MicrosoftがゲーミングPCの32GBメモリ推奨を削除|16GB推奨に戻したわけではない?【2026年8月】
本記事にはアフィリエイト広告(Amazon・楽天市場等)のリンクが含まれています。
16GB推奨に戻ったわけではない、その理由とSurfaceの矛盾を確認
出典:Windows Latest(8月5日・2度目の削除を確認)/Windows Latest(5月・1度目の削除)/Tech Times(分析記事)/Windows Latest(Windows 11のメモリ最適化方針)/TrendForce公式(DRAM価格予測)/Microsoft公式(Copilot+ PC要件)/Microsoft Store(Surface Pro 12インチ)
ゲーミングPCのメモリ容量に悩んでいる人にとって、Microsoft公式サイトから32GB推奨ガイドが消えたというニュースは、正直なところ分かりにくい話です。「結局、今は16GBあれば足りるようになったのか」「32GBまで用意する必要はもうないのか」と受け取ってしまうと、購入判断を誤りかねません。
実際に何が起きたかというと、Microsoftは2025年11月28日公開の「ゲーミングPCセットアップの最適化」ガイドと、2026年5月に確認されていたもう1本のガイドを、いずれも公式な説明なしに削除しています。どちらも32GBメモリを要求スペックの高いゲームや大型MODに理想的な容量として案内していた文書です。同じ時期にMicrosoftは、8GBメモリを搭載したSurface Pro 12インチを849ドルから販売しており、Windows 11自体のメモリ使用量を減らす取り組みも並行して進めています。
この記事では、最初にガイド削除を報じたWindows Latestの2本の記事、詳細な分析を行ったTech Times、TrendForceのDRAM価格予測、MicrosoftのCopilot+ PC要件ページを一次情報として直接確認しました。「ガイドが消えた=32GBが不要になった」という解釈がなぜ成り立たないのか、DDR5メモリの価格高騰やSurfaceの構成という背景まで含めて整理します。
目次
経緯Microsoftが2026年に2度削除した32GB推奨ガイドの中身
Windows Latestが2026年8月5日に確認したところによると、Microsoftは「ゲーミングPCセットアップの最適化」というタイトルのLearning Centerガイドを削除していました。このガイドは2025年11月28日に公開されたもので、ほとんどのプレイヤーには16GBで十分としながらも、要求スペックの高いゲームや負荷の大きなMODを使うプレイヤーには32GBが理想的であり、Copilot+ PCがその構成へ到達する近道になると案内していました。削除後のURLはLearning Centerのトップページへリダイレクトされる状態になっており、Microsoftからの説明は一切ありません。
これが2026年で2度目の削除です。1度目は同年5月、Windows Latestが最初に報じた別のガイドで確認されました。こちらは32GBを「悩む必要のない安心の容量」と位置づける内容で、DDR5価格の高騰を見たゲーマーたちから批判が広がった直後に削除されています。Tech Timesの取材によれば、Microsoftはどちらの削除についても公式な声明を出しておらず、メディアからの取材にも回答していません。
解釈32GB推奨ガイドの削除は「16GBで十分」への方針転換ではない
ここで注意したいのは、Microsoftが「ゲーミングPCには32GBは不要」「今後は16GBを公式推奨とする」と発表したわけではないという点です。2つのガイドはあくまで削除されただけで、それに代わる新しいガイドラインが公開されたという事実は確認できません。ゲームが実際に必要とするメモリ容量も、Microsoftのページが1本消えたことで変化するわけではありません。
ゲームプレイ中に消費するメモリは、ゲーム本体だけで決まるものではありません。Discordやブラウザ、ゲームランチャー、録画・配信ソフトなどを同時に起動すれば使用量は増えますし、高解像度テクスチャや大型MODを利用するタイトルではさらに多くのメモリを必要とします。ゲーミングPCのメモリは16GBで足りるのか32GBとの差をゲーム別に検証した記事でも触れているとおり、どちらが適しているかは遊ぶゲームや同時に動かすアプリの数によって変わる話であり、Web上のガイドの有無で決まる話ではありません。
Microsoftが削除理由を公表していない以上、断定はできませんが、少なくとも「32GB推奨ガイドの削除」と「ゲーミングPCの推奨メモリが16GBに変わった」という2つを同一視するのは早計です。
要因背景にあるとみられるDDR5メモリの価格高騰
削除の公式な理由は明かされていませんが、時期が重なっているのがDRAM市場の急激な変化です。TrendForceは2026年2月2日、2026年第1四半期の従来型DRAM契約価格予測を前四半期比90〜95%上昇へ上方修正したと発表しました。これは記録的な上昇幅で、なかでもデスクトップ・ノートPC向けのPC DRAMについては「少なくとも前四半期比2倍(100%以上)」に達する見通しと、カテゴリー別でも突出した上昇率が示されています。
Tech Timesの分析によれば、2025年半ばには80〜120ドル程度だった32GB DDR5キットが、現在は入手できる場合でも300〜500ドルまで値上がりしているといいます。背景にあるのは、Samsung・SK hynix・Micronといったメモリメーカーが、AIアクセラレーター向けの高帯域幅メモリ(HBM)へ生産能力を優先的に振り向けている構造です。HBMモジュールは1個あたり60〜100ドル程度で取引される一方、同程度の容量のDDR5は5〜10ドル程度とされ、利益率の差が生産配分をHBM側へ傾かせています。SK hynixは2025年末の時点で、2026年生産分のメモリ需要をすでに確保し終えたとも報じられました。中国製DDR5-7200を掲載したLexarの動きを解説した記事で触れたとおり、新しい供給元が登場した程度では、この需給逼迫はすぐには解消しません。
32GBへのアップグレード費用がこれほど跳ね上がった状況で、「32GBへの投資は安心です」という趣旨のガイドを公式サイトに掲載し続けることは、Microsoftにとっても難しくなっていた可能性があります。ただし、これはあくまで時期の一致から指摘されている見方であり、Microsoft自身がDDR5価格を削除理由として認めたわけではない点には注意が必要です。
実例Surface Pro 12インチは8GBモデルが849ドルから
今回の動きを分かりにくくしているのが、Microsoft自身のSurfaceラインアップです。2026年6月、MicrosoftはSurface Pro 12インチとSurface Laptop 13インチに8GBメモリ構成を追加し、それぞれ849ドル・949ドルからという価格帯で販売を始めました。Microsoft Storeの製品ページでも、この価格帯の構成が実際に確認できます。
一方で、上位モデルであるIntel Core Ultra 5・16GBメモリ搭載のSurface Pro/Surface Laptopは、2026年5月時点で1,949ドルからという価格になっています。1年前の2024年には、エントリーモデルのSurface Proが999ドルで発売されていたことを踏まえると、上位構成の値上がり幅もかなり大きいことが分かります。Microsoftはこの価格上昇について、部材不足の影響を理由に挙げています。
さらに2026年6月25日には、Surface Laptopの購入ページの説明文が更新され、8GBメモリは「Webブラウジングや配信視聴、学業、一般的な作業に適している」という表現で案内されるようになりました。ゲーミング向けガイドで32GBを積極的に勧めていた同じ会社が、一方で8GBメモリを「日常使いに十分」と位置づけて販売している状態です。もちろんSurface Pro 12インチはゲーミングPCとして売られている製品ではないため、これをもって「ゲーミングPCも8GBで十分」と解釈するのは誤りです。それでも、Microsoftが自社のWindows 11搭載PCのメモリ構成を、以前より低容量側へ広げていることは確かです。
認定その8GB SurfaceはCopilot+ PCの基準を満たさない
Microsoft公式のCopilot+ PC案内ページでは、対応の条件として少なくとも40 TOPS(1秒あたり40兆回の演算)の性能を持つNPU、16GBのRAM、256GBのSSDという最小要件が明記されています。Surface Pro 12インチ・8GBモデルに搭載されるSnapdragon X PlusのNPUは、この40 TOPSという基準そのものは満たしています。しかし、RAMが8GBしかないためCopilot+ PCとしての認定要件を満たせず、Windows 11のCopilot+機能そのものが有効になりません。
つまり849ドルの8GB Surface Pro 12インチは、AI機能を動かせるだけの処理能力を持つチップを積みながら、メモリ容量という別の条件でCopilot+機能を使えない構成になっているということです。Microsoftは自社サイトでCopilot+ PCの魅力を積極的に案内する一方、その基準を満たさない自社製品も同時に販売している状態にあります。同じことはメモリ容量が16GB未満のその他のWindows 11 PC全般にも当てはまり、購入時にCopilot+機能の利用を期待している場合はメモリ容量を必ず確認する必要があります。
最適化Windows 11自体もメモリ使用量を減らす計画を進めている
Microsoftは、Windows 11搭載PCのメモリ容量を増やすだけでなく、OS自体のメモリ消費を減らす方向でも動いています。2026年7月31日、Windows and Devices部門を統括するPavan Davuluri氏が公開したWindows品質改善に関する報告書では、8GB以上のメモリを搭載するPC向けのメモリ最適化が、2026年末までの重点項目の1つとして挙げられました。社内テストでは、最適化前のWindows 11がアイドル状態だけで利用可能メモリの最大70%を消費するケースがあるとも説明されています。
改善の柱として挙げられているのは、より効率的なメモリアロケーター、WinUI 3を使った標準アプリの軽量化、Windows自体が内部で利用するChromiumベースのWebView2コンポーネントの効率化という3点です。この取り組みが本格的に展開されるのは2026年秋以降とされていますが、具体的なベンチマーク目標やビルド番号はまだ公開されていません。実際にどこまでメモリ使用量が減るのかは、この秋以降の展開を待って確認する必要があります。
重要なのは、OS側のメモリ消費が減ったとしても、ゲーム自体が必要とするメモリ容量まで減るわけではないという点です。ゲーム本体が20GB近いメモリを要求する場面では、Windowsが数百MBから数GB軽量化されたとしても、16GBという物理的な上限を超えることはできません。Windows 11の最適化とゲーミングPCに必要なメモリ容量は、分けて考える必要があります。
判断2026年にゲーミングPCを選ぶなら16GBを最低ラインに
今回のガイド削除を受けて、これから購入するゲーミングPCの構成をどう考えればよいのか整理します。Windows 11を起動しながらゲーム、ランチャー、Discord、ブラウザを同時に動かすことを考えると、8GBを積極的に選ぶ理由はほとんどありません。まずは16GBを最低ラインとして考えるのが安全です。
- 軽量なゲーム中心で、プレイ中に多くのアプリを併用しないなら16GBでも十分対応できる
- DDR5価格が高止まりしている間は、必要以上の容量を無理に積まない判断も合理的
- Windows 11側の最適化が今秋以降に効いてくれば、同じメモリ容量でも余裕は広がる可能性がある
- 「ガイドが削除されたから32GB不要になった」と早合点しない
- 最新の大型タイトル、重いMOD、配信・録画、複数アプリの同時使用が前提なら32GBの価値は変わらない
- ノートPCはメモリが基板に直接実装され増設できない機種があるため、長期使用予定なら初期構成を慎重に選ぶ
FAQよくある質問
総括まとめ|32GB推奨ガイドの削除は「32GBが不要になった」という意味ではない
Microsoftは2026年、Windows 11ゲーミング向けに32GBメモリを勧めていたガイドを2度削除しました。しかし削除理由は公式に説明されておらず、「ゲーミングPCは16GBで十分」という新しい方針を発表したわけでもありません。ゲームが実際に必要とするメモリ容量も、Web上のガイドが1本消えたことで変わるものではありません。
一方でMicrosoftは、8GBメモリ搭載のSurface Pro 12インチを849ドルから販売し、Windows 11自体のメモリ使用量を減らす取り組みも2026年7月末に発表しました。DDR5メモリの価格高騰を受けて、PC業界全体が少ないメモリでも快適に使える環境を模索し始めていることはうかがえます。それでも、ゲームそのものが消費するメモリ容量まで軽くなるわけではありません。
2026年時点でゲーミングPCを選ぶなら、16GBを最低ラインとして考え、遊ぶゲームや使い方に応じて32GBを検討するという判断が現実的です。今回Microsoftが削除したのは「32GBというメモリ容量の価値」ではなく「32GBを広く推奨していたWeb上のガイド」であり、判断の基準はMicrosoftのページが存在するかどうかではなく、自分が実際に遊ぶゲームとPCの使い方に置くべきです。

