中に落ちる場合の診断はゲーム中にPCが落ちる・固まる原因と直し方も参考にしてください。
出典一覧:NVIDIA公式 GPU Boost技術解説/NVIDIA公式 nvidia-smiドキュメント/NVIDIA公式 NVML ClocksEventReasonsドキュメント/TechPowerUp公式 GPU-Z製品ページ



