Ryzen 9 3950H EditionはRyzen 5 4500Uの改名か|PassMark登録1件の仕様一致を徹底検証

Ryzen 9 3950H EditionはRyzen 5 4500Uの改名か|PassMark登録1件の仕様一致を徹底検証

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CPU情報 / 2026年8月4日
Ryzen 9 3950H EditionはRyzen 5 4500Uの改名か
PassMark登録1件の仕様一致を検証
ベンチマークサイトPassMarkに、AMD未発表の「Ryzen 9 3950H Edition」という名称のCPUが1件だけ登録されました。コア構成や内蔵GPUの仕様は、2020年発売のRyzen 5 4500Uとほぼ一致しています。名称が変更された可能性と、現時点で断定できないことを整理します。
PassMark登録はまだ1件のみAMD未発表・未確認のCPU仕様はRyzen 5 4500Uとほぼ一致

出典:VideoCardz「Mysterious AMD Ryzen 9 3950H Edition appears in PassMark, specs point to renamed Ryzen 5 4500U」PassMark「AMD Ryzen 9 3950H Edition」ベンチマークページPassMark「AMD Ryzen 5 4500U」ベンチマークページAMD公式 Ryzen 5 4500U ドライバー・仕様ページAMD公式 CPUID Specification(Publication #25481)にもとづきます。

ノートPCやミニPCの型番に「Ryzen 9」と書かれていれば、上位クラスの高性能CPUだと考えるのが普通です。ところが、その前提が崩れかねない登録がベンチマークサイトに見つかりました。

PassMark(パソコンの処理性能を測定・データベース化しているベンチマークソフト大手)のデータベースに、「AMD Ryzen 9 3950H Edition」という名称の6コア6スレッドCPUが1件だけ登録されています。CPU Mark(PassMarkの総合性能指標)は8,700、コア数・キャッシュ容量・内蔵GPUの構成は、2020年1月発売のRyzen 5 4500Uとほぼ一致していることが分かりました。

この記事では、PassMarkに登録された数値をRyzen 5 4500Uの公式仕様と1項目ずつ突き合わせたうえで、CPUの表示名がソフトウェア側の設定で変わる仕組み、そして現時点で「偽装」と断定できない理由まで、確認できた事実と推測を分けて整理します。

1
PassMark登録件数1件のみ2026年7月31日付でベースライン登録
2
CPU Mark8,700シングルスレッドは1,730
3
仕様の一致度Ryzen 5 4500Uとほぼ一致コア構成・キャッシュ・内蔵GPU
4
現時点の見方偽装の証拠はまだないAMDから正式なコメントもなし
目次

発見PassMarkに現れた正体不明のCPU「Ryzen 9 3950H Edition」

PassMarkのデータベースを確認すると、「AMD Ryzen 9 3950H Edition」という名称の6コア6スレッドCPUが1件だけ登録されています。CPU初確認時期は2026年第3四半期(Q3 2026)、登録日は2026年7月31日付です。

名称だけを見ると、Ryzen 9シリーズに属する高性能なノートPC向けCPUを連想します。しかし、AMDは2026年8月時点でこの名称のCPUを公式には発表しておらず、公開されている製品ラインアップにも存在しません。

登録された仕様も、2026年世代のRyzen 9とは呼びにくい内容です。コア数は6コア6スレッドにとどまり、上位モデルらしいコア数・スレッド数の多さは見られません。この不自然さが、今回の登録が注目された最大の理由です。

仕様PassMarkに登録された数値を確認する

PassMarkのページに記載されている数値は、次のとおりです。

項目数値
CPUコア/スレッド6コア / 6スレッド
L1命令キャッシュ32KB×6
L1データキャッシュ32KB×6
L2キャッシュ512KB×6(合計3MB)
L3キャッシュ8MB(共有)
CPU Mark(マルチスレッド)8,700
シングルスレッド性能1,730
順位マルチスレッド1,823位 / シングルスレッド2,452位(いずれも全5,963CPU中)
登録サンプル数1件
初確認時期2026年第3四半期

ここで注意したいのは、測定結果がまだ1件しか存在しない点です。PassMark自身もこのCPUのMargin for error(誤差の目安)を「High」と表示しており、性能分布のグラフを描けるほどのデータ量が集まっていません。

この段階で分かるのは、あくまで「1台のシステムがこの名称・この数値で登録された」という事実だけです。Ryzen 9 3950H Editionが一般販売されることも、AMDの正式な製品であることも、この登録単体では確認できません。

一致点コア構成・キャッシュ・内蔵GPUがRyzen 5 4500Uと重なる

Ryzen 9 3950H Editionが注目された理由は、コアと内蔵GPUの構成が、開発コードネーム「Renoir(2020年発売のRyzen 4000シリーズが属する世代)」のRyzen 5 4500Uと非常によく似ていることです。

AMD公式のドライバー・仕様ページによると、Ryzen 5 4500Uは6コア6スレッド、ベースクロック2.3GHz、最大ブーストクロック4.0GHz、L3キャッシュ8MB、標準TDP15W(構成可能レンジ10〜25W)、製造プロセスはTSMCの7nmです。内蔵GPUはRadeon Graphics(RDNA以前のVega世代)を6基のグラフィックスコア構成で搭載し、最大クロックは1.5GHzとなっています。発売日は2020年1月6日です。

一方、PassMark上でRyzen 9 3950H Editionとして確認された動作クロックは約2.37GHzで、Ryzen 5 4500Uの公式ベースクロック2.3GHzに近い値です。内蔵グラフィックスも6基の演算ユニットを備え、最大1.5GHzで動作しているとみられています。これはRyzen 5 4500Uの内蔵GPU仕様と重なります。

項目Ryzen 9 3950H Edition(PassMark登録値)Ryzen 5 4500U(AMD公式仕様)
CPUコア/スレッド6 / 66 / 6
動作クロック約2.37GHz(実測)ベース2.3GHz・最大4.0GHz
L2キャッシュ3MB(512KB×6)3MB(512KB×6)
L3キャッシュ8MB8MB
内蔵GPU演算ユニット6基とみられる6基
内蔵GPU最大クロック1.5GHzとみられる1.5GHz
製造プロセス未確認TSMC 7nm
発売時期未発表2020年1月6日

コア数、スレッド数、L2・L3キャッシュ容量、CPUの動作クロック、内蔵GPUの演算ユニット数とクロックがそろって重なるのは、単なる偶然とは考えにくい組み合わせです。少なくとも、Ryzen 9 3950H Editionが2026年世代の新設計Ryzen 9である可能性は低く、Ryzen 5 4500Uと同じRenoirのシリコンを使っているという見方には根拠があります。

性能ベンチマークのスコアはRyzen 5 4500Uの平均より低い

仕様は重なっているものの、PassMarkのスコアは完全には一致していません。

項目Ryzen 9 3950H Edition(サンプル1件)Ryzen 5 4500U(平均・サンプル2,978件)
CPU Mark8,70010,642
シングルスレッド1,7302,398

Ryzen 9 3950H Editionのほうが低い結果ですが、この差だけを根拠に「別のCPUだ」と判断することはできません。ノートPC向けCPUの性能は、搭載機の電力設定、冷却性能、メモリ構成、実行時の温度、バックグラウンドで動いているソフトによって大きく変わります。今回のRyzen 9 3950H Editionは1件しか登録がないため、電力設定を絞った小型PCや冷却能力の低い筐体で測定された可能性も考えられます。

反対に、スコアが違うからといって「Ryzen 5 4500Uそのものだ」と断定することもできません。現時点で言えるのは、仕様が一致しており、性能も同じ世代の低消費電力CPUとして不自然ではない範囲に収まっている、というところまでです。

仕組みCPU名はソフトウェア側の設定で決まる

CPU-ZやWindowsのタスクマネージャー、ベンチマークソフトが表示するCPU名は、CPUの表面に刻まれた文字を読み取っているわけではありません。ソフトウェアはCPUID(CPUに問い合わせて型式情報を取得する命令)を実行し、CPUから返される「プロセッサ名文字列」を受け取って表示しているだけです。

AMD公式のCPUID Specification(Publication #25481)によると、このプロセッサ名文字列はMSR(モデル固有レジスタ、CPUの内部設定を保持する領域)である「Processor Name String Register」に保持され、CPUID命令のFn8000_0002からFn8000_0004を通じて読み出される仕組みです。同資料には、この文字列をAMDが提供する正しい製品名に設定するのはBIOS(システムソフトウェア)側の役割だと記載されています。

つまり、通常はメーカーが正しい製品名を書き込みますが、仕組みとしては、ファームウェアが本来とは異なる文字列を設定すれば、実際とは違うCPU名をWindowsやベンチマークソフトに表示させることが技術的には可能ということになります。

これは、一般的なBIOS設定画面から誰でも簡単に変更できるという意味ではありません。通常はマザーボードメーカーやシステムメーカーが用意したファームウェア側の設定に依存します。Ryzen 9 3950H Editionという名称も、CPUそのものに新しい型番が刻まれているのではなく、搭載システムのファームウェアが設定した表示名である可能性が考えられます。

留保偽装と決めつけられない理由

現時点で、Ryzen 9 3950H Editionを偽物や詐欺的な製品と呼ぶのは早計です。確認できているのは、PassMarkへ1件のベンチマーク結果が投稿され、そのシステムが自身のCPU名を「AMD Ryzen 9 3950H Edition」と報告したという事実だけで、この名称で販売されている実機のPCやCPU単体はまだ特定されていません。

したがって、この段階での妥当な表現は「Ryzen 5 4500Uとほぼ同じ仕様を持つ、AMD未確認のCPU名」であり、「Ryzen 5 4500Uを偽装したCPU」と言い切ることはできません。AMDからの公式なコメントも、2026年8月時点では確認されていません。

教訓「Ryzen 9」というブランド名で性能を判断しない

仮にRyzen 9 3950H Editionを搭載したPCが今後販売されたとしても、「Ryzen 9」という文字だけを理由に高性能モデルだと判断すべきではありません。

PassMarkに登録された構成は6コア6スレッドで、2020年発売のRyzen 5 4500Uと同等です。CPU Markも8,700にとどまり、名称から連想される現行Ryzen 9クラスの性能とは大きく異なります。内蔵GPUも6基のグラフィックスコアを最大1.5GHzで動かす構成とみられ、軽量なゲームや動画再生、Web閲覧、事務作業には対応できても、2026年の重量級PCゲームを高画質で快適に動かせる性能ではありません。

PCを選ぶ際は、「Ryzen 9」というブランド名より、CPUの世代・コア数・スレッド数・キャッシュ構成・内蔵GPU・実際のベンチマーク結果を確認する必要があります。なお、Ryzen 5 4500U自体は2020年発売の低消費電力APUで、Web閲覧や動画再生、Officeソフト、軽い画像編集程度なら現在でも利用できる水準です。問題はRyzen 5 4500Uの性能そのものではなく、古い世代のCPUを「Ryzen 9」という上位グレード名で高性能に見せる売り方が起こり得ることです。

購入前搭載PCが登場したときに確認すべきこと

Ryzen 9 3950H Editionを搭載すると称するPCが登場した場合は、商品ページのCPU名だけで判断しないことが重要です。

確認すべき点理由
CPU-ZやHWiNFOでファミリー・モデル・ステッピングを確認する表示名がRyzen 9でも、内部の識別情報がRenoir世代と一致すればRyzen 5 4500U系である可能性が高まる
内蔵GPUの演算ユニット数・動作クロックを確認する6基・最大1.5GHzならRyzen 5 4500Uとの一致点がさらに増える
PassMarkやCinebenchなどの実測結果を確認するただし電力設定や冷却性能でスコアは変わるため、1種類のベンチマークだけでは断定できない
販売元がAMDの正式な製品番号・搭載PCの型番・保証内容を明示しているか確認する不明瞭な場合は購入を慎重に判断したほうが安全

FAQRyzen 9 3950H Editionに関するよくある質問

Ryzen 9 3950H Editionは新型のRyzen 9なのですか?
2026年8月時点でAMDはこの名称のCPUを公式に発表しておらず、新設計のRyzen 9である可能性は低いとみられます。PassMarkに登録された仕様は6コア6スレッド・L2キャッシュ3MB・L3キャッシュ8MBで、2020年発売のRyzen 5 4500Uとほぼ一致しており、同じRenoir世代のAPUに独自の名称が設定された可能性が有力です。
サンプルが1件しかないのに信頼できる情報なのですか?
PassMark自身がこのCPUの誤差の目安を「High」と表示しており、性能分布を語れるほどのデータ量ではありません。あくまで「1台のシステムがこの名称・この数値で登録された」という一次情報として扱うべきで、これだけで断定的な結論を出すことはできません。
Ryzen 9 3950H Edition搭載を名乗るPCはすでに販売されていますか?
調べた範囲では、2026年8月4日時点でこの名称を明記した搭載PCの販売は確認できていません。今後この名称のPCやミニPCが登場した場合は、商品ページのCPU名だけで判断せず、CPU-ZやHWiNFOでファミリー・モデル・内蔵GPU構成まで確認することをおすすめします。

判断気にしなくていい人・注意したい人

あまり気にしなくていい人
  • すでに現行世代のCPU型番・世代を自分で確認して選んでいる人
  • 外部GPU搭載のゲーミングノートやデスクトップPCを検討している人
  • Ryzen 9 3950H Editionという名称のPCをまだ見かけていない人
i
注意したい人
  • 「Ryzen 9」という名前だけで高性能だと判断しがちな人
  • 無名ブランドの格安ノートPC・ミニPCを検討している人
  • CPUの型番やベンチマーク結果を確認せずにPCを選ぼうとしている人
まとめ

Ryzen 9 3950H Editionは、PassMarkに1件だけ登録された正体不明のCPUです。登録された仕様は6コア6スレッド・L2キャッシュ3MB・L3キャッシュ8MBで、確認された動作クロックや内蔵GPUの構成を含め、2020年発売のRyzen 5 4500Uとほぼ一致しています。

AMD公式のCPUID Specificationによれば、OSやベンチマークソフトに表示されるプロセッサ名文字列はシステムソフトウェア側が設定する仕組みになっており、独自ファームウェアによって本来とは異なるCPU名を表示させることは技術的に可能です。ただし、Ryzen 9 3950H EditionがRyzen 5 4500Uそのものである証拠や、販売目的で意図的に名称を変更した証拠は確認されていません。

現時点で妥当な見方は、新しいRyzen 9ではなく、Ryzen 5 4500Uと同じRenoir世代のAPUに独自の名称が設定された可能性が高いというものです。今後この名称のPCが登場した場合は、ブランド名ではなくコア数・世代・内蔵GPU・ベンチマーク性能を確認して判断してください。

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