GTA III・Vice City・Liberty City StoriesがNew 3DSに移植|reGTAが動く理由と旧3DS非対応の訳
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reGTAが動く理由と旧3DS非対応の訳
出典:GitHub「Epic0522/REGTA-3DSPort-Complete」 / GitHub「GNU-Pattor-Team/re3-3DS」(2022年公開の先行New 3DS移植) / 3dbrew「Hardware」 / Rockstar Gamesサポート「PC Single-Player Mods」 / GameSpot「Take-Two Sues Creators Of GTA Reverse-Engineering Project Re3」にもとづきます(2026年9月22日時点)。
PS2世代の『グランド・セフト・オートIII』『バイスシティ』『リバティーシティストーリーズ』という3作品が、New Nintendo 3DSという携帯ゲーム機で動く非公式プロジェクトが公開されました。GitHub上で「REGTA」と呼ばれるこのプロジェクトは、PS2エミュレーターでゲームを再現しているのではなく、リバースエンジニアリングされたゲームエンジンのソースコードをNew 3DS向けに直接ビルドしたネイティブ移植です。
調べたところ、GTA IIIとVice Cityについては以前からNew 3DS向けの移植が存在していましたが、今回のプロジェクトはその実装を大きく修正したうえで、これまで未完成だったLiberty City Stories側の実装を、実機でメインストーリーを完走できる水準まで仕上げています。
GitHubのREADMEと3dbrewのハードウェア資料という一次情報にもとづき、なぜNew 3DSでしか動かないのか、どのような最適化でオープンワールドゲームを携帯機に収めているのか、導入にあたって何が必要かまで整理します。
REGTAが公開しているのはソースコードとビルドスクリプトのみで、GTA III・Vice CityのPC版ゲームデータ、Liberty City StoriesのPS2版ゲームデータは含まれていません。利用にはそれぞれの正規版を購入・所持している必要があります。ベースとなったre3・reVCの開発者は2021年にTake-Twoから提訴された経緯があり、著作権者が今後同種のプロジェクトへ異議を申し立てる可能性は排除されません。当サイトはこうした非公式の改造・移植プロジェクトの利用を推奨する立場ではなく、技術的な動向として事実関係を紹介するものです。
目次
要点まず何が起きたか
開発者Epic0522氏が、既存のre3(GTA III)・reVC(Vice City)・reStories/reLCS(Liberty City Stories)というリバースエンジニアリングプロジェクトをベースに、New Nintendo 3DSシリーズ向けの実行ファイル(3DSX・CIA)としてビルドできる状態にまとめました。対応機種はNew Nintendo 3DS・New Nintendo 3DS XL・New Nintendo 2DS XLで、旧世代の3DS・3DS XL・2DSは対応していません。
仕組み「動く」の意味 / PS2エミュレーションとは違う
今回のREGTAはRockstar GamesやTake-Two Interactive、任天堂による公式移植ではありません。GitHub上のプロジェクトは、GTA III・Vice City・Liberty City Storiesのゲームエンジン側をNew 3DS向けにビルドできるようにしたもので、リポジトリそのものに市販ゲームの完全なデータは含まれていません。GTA IIIとVice CityはPC版のゲームデータ、Liberty City Storiesは変換したPS2版のゲームデータを、利用者が自分で用意する仕組みです。
ここがPS2エミュレーターとの大きな違いです。例えばPS2エミュレーターでLiberty City Storiesを動かす場合、PS2向けに作られたプログラムを仮想的なPS2環境の上で実行する必要があります。REGTAではそうではなく、re3・reVC・reLCS系のソースコードをNew 3DS向けにコンパイルし、3DS上で直接動作する3DSXやCIAとして生成します。PS2本体を3DS内部で仮想的に再現するのではなく、GTAのゲームロジックそのものをNew 3DSが実行できる形へ作り直しているわけです。この違いが、限られた性能しか持たない携帯ゲーム機でGTA III世代のオープンワールドゲームを動かせる理由の1つになっています。
経緯本当に新しいのはLiberty City Stories
今回のニュースだけを見ると、3作品が同時にNew 3DSへ移植されたようにも見えますが、経緯を追うと少し違います。GTA IIIとVice Cityをベースにしたre3・reVCには以前からNew 3DS向け移植が存在しており、2022年公開のre3-3DSリポジトリでもNew 3DS専用のGTA III版とVice City版が公開されていました。当時の説明では、GTA IIIは一定の安定性に到達していた一方、Vice Cityにはより深刻な不具合が残り、下画面もまだ活用されていないなど、開発途中の状態でした。
今回のREGTAは、これらを単純に再配布したものではありません。New 3DS向けのレンダリングやストリーミング処理が見直され、GTA IIIではアニメーション読み込みやテクスチャストリーミングの高速化、車両表示やクラッシュの修正などが行われています。Vice Cityでもパーティクル、キャラクターや車両のポリゴン、水面描画、飛行中のストリーミングクラッシュなど多数の問題に手が入っています。
さらに大きく手が加えられたのがLiberty City Storiesです。reLCSはもともとGTA IIIやVice Cityほど完成しておらず、今回の開発ではミッションスクリプト・セーブ・カットシーン・マップ状態・車両関連などが修正されました。GitHubのREADMEには、実機のNew Nintendo 3DSを使ってメインストーリーを最後までクリアできたことが明記されています。一方でサイドミッションなど任意コンテンツについては「まだすべて検証されたわけではない」とも書かれており、「Liberty City Storiesが完全移植された」と言い切るより、「メインストーリー完走まで確認された」と捉えるほうが正確です。
ハードウェアなぜ旧Nintendo 3DSは非対応なのか
REGTAが対応しているのはNew Nintendo 3DS・New Nintendo 3DS XL・New Nintendo 2DS XLの3機種です。旧Nintendo 3DS・旧3DS XL・Nintendo 2DSはサポートされていません。この違いには明確なハードウェア上の理由があります。
| 項目 | 旧3DS系 | New 3DS系 |
|---|---|---|
| ARM11 CPUクロック | 268MHz | 最大804MHz |
| L2キャッシュ | なし | 2MB |
| メインメモリ(FCRAM) | 128MB | 256MB |
REGTAのCIAビルドは、このNew 3DS固有の804MHzモード・L2キャッシュ・拡張されたアプリケーションメモリ・SDカードへの直接アクセスを利用するよう設定されています。つまり「New 3DSの方が少し速いので推奨」という程度の話ではありません。今回の移植は、New 3DSで追加されたCPU性能・キャッシュ・メモリ容量そのものを前提に設計されています。旧3DSでも理論上何らかの移植を試みる余地はあるかもしれませんが、現在公開されているREGTAをそのまま動かせるわけではありません。
最適化804MHzにしただけでは動いていない
New 3DSのCPU性能が旧モデルより大幅に向上しているとはいえ、それだけでPC版GTA IIIやVice Cityを快適に動かせるわけではありません。REGTAでは、携帯ゲーム機に合わせてかなり細かな負荷削減が行われています。レンダリング処理では、遠距離エフェクト・衝突時の破片・ライティング・パーティクルなどのコストが削減されています。テクスチャについても3DS向けのネイティブ形式へ変換したキャッシュを利用し、ストリーミング処理を複数フレームへ分散することで、一度に大きな処理負荷が発生しにくいよう変更されています。
GTAのようなオープンワールドゲームでは、単純なポリゴン描画性能だけでなく、移動に合わせてマップ・モデル・テクスチャ・音声などを継続的に読み込むストリーミング処理が重要です。REGTAが読み込みやストリーミング周辺をかなり細かく修正しているのは、このためと考えられます。
音声音声もNew 3DS向けに作り直されている
さらに興味深いのが音声です。Liberty City Storiesでは、ラジオや音楽として使われる19本の連続ストリームを、24kHz・モノラルのIMA ADPCM WAVへ変換する仕組みが用意されています。ニュースやカットシーンの音声についても24kHz・モノラルへ変換されます。
これは単に容量を小さくするためだけではありません。GitHubのREADMEでは、リアルタイムでMP3ラジオをデコードする処理コストを避けることが理由として明記されています。過去のre3-3DS版でもMP3再生によって動作が遅くなる問題が報告されていたため、CPU性能に余裕の少ないNew 3DSでは音声デコードすら無視できない負荷だったことが分かります。PCゲームでは音声デコード負荷を気にする場面はほとんどありませんが、極端にリソースが限られたハードウェアへ移植すると、普段は見えにくい処理まで最適化対象になります。
操作系下画面と操作もNew 3DS仕様に作り直されている
REGTAではNew 3DSの2画面構成も利用されています。下画面にはマップ・HUD・ロード進行状況などが表示され、タッチ操作にも対応します。Circle Padで移動や車両操作、Cスティックでカメラ操作を行い、New 3DSに追加されたZL・ZRもゲーム操作へ割り当てられています。さらにL・R・ZL・ZRを同時押しすると3DSのソフトウェアキーボードが開き、テキスト形式のチートコードを入力できる仕組みも実装されています。下画面の配色もGTA IIIがダークブルー、Vice Cityがピンク、Liberty City Storiesがレッドと作品ごとに変えられています。PC画面を単純に縮小表示するだけでなく、3DSというハードウェアに合わせてUIまで作り直している点は、ネイティブ移植らしい部分です。
既知の制限動くが、常に快適というわけではない
「New 3DSでGTAが完全に快適に動く」と考えるのは早計です。GitHubのREADMEでは、GTA IIIについて負荷の高い場面でフレームレートが低下する場合があると明記されています。Vice Cityでは重い場面でのフレームレート低下に加えて、音声が途切れる可能性もあるとされています。プロジェクト全体の既知の制限としても、非常に負荷の高いシーンやカットシーンではフレーム低下やオーディオのスタッターが残るとされています。
つまり今回の成果は「New 3DSがPS2並みのゲームを余裕で動かせる」という意味ではありません。ゲームエンジンを直接移植し、描画・テクスチャ・ストリーミング・音声などをNew 3DSに合わせて調整した結果として成立しているもので、同じPS2ゲームなら何でも同じように動かせるわけではない点には注意が必要です。
データLiberty City StoriesだけPS2版データを使う理由
Liberty City Storiesについては、GTA IIIやVice Cityと違ってPC版データではなく、変換したPS2版データを使用します。Liberty City Storiesはもともと2005年にPSP向けとして登場し、Take-Twoが翌2006年にPS2版を発売したタイトルで、PC版が存在しません。REGTAでは「reLCS Asset Converter」というツールを使ってPS2版のデータをあらかじめ変換し、そのデータをNew 3DS側から読み込みます。PS2ゲームそのものを3DSでエミュレーションしているのではなく、PS2版からモデル・音声などの必要なゲームデータを取り出し、New 3DS向けに構築したreLCS側から利用している形です。この違いを理解しておくと、「New 3DSでPS2エミュレーターが実用化した」という誤解もしにくくなります。
導入ダウンロードしてすぐ遊べるわけではない
REGTAはGitHubから完成済みのGTAをダウンロードして、そのまま3DSへコピーするタイプのプロジェクトではありません。公開されているのはソースコード・ビルドスクリプト・3DS向けの変更部分などです。GTA IIIとVice Cityでは自分で所有しているPC版データを、Liberty City Storiesでは変換したPS2版データを、利用者自身が用意する必要があります。さらに3DS向け実行ファイルの生成にもビルド工程が必要で、プロジェクトではdevkitARM release 55・GCC 10.2という古いツールチェーンの利用が指定されています。現在配布されている最新のdevkitProをそのまま使えばよいわけではない点も、READMEで注意されています。そのため一般的な利用者にとっては、エミュレーターへROMを読み込ませるような手軽な環境ではなく、ホームブリューやソースコードからのビルドに慣れた利用者向けの技術プロジェクトです。
法的経緯re3系プロジェクトには訴訟の経緯もある
今回のREGTAはRockstar GamesやTake-Two Interactiveとは無関係の非公式プロジェクトです。また、ベースになっているre3・reVCには過去の経緯があります。Take-Twoは2021年、GTA IIIとVice Cityをリバースエンジニアリングしたre3・reVCの開発者を提訴しました。当時Take-Twoは、同プロジェクトがGTAのコードを無許可でコピー・改変・配布しているなどと主張していました。
Rockstarは現在、PC向けシングルプレイヤーMODについて、非商用など一定の条件を満たすプロジェクトには一般的に法的措置を取らない方針を公式サポートページで示しています。ただし同社自身が、この方針はライセンスや第三者プロジェクトへの承認を意味するものではなく、Take-Twoが個別のプロジェクトへ異議を申し立てる権利も保持すると明記しています。今回のREGTAは、RockstarのPCゲームをPC上で改造する一般的なMODとは異なり、New 3DSという別ハードウェアへの移植を含みます。そのため「オリジナルゲームのデータを含んでいないから問題ない」とまで断定することはできません。REGTA側も、Rockstar GamesやTake-Two Interactiveとは無関係であり、オリジナルゲーム一式は含まれていないと説明しています。
こうした経緯を踏まえ、当サイトとしてはREGTAをはじめとするエミュレーション・非公式移植プロジェクトの導入・利用を積極的に推奨するものではありません。技術的な成果として何が起きているのかを事実として紹介するにとどめ、導入を検討する場合は著作権上のリスクを利用者自身の判断・責任で確認してください。
影響今回の移植で変わること・変わらないこと
- New 3DS系(New 3DS・New 3DS XL・New 2DS XL)限定でGTA III・Vice City・Liberty City Storiesがネイティブ動作
- Liberty City Storiesは実機でメインストーリー完走まで確認済み
- PS2エミュレーションではなくソースコードからのビルドという仕組みの違い
- 旧3DS・2DSは804MHzモードやL2キャッシュを持たず対応しない
- 負荷の高い場面ではフレーム低下・音声スタッターが残る
- ゲームデータの用意とdevkitARM release 55でのビルド作業が必要
- 著作権上グレーな要素があり、当サイトとして利用を推奨するものではない
Q&Aよくある質問
まとめまとめ|New 3DS限定のネイティブ移植、旧機種は非対応
「REGTA-3DSPort-Complete」は、GTA III・Vice City・Liberty City StoriesをNew Nintendo 3DSシリーズ向けにネイティブビルドする非公式プロジェクトです。PS2エミュレーションとは異なり、リバースエンジニアリングされたゲームエンジンのソースコードをNew 3DS向けに直接コンパイルする仕組みで、対応するのはNew 3DS・New 3DS XL・New 2DS XLのみです。
旧世代のNintendo 3DS・3DS XL・2DSが対応しないのは、804MHzモード・2MBのL2キャッシュ・拡張されたFCRAMというNew 3DS固有のハードウェアを前提に設計されているためです。それに加えて、遠距離エフェクトの削減やテクスチャストリーミングの分散、音声の24kHzモノラルIMA ADPCM変換など、ゲーム側にもかなりの最適化が加えられています。
GTA IIIとVice Cityは以前からの移植を大きく修正した形で、今回とくに新しいのは、未完成だったLiberty City Stories側の実装が実機でメインストーリーを完走できる水準まで仕上げられたことです。導入にはPC版・PS2版のゲームデータと古いビルド環境が必要で、誰でも手軽に試せるものではありませんが、20年以上前のゲームエンジンが別のCPU・OS・描画環境へ再び移植されていること自体が、リバースエンジニアリングプロジェクトの積み重ねとして興味深い事例です。
ただし、ベースとなったre3・reVCの開発者が過去にTake-Twoから提訴された経緯がある通り、著作権上グレーな要素を伴うプロジェクトでもあります。当サイトはREGTAの導入・利用を推奨するものではなく、あくまで技術的な動向として紹介しています。



