「グラフィック減速器」と呼ばれた内蔵GPUがAI時代に復活|ローカルLLMも動く共有メモリという武器

「グラフィック減速器」と呼ばれた内蔵GPUがAI時代に復活|ローカルLLMも動く共有メモリという武器

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内蔵GPU × AI PC / 共有メモリ / APUとDGX Sparkで再燃
「グラフィック減速器」と呼ばれた内蔵GPUがAI時代に復活
大容量の共有メモリが、単体GPUにはない武器になっている
AMDの「Ryzen AI Max」シリーズが搭載するRadeon 8060Sや、Intel Core Ultraシリーズが搭載するIntel Arc Graphicsなど、近年の内蔵GPUは軽量なゲームだけでなく動画編集・画像生成・ローカルLLM(大規模言語モデル)の実行にも使える性能を備えるようになりました。単純な演算性能だけでなく、CPUとGPUが大容量メモリを共有できる点がAI時代の新しい強みとして注目され始めています。
AMD Ryzen AI Max+ 395 総合AI性能 最大126TOPSNVIDIA DGX Spark 128GB共有メモリゲーミング用途は単体GPUが依然優位

内蔵GPUと聞いて、いまだに「映像を映すだけの最低限機能」というイメージを持っている人は少なくないはずです。2000年代のIntel Graphics Media Accelerator(Intel GMA)は3Dゲームを快適に動かせず、その名称をもじって一部では「Graphics Media Decelerator(グラフィック減速器)」と揶揄されることもありました。

しかし現在の内蔵GPUは、当時とは別物と言えるほど姿を変えています。この記事では、AMD Ryzen AI Max+ 395が搭載するRadeon 8060S、Intel Core Ultra 200Vシリーズが搭載するIntel Arc 140V、そしてNVIDIAの小型AI開発システム「DGX Spark」を軸に、内蔵GPU・APU・共有メモリ搭載機の演算性能とメモリ構成を具体的な数値で整理します。

気になるのは「AI用途なら単体のグラフィックボードを買わなくても済むのか」「大容量の共有メモリと専用VRAMは実際に何が違うのか」という2点ではないでしょうか。メモリ帯域幅の弱点やNPUとGPUの役割分担まで踏み込んで、ゲーミングPC選びにどう影響するかを具体的に整理していきます。

この記事の要点

AMD Ryzen AI Max+ 395は16コアのZen 5 CPUと、RDNA 3.5世代のRadeon 8060S(コンピュートユニット40基・最大2.9GHz)を統合し、最大128GBのLPDDR5Xメモリのうち最大96GBをGPU用に割り当てられます。Intel Core Ultra 9 288VもArc 140V(Xe2・8基のXeコア)でGPU単体最大67TOPSのAI性能を発揮します。NVIDIA DGX Sparkは128GBの統合メモリを備えるAI開発向けシステムで、最大2,000億パラメータのモデル推論に対応するとされます。一方でメモリ帯域幅は専用VRAMを積む単体GPUに軍配が上がる場面が多く、ゲーミング用途では引き続き単体GPUが有力な選択肢です。

目次

基礎知識内蔵GPU・APU・共有メモリの基本用語

本題に入る前に、記事内で繰り返し使う用語を整理しておきます。

用語意味
内蔵GPU(iGPU)CPUと同じチップの中に組み込まれたグラフィック処理装置です。専用のグラフィックボードを追加しなくても、映像出力や3D描画をこなせます。
APUAMDがCPUとGPUを1つのチップにまとめた製品に使う呼び方です。近年は内蔵GPU性能を大きく引き上げたモデルを指すことが多くなりました。
共有メモリ(統合メモリ)CPUとGPUが同じメモリ領域を分け合って使う仕組みです。専用のビデオメモリを別に持たない代わりに、システムメモリの容量をそのままGPU側でも利用できます。
VRAM(ビデオメモリ)グラフィックボードに搭載される専用の高速メモリです。GPU単体で処理を完結できる一方、容量は製品ごとに固定されています。
TOPSAI処理の演算性能を示す指標の一つです。数値が大きいほど1秒間に多くの推論演算をこなせますが、演算精度(INT8やFP4など)や測定条件がメーカーごとに異なるため、単純な数値比較には注意が必要です。

変化内蔵GPUは画面を映すだけの存在ではなくなった

従来の内蔵GPUは、CPUやマザーボードの一部に小規模なグラフィックス機能を搭載し、メインメモリをそのままビデオメモリとして使う仕組みでした。専用GPUチップと高速ビデオメモリを積んだグラフィックボードと比べると演算性能もメモリ帯域幅も低く、本格的なPCゲームには向かないという評価が長く続いてきました。

「おまけ機能」と見られていた時代2000年代のIntel GMA(Graphics Media Accelerator)は、映像出力はできても3Dゲームを快適に動かせるほどの性能はなく、当時のPCユーザーの間で「グラフィック減速器」と揶揄されることもありました。内蔵GPUといえば描画性能を諦める代わりの選択肢、というイメージが定着した時期です。
AMDは演算ユニットを大幅強化AMD Ryzen AI Max+ 395は16コアのZen 5 CPUに、RDNA 3.5世代のRadeon 8060Sを統合しています。コンピュートユニット(CU)数は40基、最大動作クロックは2.9GHzで、AMD公式もノートPC向け単体GPUに迫る描画性能をうたっています。
Intelも大幅にテコ入れIntel Core Ultra 200VシリーズにもXe2アーキテクチャのIntel Arc Graphicsが搭載されています。上位のCore Ultra 9 288Vが積む「Arc 140V」は8基のXeコアを持ち、最大2.05GHzで動作。GPU単体で最大67TOPSのINT8演算性能を発揮します。
内蔵GPUの性能は製品によってピンキリすべての内蔵GPUが同じ水準になったわけではありません。最低限の映像出力にとどまる内蔵GPUを積む製品もあれば、Ryzen AI MaxシリーズのようにGPU性能を重視した大型APUも存在します。CPU名だけで判断せず、世代・演算ユニット数・メモリ構成を確認する必要があります。

スペック比較AMD・Intel・NVIDIAの主要製品を並べて見る

ここまでに登場した製品と、比較対象となる単体GPUのスペックを一覧にまとめます。

製品分類CPUGPUNPUAI性能の目安利用可能メモリ
AMD Ryzen AI Max+ 395統合型APUZen 5 16コア(最大5.1GHz)Radeon 8060S(RDNA 3.5・CU40基・最大2.9GHz)XDNA 2・最大50TOPSCPU+GPU+NPU合算で最大126TOPS最大128GB LPDDR5X共有(うち最大96GBをGPUに割当可能)
Intel Core Ultra 9 288V統合型SoCLion Cove+Skymont 4+4コアArc 140V(Xe2・Xeコア8基・最大2.05GHz)最大48TOPSCPU+GPU+NPU合算で最大120TOPS(INT8)最大32GBのオンパッケージLPDDR5X(CPU/GPUで共有・増設不可)
NVIDIA DGX SparkAI開発向けSuperchip搭載機Armコア20基(高性能10+高効率10)Blackwell世代(CUDAコア6,144基・SM48基)専用NPUは非搭載(GPU/CPUで処理)GPU単体でFP4・スパース時最大1,000TOPS相当128GB LPDDR5X統合メモリ(CPU/GPU共有)
単体GPU(RTX 5060 Ti 16GB例)単体GPU(グラフィックボード)なし(別途CPUが必要)Blackwell世代(CUDAコア4,608基)非搭載精度・世代により異なる(単純比較は不可)専用VRAM16GB(GDDR7・拡張不可)
TOPSの数値は各社で単純比較できない

上の表にあるAI性能の数値は、AMDとIntelがINT8精度、NVIDIAがFP4精度かつスパース(疎行列)演算という異なる条件で公表しています。数値が大きいからといって、そのまま体感性能の優劣を示すわけではない点に注意してください。

共有メモリAI時代に注目される共有メモリという強み

内蔵GPU・APUが見直されている最大の理由は、CPUとGPUがシステムメモリを共有できる点にあります。

VRAM容量がAI処理のボトルネックになりやすい一般的なグラフィックボードは8GB・12GB・16GB・24GBといった専用VRAMを搭載します。ゲームでは十分な容量でも、大規模な画像生成モデルやローカルLLMの実行ではVRAM容量が壁になりやすく、モデルデータをVRAM内に収め切れないと一部を低速なシステムメモリへ退避させ、処理速度が大きく落ち込むことがあります。
AMDは最大96GBをGPU用に割り当て可能Ryzen AI Max+ 395は最大128GBのLPDDR5Xメモリに対応します。AMDはグラフィックスドライバーの機能(Variable Graphics Memory)を通じて、構成によって最大96GBを描画・AI処理用のメモリとしてGPU側に割り当てられるとしています。
Framework DesktopはLlama 70Bクラスの実行を掲げるRyzen AI Max搭載モデルを用意するFramework Desktopも、最大96GBのグラフィックスアドレス可能メモリを使い、Llama 70Bクラスのモデルをローカルで実行できることを製品ページで特徴として掲げています。
24GB・32GBの高性能グラボでも収まらないモデルを扱える可能性AI用途ではGPU演算性能だけでなく、モデル全体をメモリに展開できるかどうかが重要になります。大容量の共有メモリを備えたAPUには、ゲーム性能とは別の評価軸が生まれつつあります。

DGX SPARKNVIDIAも128GB共有メモリのDGX Sparkを展開

共有メモリを重視した設計はAMD製品だけではありません。NVIDIAの小型AI開発システム「DGX Spark」は、Armコア20基(高性能コア10基+高効率コア10基、MediaTek設計)とBlackwell世代GPU(CUDAコア6,144基、48基のSM)を1パッケージに統合した「GB10 Grace Blackwell Superchip」を採用し、128GBのLPDDR5X統合システムメモリを搭載しています。NVIDIAはDGX Sparkについて、最大2,000億パラメータ規模のAIモデルの推論に対応するほか、最大700億パラメータ規模のモデルのファインチューニング(追加学習)が可能としています。

DGX Sparkは「高性能な内蔵GPU搭載PC」ではない

DGX Sparkは一般的なゲーミングPCやノートPCの内蔵GPUとは性格が異なります。AI開発を目的とした専用システムで、Armベースの CPU・Linux環境・NVIDIAのAI向けソフトウェア群を組み合わせた製品です。米国での価格は当初3,999ドルでしたが、メモリの供給制約を理由に2026年2月以降は4,699ドルへ引き上げられており、コンシューマー向けの一般的な価格帯ではありません。「高性能な内蔵GPU搭載PC」というより、小型のAIワークステーションと捉えるのが実情に近い製品です。

帯域幅メモリ容量が多くても高速とは限らない

共有メモリには大容量化しやすいという利点がある一方、弱点もあります。最大の違いはメモリ帯域幅(GPUとメモリの間で1秒間に転送できるデータ量)です。AI推論やゲームでは大量のデータを繰り返し読み書きするため、帯域幅が狭いとGPU演算ユニットが高性能でもその能力を引き出し切れません。

製品メモリ帯域幅
NVIDIA DGX Spark
128GB LPDDR5X統合メモリ
273GB/s
AMD Ryzen AI Max+ 395
LPDDR5X-8000・256bit幅
256GB/s
GeForce RTX 5060 / RTX 5060 Ti 16GB
GDDR7・128bit幅
448GB/s

VRAM容量ではDGX Sparkが大幅に上回りますが、メモリ転送速度では比較的普及価格帯の単体GPUのほうが上回っています。Ryzen AI Max+ 395も256bit幅のLPDDR5X-8000に対応するものの、GDDR7のような高速な専用VRAMを積むGPUほどの帯域幅は持っていません。

共有メモリは「載せられる」ことに強く「最速で動かせる」とは限らない

共有メモリ方式は大きなモデルを読み込めることに強みがありますが、同じモデルを最も速く動かせるとは限りません。ローカルLLMでは、出力速度よりも高精度な大規模モデルを1台のPCで動かしたい人に向いた選択肢です。画像生成・動画生成を短時間で繰り返す用途では、高速な専用VRAMを持つ単体GPUのほうが有利な場合が多くなります。

単体GPUゲーミングPCでは単体GPUが依然として有利

内蔵GPU・APUの性能向上によっても、ゲーミングPCにおける単体GPUの重要性がなくなったわけではありません。

ゲームはGPU演算性能だけで決まらないゲームではGPU演算性能に加えて、専用の高速VRAM・冷却性能・消費電力の上限・ドライバー最適化がフレームレートを左右します。内蔵GPUはこれらの条件で単体GPUに一歩譲る場面が多くなります。
内蔵GPUはCPUと電力・冷却枠を共有する内蔵GPUはCPUと電力・冷却の余力を分け合うため、ノートPCや小型PCで特にGPUを長時間フル稼働させると性能が制限されやすくなります。
96GB割当可能でも自由に使える容量とは限らないシステムメモリの一部をGPUに割り当てるAPUでも、128GB搭載機で96GBをGPUが利用できるとしても、残りすべてをOSやアプリが自由に使えるわけではありません。実際に使える容量はBIOS設定・OS・使用するAIソフトによっても変わります。
高画質・高リフレッシュレートを狙うなら単体GPUが有力高画質設定で最新ゲームを遊ぶ、高リフレッシュレートを狙うといった用途では、依然としてGeForce RTXやRadeon RXなどの単体GPUが有力です。フルHDで画質を調整しながら遊ぶ、あるいは持ち運べるPCでゲームとAI処理を両立したいという人には、共有メモリを備えた高性能APUが現実的な選択肢になります。

ここまで比較してきた448GB/sのメモリ帯域幅を持つRTX 5060 Ti 16GBは、高フレームレートでのゲーミングを優先しつつ、軽めのAI処理にも余裕を持たせたい人に向いた単体GPUです。

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単体GPUの選択肢|VRAM16GB・GDDR7MSI GeForce RTX 5060 Ti 16G VENTUS 2X OC PLUS専用GDDR7による448GB/sの帯域幅とドライバー最適化で、共有メモリのAPUでは出しにくい安定したフルHD〜WQHDのゲーム性能を確保できます。VRAM16GBで軽めの画像生成やローカルAI処理にも余裕を持たせやすいモデルです。価格目安:約110,700円~Amazonで価格を見る
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NPUとGPUNPUではなくGPUが使われる理由

近年のAI PCにはGPUとは別に、AI専用プロセッサであるNPU(Neural Processing Unit)も搭載されています。しかし大規模な生成AIモデルを動かす用途では、NPUよりGPUが使われるケースが多くなります。

NPUは低消費電力の常時処理が得意NPUは低消費電力でAI処理を続けることに向いており、Webカメラの背景ぼかし・ノイズ除去・音声処理・Windowsが備えるAI機能などに利用されています。
大規模モデルはGPUの演算規模が必要大規模な生成AIモデルではNPUよりGPUの演算規模が大きく、対応するAIソフト・ライブラリも充実しています。Ryzen AI Max+ 395の場合、NPU単体は最大50TOPSですが、CPU・GPU・NPUを合算した総合AI性能は最大126TOPSとされています。
重要なのはGPUが使えるメモリとソフトの対応状況大規模なローカルLLMを動かす場合、NPU性能だけでなくGPUがどれだけメモリを利用できるか、利用したいソフトがAMD ROCmやVulkan、DirectMLといった環境に対応しているかが重要になります。
「AI PC」の表記だけでは判断できない

「AI PC」と書かれているだけで、巨大なAIモデルを快適に動かせるとは限りません。NPUのTOPS値だけでなく、GPUが利用できるメモリ容量や対応ソフトを合わせて確認する必要があります。

使い分け内蔵GPUと単体GPUは競合ではなく使い分けへ

AI時代の内蔵GPUは、単体GPUを完全に置き換える存在ではありません。今後のPC選びでは「グラフィックボードがあるかないか」の二択ではなく、用途に応じて以下のポイントを確認するのが現実的です。

確認ポイント内容
GPUが使えるメモリ容量内蔵GPU(APU)ならシステムメモリのうちGPUに割り当てられる上限、単体GPUなら専用VRAMの容量を確認します。
メモリ帯域幅容量が大きくても転送速度が遅いと、AI処理・ゲームのどちらでもGPU演算性能を活かし切れません。
AIソフトの対応状況利用したいAIソフトがAMD ROCm・Intel oneAPI・NVIDIA CUDAなど、どの環境に対応しているかで実際に使える構成が変わります。
GPUの演算性能TOPSやCUDAコア数、コンピュートユニット数は精度条件が異なるため、同条件のベンチマークで比較するのが安全です。
消費電力と冷却性能内蔵GPUはCPUと電力・冷却枠を共有するため、長時間の高負荷では性能が制限されやすくなります。
ゲームとAIどちらを優先するか高画質・高リフレッシュレートのゲーミングを優先するなら単体GPU、大規模モデルをローカルで動かしたいなら共有メモリの多いAPUが選択肢になります。

内蔵GPUが単体GPUより高性能になったわけではありません。AI処理でメモリ容量が重視されるようになったことで、内蔵GPUが持つ共有メモリという特性が新たに評価されるようになった、というのが実情に近い変化です。

FAQよくある質問

内蔵GPUでもAIモデルは動かせますか
製品と規模によっては動かせます。AMD Ryzen AI Max+ 395のように最大128GBの共有メモリに対応するAPUなら、専用VRAMを積む単体GPUでは容量的に収まらない大規模モデルを読み込める場合があります。ただし処理速度はメモリ帯域幅にも左右されます。
AMD Ryzen AI Max+ 395とIntel Core Ultra 200Vはどちらがゲーミング向きですか
用途と構成によって異なります。Radeon 8060S(RDNA 3.5・CU40基)はゲーミング用途でも高い評価を得ている内蔵GPUです。Intel Arc 140V(Xe2・8基のXeコア)はGPU単体で最大67TOPSのAI性能を発揮し、NPUと合わせた総合AI性能でも競います。ゲーム性能を優先するかAI処理を優先するかで選び方が変わります。
DGX Sparkはゲーミングにも使えますか
一般的なゲーミング用途は想定されていません。DGX SparkはArmベースCPU・Linux環境・NVIDIAのAI向けソフトウェア群を組み合わせたAI開発向けシステムで、Windowsゲームを前提とした構成ではありません。
TOPSの数値は各社でそのまま比較できますか
そのままの比較はおすすめできません。AMDとIntelはINT8精度、NVIDIAはFP4精度かつスパース演算という異なる条件で数値を公表しています。演算精度や測定条件が異なるため、数値の大小だけで性能を判断しないよう注意が必要です。
内蔵GPUだけでゲームは快適に遊べますか
タイトルと画質設定次第で快適に遊べます。Radeon 8060Sのような高性能な内蔵GPUなら、フルHD解像度で画質を調整すれば多くのタイトルを快適に動かせます。ただし最新の大型タイトルを高画質・高リフレッシュレートで遊びたい場合は、単体GPUのほうが安定します。
「AI PC」と書かれていれば大きなAIモデルも快適に動きますか
表記だけでは判断できません。NPUのTOPS値だけでなく、GPUが利用できるメモリ容量・メモリ帯域幅・使用したいAIソフトの対応状況を合わせて確認する必要があります。

まとめまとめ|共有メモリという新しい評価軸

まとめ

かつて「グラフィック減速器」と揶揄された内蔵GPUは、AMD Ryzen AI Max+ 395のRadeon 8060S(RDNA 3.5・CU40基・最大2.9GHz)やIntel Core Ultra 200VシリーズのArc 140V(Xe2・8基のXeコア・最大67TOPS)のように、演算ユニットを大幅に強化した製品へと姿を変えています。AI時代に注目されているのは演算性能だけでなく、CPUとGPUがシステムメモリを共有できる点です。Ryzen AI Max+ 395は最大128GBのLPDDR5Xメモリのうち最大96GBをGPU用に割り当てられ、専用VRAMを積む単体GPUでは容量的に収まらない大規模なAIモデルを読み込める可能性があります。

NVIDIAのDGX Sparkも128GBの統合メモリを備え、最大2,000億パラメータ規模のモデル推論に対応するとされていますが、Armベースの専用AI開発システムであり、一般的なゲーミングPCの内蔵GPUとは性格が異なります。共有メモリはモデルを大きく読み込めることに強みがある一方、メモリ帯域幅では専用の高速VRAMを積む単体GPUに軍配が上がる場面が多く、DGX Sparkの273GB/sやRyzen AI Max+ 395の256GB/sに対し、GeForce RTX 5060 / RTX 5060 Ti 16GBは448GB/sの帯域幅を持ちます。

高画質・高リフレッシュレートのゲーミングを優先するなら、依然として単体GPUが有力な選択肢です。一方でフルHDを中心に遊びつつ、ローカルでのAI処理も両立したい人には、大容量の共有メモリを備えた高性能APUが現実的な選択肢になってきています。内蔵GPUが単体GPUを打ち負かしたわけではなく、AI時代の到来によって内蔵GPUが評価される新しい基準が生まれた、と捉えるのが実態に近い変化です。

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