AMD Intel CPUシェア最新分析|デスクトップ36.4%→33.2%後退の真相とサーバー46.2%過去最高【2026年】

(更新: 2026.8.23)
AMD Intel CPUシェア最新分析|デスクトップ36.4%→33.2%後退の真相とサーバー46.2%過去最高【2026年】

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2026/08/23 追記 本記事の更新Mercury ResearchのQ2 2026統計を追記しました。デスクトップCPU出荷は前年同期比20%超減という「ugly」な市場環境になった一方、AMDのデスクトップシェアはQ1 33.2%→Q2 34.9%へ反発。GPU・メモリ・SSDの価格高騰がPC需要そのものを圧迫している構造をTrendForceのデータとあわせて整理しています。詳細は「Q2 2026速報」セクションへ。
NEWS / MERCURY RESEARCH Q1→Q2 2026
AMD Intel CPUシェア最新分析
デスクトップ36.4%→33.2%→34.9%、出荷20%超減の裏側
Mercury Researchが公表したQ1・Q2 2026のx86 CPU統計を整理します。AMDのデスクトップユニットシェアはQ4 2025の36.4%からQ1 2026は33.2%へ後退、Q2 2026は34.9%へ反発しました。ただしQ2はデスクトップCPU出荷そのものが前年同期比20%超減という「ugly」な市場環境で、GPU供給制約とDRAM・NAND価格の記録的な高騰がPC需要を圧迫しています。デスクトップ失速の3要因分解・Steam実使用シェアとの照合・BTO自作派の判断指針まで踏み込みます。
デスクトップ出荷 前年比20%超減AMDデスクトップ 34.9%クライアント合計 初の30%超え

出典:Tom’s Hardware(Q1 2026)TechSpotbusinesstatsTom’s Hardware(Q2 2026)XenoSpectrumTrendForce(Q2実績)TrendForce(Q3予測)にもとづきます。AMDのClient部門決算はAMD公式の2026年第2四半期決算発表を出典とします。記事内の情報は2026年8月23日時点のものです。

2026年5月14日、Mercury ResearchがQ1 2026のx86 CPU統計を公表しました。デスクトップ単体でのAMDユニットシェアはQ4 36.4%→Q1 33.2%へと3.2pt失速。一方でクライアント合計(デスクトップ+ノートPC)は29.6%で過去最高更新、サーバー収益シェアは46.2%という強烈な二面性を見せていました。

そして2026年8月に公表されたQ2 2026統計では、デスクトップCPU出荷そのものが前年同期比・前四半期比とも20%を超えて減少し、Mercury Researchはこの市場環境を「ugly」と表現しています。その厳しい市場のなかでAMDのデスクトップシェアは33.2%→34.9%へ反発し、クライアント合計は初めて30%の大台を突破しました。

本記事は「サーバー46.2%」を主題にした海外報道の上を行き、デスクトップ単体での失速理由をIntel Arrow Lake Refresh投入・値上げ観測によるQ4駆け込み需要の反動・DDR5高騰の3要因に切り分けたうえで、Q2に判明したGPU供給制約とDRAM・NAND価格高騰という市場全体の需要破壊まで踏み込みます。Steam HW Surveyとの照合・BTO/自作派の判断指針まで解説します。

速報Q1 2026 Mercury Research 結果ハイライト

まず5/14公表のQ1 2026統計を、複数の海外メディアが報じた数字で相互にクロスチェックして整理しました。データセット名はMercury Research Q1 2026 x86 CPU Market Share Report、発表者は同社プリンシパルのDean McCarron氏です。

33.2%
AMD デスクトップ単体
Q4 36.4%から−3.2pt QoQ
29.6%
AMD クライアント合計
当時過去最高(デスク+ノート)
46.2%
AMD サーバー収益シェア
EPYC主導の成長継続
約70%
Intel 消費者PC維持率
Arrow Lake Refreshで踏みとどまり
指標Q1 2026実績前期/前年同期比較読みどころ
AMD デスクトップ(ユニット)33.2%QoQ −3.2pt(Q4 36.4%)/YoY +5.2pt(前年同期28%)「QoQ失速」と「YoY成長」の両立。報道見出しで切り取られる側が変わる
AMD クライアント合計29.6%当時過去最高更新(前期29.2%)ノートPCが伸びてデスクの失速を吸収。指標としては強気
AMD クライアント収益31.4%単価高いX3D/Ryzen AI寄与ユニットより収益の方が高い=高単価帯で勝っている構造
AMD サーバー(収益)46.2%EPYC主導で継続上昇海外報道はここを主題化。本記事はデスクトップ失速を主題化
Intel 消費者PC全体約70%Arrow Lake RefreshでQoQ踏みとどまり「依然Intelが量で支配」は事実。ただしハイエンドゲーミングは別の話
x86全体・AMD価値シェア38.1%ユニットより7pt以上高いEPYC・X3Dなど高単価品で稼ぐ「AMDの収益体質」の証左

注目点は「QoQ失速」と「YoY成長」が同時に成立している点です。デスクトップ単体での−3.2ptはインパクトのある数字ですが、前年同期と比べれば+5.2ptと依然として大きく前進しています。つまり「失速=シェアを失っている」という見出しは半分しか正解ではなく、正しくは「過熱から少し冷えただけで、長期トレンドはまだAMD優勢」と読むのが妥当です。

数字の出典について

本記事のQ1 2026数値はMercury ResearchのQ1 2026統計レポートを一次データとし、Tom’s Hardware・TechSpot・businesstatsの3媒体で数字を相互照合しました。乖離があった場合はTom’s HardwareのQ1 2026専用記事を採用しています。Q2 2026数値はTom’s Hardware(Q2専用記事)・XenoSpectrumで相互照合し、DRAM・NAND価格の数値はTrendForce(Q2実績・Q3予測)を出典としています。

推移AMD Intel CPUシェア推移(2025〜2026年)

単一四半期の数字だけでは「失速」の意味を読み違えます。Mercury Researchの公表値をもとに、直近1年半のAMDシェア推移を時系列で整理しました。この推移表は四半期ごとのMercury発表にあわせて更新しています(2026年8月にQ2 2026データを追記)。

指標(AMD)Q1 2025Q4 2025Q1 2026Q2 2026
デスクトップ CPU(ユニット)28%36.4%(ピーク)33.2%34.9%
モバイル CPU(ユニット)20.6%28.3%28.9%
クライアント合計(ユニット)24.1%29.2%29.6%(当時過去最高)30.3%(初の30%超え)
クライアント収益26.6%31.2%31.4%
サーバー収益41.3%46.2%(当時過去最高)

推移で見ると構図は明快です。Q1で反落したデスクトップシェアはQ2に33.2%→34.9%へ反発し、クライアント合計は初めて30%の大台を突破しました。ただしこれは市場が拡大したなかでの反発ではありません。次の「Q2 2026速報」セクションで詳しく整理する通り、デスクトップCPU出荷そのものは前年同期比20%超の減少という厳しい市場環境のなかでの反発です。

Q2速報出荷20%超減の「ugly」な市場でAMDは34.9%へ反発

Mercury Researchは2026年8月、Q2 2026のx86 CPU統計を公表しました。同社はデスクトップCPU市場の状況を「ugly」という強い言葉で表現しています。デスクトップx86 CPUの出荷台数は前年同期比・前四半期比ともに20%を超えて減少し、Mercury Researchはその要因として、GPUの供給制約と、マザーボード・メモリモジュール・SSDを含む部品コストの高騰を挙げています。

−20%超
デスクトップCPU出荷
前年同期比・前四半期比とも
34.9%
AMD デスクトップ単体
Q1 33.2%から+1.7pt反発
30.3%
AMD クライアント合計
初めて30%を突破
69.7%
Intel クライアント合計
依然として過半数を維持

注目したいのは、出荷台数そのものが大きく落ち込んでいる市場のなかでAMDのシェアが上昇している点です。デスクトップ単体ではQ1の33.2%からQ2は34.9%へ+1.7pt反発し、モバイルCPUシェアも28.9%(前年同期20.6%から+8.3pt以上)まで伸びました。デスクトップとモバイルを合わせたクライアント合計シェアは30.3%となり、Mercury Researchの統計でAMDが初めて30%の大台を突破しました。前年同期の23.9%からはわずか1年で6.4pt増です。

「AMDが伸びた」と「市場が伸びた」は別の話

今回の34.9%という数字を、AMDのデスクトップCPUが爆発的に売れた結果と捉えるのは正確ではありません。Mercury Researchのデータでは、AMD・Intelともにデスクトップの出荷台数自体は大きく減少しており、AMDの減少幅がIntelより小さかった結果としてシェアが上昇したという側面が強い四半期です。市場全体が縮小するなかでAMDが相対的に踏みとどまった、と理解するのが正確です。

なぜデスクトップCPUだけが2桁%も落ち込んだのか

ノートPC・サーバー向けのx86 CPU出荷は同じ四半期でむしろ増加しており、デスクトップ市場だけが突出して弱い状況です。Mercury Researchが要因として挙げているのは、CPU単体の価格ではなくPCシステム全体の価格上昇です。特にゲーミングPCではGPUがシステム価格の大部分を占めるため、GPU供給の制約はデスクトップPC全体の購入判断へ直結します。

GPU供給の制約Mercury Researchは「limited GPU supplies」をデスクトップPC需要低迷の要因として名指ししています。GPUが用意できなければ、CPUだけを先に購入する動機も弱まります。
DRAM・NAND価格の急騰TrendForceの調査では、2026年Q2の従来型DRAM契約価格は前四半期比58〜63%、NAND Flashは70〜75%という記録的な上昇率になりました。AIサーバー・エンタープライズSSD向けへ生産能力が振り向けられたことが背景です。
PCシステム総額の上昇CPU・GPU・メモリ・SSDが同時に値上がりした結果、CPU単体が値ごろでもPC一式の総額は上昇します。Mercury Researchは、この総額上昇がデスクトップPCの購入・アップグレード判断を先送りさせていると分析しています。

TrendForceは2026年Q3についても、従来型DRAMが前四半期比13〜18%、NAND Flashが10〜15%上昇すると予測しています。Q2よりは上昇幅が縮小する見通しですが、これは供給が十分に改善したためではなく、TrendForceが指摘するようにPCやスマートフォンなど消費者向け市場が価格負担の限界に近づき、需要自体が弱くなっていることが理由の一つです。

AMD自身の決算は好調、それでもデスクトップ市場は縮小

AMDの2026年第2四半期Client部門売上高は31億ドルで、前年同期比23%増加しました。ただしAMDはこの増加を主にRyzenモバイルプロセッサの記録的な販売とシェア拡大が牽引したと説明しており、デスクトップ市場そのものが好調だったわけではありません。「AMDのPC事業は好調」と「デスクトップCPU市場は2桁%縮小」は同時に成立します。

今回のQ2データが示しているのは、2026年のパーツ高騰が単なる価格表の数字ではなく、実際のデスクトップPC出荷台数を2桁%押し下げる段階まで来ているということです。CPU単体の値ごろ感だけでアップグレード時期を判断するのではなく、GPU・メモリ・SSDを含めたPC総額で判断する必要性は、Q1時点よりさらに増しています。

分析デスクトップ失速|36.4% → 33.2% の構造分析

デスクトップ単体での−3.2pt QoQという数字を、報道見出しの「失速」と実態の「依然成長」の二面で切り分けます。

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短期トレンド(QoQ)|失速の側面
  • Q4 2025の36.4%は過去最高水準で、AMD単独でデスクトップx86の3分の1超を握っていた異例の高水準
  • Q1 2026で33.2%へ−3.2pt後退。3四半期連続の上昇ストリークが途切れた
  • 季節要因(年末商戦のヤマ場がQ4に集中)に加え、Intel側のArrow Lake Refresh投入でIntelがQoQベースで踏みとどまった
  • 「AMDが量を落とした」というより「Intelが反撃に出てきた」と読むのが構造的に正確
長期トレンド(YoY)|依然成長の側面
  • 前年同期(Q1 2025)の約28%から見ると、Q1 2026の33.2%は+5.2ptの大幅成長
  • クライアント合計では29.6%で当時過去最高更新。ノートPCが伸びてデスクの失速を完全に吸収
  • 収益シェアはユニットシェアより7pt以上高い38.1%。高単価帯(X3D・EPYC)で稼ぐ収益体質が継続
  • 「シェア喪失」ではなく「過熱したQ4から自然な軟着陸」のフェーズ

この二面性を踏まえると、デスクトップ単体の−3.2ptは「Q4のピークが構造的に維持できなかった」と読むのが妥当です。Intelが完全に巻き返したわけでも、AMDが魅力を失ったわけでもありません。Q4→Q1という季節サイクルにArrow Lake RefreshのQ1末投入が重なり、過熱したシェアがピークアウトしたフェーズ。長期トレンドラインで見れば、AMDは依然として右肩上がりです。

「失速」見出しの読み方

海外メディア・SNS上では「AMD desktop share drops 3.2pt」という見出しが先行していますが、これだけを切り取ると誤読を招きます。「QoQでは失速、YoYでは依然成長」を必ず併記したうえで判断材料にしてください。「AMDは終わった」「Intelが完全復活」と早合点する材料にはなりません。

構造クライアント合計過去最高|ノートで稼ぐ・デスクで失速のパラドックス

もうひとつ重要な事実は、デスクトップ単体が−3.2pt失速したのと同じ四半期に、クライアント合計(デスク+ノート)は29.6%で当時過去最高を更新したという点です。ここに今のAMDの収益構造が表れています。デスクトップは自作派・ハイエンド向けがQ1季節要因とArrow Lake Refreshで軟化した一方、ノートPCはRyzen AI 300/400シリーズがOEMノートに広く採用され、Lenovo・HP・ASUSでAMD機が拡大したことでクライアント合計を底上げしました。

この構造を見落とすと、ニュース記事ごとに「AMD過去最高」と「AMD失速」が同居して混乱します。セグメントごとに勝ち負けが分かれた四半期と理解すれば矛盾しません。デスクトップ自作派・BTOの人が見るべきは「33.2%(失速)」の方、ノートPC市場のトレンドを追う人が見るべきは「29.6%(過去最高)」の方、というシンプルな整理です。

要因失速の3つの理由|Arrow Lake Refresh/駆け込み需要の反動/DDR5 高騰

「Q4のピークからQ1で−3.2pt」という現象を、報道ベースで構造要因に分解します。単一要因ではなく、3つの要因が同期間に重なったのがQ1失速の正体です。

Intel Arrow Lake Refresh(Core Ultra 200 Plus)のQ1末投入2026年3月、IntelはArrow Lake RefreshとしてCore Ultra 7 270K Plus(発売時$299)・Core Ultra 5 250K Plus(同$199)を投入。マルチスレッドでは旧Core Ultra 9 285Kを超える局面もあり、「Intelプラットフォームでもコスパ枠が再成立した」のが構造インパクトです。OEM・BTO側でもB860マザボとの組み合わせで提案できる選択肢が増え、Q1末のIntel採用率を押し上げました(なお2026年7月2日に両SKUは$349/$229へ約15〜17%値上げされ、コスパ優位は当初より縮小)。詳細はCore Ultra 7 270K Plus レビュー記事参照。
値上げ観測を前にした「Q4駆け込み購入」の反動Mercury Researchの発表者Dean McCarron氏自身が挙げた要因です。2026年のCPU値上げ観測を前に、買い替え需要が2025年Q4へ前倒しで集中し、その反動でQ1のデスクトップ出荷が異例に弱くなったという構図。ゲーミング本命のRyzen 7 9800X3D(2024年11月発売)の供給はすでに安定しており、米国では2026年3月末$419→4月に過去最安$409と値下がりが進行。「品薄で売れなかった」という構図ではありません。関連:Ryzen Q2値上げ緊急ガイド9800X3D 価格・買い時記事
DDR5価格高騰によるAM5自作の意思決定遅延2026年Q1を通じてDDR5がAI需要起因で上昇圧力を受け続け、AM5自作の総額が想定を上回るケースが頻発。DDR4が残るマザボ(LGA1700+B760)でも組めるIntel側に対して、AM5はDDR5必須のため、自作派の「今は様子見」判断が増えました。これはAMDの責任ではなく市場要因ですが、結果としてQ1のデスクトップAMDシェアを抑える方向に働きました。

3要因の合算が−3.2ptという結果になったと整理できます。逆に言えば、Arrow Lake Refresh単独で3.2ptを全部説明することはできません。「Arrow Lake Refreshで流れが変わった」というのは半分正しく、残り半分は「Q4への需要先食いとDDR5高騰が同時に起きた」という構図です。

3要因の中で持続性が高いのはどれか

持続性で言えばArrow Lake Refresh投入効果が最も長く効きます。ただし2026年7月2日にIntelが270K Plusを$349・250K Plusを$229へ約15〜17%値上げしており、「$299コスパ枠」の魅力は発売当初より縮小しました。Q4駆け込みの反動は一過性でQ2には一巡、DDR5は上昇ペースが鈍化しつつもQ3まで値上がり継続見込み(2027年軟化予測あり)。実際にQ2でAMDデスクトップシェアは34.9%へ反発しました。

対照サーバーは依然好調|46.2% 収益シェアの意味と限界

海外報道が見出しに据えたのは「サーバー収益シェア46.2%」の方です。こちらはデスクトップ失速とは対照的に、EPYC主導で右肩上がりが継続しています。

指標数値意味
サーバー収益シェア46.2%前期から継続上昇。Intel Xeonに対して約半分の収益をAMDが押さえる構造
サーバーユニットシェア33%超収益46.2%に対しユニットは33%超=1台あたりの単価が圧倒的に高いEPYCの強さが浮き彫り
主力SKUEPYC 9005/TurinZen 5cコア最大192C、HPC・AI推論ワークロードでXeonを上回るシナリオが定着

「サーバー46.2%」の意味は単純です。1台あたりの単価が圧倒的に高いハイエンドサーバーで、AMDがIntelと互角を超えたということ。Mercury Researchのレポートでも、ユニット数より収益で先行している点がAMDの強みとして繰り返し言及されています。データセンター事業者にとって「Intel一択」だった時代は完全に終わり、EPYCは標準選択肢のひとつになっています。

ただし、サーバーの好調はPCゲーマーに直接の恩恵を与えないのも事実です。サーバー需要が強すぎると、TSMCの4nm/3nmウェハ割当がEPYC/Instinct(AI向け)に優先配分され、X3D系の増産余地が構造的に制約されるリスクは残ります。2024年末の9800X3D品薄はこの構造が表面化した典型例でした。もっとも2026年に入ってからは供給が安定し、米国では4月に過去最安$409を記録するなど、現在は価格・在庫とも落ち着いています。AMD Q1 FY2026 決算徹底分析でCFO Jean Huが「H2ゲーミング売上H1比20%超減」と警告したのも、この構造の延長線上にあります。

照合Steam Hardware Survey 照合|出荷シェア vs 実使用シェア

Mercury Researchの数字は出荷統計です。一方、Valveが毎月公開するSteam Hardware Surveyは実使用統計。両者を照合すると、Mercuryのセンセーショナルな見出しの裏で、実際のゲーミングPCユーザーがどう動いているかが見えます。

Mercury Research(Q1 2026・出荷統計)OEM+リテールを含む出荷ベースで、デスクトップ33.2%/クライアント29.6%。四半期発表と同時に反映される即時性の高い統計です。
Steam HW Survey(2026年6月・実使用統計)実際にゲームをプレイしているユーザーの環境を集計する統計で、AMD CPU比率は約46%(Windows 45.99%)。出荷から実際の使用データへ反映されるまで1〜2年のタイムラグがあります。

注目すべきはSteam上のAMD CPU比率がMercuryの出荷シェアより明確に高い点です。これは「ゲーマー層はOEM平均よりAMD(特にX3D系)を選ぶ傾向が強い」という事実を示しています。Mercuryのデスクトップ全体33.2%は法人PC・低スペックOEMを含んだ平均値で、純粋にゲーミング目的のPCだけを切り出せばAMD比率はさらに高くなる、というのが現実です。

出荷シェアと実使用シェアのギャップが意味すること

Mercuryの出荷データでAMDが−3.2pt失速しても、Steam上でAMD比率が即座に下がるわけではありません。ゲーマーが買ったX3D PCは3〜5年使われるため、実使用ベースのシェアは出荷統計より長期的に推移します。「Mercuryで失速=Steamでも即影響」と捉えるのは早合点で、ゲーミングPC市場の実体は当面AMD優勢が続くと考えるのが現実的です。

指針BTO・自作派の判断指針|Ryzen X3D 継続推奨 vs Core Ultra 200 Plus 見直し

ここまでの分析を踏まえて、いまBTO・自作で組む人がどちらを選ぶべきかを4セグメントで整理します。Mercuryの「失速」報道を見て慌てて方針を変える必要があるか否か、結論からはっきり書きます。

ハイエンドゲーミング(4K/高リフレッシュ)→ Ryzen 7 9800X3D継続Mercuryの出荷シェア失速はゲーミング性能とは無関係です。X3Dの3D V-Cacheがゲームfpsで依然優位で、Arrow Lake Refreshは独立テストでタイトル別8〜25%・平均10〜15%届きません。9800X3Dは値下がりが進み入手性良好(米国で過去最安$409)、後継の9850X3D(米国実売$458前後)も登場済みで選択肢が拡大しています。関連:9800X3D vs 270K Plus 徹底比較
ミドルゲーミング+作業(コスパ重視・自作)→ Core Ultra 7 270K Plus/Ultra 5 250K Plusを再評価発売時$299/$199(7月2日値上げ後$349/$229)+B860の組み合わせでAM5+DDR5より総額を抑えられるケースは残りますが、値上げで優位幅は縮小しています。マルチスレッドでは旧285K超え、ゲームでは9800X3Dに届かないものの許容範囲です。DDR4を流用したい場合はLGA1700+B760+Core i5-14400Fも依然現実解。関連:Arrow Lake Refresh レビュー
マルチコア重視(配信・動画編集・3DCG)→ Ryzen 9 9950X3D/9950X継続16コア帯ではAMDが依然優位。Intel Core Ultra 9 285Kも対抗候補ですがTDP・電気代でAMD有利です。Mercuryの失速はこのセグメントには波及していません(Q1出荷数の影響は主にミドル帯)。BTOで組む場合の本命は9950X3D+RTX 5080/5090構成。関連:X3D 3機種比較
ライト用途(オフィス・配信視聴・軽ゲーム)→ Core Ultra 5 235/Ryzen 5 9600XどちらでもこのゾーンはIntel・AMDどちらでも体感差はほぼありません。DDR4互換性・マザボ流用・価格で選んで問題なく、Mercuryの数字はこのセグメントの出荷ボリュームで動いている部分が大きいです。

4セグメントを通じての結論は「ハイエンド・マルチコア用途は引き続きRyzen X3Dを推奨、ミドル帯コスパ枠だけCore Ultra 200 Plusを再評価」です。Mercuryの失速見出しを見て「Intelに乗り換えた方が良いのでは」と慌てる必要はありません。ゲーミング性能で9800X3Dが圧倒している事実は変わっておらず、Steam実使用シェアでもAMD優勢の構造が継続しています。

参考各シェア帯のおすすめモデル

Mercuryのシェアレポートを受けて、いまBTO・自作で選ぶ場合に「シェアと実力が一致している」モデルを4枚ピックしました。価格は2026年7月10日時点のAmazon参考値です。

価格は変動します

本記事の価格は2026年7月10日時点の参考値です。AI需要起因のメモリ・GPU価格変動、9800X3Dの在庫状況によって日々動きます。購入時はAmazonの現在価格を必ず確認してください。

AMD Ryzen 7 9800X3D
ゲーミング王者|Mercury 失速報道とは無関係AMD Ryzen 7 9800X3DQ1デスクトップシェアが−3.2pt失速した報道で「Intelに逆転されたのでは」と心配する必要は一切ありません。Arrow Lake Refresh(Core Ultra 7 270K Plus)に対して独立テストで平均10〜15%前後の優位を保ち、ゲーミング性能の王者は依然9800X3D。2026年に入って値下がりが進み、米国では過去最安$409・国内も約62,800円〜と買いやすさが回復しています。3D V-Cacheの恩恵を最大限受けたいWQHD高リフレッシュ/4K+RTX 5070 Ti以上の構成に最適約62,800円〜(Amazon参考)Amazonで見る
Intel Core Ultra 7 265K
Arrow Lake Refresh コスパ枠|Intel 再評価の本命Intel Core Ultra 7 265KMercuryのQ1失速の裏側でIntelが踏みとどまった主力SKU。上位のCore Ultra 7 270K Plus(発売時$299・7月に$349へ値上げ)と同じArrow Lake系で、マルチスレッドは旧285K級、ゲーミングも9800X3Dに届かないものの実用域。B860マザボ+DDR5で総額を抑えやすく、AM5+9800X3Dの在庫を待てない人にとって現実的な代替案。配信・動画編集・コード作業などマルチコアが効く用途中心なら満足度が高い一枚約47,300円〜(Amazon参考)Amazonで見る
AMD Ryzen 9 9950X3D
マルチコア+ゲーミング両立|16コア最強AMD Ryzen 9 9950X3D配信・動画編集・3DCGとゲーミングを両立させたい人の本命。16コア/32スレッドのマルチコア性能でCore Ultra 9 285Kと互角以上を確保しつつ、3D V-Cacheでゲームfpsも9800X3D級まで引き上げる構造。MercuryのQ1失速はミドル帯出荷数が主因で、このゾーンには波及していません。BTOで9950X3D+RTX 5080/5090構成を組む場合の心臓部約104,400円〜(Amazon参考)Amazonで見る
Intel Core Ultra 9 285K
Intel ハイエンド|24コアの全能枠Intel Core Ultra 9 285KArrow Lake世代のIntelフラグシップ。8 P-core+16 E-coreの24コア/24スレッドで、マルチコアワークロードでは9950X3Dと並ぶ性能。ゲーミングは9800X3D/9950X3Dに届かないものの、Intelプラットフォームで統一したい層・Quick Syncを使いたい配信者・Arc内蔵GPUを活用したい層には依然有力。Mercuryのシェア構造でIntelが踏みとどまった象徴的な存在約92,900円〜(Amazon参考)Amazonで見る

FAQMercury Q1→Q2 2026 と CPU 選びに関するよくある疑問

AMDのデスクトップシェアが−3.2pt失速したら、自作でIntelに乗り換えるべきですか?
結論は「乗り換える必要なし」です。Mercuryの数字は出荷シェアであって性能シェアではありません。ゲーミング性能ではRyzen 7 9800X3Dが依然圧倒しており、Arrow Lake Refresh(Core Ultra 7 270K Plus)でも独立テストで平均10〜15%(タイトル別8〜25%)届かない事実は変わっていません。「シェアが失速=性能で負けた」ではなく、IntelがArrow Lake Refreshで踏みとどまっただけ。ハイエンドゲーミングなら9800X3D/9950X3D路線を継続して問題ありません。
クライアント合計29.6%が過去最高なのに「失速」と書かれるのはなぜですか?
セグメントを切る粒度で見出しが変わるためです。デスクトップ単体ではQ4 36.4%→Q1 33.2%で−3.2pt後退ですが、クライアント合計(デスク+ノート)では29.6%で当時過去最高更新。報道側がどちらを主題化するかで「失速」「過去最高」が同居します。本記事ではデスクトップ単体を主題化し、その失速理由をArrow Lake Refreshなど3要因に分解しました。
サーバー46.2%収益シェアはPCゲーマーに関係ありますか?
直接の恩恵はありません。サーバー(EPYC)とAI向けInstinctがTSMC 4nm/3nmのウェハ割当を優先的に確保するため、X3D系(9800X3D・9950X3Dなど)の増産余地が構造的に制約されるリスクがあります。2024年末の9800X3D品薄はこの構造が表面化した典型例でした。2026年現在は供給が安定していますが、サーバー好調は「X3Dの供給柔軟性を縛る要因」として頭に入れておくのが妥当です。
Arrow Lake Refreshは本当にIntelの反撃材料として機能しているのですか?
機能しています。Mercury Q1でIntelが消費者PC約70%を維持できたのは、Arrow Lake Refresh(Core Ultra 200 Plusシリーズ)のQ1末投入で「ミドル帯コスパ枠」が再成立したことが大きいです。ただし「9800X3Dに並んだ」のではなく「発売時$299で285K超えのマルチ性能」という別軸の魅力で勝負しており(7月2日に$349へ値上げ済み)、ゲーミング王者は依然9800X3D。コスパ重視・マルチコア重視でIntelを選ぶ意味は出てきましたが、ゲーミング特化ならAMDを変える理由にはなりません。
Q2 2026でAMDのシェアは実際どう動きましたか?
2026年8月に公表されたMercury ResearchのQ2統計では、AMDのデスクトップシェアはQ1の33.2%からQ2は34.9%へ反発しました。デスクトップとモバイルを合わせたクライアント合計シェアも30.3%となり、初めて30%の大台を突破しています。ただしこれは市場拡大にともなう伸びではありません。同じQ2にデスクトップCPUの出荷台数自体が前年同期比・前四半期比とも20%を超えて減少しており、Mercury Researchはこの市場環境を「ugly」と表現しています。AMD・Intelともに出荷台数が減少するなかで、AMDの減少幅がIntelより小さかった結果としてシェアが上昇した、という側面が強い四半期です。

総括Mercury Q1→Q2 2026 が示した「失速」の本当の意味

Q1→Q2の事実関係
  • デスクトップ単体はQ4 36.4%→Q1 33.2%(−3.2pt)→Q2 34.9%(+1.7pt)。YoYでは一貫して成長
  • クライアント合計はQ2に30.3%で初の30%突破。デスクで失速しノートで稼ぐ構造が継続
  • Q1失速の主因はArrow Lake Refresh投入・Q4駆け込み購入の反動・DDR5高騰の3要因合算
  • Q2はデスクトップCPU出荷が前年比・前四半期比とも20%超減という「ugly」な市場環境
  • GPU供給制約とDRAM+58〜63%・NAND+70〜75%の記録的高騰がPC需要そのものを圧迫
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BTO・自作派の判断指針
  • ゲーミング王者は依然Ryzen 7 9800X3D/9950X3D、Mercuryの失速報道で乗り換える必要なし
  • Intel再評価はミドル帯コスパ枠のCore Ultra 200 Plus+B860のみ
  • Steam実使用シェアでもAMD優勢継続、出荷統計との1〜2年のタイムラグに注意
  • CPU単体の値ごろ感だけでなく、GPU・メモリ・SSDを含むPC総額でアップグレード時期を判断する必要性はQ1時点よりさらに高まっている
まとめ

Mercury Q1→Q2 2026のレポートを読むときに最も重要なのは、「セグメントごとに勝ち負けが分かれている」という構造認識と、「市場全体が縮小するなかでのシェア変動」という前提です。デスクトップ単体を切り取れば「Q1失速→Q2反発」、クライアント合計で見れば「初の30%突破」、サーバー収益で見れば「46.2%で半分弱を支配」と、全く違う見出しが同時に成立します。

そしてQ2で判明した最も重要な事実は、AMDのシェア反発が市場拡大の結果ではないという点です。デスクトップCPU出荷そのものが前年同期比・前四半期比とも20%を超えて減少し、Mercury Researchはこの市場環境を「ugly」と表現しました。GPU供給の制約と、DRAM・NANDの記録的な価格高騰が、CPU単体の値ごろ感とは無関係にPCシステム全体の購入判断を先送りさせています。

結論はシンプルです。ゲーミング王者は依然Ryzen X3Dで変わらず、Mercuryの失速報道は出荷統計の季節要因とArrow Lake Refresh効果の合算であって性能逆転ではありません。ただしQ2で判明したパーツ高騰の構造は、CPU単体の値ごろ感だけでアップグレード時期を判断できない状況を強めています。本記事はQ1→Q2→Q3と統計をまたいでAMDとIntelの動きを追える時系列記事として、今後もMercury発表にあわせて更新します。

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ゲーミングスタイル管理人

自作PC愛好家・ゲーム歴15年超

ゲーミングPC歴は15年以上。毎年パーツを更新しながら最新トレンドを追いかけています。初心者にもわかりやすく、上級者も満足できる情報発信を心がけています。