Windows 11に「IntelligentCarveout」発見|RTX Spark・Ryzen AI Max向けメモリ予約機能か
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Insider Previewでユニファイドメモリ予約の痕跡
出典:Windows Latest、Pureinfotech、Microsoft公式(Windows Insiderリリースノート)、Microsoft公式(Windows Experience Blog)、AMD公式、VideoCardzにもとづきます。本記事の情報は2026年8月23日時点のものです。
グラフィックス用に使えるメモリの量を自分で調整したいと考えたことがある人は、AMD Ryzen AI MaxやNVIDIA RTX Sparkのような大容量ユニファイドメモリ搭載PCのユーザーに少なくないはずです。Windows 11の共有GPUメモリは必要になったときに自動で借りる仕組みで、ユーザーが上限を細かく指定する手段は基本的に用意されていません。
2026年8月17日に公開されたWindows 11 Insider Preview Build 29648.1000(Experimental「Future Platforms」チャネル向け)から、この状況を変えるかもしれない未発表機能の痕跡が見つかりました。内部名は「IntelligentCarveout」、Feature IDは61121285として登録され、新しいシステムファイルSettingsHandlers_UnifiedMemory.dllも追加されています。Microsoft公式のリリースノートにはビルド自体の変更点は掲載されているものの、この機能についての説明は載っていません。
この記事では、IntelligentCarveoutという名前や関連する文字列から分かっている内容を整理したうえで、現在の共有GPUメモリとの違い、AMD Ryzen AI Maxがすでに搭載しているVariable Graphics Memoryとの関係、NVIDIAとMicrosoftが2026年5月にRTX Spark向けに説明していたメモリ拡張との接点まで、確認できる一次情報にもとづいて解説します。通常のディスクリートGPU搭載PCを使っている人がこの機能を気にする必要があるか、今何をすべきかについても最後に触れます。
目次
要点まず何が分かっていることを整理
経緯Insider Preview Build 29648.1000で見つかった未発表機能
Windows Insider Programには複数のチャネルがあり、そのなかでもExperimental(Future Platforms)は最も実験的な位置付けです。Microsoft自身がリリースノートで「不安定な場合がある」「文書化が限定的な場合がある」「このビルドに含まれる機能や体験がそのまま製品版として出荷されるとは限らない」と明記しているとおり、開発初期の変更を先行して試すためのチャネルで、一般的な安定運用には向いていません。
2026年8月17日に公開されたBuild 29648.1000のMicrosoft公式リリースノートには、Windowsセキュリティアプリの表示調整、WMIC(Windows Management Instrumentation Command-line)の削除、Drag Trayという機能の一時的な取り下げ、既知の不具合の修正といった項目が並んでいます。しかし、この記事のテーマであるユニファイドメモリの予約機能についての記載はありません。Insiderチャネルでは、Microsoftが公式に説明していない変更がビルドの中に紛れ込むことがあり、設定アプリのリソース文字列やシステムファイルを調べることで見つかるケースがあります。今回のIntelligentCarveoutも、そうした経路で見つかった機能のひとつです。
正体IntelligentCarveoutとは何か
「IntelligentCarveout」はあくまで開発中の内部コード名で、正式な製品名ではありません。Build 29648.1000にはFeature ID61121285として登録されており、新しいシステムファイルSettingsHandlers_UnifiedMemory.dllが追加されています。ファイル名から見て、設定アプリ側にユニファイドメモリ専用の処理を担当するハンドラーが新設されたことがうかがえます。
ビルド内には、この機能に関連するとみられる文字列としてReserved memory for acceleratorsとMemory for graphics and AI accelerationの2つが確認されています。前者は「アクセラレーター向けの予約メモリ」、後者は「グラフィックスとAIアクセラレーション向けのメモリ」という意味で、機能の狙いをそのまま表しています。つまりIntelligentCarveoutは、ユニファイドメモリの一部をGPUやAIアクセラレーター専用として切り出し、確保しておく仕組みとみられます。
想定UISettings System Advancedに追加される見込みの画面
有効になった端末では、「設定」アプリの「システム」から「詳細情報」を開くと、新しく「ユニファイドメモリ」のセクションが追加され、そのなかに「グラフィックスとAIアクセラレーション向けのメモリ」という設定項目が入る見込みです。
設定できる値の候補として、ビルド内の文字列からCustom(カスタム)・Recommended(推奨)・High(高)・Maximum(最大)・Don’t allow(許可しない)という5段階の名称が見つかっています。ただし、これはビルド内の文字列を読み解いた結果であり、Microsoftが正式に公開した仕様ではありません。名称や段階の数は、実際に一般公開されるまでに変更される可能性があります。
違い現在の共有GPUメモリとの違い
Windows 11にはすでに「共有GPUメモリ」という仕組みがあります。内蔵GPUやユニファイドメモリ環境で、システムメモリの一部をGPU用途に動的に貸し出すもので、タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブでも数値を確認できます。ただしこれはソフトウェア側の目安に近く、アプリが必要とすれば必要な分だけ借りて使う仕組みです。ユーザーが上限を細かく固定することは基本的にできません。
一方、IntelligentCarveoutで示唆されているのは、指定した容量をあらかじめ固定で確保しておく「予約」の考え方です。予約された領域はGPU・AIアクセラレーター専用になり、他の一般的なアプリケーションからは使えなくなります。動的に貸し借りする従来の共有GPUメモリと、固定で切り出す予約領域という違いは、機能としては小さく見えて挙動としてはかなり性格が異なります。
- 割り当て方必要になった分だけ動的に借りる
- 上限の性格ソフトウェア側の目安、固定の壁ではない
- 他アプリへの影響空きがあれば通常どおり使える
- ユーザー操作細かく指定する項目は基本的にない
- 割り当て方指定した容量を固定で確保
- 上限の性格予約分は常にGPU・AI向けとして確保
- 他アプリへの影響予約分は他アプリが使えなくなる
- ユーザー操作Settings System Advancedで調整の見込み
先例AMD Ryzen AI MaxのVariable Graphics Memoryとの関係
「ユニファイドメモリの一部をグラフィックス専用に切り出す」という発想自体は、実はすでにAMDが製品として提供しています。Ryzen AI Maxシリーズ向けにAMD Software: Adrenalin Editionが備える「Variable Graphics Memory(VGM)」です。AMD公式によると、Ryzen AI Max+ 395は最大128GBのユニファイドメモリを搭載でき、そのうち最大96GBをVariable Graphics Memoryによって専用のグラフィックスメモリへ変換できます。設定はAdrenalin Editionの「Performance」タブの「Tuning」から行い、値を変更すると再起動が必要です。
2026年に登場した上位モデルのRyzen AI Max+ PRO 495(開発コード名Gorgon Halo)では、対応する総メモリがさらに拡大しています。詳しいスペックは既存の完全解説記事で扱っていますが、最大192GBのユニファイドメモリのうち、最大160GBをグラフィックスメモリとして設定できるとAMDが説明しています。単体GPUとの使い分けや、共有メモリを使ったローカルAI活用の考え方は内蔵GPUとAIの関係を整理した記事でも詳しく扱っています。
- 総メモリ最大128GB LPDDR5X
- VGM最大最大96GBをVRAMへ変換
- 設定方法Adrenalin EditionのPerformance→Tuning
- 内蔵GPURadeon 8060S(40CU)
- 総メモリ最大192GB LPDDR5X-8533
- VGM最大最大160GBをVRAMへ変換
- 設定方法Adrenalin Editionで同様の仕組みとみられる
- 内蔵GPURadeon 8065S(40CU)
つまりAMDは、ドライバー側の機能としてこの考え方をすでに実装済みです。もしIntelligentCarveoutが将来的にWindows 11へ正式実装されれば、OSレベルで同じような仕組みを提供することになり、Ryzen AI Maxユーザーにとっては選択肢がひとつ増える形になります。一方、現時点でAdrenalin EditionのVariable Graphics Memoryが持つ機能を置き換えるものなのか、共存するものなのかは分かっていません。
RTX SparkNVIDIA RTX Sparkとの関連を2026年5月の発表から読み解く
IntelligentCarveoutとRTX Sparkの関係を考えるうえで手がかりになるのが、2026年5月31日にMicrosoftとNVIDIAが公開した発表です。Windows Experience Blogでは、RTX Spark(N1X)のようなユニファイドメモリを持つPC向けに、Windowsが「GPUがアクセスできるシステムメモリの、より高くより賢い上限」を提供すると説明されていました。この変更によって、メモリ容量の大きいシステムではGPUが利用できるメモリが増え、より大きなローカルAIモデルの読み込みや、より複雑なプロジェクトのレンダリングが可能になるとされています。
この発表の時点では「IntelligentCarveout」という名前は使われておらず、ユーザーが調整できる設定画面についても具体的な説明はありませんでした。しかし、ユニファイドメモリ環境でGPUが使えるメモリの扱いを見直すという方向性は、今回見つかったIntelligentCarveoutの狙いと一致しています。RTX Sparkは最大128GBのユニファイドメモリを搭載できるハードウェアとして2026年秋の発売が予定されており、詳しいスペックや対応メーカーは既存の完全解説記事にまとめています。IntelligentCarveoutが、5月に予告されていた仕組みを具体的な設定画面として実装したものなのかどうかは、現時点でMicrosoftが両者を公式に結び付けて説明していないため確定していません。
誤解注意メモリ予約を増やせばFPSが上がるわけではない
IntelligentCarveoutやAMDのVariable Graphics Memoryは、あくまで「すでにあるユニファイドメモリのうち、どこまでをGPU・AI用途に確保するか」を調整する機能です。GPUのコア数や演算性能、メモリ帯域幅そのものが増えるわけではありません。予約量を増やしても、GPUの処理速度が上がったり、対応するゲームのフレームレートが底上げされたりするわけではなく、メモリ不足で読み込めなかった大きなテクスチャやAIモデルを扱えるようになる、という性質の変化です。
加えて、この機能はユニファイドメモリ環境を前提にしたものです。RTX 5090や5080のように専用のVRAMをグラフィックスボード側に搭載するディスクリートGPU搭載の一般的なゲーミングPCでは、そもそもシステムメモリをGPU用に切り出す必要がありません。したがって、通常のデスクトップ・ノートPC向けディスクリートGPUを使っている人にとって、IntelligentCarveoutは今後も基本的に無関係な設定項目にとどまる可能性が高そうです。
拡張余地NPU向けメモリ管理へ広がる可能性
IntelligentCarveoutの対象には、NPU(Neural Processing Unit)を搭載するCopilot+ PCも含まれるとみられます。Ryzen AI MaxやRTX Sparkのようなプロセッサーは、GPUだけでなくNPUも同じユニファイドメモリを共有する設計です。GPU向けの予約という発想がそのままNPU向けにも広がるのであれば、ローカルAI処理の負荷分散という観点でも意味を持つ拡張になり得ます。ただし、ビルド内の文字列や設定項目の表記はGPU・AIアクセラレーション向けが中心で、NPU固有の設定として独立するのか、既存の枠組みに含まれるのかは分かっていません。
結論対象は誰か|今ViVeToolを使うべきか
Feature IDが判明しているため、ViVeToolのようなツールを使えば技術的にはExperimentalビルド上でこの機能を強制的に有効化できる可能性があります。ただし、Microsoft自身がExperimental(Future Platforms)チャネルについて、ビルドが不安定になりうること、機能が正式に出荷されないまま消える場合があることを明言しています。IntelligentCarveoutの正式な説明も設定画面も一般には公開されていない段階のため、通常のWindows 11ユーザーが今この機能を無理に有効化する必要はありません。
この機能が関係してきそうなのは、ユニファイドメモリを搭載したPCを使っている、または購入を検討している人です。具体的には、2026年秋に発売が予定されているRTX Spark搭載PCや、GMKtec EVO-X2・EVO-X3、ASUS ROG Flow Z13、HP ZBook Ultra G1a、Framework Desktopといった既存のRyzen AI Max搭載Mini PC・ノートPCのユーザーが該当します。逆に、RTX 5070・5080・5090のような専用VRAMを積んだディスクリートGPU搭載のゲーミングPCを使っている場合は、今回の話題を気にする必要は基本的にありません。
ユニファイドメモリ搭載PCを使っている人が今できることは、正式発表を待つことです。AMD Ryzen AI Maxを使っている人は、すでにAdrenalin EditionのVariable Graphics Memoryで同等の調整が可能なので、急いでWindows側の新機能を待つ必要はありません。RTX Sparkのように、OS側の仕組みに頼る度合いが大きいプラットフォームのユーザーは、MicrosoftがBeta・Dev・Release Previewといった一般的なInsiderチャネルへこの機能を展開し始めるかどうかが、実装が近づいているかどうかの目安になりそうです。
IntelligentCarveoutはExperimental(Future Platforms)チャネルのビルドでコードの痕跡が見つかった段階で、一般公開されているWindows 11には実装されていません。すでにInsider Experimentalチャネルを使っていて、不安定な挙動や機能の消失を許容できる場合を除き、ViVeToolでの強制有効化を試す必要はありません。Windows Updateの通常チャネルで案内されるのを待つのが安全です。
Q&Aよくある質問
総括まとめ|正式発表を待つのが賢明な未発表機能
Windows 11 Insider Preview Build 29648.1000(Experimental「Future Platforms」、2026年8月17日公開)から、GPU・AIアクセラレーター向けにユニファイドメモリを予約する未発表機能「IntelligentCarveout」が見つかりました。Feature ID61121285、新システムファイルSettingsHandlers_UnifiedMemory.dllとともに確認されており、Settings System Advancedに「ユニファイドメモリ」セクションが追加される見込みです。既存の共有GPUメモリとは異なり、予約した領域は他のアプリケーションが使えなくなる点が最大の違いです。
AMD Ryzen AI MaxのVariable Graphics Memory、そして2026年5月にMicrosoftとNVIDIAがRTX Spark向けに説明していたメモリ拡張と、同じ方向性を持つ機能とみられます。ただしMicrosoft公式の説明はまだなく、設定項目の名称や段階も確定していません。専用VRAMを持つ通常のディスクリートGPU搭載PCには基本的に無関係で、現時点でViVeToolを使って有効化する必要もありません。
Windows 11 Insider Preview Build 29648.1000から、GPU・AIアクセラレーター向けにユニファイドメモリを予約する未発表機能「IntelligentCarveout」(Feature ID 61121285)が見つかりました。既存の共有GPUメモリとは異なり、予約した領域は他アプリが使えなくなる仕組みとみられます。AMD Ryzen AI MaxのVariable Graphics Memory、NVIDIAとMicrosoftが2026年5月にRTX Spark向けに説明していたメモリ拡張と同じ方向性ですが、Microsoft公式の説明はまだなく、設定項目の内容も確定していません。通常のディスクリートGPU搭載PCには基本的に無関係で、今ViVeToolで有効化する必要はなく、正式発表を待つのが賢明です。



