Windows 11に「Cloud rebuild」追加|起動しなくてもクラウドから再インストール、USBは本当に不要か
本記事にはアフィリエイト広告(Amazon・楽天市場等)のリンクが含まれています。
起動しないPCをWinREからクラウド経由で入れ直せる、ただしデータは残りません
出典:Microsoft「Windows 11 Insider Beta Preview Build 26220.9343」およびMicrosoft「Cloud rebuild (Preview)」にもとづきます(2026年9月10日確認)。
Windowsが起動しなくなったとき、最後の手段は別のPCでインストールUSBを作ることでした。その工程を省ける可能性がある回復機能が、Insiderのテスト段階に入っています。
Microsoftは2026年9月8日、Windows 11 Insider Beta Preview Build 26220.9343で「Cloud rebuild」をBetaチャネルへ追加しました。Windows回復環境(WinRE)から実行でき、Windows Update経由でWindowsのイメージとデバイスのドライバーを取得してOSを丸ごと入れ直します。USBメディアもカスタムの回復イメージも不要で、いま入っているWindowsが壊れていても動きます。
ただし、これは「データを残したままWindowsを直す」機能ではありません。実行するとシステムディスクが再フォーマットされます。この記事では公式資料にもとづいて、従来の「このPCをリセットする」との違い、使うための条件、つまずきやすいエラー、そしてUSBメモリが本当に不要になるのかを整理します。
目次
正体Cloud rebuildは何をする機能か
Cloud rebuildは、Windows 11のPCを正常と分かっている状態へ戻すために、OSを丸ごと再インストールする回復機能です。Windowsが起動しない状態でも実行できます。
Microsoftのリリースノートは、従来の「このPCをリセットする」と違う点として、対象となるWindowsのイメージとデバイスのドライバーの両方をWindows Updateから取得すること、そしてUSBメディアもカスタムイメージも要らず、いまインストールされているOSの健全性に依存しないことを挙げています。SSD上のWindowsがどれだけ壊れていても、WinREとネットワークが生きていれば新しいWindowsを取りに行ける、という設計です。
準備の段階でWindows Updateに接続し、入れ直す対象のWindowsビルドを決めたうえで、そのPC用のネットワークドライバーをダウンロードします。USBからクリーンインストールしたあとにLANもWi-Fiも使えず詰まる、という事故を避ける狙いがあります。この問題そのものはWindows 11再インストール後にネットにつながらない原因で扱っています。
最重要データは残らない。システムディスクを再フォーマットする
ここが最も誤解されやすい部分です。「このPCをリセットする」には個人用ファイルを保持する選択肢がありますが、Cloud rebuildにはありません。
Cloud rebuildはシステムディスクを再フォーマットし、ローカルに保存されたファイル、アカウント、アプリ、設定をすべて削除します。OneDriveなどクラウドサービスに保存されたデータは影響を受けません。実行前に、表示されるデータ損失の警告を確認したうえで続行する形になります。
再構築が終わると、新しいPCを初めて起動したときと同じ初期設定画面から始まります。設定やユーザーファイルは、サインインしたあとOneDrive経由で戻せる範囲だけが戻ります。裏を返せば、クラウドに上げていないものは戻りません。
起動方法WinREからと、Windows上からの2通り
プレビュー段階での起動方法は2つあります。ここは提供元の資料でも分けて説明されています。
接続はEthernetがつながっていれば自動的に完了します。Wi-Fiしかない場合は、ネットワークを選んでパスキーを入力します。そのあと対象のWindowsビルド、エディション、言語を確認し、データ損失の警告に同意すると再構築が始まります。
条件使うには4つの前提が揃っている必要がある
「OSが壊れていても復旧できる」と聞くと万能に見えますが、公式が挙げている前提条件は4つあります。1つでも欠けると実行できません。
| 前提条件 | 内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 正常なWinRE | Windows 11であり、Windows回復環境が正常であること | 管理者権限のコマンドプロンプトで reagentc /info を実行 |
| WinRE側のネットワークドライバー | PCメーカーが互換性のあるネットワークドライバーをWinREへ含めていること | WinREでネットワークに接続できるかを確認 |
| インターネット接続 | 有線Ethernet、または個人用(WPA-Personal)のWi-Fi | WinREから接続できるかを確認 |
| ハードウェア要件 | Windows 11の最低ハードウェア要件を満たしていること | TPMが有効かどうかを含めて確認 |
実務で効いてきそうなのが3つ目です。Wi-Fiは個人用(WPA-Personal)に限ると明記されています。企業や学校で使われるWPA-Enterpriseの認証方式では、この条件を満たしません。社内ネットワークしかない環境では、有線Ethernetを用意する前提になります。
2つ目も見落としやすい条件です。Windows本体でWi-Fiが動いていても、WinREで同じ無線アダプターを扱えるとは限りません。ここはPCメーカー側の作り込み次第です。
つまずき失敗したときに出る2つのエラーコード
Cloud rebuildが失敗すると、WinREの画面にエラーコードが表示されます。公式資料で説明されているのは次の2つです。
0xc1900200への対処は具体的に案内されています。UEFI/BIOSのセットアップへ入り、セキュリティまたはトラステッドコンピューティングのメニューでTPMが有効かを確認します。項目名はPTT、fTPM、Security Deviceと表記されている場合があります。設定を保存して再起動したあと、Windows上で Windowsキー+R から tpm.msc を実行し、状態が「TPMは使用する準備ができています」になっていることを確かめてから、Cloud rebuildを再試行します。
Cloud rebuildは準備、ダウンロード、インストールの各段階を進み、その間にPCが何度か再起動します。この途中で手動での再起動や電源断を行うと、Windowsが起動できない状態になる可能性があると明記されています。画面の進行表示が出ている間は触らないでください。
下地WinREが保存済みのWi-Fi情報を使えるようになった
同じビルドでは、WinRE側のネットワーク機能も改善されています。回復の処理でネットワークが必要になったとき、通常のWindows側に保存されている利用可能なWi-Fiプロファイルの情報を使えるようになりました。
これまでは回復環境で改めて認証情報を用意する必要がありましたが、この機能によって自動的にオンラインへ復帰しやすくなります。既定で有効で、IT管理者は無効化することもできます。Cloud rebuildだけでなく、クラウドを使う回復処理全体に効く下地の改善です。
判定USBメモリは本当に不要になるのか
結論から言うと、USBメモリが完全に不要になる機能ではありません。不要にできるケースが増える機能です。
| 状況 | Cloud rebuildで対応できるか |
|---|---|
| Windowsは起動しないが、WinREは起動しネットにもつながる | 対応できる。この機能が最も効く場面 |
| WinRE自体が壊れている | 対応できない。前提条件を満たさない |
| システムSSDを新品へ交換した直後 | 対応できない。新しいSSDにWinREが存在しない |
| WinREがネットワークアダプターを認識しない | 対応できない。従来どおりインストールメディアが必要 |
| 社内Wi-Fi(WPA-Enterprise)しかない | 有線Ethernetを用意できれば対応できる |
特にSSDの故障と混同しないでください。Cloud rebuildが強いのは、SSDは読み書きできるがWindowsのシステムが壊れて起動できなくなったケースです。SSD自体が故障して交換した場合は、その新しいドライブに回復環境がないため、これまでどおりWindows 11のクリーンインストールの手順が必要になります。
そもそも再インストールで直らない問題もあります。NVMe SSDで訂正不能なエラーが増えている、メモリエラーでファイルが繰り返し壊れる、といった状態ではWindowsを入れ直しても再発します。ストレージ側の異常の見分け方はNVMe SSDのMedia and Data Integrity Errorsで、ブルースクリーンからの切り分けは停止コードから探す診断チャートで扱っています。
ゲーミングPC実行前に何が消えるかを把握しておく
ゲーミングPCで実行する場合は、Windowsの修復ではなく完全な初期化だと考えたほうが実態に近くなります。システムディスクへ入れているSteamやEpic Games Storeのゲーム、MOD、セーブデータ、スクリーンショット、各種ツールの設定は失われます。
ゲーム本体は再ダウンロードできますが、数百GB規模のライブラリをシステムSSDへ置いていると復旧に時間がかかります。クラウドセーブに対応していないタイトルのセーブデータや、ゲームフォルダへ直接入れたMODは、Windowsがまだ何らかの形で読める段階で退避しておくのが安全です。
普段からゲームライブラリを別のSSDへ分けておくと、こうしたOS障害からの復旧はかなり楽になります。ただし公式資料はシステムディスクの再フォーマットについて述べており、接続されたすべての物理ドライブが消去されるとは書かれていないものの、Preview段階の機能である以上、重要なデータは事前にバックアップしておくのが確実です。
現状いま使えるのか
2026年9月10日時点では、通常のWindows 11で誰でも使える機能ではありません。今回追加されたのはInsiderのBetaチャネル向けプレビュービルドで、機能自体もPreview扱いです。将来のリリースで内容が変わる可能性があります。
そのため、この機能を使いたいという理由だけで、普段ゲームに使っているメインPCをInsiderのBetaチャネルへ切り替える必要はありません。正式提供を待つほうが安全です。
FAQよくある質問
tpm.mscを実行して準備完了になっているか確かめてから再試行します。まとめ救えるケースが増える最終手段
Cloud rebuildは、Windowsが起動しない状態でもWinREからOSを丸ごと入れ直せる回復機能です。Windows UpdateからイメージとドライバーをまとめてダウンロードするためUSBメディアもカスタムイメージも要らず、いま入っているWindowsの健全性にも依存しません。
いちばん重要なのは、これがデータを残す機能ではないことです。システムディスクは再フォーマットされ、ローカルのファイル、アカウント、アプリ、設定はすべて消えます。戻るのはOneDriveに上げてあったものだけです。
使うには4つの前提が要ります。正常なWinRE、WinREに含まれたネットワークドライバー、有線Ethernetか個人用Wi-Fi、そしてWindows 11の最低ハードウェア要件です。Wi-Fiが個人用に限られる点は、社内ネットワークしかない環境で効いてきます。
USBメモリが完全に不要になるわけではありません。WinREが壊れている、SSDを新品に交換した、WinREがネットワークを認識しないといった場合は、これまでどおりインストールメディアが必要です。救えるケースを増やす機能、という位置づけが実態に近いといえます。なお現時点ではInsider向けのPreview機能で、メインPCを切り替えてまで試す段階ではありません。



