RTX 5070に「GB203版」が出るとの報道|RTX 5080と同じGPUダイでも速くならない理由を仕様から読み解く【2026年9月】
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RTX 5080と同じGPUダイでも速くならない理由
出典:NVIDIA RTX Blackwell GPU アーキテクチャ ホワイトペーパー(GB203・GB205のダイ構成)、NVIDIA公式 GeForce RTX 5070ファミリーページ、VideoCardz.com(RTX 5070のGB203バリアント報道・2026年9月8日)、VideoCardz.com(RTX 5070 / 5070 Tiの確定仕様とGB203・GB205の割り当て)、TechPowerUp(同報道の詳報)、PC Gamer(供給と価格への影響)(いずれも2026年9月9日確認)
GeForce RTX 5070に、中身のGPUチップだけが違う第2バリアントが用意されているという情報が2026年9月8日に出ました。現行のRTX 5070が使っているのは「GB205」というミドルクラス向けのGPUダイ(ウェハーから切り出された半導体チップ本体)ですが、新しいバリアントではRTX 5070 Ti・RTX 5080と同じ「GB203」を使うとされています。
ここで「RTX 5080と同じチップなら速いのでは」と考えたくなりますが、報じられている範囲ではCUDAコア数もメモリ構成も現行のRTX 5070と同じままです。GB203はフル構成で10,752基のCUDAコアを持つチップなので、6,144基のRTX 5070として売るなら約43%を使わない状態にすることになります。ダイの型番が上がっても、実際に動く演算ユニットが増えるわけではありません。
同じことはRTX 5060でも既に起きています。当サイトでは2026年7月に、RTX 5060なのに中身がRTX 5070用のGB205だった製品を実際の刻印とデバイスIDまで確認して記事にしました。今回はその流れがひとつ上のクラスにも及ぶという話です。この記事では、GB203版が本当に速くなるのか、今RTX 5070を持っている人や買おうとしている人が何か行動を変える必要があるのかを、確定している仕様の数字から整理します。
目次
報道報じられている内容と、まだ決まっていないこと
2026年9月8日に、リーカーのHongxing2020氏が「RTX 5070はGB203コアを使う」と投稿し、あわせて9月9日に新しいドライバーが出るとしました。これを複数の海外ハードウェアサイトが報じています。ただしGB203の正確な型番(GB203-○○○の枝番)、デバイスID、基板設計、発売時期はいずれも判明していません。2026年9月9日時点でNVIDIAからの正式発表もなく、ドライバー側での裏付けも取れていません。
報道で一致しているのは、GB203版になってもRTX 5070の製品仕様は変わらないという見立てです。CUDAコア6,144基、12GB GDDR7、192-bitメモリインターフェイス、TGP(総グラフィックス電力)250Wという現行の数字がそのまま維持されるとみられています。増えるのは中身のダイの物理的な大きさだけ、というのが現在の見立てです。
なお検索結果には「GB203版は8,960基のCUDAコアになる」と書いている集約サイトもありますが、これは元の報道と食い違う数字です。8,960基はRTX 5070 Tiの仕様であり、RTX 5070として売るのであれば当てはまりません。
ダイGB203とGB205はどれだけ違うチップなのか
まず前提として、GB203とGB205がどれくらい違うチップなのかを確定値で押さえておきます。以下はNVIDIAが公開しているBlackwellアーキテクチャのホワイトペーパーに基づく、それぞれのフル構成です。
| 項目 | GB203(フル構成) | GB205(フル構成) |
|---|---|---|
| SM数 | 84基 | 50基 |
| CUDAコア | 10,752基 | 6,400基 |
| RTコア | 84基 | 50基 |
| Tensorコア | 336基 | 200基 |
| メモリバス幅 | 最大256-bit | 最大192-bit |
| トランジスタ数 | 456億 | 311億 |
| ダイサイズ | 378mm² | 263mm² |
| 採用製品 | RTX 5080 / RTX 5070 Ti | RTX 5070 |
面積で1.44倍、トランジスタ数で1.47倍という差があります。半導体としては明確に格上のチップで、これをRTX 5070に載せるという話なので「上位モデルの部品が下りてくる」ように見えるのは自然です。ただし製品として何が使えるかは、ダイの大きさではなく、そのうち何基のSM(Streaming Multiprocessor、CUDAコアなどをまとめた演算ユニットの単位)が有効化されるかで決まります。
制限同じGB203でもRTX 5080相当にはならない
この点は現行のRTX 50シリーズを見れば分かります。RTX 5070 TiとRTX 5080はどちらもGB203を使っていますが、性能は同じではありません。有効化されているSM数が違うからです。
| モデル | GPUダイ | CUDAコア | メモリ | TGP |
|---|---|---|---|---|
| RTX 5080 | GB203 | 10,752基 | 16GB GDDR7 / 256-bit | 360W |
| RTX 5070 Ti | GB203-200 | 8,960基 | 16GB GDDR7 / 256-bit | 300W |
| RTX 5070(現行) | GB205-300 | 6,144基 | 12GB GDDR7 / 192-bit | 250W |
| RTX 5070 GB203版(報道) | GB203 | 6,144基 | 12GB GDDR7 / 192-bit | 250W |
※最下段のGB203版は報道に基づく見込み値です。NVIDIAは未発表で、ダイの枝番も確定していません。
RTX 5080とRTX 5070 Tiの差は1,792基のCUDAコアです。同じGB203を使っていても、この差がそのまま性能差になっています。つまりダイの型番は「そのチップが潜在的に持てる最大規模」を示しているだけで、製品として何基が動くかとは別の話です。
GB203版RTX 5070が6,144基になるとすれば、無効化されるのは10,752基から6,144基を引いた4,608基で、割合にすると約42.9%です。SM単位で見ると、フル構成の84基のうち48基しか使わないので、36基を止めることになります。現行のGB205版が50基中48基(約96%)を使っているのと比べると、使い方がまったく違う構成です。
メモリ12GB・192-bitのままなら、メモリ側も一部を止めることになる
メモリ側も同じ構図です。GB203は32-bitのメモリコントローラーを8基持っていて、全部使えば256-bitになります。RTX 5070の192-bitは32-bit×6基分なので、GB203版が192-bitのままなら、2基分のメモリコントローラーを使わない状態にすることになります。
この結果として、「GB203になったからVRAMが16GBになる」「メモリ帯域がRTX 5070 Ti並みになる」といった変化は、現在報じられている範囲では起きません。12GBのままであれば、現行のRTX 5070で指摘されることのあるVRAM容量の余裕のなさも、そのまま残ります。
背景なぜ大きいチップを下位モデルに回すのか
半導体は同じウェハーから作っても、すべてのチップが完全な状態で動くわけではありません。GB203として製造しても、RTX 5080に必要な84基のSMが揃わない、RTX 5070 Tiに必要な70基にも届かない、一部のメモリコントローラーに問題がある、といった個体が出ます。こうしたチップも、問題のある部分を無効化してRTX 5070相当の48基を確保できれば製品として出荷できます。これは「ビニング」と呼ばれる選別・再配分の考え方で、半導体では珍しい手法ではありません。
ただしNVIDIAはGB203をRTX 5070に使う理由を発表していないので、「RTX 5080になれなかった不良チップをRTX 5070に回している」と断定はできません。GB205とGB203それぞれの在庫量や生産計画を調整する目的も考えられます。
そしてこの手法は、RTX 50世代で既に一度使われています。本来GB206を使うはずのRTX 5060に、ひとつ上のGB205を大幅に無効化して載せた製品が実際に出回りました。刻印は「GB205-200-KA-A1」で、デバイスIDも通常版と異なっていましたが、CUDAコア3,840基・8GB・128-bitという製品仕様は通常のRTX 5060と同じでした。詳しい経緯は見た目はRTX 5060、中身はRTX 5070用ダイ|GB205刻印と16ピン電源を読み解くにまとめています。同じ製品名のまま中身のダイだけが上位に変わり、仕様は変わらないという前例が既にあるということです。
供給供給の底上げにはなっても、価格が下がる材料にはなりにくい
この変更で読者に実益があるとすれば、性能ではなく供給量です。RTX 5080やRTX 5070 Tiとしては出荷できないGB203を、RTX 5070として製品化できるなら、新しくウェハーを消費せずにRTX 5070の在庫を積み増せます。品薄が続いているクラスでは意味のある話です。
一方で価格が下がる材料にはなりにくいと考えられます。GB203はGB205より面積が1.44倍あり、1枚のウェハーから取れる数はもともと少ないチップです。原価が下がるわけではないので、値下げの原資にはなりません。RTX 5070を含むRTX 50シリーズの実勢価格が発売以降どう動いてきたかはRTX 50は1年でどれだけ値上がりした?で追っています。
判断RTX 5070を今持っている人・これから買う人はどうすべきか
- 買い替える理由はありません。CUDAコア・VRAM・メモリ帯域・TGPのいずれも増えると発表されていません
- 仮に実測で数%の違いが出たとしても、それだけで買い替える価値はほとんどありません
- GB205版は50基中48基を使う構成で、チップの使い方としてはむしろ素直です
- GB203版を待つ・探す必要はありません。製品仕様が同じなら店頭での見え方も同じです
- 同じ価格ならクーラーの冷却性能・カードサイズ・保証のほうが実用上の差になります
- 電圧特性や温度の傾向に差が出る可能性はありますが、実機の比較データが出るまでは判断できません
「大きいダイのほうが発熱を分散できるので冷えるはず」という見方もありますが、実際の温度は電圧、リーク電流、クーラー、グリス、基板、ファン制御で決まります。ダイが大きいという一点でGB203版を当たり個体と決めつけられる材料は、現時点ではありません。
現行のRTX 5070を買う場合の選択肢としては、以下が実際に流通しているモデルです。どちらも12GB GDDR7・192-bitのGB205版で、記事執筆時点でGB203版は市場に存在しません。
見分けRTX 5070のGB205版とGB203版は見分けられるのか
実際に発売された場合、手元のカードがどちらなのかを知りたくなります。判別の手掛かりになるのはデバイスID(PCI Device ID)で、GPU-Zなどのハードウェア情報ツールで確認できます。RTX 5060の事例では、GB206版が「2D05」、GB205版が「2F06」と別のIDが割り当てられていたため、ツール上で区別できました。
ただし今回のGB203版については、デバイスIDも製品パッケージ上の表記も、各メーカーの型番の付け方も判明していません。店頭の箱を見ただけで区別できるかどうかも分からない状態です。ドライバー内に新しいデバイスIDが追加されれば有力な裏付けになりますが、2026年9月9日時点でそれは確認できていません。
FAQよくある質問
まとめダイの型番ではなく、有効化されるSM数を見る
GeForce RTX 5070に、これまでのGB205ではなくGB203を使うバリアントが登場するという情報が出ています。GB203はRTX 5070 Ti・RTX 5080に使われている大型チップで、フル構成では84基のSM、10,752基のCUDAコア、256-bitのメモリインターフェイスを備えています。
ただしRTX 5070として売られる場合に効いてくるのは、物理的なチップの大きさではなく、そのうち何基のSMとメモリコントローラーが有効化されるかです。報じられているとおり6,144基・12GB・192-bitで据え置かれるなら、GB203が持つCUDAコアの約43%を使わない構成になります。「RTX 5080と同じチップだから速い」という理解は成り立ちません。
2026年9月9日時点でNVIDIAはGB203版RTX 5070を発表しておらず、正確な型番も発売時期もデバイスIDも確認できていません。現状では、上位向けに使い切れなかったGB203を下位モデルとして活用する製造・供給上のバリエーションとみるのが妥当なところです。今RTX 5070を使っている人にも、これから買う人にも、この情報を理由に行動を変える必要はありません。GPU名や中身のダイではなく、有効化されたSM数とメモリ構成、そして実際のクーラー性能と価格で選ぶのがこれまでどおりの判断基準になります。




