Steam Machineを自作ケース化できる?Valveが外装CADデータを無料公開、交換パネルと3Dプリントの範囲とは
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Valveが外装CADデータを無料公開、交換パネルと3Dプリントの範囲とは
Valveは、SteamOS搭載の小型ゲーミングPC「Steam Machine」の外装形状を収録したCADデータをGitLabで公開しました。フロントパネルや装飾カバーを正確な寸法で3Dプリントできるようになった一方、公開されたのは外装の表面形状のみで、内部のマザーボードや冷却機構の設計図ではありません。
PC自作の定番であるMini-ITX規格のパーツを、あのキューブ型のSteam Machineに組み込めたら面白そうです。実際、Valveが2026年7月28日に外装CADデータを公開したことで、そんな期待を持った人は少なくありません。
今回公開されたのは、Steam Machine前面のフロントパネルや装飾パーツを正確な寸法で設計するための外装データです。CC BY-NC-SA 4.0ライセンスのもと、個人利用であれば自由に改変・共有できます。
ただし公開範囲はあくまで外装の表面形状のみで、内部のマザーボードや冷却機構の設計図ではありません。この記事では、公開データで実際に作れるもの、作れないもの、3Dプリント時の注意点までを具体的に整理します。
目次
結論公開されたのは外装のみ、内部の設計図ではない
Steam Machineの外側の輪郭に合わせて、交換用フロントパネルや装飾カバーを正確な寸法で設計・3Dプリントできるようになりました。ただし基板配置やネジ穴、冷却機構などの内部構造は含まれておらず、市販パーツを使った完全な自作ケースは作れません。
公開データを使えば、Steam Machine本体の輪郭にぴったり合うアクセサリーを高い精度で設計できます。まずは磁石で着脱できるフロントパネルの自作から検討するのが現実的です。
発表Valveが2026年7月28日に外装CADデータを公開
Valveは現地時間2026年7月28日、Steam Machineの予約状況や互換レイヤー「Proton」実験版でのFSR 4.1対応を案内する公式アップデートのなかで、Steam Machineの外装形状を収録したCADデータをSteamOSのGitLabで公開したと発表しました。同じ更新で案内された予約キューと待機リストの扱いも、あわせて確認しておくと安心です。
Steam Machineは2026年6月末から出荷が始まった、SteamOS搭載の小型ゲーミングPCです。ValveはSteam Machineの発表当初から、着脱可能なフロントパネルの寸法データを公開し、ユーザーが独自デザインを作れるようにする方針を示していました。今回のCADデータ公開によって、その計画が実現した形です。
公開先のリポジトリには、readme、ライセンス文書、そしてSteam Machineの外部形状を収録した「steam_machine_3d.stp」の3種類が置かれています。STP(STEP)は3次元CAD向けのファイル形式で、物体を三角形の集合として扱うSTLとは異なり、面や曲線などの形状情報を高い精度で保持できます。
リポジトリに含まれるのは外部形状のデータのみで、マザーボード、冷却ファン、ヒートシンク、電源ユニットなどの内部設計データは公開されていません。つまり今回公開されたのは、Steam Machineの完全な製造図面ではなく、外装パーツを設計するための基準モデルです。
情報源:Steam公式「Steam Machine updates: Reservations, waitlists, and more」(現地時間2026年7月28日投稿)に基づいています。
交換フロントパネルは工具不要で自作できる
今回のCADデータで最も作りやすいのは、Steam Machine前面に装着する交換用フロントパネルです。Steam Machineのフロントパネルは四隅の磁石で固定される構造で、ネジやツメ、接着剤を使わずに着脱できます。
Valveが販売する2TBモデルには、標準パネルに加えて赤いファブリックと天然ウォールナットの追加パネルが付属します。CADデータを基準にすれば、この標準パネルと同じ輪郭・曲面に合わせたオリジナルデザインを作成できます。
単純に色や素材を変えるだけでなく、幾何学模様を加えたパネル、半透明素材を使ったパネル、通気口の形状を変更したパネルなども制作可能です。Steam Machineにはフロントパネルの下部に、明るさや色を変更できるRGBライトバーも搭載されています。パネルの一部を半透明にすれば、この発光を生かしたデザインも考えられます。
限界本体と同じ外装ケースをそのまま自作するのは難しい
CADデータにはSteam Machine全体の外部形状が含まれているため、見た目が同じ外装をモデリングすること自体は可能です。しかし、公開データをそのまま3Dプリンターへ読み込んでも、実用的な交換ケースが完成するわけではありません。
STPデータが示しているのは主に本体の外側の表面です。ケースの肉厚、固定用のツメ、ネジ穴、内部フレーム、基板の固定位置、端子周辺の細かな構造などは、自分で設計する必要があります。見た目だけを変える外側のカバーであれば比較的作りやすい一方、標準ケースを完全に置き換えるフルシェルの制作は上級者向けの改造になります。
市販のMini-ITXマザーボードを使った「自作Steam Machine」も理論上は考えられますが、Mini-ITX規格は170mm四方が標準サイズで、一辺156〜162mmほどのSteam Machine型ケースにはそのまま収まりません。Mini-STXやNUC向けの小型マザーボードを使う方法もありますが、グラフィックボード、電源ユニット、CPUクーラーを配置するための内部構造を新たに設計する必要があり、CADデータをダウンロードするだけでは完成しません。
代替外装より先に、手持ちPCへSteamOSを入れる方法もある
外装を完全に再現できなくても、市販PCへSteamOSをインストールし、リビング向けの自作Steam Machineとして使うことはできます。AMD製GPUを搭載した小型ベアボーンやMini-PCにSteamOSを導入すれば、テレビへ接続してコントローラー中心で操作するゲーム機風の環境を構築可能です。
この場合、ValveのCADデータは内部設計の基礎ではなく、Steam Machine風の外装デザインを作るための参考モデルとして使うことになります。対応GPUやインストール手順は、AMD GPU搭載PCを公式SteamOSで自作Steam Machine化するガイドで詳しく解説しています。
準備3Dプリンターへ送る前にSTL変換と素材選びが必要
Valveが公開したのはSTP形式のデータで、一般的な家庭用3Dプリンターでは直接スライサーへ読み込めない場合があります。その場合はFusionやFreeCAD、OnshapeなどのCADソフトでファイルを開き、STLや3MFへ変換します。外部形状のデータには印刷用の肉厚や固定構造が設定されていないため、必要な範囲の面を抽出し、厚みや磁石を配置する構造を追加する作業も欠かせません。
試作品を作るだけなら扱いやすいPLAでも問題ありませんが、外装として継続的に使う場合は耐熱性に注意が必要です。PLAは一般的な3Dプリント素材のなかでは耐熱温度が低く、排気口付近や直射日光が当たる場所では変形の余裕が小さくなります。実用品としては、PLAより耐熱性が高く比較的印刷しやすいPETGが候補になり、さらに耐熱性を重視する場合はABSやASAも選択肢になります。
プリンターの寸法誤差や素材の収縮によって、CAD上では一致していても実物ではきつすぎたり隙間が生じたりすることがあります。一度で本番パーツを印刷するのではなく、固定部分や角だけを切り出した小型テストモデルで確認する方法が安全です。
冷却通気口をふさぐデザインは温度上昇を招く
Steam Machineの外装を変更するときに最も注意したいのが冷却性能です。小型の筐体内にCPU、GPU、電源ユニットを収めているため、内部の空気の流れが重要になります。Valveは120mmファンと大型ヒートシンクを中心に冷却機構を設計し、底面や前面など複数の場所から空気を取り込める構造を採用しています。
外装パーツによって前面の吸気口を小さくしたり、本体全体を隙間のないカバーで覆ったりすると、吸気抵抗が増える可能性があります。温度が上昇するとファン回転数が上がって静音性が低下し、冷却が追いつかなければCPUやGPUのクロックが下がってゲーム性能にも影響しかねません。デザインを優先して通気口を細くする場合は、標準パネルと交換した状態でCPU温度、GPU温度、ファン回転数を比較しておく必要があります。
外装本体を覆う大型カバーは排熱の逃げ道を確保する
Steam Machine全体を別の形へ見せる外装カバーも制作できます。ただし、本体を一回り大きなカバーで覆う場合は、吸気口と排気口の周囲に十分な空間を確保しなければなりません。外装カバーの内部に排熱がたまると、Steam Machine本体へ暖かい空気が戻ってしまう可能性があります。排気の向きと同じ場所に大きな開口部を設け、カバーと本体の間にも空気が通る隙間を確保する必要があります。
本体の上に載せるだけの装飾パーツでも、重量が大きいと外装へ負担がかかります。Steam Machineを横向きに置いたり壁へ固定したりする場合は、転倒や落下にも注意が必要です。
注意本体のケースを開けると保証対象外になる可能性がある
CADデータが公式に公開されていても、Valveがあらゆる改造を保証しているわけではありません。ValveはCADデータの配布ページで、Steam Machineの外側のケースを開けた場合、メーカー保証の対象外になる可能性があると説明しています。
磁石で交換できるフロントパネルだけであれば本体を分解する必要はありません。一方、標準ケースを取り外して内部ユニットを移植するような改造では、ケーブルやコネクタを損傷したり冷却機構の組み付けが変わったりする可能性があります。保証への影響を避けたい場合は、本体を分解せずに交換できるフロントパネルや、簡単に取り外せる装飾パーツの範囲にとどめるのが安全です。
権利CC BY-NC-SA 4.0で個人利用と共有のみ許可
Steam MachineのCADデータは、CC BY-NC-SA 4.0ライセンスで公開されています。このライセンスでは、Valveへの適切なクレジット表示を条件に、元データのコピー、再配布、変更、派生データの作成が認められています。
ただし「NC」は非営利を意味し、商業的利益や金銭的報酬を主な目的とする利用は認められていません。自分で使うためにパネルを制作したり、無償でデータを共有したりする利用は可能ですが、ValveのCADデータをもとに作成したフロントパネルやケースをネットショップやフリマサイトで販売する行為は、標準ライセンスで認められる範囲を超える可能性があります。商品として販売したい場合は、Valveから別途許可を得る必要があります。
応用e-inkフェースプレート「Inkterface」も別途公開済み
Steam Machineの外装カスタマイズをめぐっては、Valveは今回の外装CADデータより前の2026年7月上旬にも、フロントパネルをe-inkディスプレイへ置き換える自作プロジェクト「Inkterface」の設計データをSteamOSのGitLabで公開しています。外装CADデータの公開とは別のタイミングですが、Valveがユーザー主導の改造を後押しする姿勢を示す事例としてあわせて知っておく価値があります。
公開されているのは、フェースプレートの筐体を3Dプリントするためのファイル、必要な部品一覧、PDFと動画による組み立てガイド、ESP32ベースのコントローラー基板向けファームウェアの一式です。部品には5.83インチのe-inkパネルと駆動基板、小型のリチウムポリマーバッテリーなどが含まれ、本体とはBluetoothで接続してハードウェア情報やカスタム画像を表示できます。組み立てにははんだ付けの知識と3Dプリンターが必要で、公式なSteamアプリが整うまでは、ユーザー自身がソフトウェアをビルドして使う形になります。
FAQSteam MachineのCADデータ公開に関するよくある質問
総括外装データは「見た目を自由にする」ための第一歩
Valveが公開したSteam MachineのCADデータを利用すれば、交換用フロントパネルや装飾カバーを正確な寸法で設計できます。木目調や半透明のパネルへ変更するようなカスタマイズも、CC BY-NC-SA 4.0ライセンスの範囲内で個人利用なら自由に行えます。
一方、公開されたのはSteam Machineの外部形状を示すSTPファイルであり、内部のマザーボードや冷却機構、ネジ穴まで収録した完全なPCケース設計図ではありません。市販のMini-ITXパーツを入れたSteam Machine風PCを作るには、内部フレームや冷却構造を別途設計する必要があります。
吸気口や排気口をふさぐ外装は温度や騒音を悪化させる可能性があり、本体のケースを開ける改造は保証対象外になる可能性もあります。まずは本体を分解せずに交換できるフロントパネルから試すのが、いちばん安全な始め方です。

