『Walls Were Built to Fall』必要スペック|100万体でもGTX 1060で動く?大群をGPUで回す仕組み
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最低スペックと、大群をGPUで回す仕組み
『Walls Were Built to Fall(ウォールズ・ワー・ビルト・トゥ・フォール)』は、見習い魔法使いとなって押し寄せる大群から「魔法の井戸」を守る、一人称視点のホード防衛ローグライトです。売りは、最大100万体の敵が同時に画面に出ることです。
その一方で、最低動作環境のGPUはGeForce GTX 1060 6GBとRadeon RX 580、CPUはCore i5-8400とRyzen 5 2600です。2027年第2四半期の発売時点で、どれも登場から9〜11年がたつ世代です。
ただし「GTX 1060で100万体が60fpsで動く」と読むのは早すぎます。開発者がRedditで答えた内容を読むと、投稿した映像に映る敵は約15万体で、100万体は別の広いマップで試した数字です。大群の処理の仕組みと、どのGPUならどこまで期待できるのかを分けて見ていきます。
目次
要点まず押さえておきたいこと
いまGTX 1060を使っている人が、本作のためだけに買い替える必要はありません。プレイテストの報告を待ってから判断すれば間に合います。
最低動作環境はGTX 1060 6GB/RX 580、Core i5-8400/Ryzen 5 2600、メモリ8GB、容量2GBです。推奨動作環境と、最低環境が想定する解像度・フレームレートは掲載されていません。
軽く動くのは、敵をスプライトで描き、大群の移動と物理をGPUで計算し、CPUには大群の位置の要約だけを渡す作りだからです。開発者の手元のGPUはRTX 3070です。
概要城壁を築いて大群を食い止める一人称の防衛ローグライト

開発はZoomy Cat Gamesです。開発者は1人で、ソフトウェアエンジニアの本業と並行して開発しています。エンジンはオープンソースのゲームエンジンGodot(ゴドー)です。
プレイヤーは修業を終える前に師匠も魔導士団も失った見習い魔法使いです。弱い呪文から始めて、城壁の建設と強化、罠や呪文の設置、弓兵や魔導士の雇用を組み合わせて防衛線を作ります。敵は壁をよじ登り、耐えるほど強くなります。空からは防衛ユニットを攻撃し、壁の一部を爆破する飛行型の敵も来ます。倒されても次の周回では強くなって再挑戦する、ローグライトの作りです。
Steam上の区分はシングルプレイのみです。協力プレイを望む声には、開発規模が大きく膨らむため当面はシングルプレイのままとし、数か月後に状況を見て考えると開発者が答えています。
注目を集めた経緯もはっきりしています。開発者がInstagramに投稿した試作のショート動画が35万回以上再生され、2026年9月10日前後にSteamページを公開すると、2週間で1万3000件以上のウィッシュリストが集まりました。開発者は1〜2か月以内に、Steam上で小規模なプレイテストを段階的に始める予定だとしています。
PC版最低スペックはGTX 1060・RX 580、推奨は未公開
Steamに掲載されている動作環境は最低のみです。
| 項目 | 最低動作環境 |
|---|---|
| OS | Windows 10(64bit) |
| CPU | Core i5-8400 / Ryzen 5 2600 |
| メモリ | 8GB |
| GPU | GeForce GTX 1060 6GB / Radeon RX 580 |
| ストレージ | 2GB |
| 発売予定 | 2027年第2四半期 |
出典:Steamストアページにもとづきます(2026年9月27日時点)。
GTX 1060 6GBは2016年7月、RX 580は2017年4月に発売されたGPUです。CPUもCore i5-8400が2017年10月、Ryzen 5 2600が2018年4月の登場です。
ここで気をつけたいのは、表にあるのが「最低」だけという点です。推奨動作環境はまだ出ておらず、最低環境がフルHDなのか720pなのか、30fpsなのか60fpsなのかも書かれていません。表から言えるのは、開発側がGTX 1060クラスを動作対象として想定していることまでです。
物量投稿映像は約15万体、100万体は広いマップでの試験値
「最大100万体」という数字には、開発者自身が補足を入れています。Godotのコミュニティで「本当に100万体に物理や衝突を処理しているのか」と聞かれた際、投稿した映像に映っている敵は約15万体で、100万体は同じ峡谷ではなく、もっと広いマップで試したと答えています。100万体に対応するのは、空間に余裕のある後半のマップになる予定です。

遠くの大群は巨大な動くテクスチャのように見えますが、近くでは1体ずつが体力などの値を持つ個別の敵で、攻撃を受けたり壁を攻撃したりします。障害物に当たると敵同士がよじ登って積み重なる処理も入っており、壁の前で密度が増すのではなく、高さが伸びていきます。
つまり、次の3つは別々の話です。
- Steamの説明どおり、最大100万体まで扱える設計になっている
- 開発者が投稿した映像の峡谷に映っているのは約15万体
- GTX 1060で100万体を出したときのフレームレートは公表されていない
現時点で確認できるのは上の2つまでです。
仕組み100万体を「普通の敵キャラクター」として扱っていない
一般的な3Dゲームでは、敵1体ごとにオブジェクトを作り、位置・移動・衝突判定・AI・アニメーションをCPU側で管理します。Godotなら敵をNode(ノード)やRigidBody3D(物理演算付きの3Dオブジェクト)としてシーンに置くのが素直な作り方です。
開発者は、この方式では大きな数に届かないとはっきり書いています。RigidBody3DやNodeを使うと物理演算がCPUで走るうえにNodeそのものの負荷もかかり、Nodeを省いて工夫しても数千体増える程度にとどまる、という説明です。数千体規模ならNodeのままでも最適化で十分だとも添えています。
『Walls Were Built to Fall』の大群は、Godot標準の物理を一切使っていません。敵はGPU上のデータとして存在し、移動や物理の計算は開発者が自分で書いたCompute Shader(描画以外の汎用計算をGPUで行うプログラム)で処理しています。Godotの側は、その結果を描き、壁・効果音・エフェクト・アニメーションといった「通常のゲーム部分」を担当します。
| 処理 | 一般的な作り | 本作の大群 |
|---|---|---|
| 敵の実体 | 1体ごとのNodeやRigidBody3D | GPU上のデータ |
| 移動・物理 | CPUの物理エンジン | 自作のCompute ShaderでGPUが計算 |
| 見た目 | 3Dモデルとアニメーション | 2Dスプライト(ビルボード)とLOD |
| CPUへ渡す情報 | 全員の位置や状態 | 大群がどこにいるかをまとめた情報だけ |
出典:開発者がRedditのGodot・インディーゲーム関連コミュニティで回答した内容をもとに整理しています(2026年9月10〜24日の投稿)。
大群は「半流体」のシミュレーション
開発者は大群の動きを「semi liquid sim」、半流体のシミュレーションと呼んでいます。群れ全体を流れに近いものとして動かしながら、近くでは1体ずつが個別の値を持ち、そこに壁を登る処理などを足した作りです。
きっかけは、2026年7月28日にSteamで発売されたMumpitz Gamesのタワーディフェンス『司令官、オークの大群です!(Sir, We Have an Orc Problem)』です。開発者は同作の発売前のショート動画を約半年前に見て、これを一人称で壮大にやりたいと考えました。先に「巨大な大群を一人称で相手にする」という目標があり、それを軽く動かすためにGPUでの計算とスプライト描画を選んだ、という順番です。
敵は3Dモデルではなくスプライトで描く

描画側の割り切りも大きな要素です。敵は常にカメラの方を向く2Dの板(ビルボード)に描かれたスプライトで、遠くの敵ほど簡略化するLODも使っています。ローポリの3Dモデルでもこの数は扱えず、見た目も落ちるため、スプライトを選んでいます。
プレイヤーは3D空間を一人称で歩き回るので、映像だけ見ると大群も3Dキャラクターに見えるかもしれません。実際には、数十万体に3Dメッシュや骨格アニメーションを適用する処理を丸ごと省いていることになります。
GPUからCPUへ全員分のデータを戻さない
開発者がいちばんの性能の壁として挙げているのが、GPUとCPUの間のデータのやり取りです。大群をGPUで計算しても、その位置を毎フレーム全員分CPUへ送り返していては性能が落ちます。そこで本作では、1体ずつのデータではなく「大群がどこにいるか」の地図のような要約だけをCPUに渡しています。射撃やダメージといった大群との当たりもGPU側で計算し、CPU側のゲーム処理はその要約を使って効果音や壁の破壊などを動かします。
Godotの公式ドキュメントも、Compute Shaderを重い計算をGPUに肩代わりさせる手段として説明しています。大量の同じ物体をまとめて描くGodotのMultiMeshは、1回の描画命令で数百万個まで描けます。本作がMultiMeshを使っているとは開発者は言っていませんが、「数百万個を描く」こと自体はGodotにとって想定外の規模ではありません。重いのは描画よりも、100万体に個別のオブジェクトと物理を持たせることのほうです。
GPUGTX 1060は動作対象、RTX 3070では「余裕あり」
ここまでの仕組みを踏まえると、GTX 1060という最低環境は誤記ではなく、設計どおりの数字と考えられます。開発者は性能について、少なくとも手元のRTX 3070ではかなり余裕があると答えています。「自分のPCが心配だ」という反応には、「どのくらい非力? そこそこミドル寄りのGPUがあれば驚くと思う」と返しています。
参考に、開発者の手元にあるRTX 3070が、いま買える主なGPUと比べてどの位置にあるかを並べます。本作での実測ではなく、海外のハードウェア検証サイトが11タイトルの平均で出している一般的なゲーム性能です。
| GPU | フルHD最高画質の平均fps | 本作での位置づけ |
|---|---|---|
| Radeon RX 9060 XT 8GB | 93.2fps | 開発者の手元のGPUと同等以上 |
| GeForce RTX 5060 | 88.5fps | 開発者の手元のGPUとほぼ同じ |
| GeForce RTX 3070 | 87.2fps | 開発者の手元のGPU |
| Intel Arc B580 | 71.5fps | 最低環境と開発者の手元の間 |
| GeForce RTX 5050 | 69.3fps | 最低環境と開発者の手元の間 |
| GeForce RTX 3060 12GB | 61.5fps | 最低環境と開発者の手元の間 |
| GeForce GTX 1060 6GB | 掲載なし | 最低動作環境 |
出典:Tom’s Hardware「GPU Benchmarks Hierarchy」のラスタライズ11タイトル幾何平均(1080p Ultra、画質はタイトルごとに高と最高の混在、2026年6月24日更新)にもとづきます。GTX 1060は同表に掲載がありません。
RTX 5060やRX 9060 XTといった現行のミドル下位は、一般的なゲームの平均でRTX 3070とほぼ並びます。いまこのクラスを使っている人は、開発者の手元とほぼ同じ土俵にいます。
GTX 1060については、判断材料がまだ足りません。敵の数だけでなく、Steamの説明にある「数十万本の矢や呪文が同時に飛び交う」場面や、爆発・壁の破壊・味方ユニットが重なる終盤ほど負荷は上がります。呪文には連鎖する電撃や散弾のように分かれる呪文、通過したものを10倍に増やす魔法陣まであり、組み方しだいで弾の数そのものが膨らみます。最低環境で遊べることと、終盤の最大規模で快適なことは分けて考えてください。
Godot自体は内蔵GPUでも動く設計
Godotの公式ドキュメントでは、Compute ShaderはForward+かMobileの描画方式でしか使えず、OpenGL 3.3で動く軽量な描画方式では使えません。Forward+とMobileの動作条件は、Windowsの場合Vulkan 1.0かDirect3D 12(機能レベル12_0)に対応したGPUで、例としてIntel HD Graphics 510のような内蔵GPUが挙がっています。
つまりエンジンそのものは内蔵GPUでも動く設計ですが、本作は最低環境にGTX 1060級のグラフィックボードを置いています。性能を食っているのは大群のシミュレーションと描画の側だと読めます。内蔵GPUだけのPCは公式の対象外で、動くかどうかはプレイテストの報告を待つしかありません。
CPU「敵が多いならCPUが重要」は本作では当てはまりにくい
大量のNPCが出るゲームでは、AIや物理、経路探索をCPUが受け持つため、敵が増えるほどCPUの性能が効いてくるのが普通です。
本作は大群の移動・物理・当たり判定をGPUに寄せ、CPUには要約した情報しか渡しません。最低CPUのCore i5-8400とRyzen 5 2600は、どちらも2017〜2018年の6コアCPUです。少なくとも敵の数だけを理由に、CPUの買い替えを考える必要はありません。本作で性能差が出やすいのは、GPUの側です。
判定手元のPCで待つか買い替えるかの目安
発売は2027年第2四半期の予定で、開発者はプレイテストを通じてゲーム性と最適化の両方を詰めていくとしています。動作環境は今後変わる可能性があるため、本作のためだけにいまGPUを買う理由はありません。手元のGPU名は、タスクマネージャー(Ctrl+Shift+Esc)の「パフォーマンス」タブで確認できます。GPUごとの目安は次のとおりです。
- RTX 3070・RTX 5060・RX 9060 XT以上なら、開発者の手元のGPUとほぼ同じか上回ります。様子見で問題ありません
- RTX 3060・Arc B580・RTX 5050なら、最低環境と開発者の手元の間に入ります。終盤の重さはプレイテストの報告で確かめてください
- GTX 1060 6GB・RX 580・GTX 1660なら、動作対象には入っています。GTX 1060がほかの新作でどこまで通用しているかも判断材料になります
- GTX 1050 Tiや内蔵GPUだけのPCは、最低環境を下回ります。推奨環境の公開を待ってから、GTX世代からの乗り換え先を考えれば十分です
Steam Deckについては、開発者が「発売が近づいたら、どこまで現実的に調整できるか見てみる」と答えている段階です。互換性の評価もまだ付いていません。
もう一つの注意点が言語です。Steamの対応言語は2026年9月27日時点で英語のみで、日本語のインターフェースや字幕は掲載されていません。物語を読み込むタイプではありませんが、呪文の組み合わせや強化の効果を理解するには英語の説明を読むことになります。
注目点注目したい人と様子見でよい人
- 画面を埋める大群を魔法と城壁で押し返すゲームが好きな人
- GTX 1060〜RTX 3060級の手持ちPCで新作を遊びたい人
- 呪文の組み合わせで火力を掛け算するビルド作りが好きな人
- グラフィックボードのないPCやSteam Deckで遊ぶつもりの人
- 日本語化を待ちたい人
- 協力プレイで遊びたい人
100万体という数字から受ける印象ほど、要求は重くありません。最低環境にGTX 1060が並ぶのは、大群を1体ずつのキャラクターとして作らない設計の結果です。
まとめまとめ|GTX 1060は対象内、快適さはプレイテスト待ち
『Walls Were Built to Fall』は、ソロ開発者がGodotで作っている一人称のホード防衛ローグライトです。最大100万体は後半の広いマップを想定した数字で、開発者が投稿した映像の敵は約15万体です。発売は2027年第2四半期の予定で、その前に小規模なプレイテストがSteamで段階的に始まります。
最低動作環境はGTX 1060 6GB/RX 580、Core i5-8400/Ryzen 5 2600、メモリ8GBで、推奨環境と想定fpsは未公開です。開発者の手元のGPUはRTX 3070で、RTX 5060やRX 9060 XTならほぼ同等の位置にいます。GTX 1060を使っている人も、本作のためだけに急いで買い替える必要はありません。プレイテストで終盤の重さが見えてから決めれば十分です。日本語には対応しておらず、発売は2027年第2四半期の予定です。
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出典:『Walls Were Built to Fall』Steamストアページ・開発者によるr/godotへの投稿と回答・開発者によるr/indiegamesでの性能に関する回答・開発者によるr/IndieGamingへのウィッシュリスト報告・Steamコミュニティでの開発者の回答・Godot公式ドキュメント Using compute shaders・Godot公式ドキュメント Optimization using MultiMeshes・Godot公式ドキュメント System requirements・『司令官、オークの大群です!』Steamストアページ・Tom’s Hardware GPU Benchmarks Hierarchyにもとづきます(2026年9月27日時点)。



