AMDもDLSS 5対抗「Neural Lighting」を開発か|RDNA 5向けとのリーク、GPUOpen研究から実像を読む
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RDNA 5向けとのリーク、GPUOpen研究から実像を読む
出典:VideoCardz(Kepler_L2氏のリーク報道)・AMD GPUOpen(間接照明研究、2026年8月20日)・AMD GPUOpen(拡散モデルGI研究、2026年9月9日)・NVIDIA Research(DLSS 5技術資料)・VideoCardz(RDNA 5投入時期のリーク)にもとづきます(2026年9月17日時点)。
AMDが、NVIDIAのDLSS 5に対抗する次世代ニューラルレンダリング技術を開発しているとの情報が出ています。海外メディアが2026年9月16日に報じたもので、情報源はAMD関連のリークで知られるKepler_L2氏がAnandtechフォーラムで言及した内容です。
同氏によると、AMDは次世代GPU向けに「Neural Lighting」と呼べるDLSS 5相当の技術を用意しており、処理負荷の高さから次世代GPUでの利用が想定されているといいます。AMDが「Neural Lighting」という名称や機能を正式発表したわけではなく、現時点ではあくまでリーク情報です。
一方で、単なる噂として片付けにくい材料も出ています。AMDは2026年8月20日と9月9日に、ニューラルネットワークでゲーム内の間接照明を生成する研究成果をGPUOpenで相次いで公開しました。この研究とリークの内容を突き合わせると、AMDが向かおうとしている方向が見えてきます。
目次
要点今回の新情報は「FSR Diamondがある」ことではない
AMDは2026年3月のGDCで、次世代Xbox「Project Helix」と組み合わせる次世代FSRとして「FSR Diamond」を既に予告済みです。そのため「AMDが次世代FSRを作っている」というだけなら新情報ではありません。今回重要なのは、Kepler_L2氏がDLSS 5のように、従来シェーダーが担当していた処理の一部をニューラルネットワークへ置き換えるタイプの技術にAMDも取り組んでいると述べた点です。
FSR Diamondでは次世代ニューラルレンダリング、MLベースのアップスケーリング、MLベースのMulti Frame Generation、さらにレイトレーシングやパストレーシング向けの次世代Ray Regenerationが計画されています。MicrosoftもProject Helixについて、AMDとの共同設計によって次世代DirectXとFSRを利用し、レイトレーシング性能・機能を大幅に強化すると説明しており、開発者向けのアルファハードウェアは2027年から提供予定です。FSR Diamondの「次世代ニューラルレンダリング」という説明が具体的にどのような技術を意味するのか、その一端が今回のリークで見え始めた可能性があります。
DLSS 5とはアップスケーリングではなく「映像そのもの」を生成する
DLSS 5を従来のDLSS Super ResolutionやFrame Generationの延長として考えると、今回の話が分かりにくくなります。NVIDIAが2026年に投入したDLSS 5の中心機能は「3D-Guided Neural Rendering」です。従来のDLSSは低解像度画像から高解像度画像を復元したり、中間フレームを生成したりする技術が中心でしたが、DLSS 5ではニューラルネットワークがライティングやマテリアルの見え方そのものに関与します。
NVIDIAの研究資料によると、DLSS 5では1ステップのピクセル空間拡散モデルを使用し、現在のレンダリング画像・モーションベクトル・時間方向の状態情報・開発者が指定したアートディレクション情報などを入力として最終映像を生成します。単に「低解像度を4KにするAI」ではなく、従来レンダラーが作った映像にAIがさらに踏み込む技術です。2026年9月には『NBA 2K27』で正式提供が始まっており、現時点ではGeForce RTX 50シリーズ向け機能として提供されています。
AMDの研究8月から「ニューラルGI」の研究成果を連続公開
今回のリークで特に注目したいのが、AMD GPUOpenの動きです。AMDは2026年8月20日、「Lightweight attention-based indirect illumination」という研究を公開しました。この手法では、ゲーム画面から得られるG-bufferだけでなく、光源側から取得するReflective Shadow Mapの情報もニューラルネットワークへ入力し、画面外から回り込んでくる間接光まで再構築します。モデル自体は約219万パラメータ・432GFLOPsで、最適化前のFP32 PyTorch版ではAMD Instinct MI250上の512×512ピクセル処理に45.56msかかったとされています。
この数字を見る限り、この研究モデルをそのまま高フレームレートのPCゲームへ搭載できる段階ではありません。しかし重要なのは性能ではなく、AMDが「従来のシェーダーで計算していた間接照明の一部をニューラルネットワークに任せる」という方向を実際に研究している点です。
さらに興味深いのが、AMDが2026年9月9日に公開した「Temporally stable generative illumination with a one-step diffusion model」です。こちらはグローバルイルミネーションを条件付き画像生成問題として扱い、1ステップのLatent Diffusion Modelを利用します。入力には直接照明だけでなく、法線・アルベド・粗さ・金属度といったジオメトリ/マテリアル情報や、ノイズを含んだGI・Radiance情報が使われます。さらに前フレームの結果をモーションベクトルで再投影し、Temporal VAE Decoderへ渡すことでフレーム間のちらつきを抑える設計です。
NVIDIAのDLSS 5も1ステップの拡散モデルを採用していますが、NVIDIAはピクセル空間の拡散モデル、AMDの研究はLatent Diffusion Modelです。まったく同じ技術ではありませんが、「ゲームエンジンから得られる情報をAIへ入力し、1ステップの生成モデルで照明を作り、過去フレーム情報を使って時間方向を安定させる」という大きな方向性には共通点があります。AMDが将来この研究をそのまま製品化する証拠はありませんが、今回のNeural Lightingリークと時期が重なっている点は注目に値します。
既存技術との違いRay RegenerationとNeural Lightingは同じものではない
ここで混同しやすいのが、現在AMDが持っているRay RegenerationやRadiance Cachingです。AMDは現在のFSR Redstoneについて、Upscaling・Frame Generation・Ray Regeneration・Radiance Cachingという4つのニューラルレンダリング技術を提供しています。Ray RegenerationはRT結果のノイズ除去・再構築を担う技術としてFSR Redstoneで提供済みです。Radiance Cachingは光がシーン内をどのように伝わるかを動的に学習・予測する技術で、RDNA 4向けの技術プレビューとして提供されています。
一方、Kepler_L2氏が話しているNeural Lightingは、これらとは別のものとして扱われています。Ray Regenerationは基本的にデノイズ・再構築側の技術であるのに対し、Neural Lightingは照明表現そのものをニューラルネットで生成する次世代方式とされています。Neural Lightingが実際に製品化されれば、AMDのニューラルグラフィックスは「ノイズを消す」「解像度を上げる」という段階から、「光やマテリアル表現をAIが作る」という段階へ進むことになります。
RDNA 5が必要な理由処理が重く次世代GPU向けとされる
Kepler_L2氏は、この技術が次世代GPU向けになる可能性について、処理が非常に重いことを理由に挙げています。これは現在のDLSS 5を見ると理解しやすい部分です。DLSS 5の非公式MODでは、GeForce RTX 30シリーズなど古いGPUでもニューラルレンダリング自体を動かす実験に成功していますが、RTX 3050・RTX 3060 Tiで約1fpsまで落ち込むなど、処理時間が極端に増加するケースが報告されています。さらに2026年9月には、Radeon RX 9000・RX 7000シリーズでDLSS 5のニューラルレンダリングを動かす非公式プロジェクトも登場し、RX 9070 XTで約33fpsを記録しました。
つまり「現在のRadeonではニューラルレンダリングという処理そのものが絶対に実行できない」と考えるのは適切ではありません。実行できることと、4K・60fps以上のゲームへ実用的に組み込めることは別問題です。AMDがRDNA 5世代でAI演算能力やニューラルレンダリング向けのデータパスを強化し、そこで初めて製品レベルのNeural Lightingを投入するという流れなら整合します。
投入時期問題は「いつ使えるのか」
技術そのもの以上に気になるのが投入時期です。これまでRDNA 5については2027年投入という情報が多く出ていました。ところが2026年9月16日、海外メディアがKepler_L2氏の新たな情報として、AMDの次世代GPUの大部分が2028年へずれ込む可能性を報じました。同情報によると、2027年に投入される新GPUは「AT2」という一部モデルに限られるとされています。これもAMD公式ロードマップではなくリークです。
そのため「Neural Lighting=2027年に使える」と考えるのはまだ早いでしょう。NVIDIAはDLSS 5を2026年9月から実際のゲームへ投入しています。AMDの対抗技術がRDNA 5世代まで待つ必要があり、さらにそのGPUが2028年へずれ込むなら、ニューラルレンダリングの実用化ではNVIDIAがかなり長く先行することになります。
購入判断への影響RX 9000シリーズの判断は変わるか
- 今のFSR Upscaling・Frame Generation・Ray Regenerationで満足している人
- RX 9000シリーズを近く購入予定の人(Neural Lightingは未確定情報のため待つ理由にならない)
- 2028年まで待てない人(RDNA 5自体が2028年へずれ込む可能性が出ている)
- 最新のニューラルレンダリングをできるだけ早く体験したい人(DLSS 5はRTX 50で既に提供中)
- 次世代Radeon・RDNA 5の発売時期を軸に自作PCの計画を立てている人
- FSR Diamondの詳細発表を待っている人(Neural Lightingが含まれるかは不明)
今回の情報だけを理由に、Radeon RX 9000シリーズを避けたりRDNA 5まで待ったりする必要はまだありません。Neural LightingはAMDが正式発表した製品機能ではなく、対応GPUや性能、ゲーム対応数、FSR Diamondとの関係も確定していません。現在のRX 9000シリーズで実際に利用できるのは、FSR Upscaling 4.1やFrame Generation、Ray Regenerationなど現行FSRの機能です。将来機能への期待ではなく、購入時点で利用できるゲームと機能を基準にGPUを選ぶ方が安全です。
まとめまとめ|リークとAMD自身の研究が重なり、以前より現実味が増している
AMDがDLSS 5に似た「Neural Lighting」を次世代GPUへ搭載するとの情報が出ました。この情報自体はKepler_L2氏によるリークであり、AMDによる正式発表ではありません。
しかしAMDは2026年8月にニューラルネットワークによる間接照明生成を公開し、9月には1ステップ拡散モデルを使った時間的に安定したGenerative Illuminationの研究成果まで公開しています。NVIDIAのDLSS 5も1ステップ拡散モデルとゲーム側の情報を組み合わせたニューラルレンダリングを採用しており、実装方法は異なるものの、両社が向かっている方向はかなり明確になってきました。
今回のリークとAMD自身の研究成果を合わせて見ると、RDNA 5世代でAMDが狙っているのは、単なる「DLSSに追いつくFSR」ではなく、ゲームのレンダリングパイプラインそのものをニューラルネットワーク向けに作り直すことなのかもしれません。ただし、その答えが出るのは早くても次世代Radeonの詳細が明らかになってからで、RDNA 5自体が2028年へずれ込む可能性も出ている段階です。現時点でRX 9000シリーズの購入判断を変える必要はありません。





