LinuxゲーマーがSteamで4%を突破|SteamOS普及でWindows離れは本当に進んでいるか【2026年7月】
本記事にはアフィリエイト広告(Amazon・楽天市場等)のリンクが含まれています。
数字の変動を鵜呑みにせず、1年単位の傾向で見る
出典:Valve公式「Steam Hardware & Software Survey」(2026年7月)。日程・数値は本記事公開時点(2026年8月2日)の情報にもとづきます。
Steam Deckの登場以前、SteamにおけるLinuxの割合は1%前後にとどまっていました。現在はSteamOS・Proton・Bazzite・CachyOSなどの普及によって、Linuxでも多くのWindows向けゲームを遊べる環境が整っています。
ただし、4.01%という数字だけを見て「Windows離れが本格化した」と判断するのは早計です。Windowsは依然としてSteamユーザーの9割以上を占めており、Linuxの月間シェアも大きく上下しています。2026年3月には5.33%まで上昇しましたが、5月には3.99%まで低下しました。今回の4%突破は、Windowsを脅かすほどの急激な移行ではありません。それでも、Linuxが一部の愛好家だけが使う環境から、PCゲーム用OSの現実的な選択肢へ変わりつつあることを示す数字です。
この記事では、2026年7月の調査データをもとに、Linuxシェアの実態、SteamOSやSteam Machineの影響、Windowsとの比較を整理します。
目次
要点2026年7月のSteam OSシェア
| OS | 2026年7月の割合 |
|---|---|
| Windows | 93.67% |
| Linux | 4.01% |
| macOS | 2.32% |
Windowsは前月比0.43ポイント減、LinuxはValveのページ上では0.32ポイント増、macOSは0.11ポイント増と表示されています。ただし、この増減値はそのまま受け取らないほうがよいでしょう。2026年6月のLinuxシェアは当初3.69%と表示されていましたが、海外の技術系メディアは後から比較基準が修正された可能性を指摘しています。この場合、7月の実質的な増加は0.32ポイントではなく、0.02ポイント程度です。つまりLinuxが7月に突然急増したというより、4%前後の水準を維持していると見るほうが適切です。
推移Linuxの4.01%は過去最高ではない
2026年7月の4.01%は大きな節目ですが、Steam調査におけるLinuxの過去最高記録ではありません。Linuxは2026年3月に5.33%まで上昇し、4月も4.52%を記録しました。その後、5月は3.99%へ低下し、6月の初期集計では3.69%、7月は4.01%となっています。
| 調査月 | Linuxの割合 |
|---|---|
| 2026年3月 | 5.33% |
| 2026年4月 | 4.52% |
| 2026年5月 | 3.99% |
| 2026年6月 | 当初3.69%と表示 |
| 2026年7月 | 4.01% |
3月の5.33%には、Steamを利用する地域や言語の構成が大きく変動した影響も含まれている可能性があります。同月の調査では簡体字中国語の割合が大幅に低下し、英語を含むほかの言語の構成比が相対的に上昇しました。Linuxの利用率は地域や言語によって異なるため、調査対象の構成が変わるだけでもOSの割合は大きく動きます。そのため、5.33%から4.01%へ低下したことを「Linuxブームが終わった」と判断することも、7月の上昇を「Windowsから大量移行が始まった」と判断することも適切ではありません。重要なのは、1か月ごとの増減より長期的な傾向です。
前年比1年前と比べるとLinuxは明確に増えている
2025年7月のSteam調査では、Linuxの割合は2.89%、Windowsは95.23%、macOSは1.88%でした。2026年7月はLinuxが4.01%、Windowsが93.67%です。1年間でLinuxは約1.1ポイント上昇し、Windowsは約1.6ポイント低下したことになります。
| OS | 2025年7月 | 2026年7月 |
|---|---|---|
| Windows | 95.23% | 93.67% |
| Linux | 2.89% | 4.01% |
| macOS | 1.88% | 2.32% |
月ごとの調査には変動があるものの、Linuxが1年前の3%未満から4%前後へ移動していることは注目に値します。わずか1ポイント程度の変化に見えますが、Steamのような巨大プラットフォームでは、数十万人から数百万人規模の利用環境に関係する可能性があります。ただし、Valveは現在のSteam月間アクティブユーザー数とOS別の実人数を毎月公開していません。4.01%という割合からLinuxユーザーの実数を正確に割り出すことはできないため、算出した人数を確定値のように扱うのは避けるべきです。
内訳分析SteamOSだけでLinuxが4%になったわけではない
Linuxゲーマーの増加というと、Steam DeckとSteamOSの影響が最初に思い浮かびます。実際、2026年7月の調査では、SteamOS Holo 64bitがSteam全体の0.89%を占めています。Linux環境だけに絞ると、SteamOS Holoの割合は22.24%です。Linuxディストリビューションのなかでは最大ですが、Linuxゲーマー全体の4分の1未満にとどまります。
| Linux環境 | Linuxユーザー内の割合 |
|---|---|
| SteamOS Holo | 22.24% |
| CachyOS | 14.31% |
| Arch Linux | 8.29% |
| Linux Mint 22.3 | 8.12% |
| Bazzite | 7.73% |
この結果から、Linuxゲーマーの増加はSteam Deckだけで説明できないことが分かります。SteamOSは最大の単一ディストリビューションですが、残りの約8割はCachyOS・Arch Linux・Linux Mint・Bazzite・Ubuntu・Fedoraなどを利用しています。Steam DeckやSteam Machineを購入した人だけでなく、既存のデスクトップPCへLinuxをインストールしてゲームを遊ぶユーザーも増えていると考えられます。
新型ハードSteam Machineの発売はどこまで影響したか
Valveは2026年6月22日、新しいSteam MachineをKOMODO STATION経由で日本・台湾・香港へ発売しました。512GBモデルの価格は税込189,980円で、事前の予約キューではなく通常販売の形で開始されましたが、販売開始からわずか3時間ほどで完売しています。欧米では抽選・順番待ちの予約キュー方式が採用されている一方、日本を含むアジア圏では、Steamアカウント連携なしで購入できる仕組みだったこともあり、転売目的の購入も含めて短時間で在庫がなくなったと見られています。
2026年7月のSteamOS HoloはSteam全体の0.89%となり、前月から0.05ポイント増えました。Steam Machineの出荷開始が、SteamOSの増加に一定の影響を与えた可能性はあります。しかし、Valveは実際の販売台数を公開していません。さらに、発売から7月調査までの期間が短く、即完売した性質上、すべての需要者へ製品が行き渡っているわけでもありません。現時点では、7月のLinuxシェア上昇をSteam Machineの効果と断定することはできません。Steam Machineの影響が本格的に現れるとすれば、追加生産や再販売が進む2026年後半以降になる可能性があります。
互換技術Linuxゲームを現実的にしたProton
Linuxゲーマーが増えた最大の理由の一つが、Valveの互換レイヤー「Proton」です。Protonを使用すると、Linux版が用意されていないWindows向けゲームでも、SteamOSや一般的なLinuxディストリビューション上で動かせます。ValveはSteam DeckとSteam Machineの互換性審査でも、Linuxネイティブ版がないゲームをProton経由で動作させています。Windows用の実行ファイルやゲームデータを自動的にLinux環境で動かす仕組みであり、ユーザーが複雑な設定を行わなくても起動できるタイトルが増えました。
以前のLinuxゲーム環境では、Linux版が正式に提供されているタイトルを選ぶか、Wineを手動で設定する必要がありました。現在はSteamでインストールボタンを押すだけで、Windows版をProton経由で起動できるタイトルが多くなっています。この使いやすさがSteam Deckの成功を支え、その成果がデスクトップLinuxにも還元されています。
コミュニティ版BazziteやCachyOSもLinux普及を後押し
2026年7月の調査で注目したいのが、CachyOSとBazziteの存在です。CachyOSはLinuxユーザー内で14.31%を占め、SteamOSに次ぐ2番手となっています。Bazziteも7.73%まで伸びました。CachyOSはArch Linuxをベースに、ゲームやデスクトップ用途へ最適化したディストリビューションです。新しいLinuxカーネル、グラフィックスドライバー、各種最適化を比較的早く利用できることが特徴です。BazziteはFedora系のディストリビューションで、Steam DeckやSteamOSに近いゲームモードを一般的なPCや携帯型ゲーミングPCで利用できます。ValveのSteamOSを正式にインストールできない構成でも、Bazziteを使えば、コントローラー中心のゲーム機に近い環境を構築できます。Linuxゲーマーの増加は、ValveがSteamOSを広げたことだけでなく、コミュニティがゲーム向けLinux環境を使いやすく整備してきた成果でもあります。
実態Windows離れよりWindows10から11への移行が大きい
2026年7月の調査だけを見ると、Windows全体は93.67%まで低下しています。しかし、Steam上で起きている最大のOS移行は、WindowsからLinuxへの移行ではありません。Windows 10からWindows 11への移行です。2026年7月時点でWindows 11 64bitはSteam全体の70.26%、Windows 10 64bitは23.30%を占めています。Windows 11だけで、Linux全体の17倍以上のシェアがあります。Windows 10のサポート終了や新しいゲーミングPCへの買い替えによって、多くのユーザーはLinuxではなくWindows 11を選んでいます。Linuxが増えているのは事実ですが、現在のPCゲーム市場を「WindowsからLinuxへ一斉に移行している」と表現するのは正確ではありません。Windows内での世代交代が中心であり、その一部がLinuxやmacOSへ流れている段階です。
動機Windowsへの不満はLinux移行のきっかけになる
Linuxの増加とWindowsへの不満に、まったく関係がないとは考えにくいでしょう。Windows 11では、対応CPUやTPM 2.0などの動作要件が設定されています。Windows 10を問題なく使えていたPCでも、正式にはWindows 11へ更新できない場合があります。また、OS内の広告・Microsoftアカウントの要求・AI機能・バックグラウンドサービス・アップデートによる不具合などに不満を持つユーザーもいます。こうしたユーザーにとって、無料で導入でき不要な機能を減らしやすいLinuxは代替候補になります。
ただし、Steam調査からはユーザーがOSを変更した理由までは分かりません。Windowsのシェア低下とLinuxの上昇が同時に発生していても、同じユーザーがWindowsからLinuxへ移ったことを直接証明するデータではありません。Steam DeckやSteam Machineを追加購入し、Windows PCとSteamOS機を併用しているユーザーも含まれます。したがって、「Windowsへの不満がLinux普及を後押ししている可能性はあるが、Steam調査だけでは移行理由を断定できない」という見方が妥当です。
対応状況Linuxでは遊べないゲームも残っている
ProtonによってLinuxで動くWindowsゲームは大幅に増えましたが、すべてのタイトルに対応しているわけではありません。特に問題になりやすいのが、カーネルレベルのアンチチートや独自のランチャーを使用するオンラインゲームです。Valveによると、ProtonはEasy Anti-CheatとBattlEyeをサポートしています。ただし、ゲーム開発者がLinuxまたはProtonへの対応を有効にする必要があり、アンチチートを採用しているだけで自動的にSteamOS対応になるわけではありません。ゲーム側が対応を有効にしていない場合や、独自のカーネルドライバーを必要とする場合は、Linux上で起動できない可能性があります。競技性の高いオンラインゲームを中心に遊ぶ人は、Linuxへ完全移行する前に、普段プレイするタイトルの動作状況を確認する必要があります。Windowsとのデュアルブートや、Windows PCとSteamOS機の併用が現実的な場合もあります。
GPU事情NVIDIA環境ではSteamOSの選択肢がまだ限られる
一般的なLinuxディストリビューションではNVIDIA製GPUも利用できます。一方、ValveのSteamOSはSteam DeckやSteam Machineなど、特定のハードウェアを中心に提供されています。一般的な自作PCへインストールし、あらゆるAMD・Intel・NVIDIA構成を公式サポートするWindowsのようなOSには、まだなっていません。そのため、自作ゲーミングPCでSteamOSに近い操作環境を利用したい場合は、Bazziteなどのディストリビューションが候補になります。特にゲームモード・可変リフレッシュレート・HDR・スリープ復帰などを重視する場合は、GPUやディスプレイとの相性を事前に確認したほうがよいでしょう。Linuxのシェアが伸びても、幅広いPC構成をほぼ同じ手順で利用できるWindowsの強みは依然として大きいままです。
統計の限界Steam調査の数字には注意が必要
Steamハードウェア&ソフトウェア調査への参加は任意で、データは匿名で収集されます。全SteamユーザーのPCを常時集計しているわけではありません。調査対象となった地域・言語・ユーザー層の割合が変わると、OSやGPUのシェアも大きく変動する可能性があります。Valveが公開後に数値を修正することもあり、前月比が後から変わる場合があります。2026年7月のLinuxシェアについても、複数の海外の技術系メディアが6月との比較値に不整合があると指摘しています。1か月だけの結果ではなく、少なくとも数か月から1年単位で推移を見ることが重要です。今回の4.01%は「突然Linuxへ大量移行した証拠」ではありませんが、1年前の2.89%と比べれば、Linuxゲーム環境が拡大している傾向は確認できます。
業界への波及Linuxシェアが増えるとゲーム開発は変わるか
Linuxのシェアが安定して4〜5%へ達すれば、ゲーム開発会社にとって無視しにくい市場になります。すべてのゲームにLinuxネイティブ版を用意する必要はありません。Windows版がProtonで正常に動作するように設計し、アンチチートのLinux対応を有効にするだけでも、SteamOSユーザーへ販売できます。ValveはSteam DeckとSteam Machine向けに互換性審査を行い、操作・表示・起動・パフォーマンス・Proton固有の問題などを確認しています。問題が解決されれば再テストも行われます。SteamOS搭載機が増えれば、「Steam Deckで動くか」だけでなく「Steam Machineを含むSteamOS環境で動くか」が購入判断に影響するようになります。特にインディーゲームや買い切り型ゲームでは、Proton対応によって比較的少ない追加コストで販売対象を広げられる可能性があります。
判断基準今すぐWindowsからLinuxへ移行してもよいか
- Steamで遊ぶゲームがシングルプレイ中心の人
- Steam Deckで問題なく動くゲームやProtonとの互換性が高いタイトルを中心に遊ぶ人
- 使用しているアプリがLinuxに対応している人
- カーネルレベルのアンチチートを使う競技系オンラインゲームを遊ぶ人
- PC Game Pass・Adobe製品・業務用ソフトを使う人
- 周辺機器向けの専用設定ソフトを日常的に使う人
ゲームが起動しても、アップデート後に問題が発生したり、動画再生・アンチチート・MOD・ランチャーなどで制限が生じたりする可能性があります。Linuxを試す場合は、現在のWindows環境をすぐに消去するのではなく、別のSSDへのインストールやデュアルブートから始める方法が現実的です。
総合評価Windows離れは進んでいるか
Linuxの利用者が増え、Windowsのシェアが少しずつ低下していることから、限定的なWindows離れは進んでいると考えられます。2025年7月には2.89%だったLinuxが、2026年7月には4.01%へ上昇しました。SteamOSだけでなく、CachyOS・Bazzite・Arch Linux・Linux Mintなどの割合も大きく、デスクトップPCでLinuxを使うゲーマーが広がっています。しかし、PCゲーマー全体がWindowsを捨て始めたと表現できる段階ではありません。Windowsは依然として93.67%を占め、Windows 11だけでも70.26%です。Steamでの標準的なゲーム環境がWindowsである状況は変わっていません。現状を正確に表現するなら、「Windows一強は続いているが、Linuxが無視できない第2の選択肢へ成長し始めた」といえます。
今後の展望今後は5%を安定して維持できるかが焦点
今後の注目点は、Linuxが一時的に5%へ到達することではなく、4〜5%台を安定して維持できるかどうかです。Steam Machineの供給拡大、SteamOS対応ハードウェアの増加、Protonの改善、アンチチート対応ゲームの拡大が進めば、Linuxシェアはさらに上昇する可能性があります。一方、Windows 11のゲーム性能や使い勝手が改善されれば、Windows 10ユーザーの多くはそのままWindows 11へ移行するでしょう。PC Game Pass・競技系オンラインゲーム・クリエイティブソフト・周辺機器の互換性もWindowsに有利な要素です。LinuxがWindowsを置き換えるには、ゲームが動くだけでなく、導入・設定・アップデート・トラブル解決まで含めて、一般ユーザーが迷わず使える環境が必要になります。
FAQよくある質問
総括まとめ|Windows一強の中でLinuxが第2の選択肢に成長
2026年7月のSteamハードウェア&ソフトウェア調査で、Linuxの割合は4.01%となりました。Windowsは93.67%、macOSは2.32%です。Linuxは2026年3月に5.33%を記録しているため、4.01%は過去最高ではありません。Steam調査には月ごとの変動や公開後の修正もあり、7月にLinuxユーザーが突然急増したとは断定できません。
それでも、2025年7月の2.89%から約1年で4%前後まで増えた長期傾向には意味があります。SteamOS Holoは Linuxユーザーの22.24%を占めていますが、残りの大部分はCachyOS・Arch Linux・Linux Mint・Bazziteなどです。ProtonによってWindows向けゲームをLinuxで動かしやすくなり、Linuxは以前より現実的なゲーム環境になりました。
一方、アンチチート・特定のオンラインゲーム・PC Game Pass・周辺機器・一般的なPC構成への対応ではWindowsが依然として有利です。PCゲーマーの大規模なWindows離れが始まったわけではありませんが、Linuxは「一部の上級者が使うOS」から「ゲーム用PCで検討できる第2の選択肢」へ変わり始めています。

