Windows 11に「Cloud rebuild」追加|起動しなくてもクラウドから再インストール、USBは本当に不要か
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起動しないPCをWinREからクラウド経由で入れ直せる、ただしデータは残りません
出典:Microsoft「Windows 11 Insider Beta Preview Build 26220.9343」およびMicrosoft「Cloud rebuild (Preview)」およびMicrosoft サポートのKB5127936更新情報にもとづきます(2026年11月2日確認)。
Windowsが起動しなくなったとき、最後の手段は別のPCでインストールUSBを作ることでした。その工程を省ける可能性がある回復機能が、10月28日のプレビュー更新で通常のWindows 11にも入り始めました。
Microsoftは2026年10月28日公開の任意のプレビュー更新KB5127936(OSビルド26300.9818・26200.9818)に、新しい回復機能「Cloud rebuild」を入れました。Insiderのテスト版で先行していた機能で、段階的に展開されるため、更新を入れても表示されないPCがあります。Windows回復環境(WinRE)から実行でき、Windows Update経由でWindowsのイメージとデバイスのドライバーを取得してOSを丸ごと入れ直します。USBメディアもカスタムの回復イメージも不要で、いま入っているWindowsが壊れていても動きます。
ただし、これは「データを残したままWindowsを直す」機能ではありません。実行するとシステムディスクが再フォーマットされます。
目次
提供開始KB5127936で通常のWindows 11にも入り始めた
KB5127936の更新情報には、Cloud rebuildが「新機能」として載っています。対象はWindows 11 25H2と26H2で、公開は2026年10月28日です。更新情報では、この更新を「段階的な配信(gradual rollout)」と「通常の配信(normal rollout)」の2つの段階で出され、Cloud rebuildは段階的な配信の側に載っています。段階的な配信は、機能がPCごとに時間をかけて届く方式なので、更新を入れた時点で使えるとは限りません。
この更新は任意のプレビュー更新です。「設定」→「Windows Update」→「詳細オプション」→「オプションの更新プログラム」に出てきたものを自分で選んだときに入ります。月例のセキュリティ更新を待つ運用なら、Cloud rebuildが手元に届くのも後になります。更新自体を入れるべきかはWindows 11 KB5127936は入れるべきかで判断材料をまとめています。
Cloud rebuildのためだけに急いで入れる必要はありません。壊れてから使う機能であり、動いているPCにとっては、入れた更新のほうが不具合の原因になる可能性があります。ゲームに使っているPCは、正常に動いているうちは月例更新を待つほうが安全です。
10月更新「設定」から入れるようになり、データ消去にも対応した
9月の公開後も開発は進んでいます。2026年10月2日公開のExperimental Build 26340.9596で、「設定」→「システム」→「回復」にCloud rebuildへの新しい入口が追加されました。Microsoftの説明は、機能を設定から使いやすくするための入口の追加です。
ここで注意したいのは、設定アプリの中でWindowsの再インストールが完結するようになったわけではない点です。実際の再構築はこれまでどおりWinREで動き、データ損失の警告に同意する流れも変わりません。変わったのは、機能へたどり着く道が増えたことです。ビルドによって段階的に展開されるため、同じビルドでも表示されない環境があります。
もう一つ、ゲーミングPCを手放す人に関係する追加があります。WinREでCloud rebuildを始めると、ファイルの消し方を選べるようになりました。
安全消去は、保証つきの消去ではありません。消去を要求するのはWindowsで、結果はストレージ側の対応と実装しだいです。実際に何が行われたかをWindowsが独自に確かめることはできません。機器を規則や契約にもとづいて手放す場合は、メーカーに対応を確かめ、必要ならメーカー提供のツールを使ってください。消去中は電源を入れたままにし、デバイスが止まって見えても電源を切らないでください。
企業向けには、IT管理者がRecovery CSPを使ってCloud rebuildをリモートから開始できるようになりました。現在入っているビルドで再構築するほか、対象のビルドを指定することもできます。個人のゲーミングPCで使う機能ではありませんが、手元の操作だけを前提にした機能ではなくなっています。
どのチャネルに何が入ったのかは、混同しやすいところです。公式のリリースノートで整理すると次のとおりです。
| ビルドとチャネル(公開日) | Cloud rebuildに関する内容 |
|---|---|
| Beta 26220.9343 9月8日 | 告知は9月18日に取り下げ。Betaチャネルに入ったとは言えない |
| Experimental 26340.9502 9月18日 | 安全消去(Remove & sanitize files)とRecovery CSPによるリモート開始を追加 |
| Experimental 26340.9596 10月2日 | 「設定」→「システム」→「回復」にCloud rebuildの入口を追加 |
| Experimental(26H1)28120.3151 10月2日 | 安全消去とリモート開始を追加 |
| Beta(26H1)28020.3142 10月2日 | Cloud rebuildを導入。WinREの「トラブルシューティング」から開始 |
| KB5127936 25H2・26H2向け、10月28日 | 通常のWindows 11向けのプレビュー更新に新機能として掲載。段階的な配信 |
10月に初めて安全消去が登場したわけではなく、9月18日のExperimental 26340.9502に同じ追加が入っていました。10月2日の26H1側のリリースノートは、同じ内容を別系統のビルドへ広げたものです。Beta(26H1)のリリースノートには、設定アプリの入口や安全消去は書かれていません。
正体Cloud rebuildは何をする機能か
Cloud rebuildは、Windows 11のPCを正常と分かっている状態へ戻すために、OSを丸ごと再インストールする回復機能です。Windowsが起動しない状態でも実行できます。
Microsoftのリリースノートは、従来の「このPCをリセットする」と違う点として、対象となるWindowsのイメージとデバイスのドライバーの両方をWindows Updateから取得すること、そしてUSBメディアもカスタムイメージも要らず、いまインストールされているOSの健全性に依存しないことを挙げています。SSD上のWindowsがどれだけ壊れていても、WinREとネットワークが生きていれば新しいWindowsを取りに行ける、という設計です。
準備の段階でWindows Updateに接続し、入れ直す対象のWindowsビルドを決めたうえで、そのPC用のネットワークドライバーをダウンロードします。USBからクリーンインストールしたあとにLANもWi-Fiも使えず詰まる、という事故を避ける狙いがあります。この問題そのものはWindows 11再インストール後にネットにつながらない原因で扱っています。
最重要データは残らない。システムディスクを再フォーマットする
ここが最も誤解されやすい部分です。「このPCをリセットする」には個人用ファイルを保持する選択肢がありますが、Cloud rebuildにはありません。
Cloud rebuildはシステムディスクを再フォーマットし、ローカルに保存されたファイル、アカウント、アプリ、設定をすべて削除します。OneDriveなどクラウドサービスに保存されたデータは影響を受けません。実行前に、表示されるデータ損失の警告を確認したうえで続行する形になります。
再構築が終わると、新しいPCを初めて起動したときと同じ初期設定画面から始まります。設定やユーザーファイルは、サインインしたあとOneDrive経由で戻せる範囲だけが戻ります。裏を返せば、クラウドに上げていないものは戻りません。
起動方法WinREからと、Windows上からの2通り
起動方法は、Windowsが起動するかどうかで2つに分かれます。Microsoftの資料でも分けて説明されています。
接続はEthernetがつながっていれば自動的に完了します。Wi-Fiしかない場合は、ネットワークを選んでパスキーを入力します。そのあと対象のWindowsビルド、エディション、言語を確認し、データ損失の警告に同意すると再構築が始まります。
条件使うには4つの前提が揃っている必要がある
「OSが壊れていても復旧できる」と聞くと万能に見えますが、公式の前提条件は、正常なWinRE、WinREのネットワークドライバーとインターネット接続、Windows 11の最低ハードウェア要件の3項目です。ここでは接続手段の条件を分けて4つに整理します。1つでも欠けると実行できません。
| 前提条件 | 内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 正常なWinRE | Windows 11であり、Windows回復環境が正常であること | 管理者権限のコマンドプロンプトで reagentc /info を実行 |
| WinRE側のネットワークドライバー | PCメーカーが互換性のあるネットワークドライバーをWinREへ含めていること | WinREでネットワークに接続できるかを確認 |
| インターネット接続 | 有線Ethernet、または個人用(WPA-Personal)のWi-Fi | WinREから接続できるかを確認 |
| ハードウェア要件 | Windows 11の最低ハードウェア要件を満たしていること | TPMが有効かどうかを含めて確認 |
実務で効いてきそうなのが3つ目です。WinREの画面で手動で選べるWi-Fiは個人用(WPA-Personal)に限られます。企業や学校のWPA-Enterpriseは手動では選べません。KB5127936には、Windowsに保存済みのWi-Fi情報(証明書を使う網を含む)をWinREが自動で使う機能も入っていますが、対象になるかはPCと接続先しだいです。社内ネットワークしかない環境では、有線Ethernetを用意するのが確実です。
2つ目も見落としやすい条件です。Windows本体でWi-Fiが動いていても、WinREで同じ無線アダプターを扱えるとは限りません。ここはPCメーカー側の作り込み次第です。
つまずき失敗したときに出る3つのエラーコード
Cloud rebuildが失敗すると、WinREの画面にエラーコードが表示されます。公式資料で説明されているのは次の3つです。
0xc1900200への対処は具体的に案内されています。UEFI/BIOSのセットアップへ入り、セキュリティまたはトラステッドコンピューティングのメニューでTPMが有効かを確認します。項目名はPTT、fTPM、Security Deviceと表記されている場合があります。設定を保存して再起動したあと、Windows上で Windowsキー+R から tpm.msc を実行し、状態が「TPMは使用する準備ができています」になっていることを確かめてから、Cloud rebuildを再試行します。
Cloud rebuildは準備、ダウンロード、インストールの各段階を進み、その間にPCが何度か再起動します。この途中で手動での再起動や電源断を行うと、Windowsが起動できない状態になる可能性があります。画面の進行表示が出ている間は触らないでください。
下地WinREが保存済みのWi-Fi情報を使えるようになった
同じビルドでは、WinRE側のネットワーク機能も改善されています。回復の処理でネットワークが必要になったとき、通常のWindows側に保存されている利用可能なWi-Fiプロファイルの情報を使えるようになりました。
これまでは回復環境で改めて認証情報を用意する必要がありましたが、この機能によって自動的にオンラインへ復帰しやすくなります。既定で有効で、IT管理者は無効化することもできます。Cloud rebuildだけでなく、クラウドを使う回復処理全体に効く下地の改善です。
判定USBメモリは本当に不要になるのか
結論から言うと、USBメモリが完全に不要になる機能ではありません。不要にできるケースが増える機能です。
| 状況 | Cloud rebuildで対応できるか |
|---|---|
| Windowsは起動しないが、WinREは起動しネットにもつながる | 対応できる。この機能が最も効く場面 |
| WinRE自体が壊れている | 対応できない。前提条件を満たさない |
| システムSSDを新品へ交換した直後 | 対応できない。新しいSSDにWinREが存在しない |
| WinREがネットワークアダプターを認識しない | 対応できない。従来どおりインストールメディアが必要 |
| 社内Wi-Fi(WPA-Enterprise)しかない | 手動では選べない。保存済みWi-Fi情報の自動利用が効かなければ、有線Ethernetを用意すれば対応できる |
特にSSDの故障と混同しないでください。Cloud rebuildが強いのは、SSDは読み書きできるがWindowsのシステムが壊れて起動できなくなったケースです。SSD自体が故障して交換した場合は、その新しいドライブに回復環境がないため、これまでどおりWindows 11のクリーンインストールの手順が必要になります。
そもそも再インストールで直らない問題もあります。NVMe SSDで訂正不能なエラーが増えている、メモリエラーでファイルが繰り返し壊れる、といった状態ではWindowsを入れ直しても再発します。ストレージ側の異常の見分け方はNVMe SSDのMedia and Data Integrity Errorsで、ブルースクリーンからの切り分けは停止コードから探す診断チャートで扱っています。
ゲーミングPC実行前に何が消えるかを把握しておく
ゲーミングPCで実行する場合は、Windowsの修復ではなく完全な初期化だと考えたほうが実態に近くなります。システムディスクへ入れているSteamやEpic Games Storeのゲーム、MOD、セーブデータ、スクリーンショット、各種ツールの設定は失われます。
ゲーム本体は再ダウンロードできますが、数百GB規模のライブラリをシステムSSDへ置いていると復旧に時間がかかります。クラウドセーブに対応していないタイトルのセーブデータや、ゲームフォルダへ直接入れたMODは、Windowsがまだ何らかの形で読める段階で退避しておくのが安全です。
普段からゲームライブラリを別のSSDへ分けておくと、こうしたOS障害からの復旧はかなり楽になります。ただし公式資料はシステムディスクの再フォーマットについて述べており、接続されたすべての物理ドライブが消去されるとは書かれていないものの、Preview段階の機能である以上、重要なデータは事前にバックアップしておくのが確実です。
現状いま使えるのか
2026年11月2日時点では、KB5127936を入れた25H2・26H2のWindows 11で使える可能性があります。更新情報に「新機能」として載っているため、Insiderのテスト版にしか無い機能ではなくなりました。ただし段階的な配信なので、更新を入れても「設定」→「システム」→「回復」に入口が出ないPCがあります。
入口が出ないときは、WinREからTroubleshootの中にCloud rebuildがあるかを見ます。そこにも無ければ、そのPCにはまだ届いていません。届く時期をMicrosoftは更新情報で示しておらず、月例の更新で全員に出るようになる時期はわかりません。通常の配信に切り替わった段階で、すべての対象PCに届くと更新情報は説明しています。
普段使いのPCで、この機能のために急いで更新を入れる必要はありません。入れるなら、先にゲームのセーブデータと設定を別のドライブかクラウドへ退避しておきます。Cloud rebuildは壊れてから使う機能で、壊れたあとではWindowsからデータを取り出せないことがあるためです。
FAQよくある質問
tpm.mscを実行して準備完了になっているか確かめてから再試行します。まとめ救えるケースが増える最終手段
Cloud rebuildは、Windowsが起動しない状態でもWinREからOSを丸ごと入れ直せる回復機能です。Windows UpdateからイメージとドライバーをまとめてダウンロードするためUSBメディアもカスタムイメージも要らず、いま入っているWindowsの健全性にも依存しません。
いちばん重要なのは、これがデータを残す機能ではないことです。システムディスクは再フォーマットされ、ローカルのファイル、アカウント、アプリ、設定はすべて消えます。戻るのはOneDriveに上げてあったものだけです。
使うには4つの前提が要ります。正常なWinRE、WinREに含まれたネットワークドライバー、有線Ethernetか個人用Wi-Fi、そしてWindows 11の最低ハードウェア要件です。手動で選べるWi-Fiが個人用に限られる点は、社内ネットワークしかない環境で効いてきます。
USBメモリが完全に不要になるわけではありません。WinREが壊れている、SSDを新品に交換した、WinREがネットワークを認識しないといった場合は、これまでどおりインストールメディアが必要です。救えるケースを増やす機能、という位置づけが実態に近いといえます。なお配信はKB5127936による段階的なもので、このためだけに任意のプレビュー更新を急いで入れる必要はありません。入れるなら、先にゲームのセーブデータを退避しておいてください。




