Razer Tartarus V2 Proは買いか|33,280円、ラピッドトリガー・8000Hz・TMRスティック、旧Proとの違い
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33,280円、ラピッドトリガー・8000Hz・TMRスティック搭載、旧Proとの違い
出典:Razer公式「Introducing the Razer Tartarus V2 Pro」、同日本公式製品ページ、同「Tartarus Pro」日本公式製品ページ、海外メディアの実機レビュー、RTINGS「Keyboard Latency」にもとづきます。
Razerの左手用ゲーミングキーパッドに、約7年ぶりとなる新モデル「Razer Tartarus V2 Pro」が登場しました。日本での価格は33,280円で、Razer公式ストアでも販売が始まっています。2019年に登場したTartarus Pro以来の新型ですが、今回は単純にスイッチだけを新しくしたモデルではありません。
第2世代Razerアナログオプティカルスイッチ、0.1mmから設定できるラピッドトリガー、最大8000Hz HyperPollingに加え、従来の8方向サムパッドをフルサイズのTMR親指スティックへ変更。リストレストやキー配置も大幅に作り直されています。一方、現在もRazer公式で販売されているTartarus Proは16,988円です。新型はその約1.96倍にあたるため、「ラピッドトリガーが付いたから新型を選ぶ」というだけでは価格差を説明しにくい製品でもあります。
むしろTartarus V2 Proで重要なのは、従来の「小型キーボード+多ボタンデバイス」という方向から、キーボードとゲームパッドを組み合わせた入力デバイスへ設計思想そのものを変えたことです。Razer Tartarus V2 Proの仕様を旧Tartarus Proと比較しながら、33,280円を出す価値がどこにあるのかを整理します。

目次
概要Razer Tartarus V2 Proは33,280円の左手用ゲーミングキーパッド
Razer Tartarus V2 Proは、左手だけで移動、スキル、ショートカット、マクロなどを操作できるPC向けゲーミングキーパッドです。Razerは31個のプログラム可能なコントロールを搭載するとしています。キー部分には27個のスイッチが配置され、親指側にはTMRスティックと専用ボタン3個を装備。設定はRazer Synapse 4から変更できます。
主な仕様を旧モデルと比べると、違いがかなり大きいことが分かります。
| 項目 | Tartarus V2 Pro | Tartarus Pro |
|---|---|---|
| Razer公式価格 | 33,280円 | 16,988円 |
| メインスイッチ | アナログオプティカル 第2世代 | アナログオプティカル |
| アクチュエーション | 0.1〜4.0mm | 1.5〜3.6mm |
| ラピッドトリガー | 対応・最小0.1mm | 非対応 |
| ポーリングレート | 最大8000Hz | 1000Hz |
| プログラム可能な操作 | 31 | 32 |
| 親指操作 | フルサイズTMRスティック | 8方向デジタルサムパッド |
| スクロールホイール | なし | あり |
| 独立したスペースバー操作部 | なし | あり |
| 接続 | 着脱式USB Type-C | USB有線 |
※新型の仕様はRazer公式製品ページ、旧モデルはRazer公式「Tartarus Pro」製品ページを基準にしています。
数字だけを見ると、新型は「32操作から31操作へ減ったのに価格が約2倍」になっています。しかし、実際にはキー数を増やした製品ではなく、入力方式と親指操作を丸ごと刷新したモデルと考えた方が分かりやすいでしょう。
進化最大の進化は第2世代アナログオプティカルスイッチ
27個のメインキーには「Razer Analog Optical Switches Gen-2」が採用されています。アクチュエーションポイントは0.1〜4.0mmで調整可能です。旧Tartarus Proは1.5〜3.6mmだったため、浅い入力にも深い入力にも設定範囲が広がりました。たとえば移動に使うキーだけ0.2〜0.5mm程度まで浅くし、誤操作したくないスキルキーは2mm以上に設定するといった使い分けができます。
さらに新型ではラピッドトリガーに対応しました。通常のキースイッチでは、一度入力したキーを固定されたリセット位置まで戻してから再入力する必要があります。ラピッドトリガーではキーが戻り始めた位置を基準にリセットでき、Tartarus V2 Proでは最小0.1mmの戻り量から再入力可能です。FPSで左右移動を細かく切り替える場合や、同じキーを短時間に繰り返し入力する場面では明確に使いやすくなっています。ただし、ラピッドトリガー自体は現在では珍しい機能ではありません。1〜2万円台でもラピッドトリガー対応ゲーミングキーボードが増えているため、ラピッドトリガーだけを目的に33,280円を払う製品ではないという点は押さえておきたいところです。
検証8000Hzになっても「入力が8倍速くなる」わけではない
Tartarus V2 Proは、Tartarusシリーズとして初めて最大8000Hz HyperPollingに対応しました。従来のTartarus Proは1000Hzです。1000HzではPCへ入力情報を送る間隔が1ms、8000Hzでは0.125msになります。理論上のポーリング間隔だけを比べると差は0.875msです。
ただし、ここで「旧Tartarusより入力遅延が8分の1になる」と考えるのは正確ではありません。ポーリングレートは入力遅延を構成する要素の一つであり、スイッチの検出、内部処理、USB転送、ゲーム側の入力処理、フレーム生成、ディスプレイ表示までを含む総遅延ではありません。Razer自身も同社のHuntsman V3 Pro 8KHzについて、8000Hzでは理論上0.125ms間隔になる一方、PCB内部の処理時間も存在すると説明しています。RTINGSも高ポーリングレートによるキーボードの遅延差について、測定上は存在するものの体感できるとは限らないと説明しています。そのためTartarus V2 Proの8000Hzは確実なスペックアップではあるものの、33,280円という価格を8000Hzだけで正当化するのは難しいでしょう。
刷新本当に新型らしいのはTMR親指スティック
今回最も大きく変わったのは、親指側です。旧Tartarus Proは8方向デジタルサムパッドを搭載していました。新型ではこれを廃止し、Razer製コントローラーでも使われるフルサイズのTMR親指スティックへ変更しました。TMRは磁気を利用してスティック位置を検出する方式で、Razerは耐ドリフト性を特徴としてアピールしています。海外レビューでは、短い凹型・長い凹型・短い凸型という3種類の交換用スティックキャップが付属することも確認されています。
ここが通常のラピッドトリガーキーボードとの最大の違いです。左手の親指でスティックを動かしながら、残り4本の指で多数のキーを操作できるため、ゲームパッドに慣れている人でも「左スティック+右手マウス」に近い操作環境を作れます。ただし、初期設定ではスティックがコントローラーの右スティックのようにフルアナログで動作するため、マウス操作と組み合わせる場合はやや扱いにくいという海外レビューの指摘もあります。移動には4方向のデジタル的な動きだけを割り当て、狙いはマウスに任せるという設定へ変更すると、キーボード+マウスの操作感に近づけられます。
つまり「TMRスティックがある=すべてのゲームで初期設定のままアナログ移動しながらマウスエイムできる」と考えて購入するのは避けた方がよいでしょう。使いたい操作感に合わせて、スティックの動作モードを設定し直す前提で考える必要があります。
廃止旧Tartarus Proからはスクロールホイールと独立スペースバーが消えた
新型を旧Proの完全な上位互換と言いにくい最大の理由が、操作レイアウトです。Tartarus Proには、メインキー以外にスクロールホイール、8方向サムパッド、親指ボタン、スペースバーアクチュエーターが用意されていました。Razer公式サポートにもこれらの操作部が明記されています。Tartarus V2 Proではスティック周辺を大幅に作り直した結果、従来型のスクロールホイールと独立したスペースバー操作部がなくなっています。
これはかなり重要な変更です。従来のTartarusでWASDを人差し指から薬指で操作し、親指側のスペースバーをジャンプ、8方向パッドを追加ショートカットとして使っていた人は、新型へ移行すると操作方法そのものを組み直す必要があります。逆に、「移動そのものを親指スティックへ移したい人」には新型の方が合理的です。つまり新旧の違いは性能差だけではなく、左手の役割そのものが違います。
改善リストレストは旧モデルより大幅に調整しやすくなった
エルゴノミクス面では大きく改善されています。新型のリストレストは前後方向だけではなく左右にも動かせ、Razer公式では15〜20度のチルト調整にも対応するとしています。旧Tartarus Proのリストレストは側面のボタンで調整する方式でした。手の大きさだけでなく、キーパッドを机に対して少し斜めに置く人でも手首の向きを合わせやすくなります。新型のトップケースには5052アルミニウム合金が使われており、着脱式USB Type-Cケーブルも採用されています。携帯性を優先した小型デバイスというより、デスク上へ常設して使うハイエンド入力デバイスに近づいたと考えた方がよさそうです。
機能Snap TapだけでなくSnap FlexやDynamic Keystrokeにも対応
Tartarus V2 Proは、Razerが「Advanced Input Control」と呼ぶ機能群にも対応します。Snap Tapでは、設定した2つのキーが同時に押された場合に新しい入力を優先できます。Snap Flexでは1つのキーを押したときと離したときに別々の動作を割り当てられ、Dynamic Keystrokeではキーを押し込む深さに応じて最大4つのコマンドを設定できます。Dual-Keypress Priorityも用意されています。MMOなどでは、単純に31個のキーを使う以上に入力の組み方を増やせる機能です。
ただし、FPSではゲーム側のルールにも注意してください。Counter-Strike 2ではValveが2024年8月から、Snap Tapを含むハードウェアによる一部の入力自動化をValve公式サーバーで検出する仕組みを導入しました。Valve自身がSnap Tap Modeを搭載するキーボードでは機能を無効にするよう案内しています。Tartarus V2 ProをCS2で使うこと自体に問題があるわけではありませんが、Snap Tapを有効にしたまま公式サーバーへ接続するのは避けるべきです。ラピッドトリガーとSnap Tapは別機能なので、混同しないようにしてください。
価格8000Hz・ラピッドトリガーだけなら普通のキーボードも買える価格
Tartarus V2 Proを評価するとき、避けて通れないのが33,280円という価格です。2026年9月時点でRazer公式価格は、Tartarus Proが16,988円、Tartarus V2 Proが33,280円となっています。旧Proとの差額は16,292円で、新型は約96%高価です。
さらにRazerのフルサイズに近い競技向けキーボードと比較すると、Huntsman V3 Pro Tenkeyless 8KHzの日本価格は36,980円です。Tartarus V2 Proとの差は3,700円しかありません。Huntsman側も第2世代アナログオプティカルスイッチ、8000Hz、Snap Flexなどに対応しています。つまりTartarus V2 Proは「キーボードの半分しかないから安い製品」ではありません。むしろ普通のハイエンドゲーミングキーボード並みの予算を払って、左手専用の形状とTMRスティックを手に入れる製品です。ここが購入判断の核心になります。
判断旧Tartarus Proから買い替える価値はある?
旧Proからの買い替え価値は、何にTartarusを使っているかでかなり変わります。親指で移動したい人にとっては、TMRスティックだけでも大きな進化です。旧モデルの8方向サムパッドは基本的にデジタル入力でしたが、新型はゲームパッドに近いフルサイズスティックになり、操作モードも柔軟になりました。残り4本の指で27キーを操作できるため、「ゲームパッドの移動操作は好きだが、右手はマウスで狙いたい」という人には珍しい選択肢です。競技FPSでWASD操作を続けたい場合も、第2世代スイッチ、ラピッドトリガー、8000Hzという性能向上があります。
一方、旧Proのスクロールホイール、8方向パッド、独立スペースバーを積極的に使っている場合は注意が必要です。新型はそれらをそのまま高速化した製品ではなく、配置を別物に作り直しています。特に旧ProをMMOの多ボタンデバイスやクリエイティブソフトのショートカットデバイスとして使っている人は、性能は上がっていても操作環境は必ずしも上位互換になりません。旧Proが16,988円で現在も公式販売されていることを考えると、従来型レイアウトが目的なら旧Proをあえて選ぶ余地も残っています。
判断初めて左手デバイスを買うならTartarus V2 Proを選ぶべき?
初めて左手デバイスを購入する場合も、33,280円という価格をどう見るかが重要です。普通のキーボードでWASD操作に不満がなく、ラピッドトリガーだけが欲しいなら、Tartarus V2 Proを選ぶ必要性は高くありません。同じ金額帯にはフルキーボードやテンキーレスの高性能ラピッドトリガー対応製品があります。一方で、キーボード操作が苦手だったり、ゲームパッドからPCゲームへ移行してスティック移動を残したかったり、MMOの大量の操作を左手周辺へ集約したかったりする場合には話が変わります。Tartarus V2 Proの価値は「キーが速いこと」ではなく、親指にスティック、残り4本の指に多数のアナログオプティカルキーを割り当てられることにあります。このレイアウトを必要としているなら、普通のゲーミングキーボードでは代用しにくい製品です。
Razerの製品ページでは、「3つのオンボードプロファイルに最大24のキーマップ(1プロファイルあたり最大8キーマップ)」と説明されています。一方、Razer公式サポートページの一部には異なる表記も見られます。発売直後の公式資料で表現が完全には揃っていない可能性があるため、購入前に最新の製品ページで確認することをおすすめします。
結論Razer Tartarus V2 Proは買いか
- 親指でスティック移動しながら、残り4本の指で多数のキーを操作するスタイルを使いたい人
- 競技FPSでWASD操作を続けつつ、ラピッドトリガーと8000Hzの恩恵も受けたい人
- MMOなど多数のスキルを使うゲームで、Snap Flex・Dynamic Keystrokeまで活用したい人
- 旧Tartarus Proのスクロールホイール・8方向サムパッド・独立スペースバーを積極的に使っている人
- ラピッドトリガーと8000Hzだけが目的の人(同価格帯の通常キーボードでも実現できる)
- Counter-Strike 2の公式サーバーでSnap Tapを常用したい人(Valveが検出・無効化を案内)
選択肢新型と旧型、どちらを選ぶか
TMRスティックの操作性を重視するなら新型、従来型レイアウトのまま安く始めたいなら旧型が候補になります。
FAQよくある質問
まとめまとめ|「速いキー」ではなくTMRスティック中心の新しい操作方式
Razer Tartarus V2 Proは、2019年のTartarus Proをそのまま高速化した製品ではありません。第2世代アナログオプティカルスイッチ、0.1〜4.0mmのアクチュエーション調整、0.1mmからのラピッドトリガー、8000Hz HyperPolling、TMR親指スティック、PBTキーキャップ、可動範囲を広げたリストレストなど、ハードウェアはほぼ全面的に刷新されています。中でも重要なのはTMRスティックです。8000Hzやラピッドトリガーだけなら、33,280円より安いゲーミングキーボードにも選択肢があります。Tartarus V2 Proに33,280円を払う意味が出てくるのは、「親指でスティック移動しながら、左手の残り4本の指で多数のキーを操作する」という独自のスタイルを使いたい場合です。
反対に、旧Tartarus ProでWASD移動を行い、親指側の8方向パッドやスペースバー、スクロールホイールを追加操作として使っている人にとっては、必ずしも買い替え先として理想的ではありません。現在のRazer公式価格では、Tartarus Proが16,988円、V2 Proが33,280円。価格差は16,292円あります。その差額で手に入るのは単なる「速いキー」ではなく、TMRスティックを中心にした新しい操作方式です。Tartarus V2 Proは、旧Proの完全上位互換というより「左手キーパッドをキーボードとコントローラーのハイブリッドへ作り直したモデル」と考えると、33,280円を払うべきか判断しやすくなります。





