Lisuan LX 7G100 / 7G106を再検証|実機性能はRTX 5060比1/3、RTX3060級評価を下方修正【2026年9月】
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実機性能はRTX 5060の約1/3、「RTX 3060級」評価を下方修正
2026年5月、中国Lisuan Techのゲーミングカード「LX 7G100」(GPUダイ名7G106)はJD.comの先行販売で48時間・30,000台という異例の完売を記録しました。発売直後の実機テストでは「自社主張のRTX 4060相当には届かないが、実態はRTX 3060級」という評価が広がっています。
しかし2026年9月にPC Games HardwareとComputerBaseが公開した、より多くのタイトルを同一条件で比較した独立検証では、この「RTX 3060級」という評価そのものが裏付けられませんでした。実ゲーム性能・ゲーム互換性・消費電力の最新実態と、日本のゲーマーが今どう受け止めるべきかを整理します。
2026年9月の独立検証によれば、Lisuan LX 7G100の実ゲーム性能はRTX 5060の約1/3、GTX 1060とRTX 2060の間にとどまります。当初の「RTX 3060級」という評価はより厳しい方向に修正されました。さらにゲーム互換性はテスト対象の20タイトル中6タイトルが起動しないかクラッシュし、アイドル時消費電力は59WとRTX 5060の14Wを大きく上回るなど、性能以外の課題も明らかになっています。日本では未発売のため、実用的な選択肢としては RTX 5060 Ti・RX 9060 XT・Arc B580 が現実解です。
目次
再検証2026年9月の再検証|最新実測はRTX 5060の約3分の1
LX 7G100については発売直後から複数のゲームベンチマークが公開され、後述の通り「RTX 3060級」という評価が定着していました。しかし2026年9月にPC Games Hardware(PCGH)とComputerBaseが公開した独立検証では、より多くのタイトルを同一条件で比較した結果、実ゲーム性能は当初の評価より低いことが判明しています(2026年9月24日時点で確認)。
PCGHはRTX 5060の約1/3、GTX 1060比+23%
PCGHは自社の1080pラスタライズ性能指数で使用する20タイトルのうち、LX 7G106で正常にベンチマークできた14タイトルを使って比較しています。結果はGTX 1060 6GBを23%上回った一方、RTX 2060には55%、2021年発売のRX 6600には80%の差で及ばず、RTX 5060と比較すると総合性能は約3分の1にとどまりました。
ComputerBaseもRTX 3060の半分以下
| グラフィックボード | 1080p平均fps(幾何平均) | 1%Low fps |
|---|---|---|
| RTX 5060 | 85.8 fps | 70.1 fps |
| RTX 3060 | 55.6 fps | 46.7 fps |
| RTX 2060 | 39.0 fps | 32.3 fps |
| LX 7G100(OCスイッチ有効) | 28.6 fps | 19.3 fps |
| LX 7G100 | 26.7 fps | 18.3 fps |
| GTX 1060 | 20.3 fps | 17.5 fps |
ComputerBaseの1080pテストでも、LX 7G100の平均fpsはGTX 1060を上回るもののRTX 2060には届かず、RTX 5060比では約31%という近い結論になっています。さらに1%Lowパーセンタイル(低フレームレート側の指標)を見ると、LX 7G100は18.3fpsでGTX 1060の17.5fpsとほぼ並んでいます。平均fpsではGTX 1060を31%上回っているにもかかわらず、低フレームレート側ではほぼ同等——ドライバやシェーダー処理を含めたフレームペーシングに改善の余地が残っている表れです。
PCGH・ComputerBaseの二媒体はテスト方法が異なりますが、どちらも「GTX 1060より速いもののRTX 2060には届かず、RTX 5060の約3分の1」という近い結論に達しています。発売初期に報告された「RTX 3060級」という評価は、2026年9月の統一条件テストでは裏付けられませんでした。
20タイトル中6本が起動・進行不可
性能以上に深刻なのがゲーム互換性です。ComputerBaseは23タイトルを用意しましたが、うち3タイトルはハードウェアレイトレーシング必須のため実行できず、残る20タイトルのうちAnno 117・Battlefield 6・Call of Duty: Black Ops 7・Crimson Desert・F1 25・Warhammer 40,000: Space Marine 2の6本が、起動しないかプレイ中にクラッシュしました。テスト対象の30%が正常にプレイできなかった計算です。PCGHでも自社の20タイトルのうち正常にベンチマークへ使用できたのは14タイトルにとどまっています。
アイドル時59W|省電力制御も未成熟
消費電力にも課題が残ります。PCGH・ComputerBase両方の測定で、LX 7G100のアイドル時消費電力は59Wでした。ComputerBaseの計測ではRTX 5060が14Wだったのに対し、LX 7G100はデスクトップ表示・デュアルモニター・SDR動画再生のいずれでも59Wのまま変化せず、低負荷時の電力制御(パワーステート)が機能していない可能性が指摘されています。PCGHの計測でもRTX 3060が11.5W、RTX 2060が10W、RX 6600が6Wだったのに対し、LX 7G100は明確に高い数値でした。ゲーム中の最大消費電力はPCGHで199W、3DMark Time Spy Extremeでは215Wと、負荷時は突出して大きいわけではありません。
それでも「最高の中国製GPU」
今回の結果だけを見るとLX 7G100の評価は厳しくなりますが、中国製GPUとして見れば進歩している点も重要です。PCGHは同じ中国製のMoore Threads MTT S80との比較でLX 7G100が性能・ゲーム互換性で大きく上回ると評価し、「現時点で最高の中国製グラフィックスカード」としています。一方で消費電力と冷却については、Moore Threadsとの比較でも唯一の弱点だと指摘されており、性能面の進歩がそのまま総合力の高さにはつながっていません。
Cyberpunk 2077やKingdom Come: Deliverance 2のような現行AAAタイトルを実際に動かせる中国製ディスクリートGPUが登場したこと自体は前進です。ただしGeForceやRadeonと競争するには、ゲーム互換性・ドライバ最適化・フレームペーシング・消費電力制御まで含めた総合的な完成度が必要になります。
出典:VideoCardz「New tests show Chinese Lisuan LX 7G100 delivers 1/3 of RTX 5060 performance」、PC Games Hardware「Lisuan LX 7G100 im Test: Gaming-Benchmarks」、PC Games Hardware「Lisuan LX 7G100 im Test: Lautheit, Effizienz und mehr」、ComputerBase「Benchmarks in Full HD」、ComputerBase「Praxiserfahrungen, Probleme und Bugs」、ComputerBase「Lautstärke, Temperatur und Leistungsaufnahme」にもとづきます(2026年9月24日時点)。
完売の衝撃2026年5月20日 完売の衝撃|48時間で30,000台が消えた
2026年5月に起きた最大の出来事は、5月20日のJD.com(京東)先行販売の結末です。事前の業界予想では「中国国内でも実用面の評価が割れる」と見られていましたが、現実は予想を大きく上回るスピードで初回出荷分が捌けました。
中国市場では国産半導体への支援姿勢が消費行動レベルまで浸透しており、グローバル市場の常識(性能対価格で選ぶ)とは別ロジックが働いています。これは日本のゲーマー視点では理解しにくい現象ですが、産業政策としては大成功の部類に入ります。
初期評価の背景発売直後の初期ベンチマーク|なぜ「RTX 3060級」という評価が広がったか
完売の話題性とは対照的に、複数の海外メディアが報告した発売直後の実機ベンチマークは厳しい結果でした。Lisuanの自社プレゼン資料では「RTX 4060相当」と主張されていましたが、実機テストで明らかになったのはRTX 3060級の性能水準です。
| タイトル / 設定 | LX 7G106 | RTX 4060 | Arc B580 |
|---|---|---|---|
| Cyberpunk 2077 / 1080p | 88 fps | 232 fps | 243 fps |
| Black Myth Wukong / 1080p | 56 fps | 115 fps | — |
| Forza Horizon 5 / 1080p | 48 fps | 228 fps | — |
| Forza Horizon 5 / 1440p | 18 fps | 189 fps | — |
数字を見ると、Lisuan LX 7G106 は平均で RTX 4060 / Arc B580 から約30%遅い水準にあり、最適化が手薄なタイトル(Forza Horizon 5など)では2〜3倍以上の性能差が開きます。Cyberpunk 2077 で 88fps というスコアは決して悪い数字ではありませんが、同価格帯の競合と並べると見劣りします。
レイトレーシング非対応(Lisuanは第2世代で対応予定と言明)、ドライバ最適化不足、DirectX 12 / Vulkan は基本対応するが主要AAAタイトルの最適化が手薄。NRSS(独自超解像)もDLSS / FSRとの定量比較データが提示されておらず、現状は数字で勝てる材料が乏しい状況です。
ここで示した数値は発売直後の個別タイトル・特定条件での結果です。GeForceやRadeonと横並びで比較した統一条件のテストではありません。得意なタイトルでは健闘する一方、苦手なタイトルではGTX 1060を下回る場面もあり、数タイトルだけを取り出して評価するのが難しいGPUだったことが、前述の2026年9月の統一条件テストで裏付けられました。
型番整理LX 7G100とLX 7G106は同じ製品|型番体系の整理
報道では「LX 7G100」「LX 7G106」が混在して使われており、別製品と誤解した読者が多い印象です。実際にはLisuanの「G100シリーズ」が製品ラインの総称で、内部のSKU構成は以下の通り整理できます。
| 型番 | 位置づけ | 用途 | 備考 |
|---|---|---|---|
| LX 7G100 | カード名(製品名) | コンシューマ向け(Founders Edition相当) | 12GB GDDR6・完売した実物の製品名 |
| 7G106 | GPUダイ名 | コンシューマ向け搭載チップ | LX 7G100に搭載されているシリコン |
| 7G105 | 同一ダイの別SKU | プロサーバー / ワークステーション向け | 24GB ECC構成・データセンター用途 |
つまり「LX 7G100」と「LX 7G106」は同じ製品を別の名前で呼んでいるだけです。カード名で呼べばLX 7G100、搭載チップ(ダイ)で呼べば7G106。「G100シリーズ」というラインの中に、コンシューマ用(7G106)とプロ用(7G105・24GB ECC)の2系統が存在するという理解で整理できます。
開発元Lisuan Techとは何者か|「中国の半導体自立」を担うスタートアップ
中国製GPUと聞くと懐疑的になるかもしれません。しかしLisuan Techは、単なる粗製品を出してきた会社ではありません。
S3 Graphicsの名前は、2000年代前半に3Dゲームをプレイしたことがある人なら覚えているかもしれません。その元エンジニアたちが、20年以上の時を経て中国の国家戦略の一環として「次のGPU」を作っています。
スペック比較公称スペックと実機性能のギャップ
| 項目 | Lisuan LX 7G106 | RTX 4060 | RTX 5060 |
|---|---|---|---|
| 製造プロセス | TSMC 6nm | TSMC 4N | TSMC 4N |
| VRAM | 12GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR7 |
| FP32演算性能 | 24 TFLOP/s(公称) | 15.1 TFLOP/s | 22.7 TFLOP/s |
| TDP | 225W | 115W | 145W |
| レイトレーシング | 非対応 | 対応 | 対応 |
| 実機ゲーム性能 | RTX5060の約1/3 | 基準 | RTX 4060+50% |
| 3DMark Fire Strike | 約26,800 | 約24,000 | 約28,000 |
3DMarkのシンセティックベンチではRTX 4060を上回りますが、実機ゲーム性能はRTX 5060の約1/3、GTX 1060とRTX 2060の間に留まる——この乖離がLisuanの最大の課題です。TDPは225WでRTX 4060の約2倍、アイドル時の消費電力も59WとRTX 5060の14Wを大きく上回ります。プロセス世代差(6nm vs 4N)とドライバ最適化の遅れが直接効いています。
背景なぜ今、中国がゲーミングGPUを作れるようになったのか
背景には米国の輸出規制があります。この構造を理解すると、なぜLisuanの登場が「本物の脅威」になりうるかがわかります。
流通状況日本で買えるのか|現実的な見通し
市場への影響NVIDIAとAMDの価格を下げる力はあるか
ここが、日本のゲーマーにとって最も重要な問いです。実機ベンチでRTX 5060の約1/3、GTX 1060とRTX 2060の間と判明した今、短期の脅威度はさらに下がりました。しかし長期視点では別の話になります。
短期(1〜2年)|影響はほぼなし
- 販売は中国国内限定
- 実機性能がRTX 5060の約1/3でゲーミングPCユーザーの代替にならない
- CUDA非対応・RT非対応・ドライバ初期段階
- NVIDIA・AMDは日本市場で競合なしの状況が続く
中期(3〜5年)|間接的な圧力が始まる可能性
- 中国市場でのNVIDIAシェアが更に低下し、NVIDIAが「中国向け廉価モデル」を投入する可能性
- 新興国(インド・東南アジア)での競争が激化すれば、グローバル価格に波及
- LisuanやMoore Threadsが海外展開すれば直接競争が起きる
長期(5年以上)|シナリオが分岐する
- シナリオA(競争激化):中国GPUがRT対応・CUDA互換を実現し西側市場に参入し、NVIDIA・AMDが価格を引き下げざるを得なくなる
- シナリオB(棲み分け):中国国内市場と西側市場がそれぞれ独自のエコシステムで分断し、競争は起きない
AMDは中国市場でのシェアを現在の数%から25%に引き上げる目標を掲げています。Lisuanが性能で勝てなくても「48時間完売」のような話題性で市場を取りに来る限り、NVIDIA・AMDも中国向け廉価モデルを投入する動きを続けます。この「中国内の競争」が間接的に全体の価格水準を抑制する可能性はゼロではありません。
弱点現時点の弱点|RTX 4060の代替にはなれない
代替案日本のゲーマーが現実的に選ぶべき選択肢
Lisuan LX 7G100 / 7G106は日本未発売で、性能的にも実用的な選択肢になりません。実際に手に入り、性能と互換性が確立したグラフィックボードを紹介します。


※価格・在庫は変動します。最新の価格はAmazonの商品ページでご確認ください。
- 中国製GPUの技術トレンドに関心がある人
- 次世代でのレイトレーシング対応・ドライバ成熟を注視したい人
- 中国の半導体自立政策・産業動向の参考事例として見たい人
- 日本でゲーミングPCを今すぐ組みたい人
- RTX 4060 / RTX 5060クラスの実用性能を求めている人
- メーカー保証・国内サポートを重視する人
- CUDA・レイトレーシング対応が必須な人
FAQよくある質問
Lisuan LX 7G100 / 7G106をめぐっては、2026年5月に48時間で30,000台が完売した社会現象と、実機ベンチで判明した性能の低さという二律背反を理解する必要があります。2026年9月の独立検証では、実ゲーム性能はRTX 5060の約1/3、GTX 1060とRTX 2060の間にとどまることが判明し、当初報じられた「RTX 3060級」という評価はさらに下方修正されました。
性能対価格で評価すれば「中国市場以外では商業的に成立しない」というのが業界の冷静な評価です。ゲーム互換性・フレームペーシング・アイドル時の消費電力にも課題が残っており、GeForceやRadeonの代替として使える段階にはまだ届いていません。一方で完売スピードは、中国の半導体自立政策・補助金・愛国心消費という社会的文脈が市場を動かしている事実を示しました。話題性が性能を上回るこの現象は、グローバル市場の常識とは別ロジックで動いています。
日本のゲーマーにとっての結論はシンプルです。現時点で実用的な選択肢はRTX 5060 Ti / RX 9060 XT / Arc B580で、Lisuanを待つ必要はありません。ただし、中国GPUが「性能が伴っていなくても3万人が買う市場」を持つという事実は、次世代以降にゲーム互換性・ドライバ・電力効率が成熟したとき、無視できない圧力に化ける可能性を残しています。「今は買えない、けれど無視できない」という距離感が、現時点で正しい受け止め方です。






