Godot(ゴドー)がUnityを初めて逆転、使用率47%|Godot製Steamゲーム7本の要求スペックで見る「本当に軽いのか」
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Godot製Steamゲーム7本の要求スペックで見る「本当に軽いのか」
ゲーム制作イベント「GMTK Game Jam 2026」の使用エンジン集計で、オープンソースのゲームエンジンGodot(ゴドー)が47%となり、34%のUnityを上回りました。主催者によれば、それまで9年連続でUnityが最多だったイベントです。
ただしこれはゲームジャム1つの結果で、商用開発を含む業界全体の数字ではありません。ここではGodot製として実際にSteamで売られている7本の要求スペックまで下りて、遊ぶ側から見て何が変わるのかを確かめます。
出典:Game Maker’s Toolkit 公式・GMTK Game Jam 2026(itch.io)・GDC 2026 State of the Game Industry・Godot 公式ショーケース・Unity 公式ブログ・Steam 各ストアページ(2026年7月31日確認)
「Godotが47%でUnityを抜いた」という数字だけが独り歩きすると、ゲーム開発の主流が入れ替わったように見えます。ですが集計されたのはゲームジャムという短期制作イベントの投稿作品で、商用ゲームの開発現場を数えたものではありません。
実際、GDCが2,300人超の開発者に聞いた調査では、主に使うエンジンの首位はUnreal Engineの42%で、Unityが30%と続きます。ゲームジャムの47%と業界全体の数字は、まったく別のものを測っています。
そこでこの記事では、集計の中身と4年間の推移を整理したうえで、Godot公式ショーケースに掲載されている実際のSteamゲーム7本の最低要求スペックとSteam Deck対応状況を並べます。遊ぶ側の関心である「Godot製のゲームは軽いのか」「手持ちのPCで動くのか」に、具体的な数字で答えます。
集計結果GMTK Game Jam 2026でGodotが47%|9年続いたUnity首位が入れ替わりました
GMTK Game Jamは、ゲームデザインを解説するYouTubeチャンネルGame Maker’s Toolkitが主催するオンラインのゲーム制作イベントです。発表されたテーマに沿って短期間でゲームを作り、itch.ioに投稿します。2026年の開催は7月22日17時から7月26日18時までで、丸4日間の日程でした。
主催者は2026年7月27日、投稿作品に使われたエンジンの内訳を公開しました。公開された円グラフの説明文には、集計対象が1万511本と記載されています。
| エンジン | 割合 | 本数 |
|---|---|---|
| Godot | 47% | 約4,900本 |
| Unity | 34% | 約3,600本 |
| その他 | 11% | — |
| GameMaker | 5% | 498本 |
| Unreal Engine | 3% | 319本 |
GodotとUnityの差は13ポイントで、誤差と呼べる範囲ではありません。主催者は投稿にあたって「9年間ずっとUnityが最多だった」と述べており、順位が入れ替わったのは今回が初めてです。
推移4年間の推移|2024年に一気に詰まり、2026年に抜けました
逆転そのものより重要なのは、そこに至る速さです。主催者が過去に公開してきた数字を並べると、変化が起きた年がはっきり分かります。
| 開催年 | Godotの使用率 | 前年からの変化 |
|---|---|---|
| 2022年 | 16% | — |
| 2023年 | 19% | +3ポイント |
| 2024年 | 37% | +18ポイント |
| 2025年 | 39% | +2ポイント |
| 2026年 | 47% | +8ポイント |
2022年から2023年までは3ポイントしか動いていません。それが2024年に18ポイント跳ね、そこからさらに10ポイント積み増して2026年の47%に届きました。じわじわ伸びたのではなく、2024年に段差があるという形です。
Unity側も同じ年に大きく動いています。2023年の59%から2024年は43%へ16ポイント下落し、2026年は34%まで下がりました。GodotとUnityは、同じ2024年を境に反対方向へ振れています。
業界全体GDC調査の首位はUnreal Engineの42%|ゲームジャムの数字とは別物です
商用開発まで含めた業界全体では、まったく違う景色になります。GDCが2,300人以上の業界関係者に実施した2026年の調査では、主に使っているエンジンの内訳は次のとおりでした。
つまりGMTK Game Jamの47%は、4日間で作られた投稿作品のうち使用エンジンが判明した分に対する割合です。商用ゲーム市場でGodotがUnityやUnreal Engineを追い抜いたわけではありません。
検証Godot製Steamゲーム7本の要求スペック|「Godotだから軽い」は半分だけ本当です
ここからは遊ぶ側の話です。Godot公式のショーケースに掲載されているタイトルのうち、Steamで販売実績のある7本について、ストアページに書かれた最低動作環境とSteam Deckの対応状況を確認しました。数値はすべて2026年7月31日時点のものです。
| タイトル | 最低CPU | 最低GPU | メモリ | 容量 | Steam Deck |
|---|---|---|---|---|---|
| Brotato2023年6月 | 2GHz | OpenGL 3以降・VRAM 128MB | 4GB | 200MB | 完全対応 |
| Dome Keeper2022年9月 | 2.5GHz以上 | OpenGL 3.3対応 | 2GB | 1GB | 完全対応 |
| Buckshot Roulette2024年4月 | Core i3 | Vulkan対応の単体GPU | 2GB | 500MB | 非対応 |
| Cruelty Squad2021年6月 | Core i7-7700HQ | GeForce GTX 1050 | 2GB | 1GB | 非対応 |
| Cassette Beasts2023年4月 | 2コア・2GHz以上 | OpenGL 3.3・VRAM 2GB | 8GB | 2GB | 完全対応 |
| Halls of Torment2024年9月 | 4コア・2.5GHz以上 | GTX 970/RX 570/Iris Xe | 4GB | 4GB | 完全対応 |
| Slay the Spire 22026年3月 | 2コア・2.0GHz | DirectX 12/Vulkan対応・VRAM 1GB | 4GB | 4GB | 完全対応 |
規模の目安として、Steamのユーザーレビュー件数も添えておきます。Slay the Spire 2が約19万3千件、Buckshot Rouletteが約12万3千件、Brotatoが約11万7千件、Halls of Tormentが約3万2千件、Cruelty Squadが約2万5千件、Dome Keeperが約2万2千件、Cassette Beastsが約1万1千件です。趣味の習作ではなく、実際に多くの人が遊んでいるタイトル群だと分かります。
読み解き表から見えること|幅が広く、重さはエンジンより作り方で決まります
7本を並べて分かるのは、Godot製かどうかは要求スペックの手がかりにならないということです。軽いのはGodotだからではなく、2Dで小さく作られているからで、逆に凝った描画を積めばGodotでも単体GPUを要求します。遊ぶ側が見るべきは、これまでどおり個々のストアページの動作環境です。
携帯機Steam DeckとLinuxとの相性|7本中5本が完全対応でした
GodotはWindowsだけでなくLinux向けのビルドを標準で書き出せます。Steam DeckはLinuxベースのSteamOSで動くため、この点は理屈のうえでは有利です。実際、今回の7本のうち5本がSteam Deckの完全対応(Verified)でした。
ただし残る2本、Buckshot RouletteとCruelty Squadは非対応の判定です。Cruelty SquadはそもそもSteamでLinux版を配信していません。エンジンがLinuxに対応していることと、そのゲームがSteam Deckで快適に遊べることは、同じではありません。
経緯2023年のRuntime Fee騒動と、Slay the Spire 2が乗り換えた話
2024年に数字が跳ねた背景として、必ず名前が挙がるのがUnityのRuntime Feeです。2023年9月12日に発表されたこの制度は、一定の売上とインストール数を超えたゲームに対し、インストール数を基準にした追加料金を課すというものでした。
インストール数をどう数えるのか、再インストールや無料配布分はどう扱うのかといった不明点が多く、すでに開発中・販売中のタイトルにも影響し得る点が強く問題視されました。反発を受けたUnityは制度を修正したのち、2024年9月12日に完全撤回しています。同社は公式ブログで、従来のシート数を基準としたサブスクリプション方式へ戻すと説明しました。
この騒動の当事者として最も知られているのが、『Slay the Spire』の開発元Mega Critです。同スタジオは発表の翌日には「別のエンジンへの移行を始めた」と表明し、実際にGodotへ乗り換えました。当時すでに2年分ほど進んでいた『Slay the Spire 2』の開発をUnityからGodotへ作り直したうえで、2026年3月5日に発売してSteamの売上上位に入っています。同作は今回の表にも入っており、Steam Deckは完全対応です。
制度自体は撤回済みなので、いま遊んでいるUnity製ゲームにインストール数課金が発生することはありません。ただし、GMTK Game JamでGodotとUnityの差が詰まった年と、この騒動の年は重なっています。
影響遊ぶ側にとって何が変わり、何は変わらないのか
- 小規模な2Dインディーの新作が増えやすくなる(開発費が下がるため)
- Linux版が用意される作品が増え、Steam Deckで遊べる選択肢が広がる
- インストール容量が小さい作品が出やすく、携帯機の空き容量に優しい
- エンジン側の料金改定でゲームの価格や配信が揺れるリスクが減る
- Godot製だから軽い、とは限らない(最低要件はGTX 1050クラスまで幅がある)
- 大作の3Dゲームが急にGodot製になるわけではない
- Steam Deck対応はエンジンではなく作品ごとの判定で決まる
- 遊んでいるUnity製ゲームがGodotへ作り直されることは基本的にない
Q&Aよくある質問
まとめ逆転は本物ですが、測っているのは業界全体ではありません
GMTK Game Jam 2026では、集計対象1万511本のうち47%がGodot製で、34%だったUnityを初めて上回りました。Godotは2022年の16%から4年で31ポイント伸びており、特に2024年に18ポイント跳ねています。9年続いたUnityの首位が入れ替わったこと自体は事実です。
ただしこれは4日間のゲーム制作イベントの投稿作品を数えた数字で、商用開発の勢力図ではありません。GDCが2,300人超に聞いた調査では、主に使うエンジンの首位はUnreal Engineの42%、Unityが30%で、Godotは新しいインディー開発者の層で11%という位置づけです。移行が先に進んでいるのは、既存スタジオではなくこれから始める人たちの側です。
遊ぶ側の実利で言えば、Godot製Steamゲーム7本を並べた結果は「軽さはエンジンでは決まらない」でした。最低要件はVRAM 128MBからGeForce GTX 1050まで、メモリは2GBから8GBまで開いています。一方でSteam Deckの完全対応が7本中5本と多く、Linux版が用意されやすい点は携帯機で遊ぶ人にとって実際のメリットです。エンジン名で当たりを付けず、これまでどおり各作品のストアページを確認するのが確実です。



