Radeon RX 9070 XTがSteamで1.46%へ|AMD GPUの型番表示改善はなぜ起きた?【2026年9月】
本記事にはアフィリエイト広告(Amazon・楽天市場等)のリンクが含まれています。
AMD GPUの型番表示改善はなぜ起きたのか
Steamが公開しているハードウェア調査では、以前からAMD Radeon GPUの型番が正確に表示されにくいという課題がありました。RX 9070 XTのような主力モデルが個別のGPUとして一覧に出てこず、実際の販売動向に比べてRadeonの存在感が小さく見える状態が続いていたためです。
この状況が、2026年5月分の調査から大きく変わりました。Radeon RX 9070 XTとRX 9060 XTが個別の型番として表示されるようになり、8月時点ではそれぞれ1.46%、0.80%まで利用率を伸ばしています。同時に「AMD Radeon(TM) Graphics」という汎用カテゴリーの数字が大きく落ち込んでおり、両者の動きには明確な関連が見て取れます。
この記事では、Steam公式の調査データを4月から8月まで月別に並べ、型番表示がいつどのように変わったのかを数字で確認します。AMD全体のシェアがどこまで伸びているのか、今後もこの流れが続くのかについても整理します。
出典:Steam Hardware & Software Survey(Valve)
目次
背景Steam Hardware Surveyとは|これまでAMD GPUの型番表示に何が起きていたか
Steam Hardware & Software Surveyは、Steamを利用しているユーザーのPC構成を毎月集計する調査です。参加は任意で、データは匿名で収集されます。OS、CPU、メモリ容量、画面解像度、GPUの型番などが確認でき、PCゲーム市場で実際に使われているハードウェアを把握できる数少ない公開資料として、GPUメーカーの勢力図を判断する材料にもよく使われています。
ただし、AMD Radeon GPUについては、以前から型番の識別精度に課題があると指摘されてきました。個別のGPU名ではなく、「AMD Radeon Graphics」や「AMD Radeon(TM) Graphics」といった汎用的な名称でまとめて集計されるケースが多く、どのGPUがどれだけ使われているのか分かりにくい状態が続いていたためです。
2026年4月分の調査でも、Radeon RX 9070は0.18%で表に出ていたものの、RX 9070 XTは個別の型番として表示されていませんでした。一方で「AMD Radeon(TM) Graphics」は2.37%を占めており、一部のRadeonが正確に分類されていない可能性が指摘されていました。
転機2026年5月にRX 9070 XTが1.33%で表示されるようになった
この状況が変わったのが、2026年5月分の調査です。それまで一覧にほとんど表示されていなかったRadeon RX 9070 XTが、いきなり1.33%で登場しました。Steam公式のデータで月別の推移を確認すると、この変化がどれだけ急だったかがよく分かります。
| GPU/カテゴリー | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
|---|---|---|---|---|---|
| Radeon RX 9070 XT | — | 1.33% | 1.35% | 1.40% | 1.46% |
| Radeon RX 9060 XT | — | 0.72% | 0.74% | 0.76% | 0.80% |
| Radeon RX 9070 | 0.18% | 0.18% | 0.18% | 0.19% | 0.20% |
| AMD Radeon(TM) Graphics | 2.37% | 0.90% | 0.91% | 0.94% | 0.92% |
| AMD Radeon (TM) Graphics | 0.44% | 0.48% | 0.46% | 0.48% | 0.47% |
| AMD Radeon Graphics | 1.80% | 1.89% | 1.80% | 1.84% | 1.73% |
注目したいのは、「AMD Radeon(TM) Graphics」が4月の2.37%から5月には0.90%まで急落している点です。下落幅は約1.47ポイントで、同じ5月に新規登場したRX 9070 XTの1.33ポイントと近い数字になっています。RX 9070 XTは発売直後の製品ではなく、5月だけ突然大量に売れたわけでもありません。そのため、これまで「AMD Radeon(TM) Graphics」として集計されていたRX 9070 XTの多くが、正しい型番へ再分類された可能性が高いとみられます。
ValveがGPUの識別方法を変更したのか、AMD側がドライバーの報告方法を改善したのかは公式に説明されていません。ただし数値の動きを見る限り、販売台数の急増というより、集計方法に何らかの変更が入ったと考える方が自然です。
推移RX 9070 XTとRX 9060 XTはその後も伸び続けている
型番表示の改善はRX 9070 XTだけにとどまりません。Radeon RX 9060 XTも5月分の調査で0.72%から表示が始まり、6月は0.74%、7月は0.76%、8月は0.80%と緩やかに増加しています。RX 9070 XTも5月の1.33%から6月に1.35%、7月に1.40%、8月には1.46%まで伸びました。
この推移を見る限り、5月の数字は一時的な集計ミスではなく、その後も継続して型番が認識されていると判断できます。特に8月分では、長らく上位に居座っていたGeForce RTX 3080の1.38%をRX 9070 XTが上回りました。7月分では両者とも1.40%で並んでいたため、明確に順位が入れ替わったのは8月分が最初です。RTX 3080は前月比マイナス0.02ポイントで緩やかに減り続けており、今後この差はさらに開く可能性があります。
すぐ上にはGeForce GTX 1660 SUPERの1.47%があり、その差はわずか0.01ポイントです。GTX 1660 SUPERは2019年発売の旧世代GPUで長期的には減少傾向にあるため、RX 9070 XTがこの水準を追い抜くかどうかが次の見どころになります。
なお、Steam公式ページには「全カード」の表と「DirectX 12対応GPU」だけを抜き出した表が別々に用意されており、同じGPUでも数字が違います。8月分の場合、RX 9070 XTは全カードの表で1.46%、DirectX 12対応GPUの表では1.50%です。集計対象が異なるため、2つの表の数字を混ぜて比較すると順位や差がずれます。この記事の数値はすべて「全カード」の表で統一しています。
最新データ2026年8月時点のAMD GPUシェア一覧
2026年8月分の調査では、AMDの現行・旧世代GPUが幅広く確認できます。主要なモデルを利用率が高い順に並べると、次のようになります。
| 順位 | GPU | 利用率 |
|---|---|---|
| 1 | Radeon RX 9070 XT | 1.46% |
| 2 | Radeon RX 6600 | 0.83% |
| 3 | Radeon RX 9060 XT | 0.80% |
| 4 | Radeon RX 7800 XT | 0.63% |
| 5 | Radeon RX 580 | 0.56% |
| 6 | Radeon RX 6700 XT | 0.55% |
| 7 | Radeon RX 5700 XT | 0.54% |
| 8 | Radeon RX 7600 | 0.49% |
| 9 | Radeon RX 7900 XTX | 0.42% |
| 10 | Radeon RX 7900 XT | 0.33% |
| 11 | Radeon 780M Graphics | 0.29% |
RX 9070 XTの1.46%は2位のRX 6600(0.83%)の約1.8倍にあたり、AMDの単体GPUとしては頭ひとつ抜けた位置にいます。ただしこれは8月に始まった話ではありません。型番が個別表示されるようになった5月の時点で、すでにRX 9070 XTの1.33%はRX 6600の0.90%を上回っていました。8月分で変わったのは、RX 6600が0.83%まで下がり、差がさらに広がったという点です。
一方でRX 6600やRX 580といった旧世代・エントリー帯のGPUも依然として一定の存在感を保っています。RX 7900 XTXやRX 7900 XTといったハイエンドモデルより、ミドルレンジや旧世代GPUの方が広く使われている傾向がうかがえます。
Ryzenの内蔵GPUであるRadeon 780M Graphicsも0.29%です。携帯ゲーミングPCや内蔵GPU搭載ノートPCの普及が進めば、今後はディスクリートGPUだけでなく、Radeon内蔵GPUの割合も伸びる可能性があります。
全体像AMDのGPUシェアは2026年5月時点で約19%まで伸びていた
個別GPUの数字を積み上げてメーカー別に集計すると、2026年5月時点でAMDが19.13%、NVIDIAが72.42%、Intelが8.05%だったとする集計があります。NVIDIAが依然として圧倒的な首位である点は変わりませんが、AMDが2割に迫る水準まで来ていたことになります。
AMDが約19%まで増えた背景には、RX 9000シリーズの実売そのものだけでなく、これまで正しく分類されていなかったGPUがAMD製品として明確に認識されるようになった影響も含まれている可能性があります。そのため、この数字をすべて新規販売による純粋な成長と捉えるのは適切ではありません。
それでも、これまで過小に見えていたRadeonの利用実態が、以前より正確に反映されるようになったという点は重要です。Steam上でRadeonが急に人気になったというより、以前から使われていたRadeonが、ようやく数字として見えるようになったと捉えるのが実態に近いでしょう。
注意点Steam Hardware Surveyは市場シェアそのものではない
Steam Hardware Surveyを見る際は、GPUの販売シェアや出荷シェアと同じものではない点に注意が必要です。調査への参加は任意であり、すべてのSteamユーザーが毎月回答するわけではありません。調査対象となる地域やユーザー構成が変われば、実際の販売台数に大きな変化がなくても、月ごとの割合が上下することがあります。
また、ノートPCの内蔵GPU、デスクトップ向けGPU、携帯ゲーミングPC向けGPUが同じ調査に含まれるため、単純にグラフィックボードの販売台数だけを表すデータでもありません。RX 9070 XTが1.46%だからといって、世界のグラフィックボード市場でそのまま1.46%のシェアを持っているという意味ではない点には注意してください。
Steam Hardware Surveyは、あくまでSteamを利用しているPCに、どのGPUが搭載されているかを推測するためのデータです。月単位の小さな増減よりも、数か月から1年単位の傾向で見る方が実態をつかみやすくなります。
評価型番表示の改善でRadeonの見え方はどう変わったか
今回の改善によって、AMD GPUが以前より公平に評価されやすくなった面があります。2026年4月時点では、RX 9070だけが0.18%で表に出ており、RX 9070 XTやRX 9060 XTは一覧にありませんでした。一方でNVIDIAのRTX 50シリーズは、主要なデスクトップ向けモデルがすでに個別表示されていました。この表示差によって、実際の利用者数以上に「Radeonはまったく売れていない」という印象が強まっていた可能性があります。
- RX 9070 XTがSteam上で一定規模の利用者を抱えていることが、数字として確認できるようになった
- RDNA 4世代のRadeonが、これまでの一覧よりはるかに実態に近い形で反映されるようになった
- ゲーム開発側にとって、AMD GPU向けの動作確認を検討する材料が増えた
- Radeonユーザーが急に増えたのではなく、集計方法の変更で見えるようになった可能性が高い
- Valveが方式を変えたのか、AMD側の報告が変わったのかは公式に説明されていない
- NVIDIAとの差は依然大きく、この変化だけで勢力図が変わったわけではない
ゲーム開発会社にとっても、利用GPUの構成は最適化や動作検証の優先順位を決める材料になります。Radeonの実利用数が正しく可視化されれば、AMD GPU向けの動作確認や最適化が従来より重視される可能性もありますが、Steam Hardware Surveyだけで開発方針が決まるわけではないため、直接的な効果を断定することはできません。
展望AMDのシェアは今後どこまで伸びるのか
今後のRadeonシェアについては、緩やかに増える可能性はあるものの、短期間でNVIDIAとの差が大幅に縮まるとは考えにくい状況です。2026年8月分では、GeForce RTX 5070が3.77%、RTX 5060が3.16%、RTX 5060 Tiが2.55%まで伸びています。
| GPU | 2026年8月の利用率 |
|---|---|
| GeForce RTX 3060 | 3.92% |
| ノート向けGeForce RTX 4060 | 3.84% |
| GeForce RTX 5070 | 3.77% |
| GeForce RTX 4060 | 3.60% |
| GeForce RTX 3050 | 3.21% |
| GeForce RTX 5060 | 3.16% |
| GeForce RTX 5060 Ti | 2.55% |
| Radeon RX 9070 XT | 1.46% |
Steamで最も多く使われているGPUは、GeForce RTX 3060の3.92%です。ノート向けRTX 4060が3.84%、RTX 5070が3.77%で続いており、上位の大半をGeForceが占めています。RX 9070 XTの1.46%やRX 9060 XTの0.80%も健闘していますが、RTX 5070ひとつでRX 9070 XTの2.5倍以上あり、同世代のGeForceとはまだ大きな差があります。
AMDがシェアを拡大するには、自作PC向けグラフィックボードだけでなく、BTOゲーミングPCやゲーミングノートPCへの採用を増やす必要があります。Steam Hardware Surveyでは、単体GPUの販売だけでなく、メーカー製PCやノートPCの出荷台数が大きく影響するためです。NVIDIAは数多くのBTOパソコンやゲーミングノートPCに採用されており、ノート向けRTX 4060などのモバイル向け製品が上位に入っています。AMDがデスクトップ向けRadeon単体で好調でも、ノートPCや完成品PCでの採用が少ない状態では、Steam全体の割合を大きく伸ばすのは難しいでしょう。
存在感RX 9070 XTはRadeonの中で頭ひとつ抜けた存在になった
現在のAMD GPUの中で、特に注目されるのがRX 9070 XTです。2026年8月の1.46%という数字は、RX 7800 XTの0.63%やRX 7900 XTXの0.42%を大きく上回っています。従来のRadeonでは、価格を抑えたRX 6600やRX 580などが上位に入る傾向がありましたが、RX 9070 XTは比較的高性能なGPUでありながら、Steam上でAMDの代表的な製品になっています。
ここで押さえておきたいのは、RX 9070 XTがAMDの単体GPUで最も使われている状態は5月から続いているという点です。8月分で新しく起きたのは、GeForce RTX 3080という他社の定番モデルを追い抜いたことであり、AMD内部の順位が入れ替わったわけではありません。この違いを分けて見ないと、RDNA 4が急に売れ始めたという誤った印象につながります。
性能、VRAM容量、価格のバランスが評価され、GeForce以外の選択肢を求めるユーザーに採用されている可能性があります。一方で、RX 9070 XTがSteam上で1.46%に達したからといって、Radeon全体が急速にNVIDIAへ追いついているわけではありません。RX 9070 XT単体では健闘していても、AMDにはGeForceほど幅広いノートPC向け製品やBTO採用モデルがないためです。今後のシェア拡大には、RX 9070 XTに続くヒット製品を複数の価格帯で投入できるかが重要になります。
留意点汎用カテゴリーはまだ残っている|数字は今後も変わる可能性
2026年8月時点でも、「AMD Radeon Graphics」(1.73%)や「AMD Radeon(TM) Graphics」(0.92%)、表記の異なる「AMD Radeon (TM) Graphics」(0.47%)といった汎用カテゴリーは残っています。これらには、Ryzen内蔵GPUだけでなく、型番を正しく識別できていない一部のGPUが含まれている可能性があります。
今後さらに識別精度が改善されれば、汎用カテゴリーの割合が下がり、RX 7000シリーズやRX 9000シリーズの個別シェアが増えることも考えられます。その場合、Radeonのメーカー別シェア自体が大きく変わらなくても、個別GPUの順位が突然入れ替わる可能性があります。RX 9070 XTのように、ある月から急に1%を超えるGPUが登場した場合は、販売の急増だけでなく、集計方法の変更も併せて疑う必要があるといえます。
選択肢RX 9070 XTとRTX 5070|どちらを選ぶか
RX 9070 XTとRTX 5070は、Steam上でも利用率が近づきつつある組み合わせです。VRAM容量や価格帯で選び方が変わるため、代表的な1枚ずつを紹介します。
FAQよくある質問
総括まとめ|Radeonの実態はようやく見えるようになった
Steam Hardware Surveyでは、2026年5月分からAMD Radeon GPUの型番表示が大きく改善しました。それまで「AMD Radeon(TM) Graphics」に含まれていたとみられるGPUが、RX 9070 XTやRX 9060 XTとして個別に表示されるようになっています。RX 9070 XTは2026年5月の1.33%から、8月には1.46%まで上昇しました。RX 9060 XTも0.80%に達しています。
8月分で新たに起きたのは、GeForce RTX 3080の1.38%をRX 9070 XTが上回ったことです。AMDの単体GPUで最多という状態自体は5月から続いているため、この2つは分けて見る必要があります。今回の変化は、Radeonユーザーが突然急増したというより、従来は見えなかった利用者が正しく集計されるようになった影響が大きいと考えられます。
Radeonが今後シェアを伸ばすには、RX 9070 XTのような単体GPUの成功だけでなく、BTOゲーミングPCやノートPCへの採用拡大が欠かせません。Steam Hardware Surveyの数字を見る際は、1か月ごとの増減だけで判断せず、型番の分類変更や調査対象の偏り、参照している表の種類も考慮しながら、数か月単位の推移を確認することが重要です。





