AOOSTAR「NEX395」に64GB・SSDなし下位モデル追加|128GBから半減、ゲームとローカルAIで評価が分かれる理由
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128GBからの容量半減、評価はゲームかローカルAIかで分かれる
Ryzen AI Max+ 395を積んだミニPCは、大容量の共有メモリでローカルLLM(大規模言語モデル)を動かせる点が大きな魅力です。ただしその「大容量」が製品によって変わるなら、購入前に容量ごとの違いを押さえておく必要があります。
中国のミニPCメーカーAOOSTARの「NEX395」は、2025年12月ごろにメモリ128GB・SSD 2TBという構成で発売されました。現地メディアの報道によると2026年8月28日ごろ、新たにメモリ64GB・SSDなし(11,999元)と、メモリ64GB・SSD 1TB(12,999元)という下位構成が追加されています。CPUのRyzen AI Max+ 395、GPUのRadeon 8060S、性能開放時最大140Wというスペックはグレードを問わず共通です。
この記事では、64GBへの容量縮小がゲーム用途とローカルAI用途でどれだけ意味合いが違うか、そしてメモリがオンボード実装のため購入後に増設できない点を軸に整理します。中国限定発売で日本未発売の製品ですが、Ryzen AI Max+ 395搭載ミニPCを選ぶ際に容量をどう考えるべきかの判断材料になります。
目次
新モデルAOOSTARがNEX395にメモリ64GB・SSDなしの新構成を追加
中国のミニPCメーカーAOOSTARは、Ryzen AI Max+ 395搭載ミニPC「NEX395」の構成に、メモリ64GB・SSDなしという下位モデルを追加しました。中国の現地メディアが2026年8月28日ごろに報じた内容によると、価格は11,999元です。同時に、同じメモリ64GBでSSD 1TBを搭載したモデルも12,999元で用意されています。いずれも中国国内限定の販売です。
CPUはRyzen AI Max+ 395(16コア32スレッド、Zen 5)、GPUはRadeon 8060S(RDNA 3.5、コンピュートユニット40基)で、性能開放モードでは最大140Wまで消費電力を引き上げられます。この点は従来モデルと共通です。ストレージ用のM.2スロットはPCIe Gen4 x4対応が3基(2280サイズ)用意されており、SSDなしモデルを選んだ場合でも、購入後に市販のNVMe SSDを自分で追加できます。
従来モデルは2025年12月ごろに中国で発売され、メモリ128GB・SSD 2TBという構成で19,999元でした(TweakTownの報道時点の為替でおよそ2,800ドル)。今回追加された64GB構成は、メモリ・SSDともに従来モデルの半分程度まで容量が縮小されています。
従来モデル(2025年12月ごろ発売)
- メモリ128GB LPDDR5X-8533
- SSD2TB(Gen4)標準搭載
- 価格19,999元(発表時約2,800ドル)
新モデル SSDなし
- メモリ64GB LPDDR5X-8533
- SSDなし(M.2×3基で追加可能)
- 価格11,999元(概算約1,786ドル)
新モデル 1TB SSD
- メモリ64GB LPDDR5X-8533
- SSD1TB(Gen4)標準搭載
- 価格12,999元(概算約1,934ドル)
出典:IT之家(中国の現地メディア、2026年8月28日)、TweakTown(2025年12月8日)。米ドル換算は2026年8月末時点のレート(1ドル≈6.72元)にもとづく概算です。
メモリ実装メモリはオンボード実装、購入後の増設はできません
Ryzen AI Max+ 395が使うLPDDR5Xメモリは、マザーボードに直接はんだ付けされたオンボード実装です。これはAOOSTAR独自の設計ではなく、Ryzen AI Max(開発コード名Strix Halo)シリーズ全体に共通する仕様です。同じくRyzen AI Max搭載PCを手がけるFrameworkは、公式ブログで256bit幅という広いメモリバスを実現するにはLPDDR5Xをはんだ付けする必要があると説明しています。モジュール化されたメモリスロットにすると帯域幅を大きく落とさざるを得ず、広いメモリバスを持たせる意味自体がなくなってしまうためです。
SSDはM.2スロットが3基用意されているため、SSDなしモデルを選んでも後から市販のNVMe SSDを追加できます。一方でメモリは基板に直接はんだ付けされているため、64GB構成を選んだら64GBのまま、128GB構成を選んだら128GBのまま使い続けることになります。購入時点で容量が確定してしまう点は、SSDよりもはっきりと重い制約です。
出典:Framework公式ブログ「Framework Desktop Deep Dive: Ryzen AI Max」(2025年3月12日)
用途別評価ゲーム用途なら64GBで困らない、ローカルAIは容量が結果を左右する
NEX395をゲーム用途で検討している場合、64GBへの容量縮小はほとんど気にする必要がありません。一般的なPCゲームが必要とするシステムメモリは16GB〜32GB程度で、128GBという容量は元々ゲーム用途には過剰な水準でした。64GBあれば、重量級タイトルを配信やブラウザと同時に動かしても余裕があります。より詳しい内蔵GPUの性能そのものについては、Radeon 8060Sの演算性能を解説した記事で扱っています。
一方でこの製品の強みであるローカルLLM実行では、話が変わってきます。AMDはグラフィックドライバーの機能を通じて、システムメモリの一部をGPU用に割り当てられるようにしており、128GB搭載モデルでは最大96GBをGPU側に割り当て可能とされています。総メモリが64GBに減った新モデルでは、GPUに割り当てられる上限も当然64GBを超えることはできず、128GB版と比べて絶対量で大きな差になります。
目安として、700億パラメータ級の言語モデルを4bit量子化で動かす場合、必要なメモリはおよそ40GB前後といわれています。64GB構成でもこのクラスのモデルを動かせる可能性はありますが、コンテキスト長を伸ばしたり、それより大きなモデルを扱ったりする余地は128GB版よりはっきり小さくなります。ローカルAI用途を本格的に検討しているなら、64GB版は動かせないわけではないものの、128GB版ほどの自由度はないという位置づけになります。
出典:AMD公式ブログ(Ryzen AI Max+ 395)
価格の背景メモリ・SSD高騰との関係、AOOSTARは理由を説明していません
新モデル(64GB・1TB SSD、12,999元)の価格は、従来モデル(128GB・2TB SSD、19,999元)の65%程度です。SSDなしモデル(11,999元)なら60%程度になります。一方でメモリ容量は128GBから64GBへ、SSD容量は2TBから1TB(またはゼロ)へと、いずれも半分以下に縮小されています。スペックの下げ幅に比べて価格の下げ幅が小さいという見方もでき、部材コストの上昇を一定程度反映している可能性はあります。
2026年はLPDDR5Xを含むメモリ全般の価格が急騰した年でもあります。TrendForceの調査では、2026年第2四半期のLPDDR5X契約価格は前四半期比78〜83%上昇すると見積もられていました。こうした市場環境を踏まえると、今回の構成変更をメモリ・SSD価格の高騰への対応とみる向きもありますが、AOOSTARは構成変更の理由を公式には説明していません。値下げというより、価格帯をある程度維持したまま容量を下げて対応したという見方もできます。
出典:TrendForce「Mobile DRAM Contract Prices Continue Rising in 2Q26」(2026年5月14日)
日本での状況中国限定発売、日本での取り扱いは未定
NEX395は中国国内限定での販売です。AOOSTARの国際公式ストアを確認しましたが、本記事執筆時点でNEX395自体の掲載はありませんでした。64GB構成を含め、日本国内での発売や国内価格は確認されていません。
個人輸入や海外通販サイト経由で入手する方法はありますが、保証対応や技術基準適合証明(技適)の扱いなど、国内正規販売とは異なる注意点があります。日本語でのサポートも期待できないため、購入を検討する場合は輸入経路のリスクを理解した上で判断する必要があります。
結論64GB版で十分な人、128GB版を待つべき人
- ゲーム用途が中心で、動画編集など軽い作業程度までにとどまる人
- 本体価格を少しでも抑えたい人
- SSDは後から自分で追加する前提で、初期費用を優先したい人
- 70Bクラス以上の大型言語モデルを本格的にローカル実行したい人
- コンテキスト長やモデルサイズに余裕を持たせておきたい人
- 日本での正規販売や技適対応が整うのを待ちたい人
ゲーム用途で検討しているなら、64GB版を選んでもまず困りません。128GBという容量は元々ゲーム用途には過剰で、64GBあれば重量級タイトルでも余裕があります。ストレージもM.2スロットが3基あるため、SSDなしモデルを選んで後から自分で追加する選択肢も現実的です。
一方で、この製品の本来の強みであるローカルLLM実行を本格的に検討しているなら判断は変わります。メモリはマザーボードに直接はんだ付けされたオンボード実装のため、購入後に64GBから128GBへ増設することはできません。大型モデルを見据えるなら128GB版を選ぶか、少なくともメモリだけは一度決めたら変更できないという制約を理解した上で64GB版を選ぶ必要があります。現時点では中国国内限定の販売で、日本での発売や価格は確認されていません。




