Windows 11に「Cloud rebuild」追加|起動しなくてもクラウドから再インストール、USBは本当に不要か

(更新: 2026.10.8)
Windows 11に「Cloud rebuild」追加|起動しなくてもクラウドから再インストール、USBは本当に不要か

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NEWS / Windows 11 / 2026年10月8日更新
Windows 11に「Cloud rebuild」が追加
起動しないPCをWinREからクラウド経由で入れ直せる、ただしデータは残りません
MicrosoftがWindows 11 Insiderのテスト版で、新しい回復機能「Cloud rebuild」の提供を進めています。10月2日には、「設定」アプリから入る入口も追加されました。Windowsが起動しない状態でも、USBメモリを作らずにOSを再インストールできます。ただしシステムディスクは再フォーマットされ、ローカルのファイルとアプリはすべて消えます。
データは保持できないWi-FiはWPA-PersonalのみまだInsider Preview

出典:Microsoft「Windows 11 Insider Beta Preview Build 26220.9343」およびMicrosoft「Cloud rebuild (Preview)」にもとづきます(2026年10月8日確認)。

Windowsが起動しなくなったとき、最後の手段は別のPCでインストールUSBを作ることでした。その工程を省ける可能性がある回復機能が、Insiderのテスト段階に入っています。

MicrosoftはWindows 11 Insiderのテスト版で、新しい回復機能「Cloud rebuild」を試せるようにしています。2026年9月8日のBeta Build 26220.9343でいったん告知しましたが、9月18日にBetaチャネル向けの告知は取り下げられました。その後はExperimentalチャネルで開発が続き、10月2日にはBeta(26H1)チャネルでの導入も発表されています。Windows回復環境(WinRE)から実行でき、Windows Update経由でWindowsのイメージとデバイスのドライバーを取得してOSを丸ごと入れ直します。USBメディアもカスタムの回復イメージも不要で、いま入っているWindowsが壊れていても動きます。

ただし、これは「データを残したままWindowsを直す」機能ではありません。実行するとシステムディスクが再フォーマットされます。

目次

10月更新「設定」から入れるようになり、データ消去にも対応した

9月の公開後も開発は進んでいます。2026年10月2日公開のExperimental Build 26340.9596で、「設定」→「システム」→「回復」にCloud rebuildへの新しい入口が追加されました。Microsoftの説明は、機能を設定から使いやすくするための入口の追加です。

ここで注意したいのは、設定アプリの中でWindowsの再インストールが完結するようになったわけではない点です。実際の再構築はこれまでどおりWinREで動き、データ損失の警告に同意する流れも変わりません。変わったのは、機能へたどり着く道が増えたことです。ビルドによって段階的に展開されるため、同じビルドでも表示されない環境があります。

もう一つ、ゲーミングPCを手放す人に関係する追加があります。WinREでCloud rebuildを始めると、ファイルの消し方を選べるようになりました。

Remove files(そのPCを使い続けるとき)ドライブを再フォーマットしてWindowsを入れ直します。速い反面、専用の復元ツールでファイルを取り出せる可能性が残ります。
Remove & sanitize files(売却・返却・譲渡の前)ストレージ自身が持つ消去機能でデータを消してからWindowsを入れます。元に戻せません。SSDを複数積んでいる場合は、Windowsを入れたディスクだけか、すべてのディスクかを選びます。

安全消去は、保証つきの消去ではありません。Microsoftの資料は、消去を要求するのはWindowsで、結果はストレージ側の対応と実装しだいであり、実際に何が行われたかをWindowsが独自に確かめることはできないと説明しています。機器を規則や契約にもとづいて手放す場合は、メーカーに対応を確かめ、必要ならメーカー提供のツールを使うよう求めています。消去中は電源を入れたままにし、デバイスが止まって見えても電源を切らないでください。

企業向けには、IT管理者がRecovery CSPを使ってCloud rebuildをリモートから開始できるようになりました。現在入っているビルドで再構築するほか、対象のビルドを指定することもできます。個人のゲーミングPCで使う機能ではありませんが、手元の操作だけを前提にした機能ではなくなっています。

どのチャネルに何が入ったのかは、混同しやすいところです。公式のリリースノートで整理すると次のとおりです。

ビルドとチャネル(公開日)Cloud rebuildに関する内容
Beta 26220.9343(9月8日)告知は9月18日に取り下げ。Betaチャネルに入ったとは言えない
Experimental 26340.9502(9月18日)安全消去(Remove & sanitize files)とRecovery CSPによるリモート開始を追加
Experimental 26340.9596(10月2日)「設定」→「システム」→「回復」にCloud rebuildの入口を追加
Experimental(26H1)28120.3151(10月2日)安全消去とリモート開始を追加
Beta(26H1)28020.3142(10月2日)Cloud rebuildを導入。WinREの「トラブルシューティング」から開始

10月に初めて安全消去が登場したわけではなく、9月18日のExperimental 26340.9502に同じ追加が入っていました。10月2日の26H1側のリリースノートは、同じ内容を別系統のビルドへ広げたものです。Beta(26H1)のリリースノートには、設定アプリの入口や安全消去は書かれていません。

正体Cloud rebuildは何をする機能か

Cloud rebuildは、Windows 11のPCを正常と分かっている状態へ戻すために、OSを丸ごと再インストールする回復機能です。Windowsが起動しない状態でも実行できます。

Microsoftのリリースノートは、従来の「このPCをリセットする」と違う点として、対象となるWindowsのイメージとデバイスのドライバーの両方をWindows Updateから取得すること、そしてUSBメディアもカスタムイメージも要らず、いまインストールされているOSの健全性に依存しないことを挙げています。SSD上のWindowsがどれだけ壊れていても、WinREとネットワークが生きていれば新しいWindowsを取りに行ける、という設計です。

準備の段階でWindows Updateに接続し、入れ直す対象のWindowsビルドを決めたうえで、そのPC用のネットワークドライバーをダウンロードします。USBからクリーンインストールしたあとにLANもWi-Fiも使えず詰まる、という事故を避ける狙いがあります。この問題そのものはWindows 11再インストール後にネットにつながらない原因で扱っています。

最重要データは残らない。システムディスクを再フォーマットする

ここが最も誤解されやすい部分です。「このPCをリセットする」には個人用ファイルを保持する選択肢がありますが、Cloud rebuildにはありません。

公式ドキュメントの警告文

Cloud rebuildはシステムディスクを再フォーマットし、ローカルに保存されたファイル、アカウント、アプリ、設定をすべて削除します。OneDriveなどクラウドサービスに保存されたデータは影響を受けません。実行前に、表示されるデータ損失の警告を確認したうえで続行する形になります。

再構築が終わると、新しいPCを初めて起動したときと同じ初期設定画面から始まります。設定やユーザーファイルは、サインインしたあとOneDrive経由で戻せる範囲だけが戻ります。裏を返せば、クラウドに上げていないものは戻りません。

起動方法WinREからと、Windows上からの2通り

プレビュー段階での起動方法は2つあります。ここは提供元の資料でも分けて説明されています。

WinREのトラブルシューティングメニューから起動に何度も失敗すると自動的にWinREへ入ります。手動なら設定画面からも入れます。オプションの選択でトラブルシューティングを選び、Cloud rebuildを選択します。実機に物理的にアクセスできる人が行う操作です。
Windowsが起動する状態なら管理者権限のコマンドプロンプトからローカル管理者であれば、Windows上の管理者権限コマンドプロンプトからも開始できます。まだ起動はするけれど調子が悪い、という段階でも使えるということです。
IT管理者はIntuneなどからリモートで開始できるRecovery CSPを使った遠隔実行は、Insiderのテスト版で使えるようになっています。個人のPCで手元から行う場合は、上の2通りです。

接続はEthernetがつながっていれば自動的に完了します。Wi-Fiしかない場合は、ネットワークを選んでパスキーを入力します。そのあと対象のWindowsビルド、エディション、言語を確認し、データ損失の警告に同意すると再構築が始まります。

条件使うには4つの前提が揃っている必要がある

「OSが壊れていても復旧できる」と聞くと万能に見えますが、公式が挙げている前提条件は4つあります。1つでも欠けると実行できません。

前提条件内容確認方法
正常なWinREWindows 11であり、Windows回復環境が正常であること管理者権限のコマンドプロンプトで reagentc /info を実行
WinRE側のネットワークドライバーPCメーカーが互換性のあるネットワークドライバーをWinREへ含めていることWinREでネットワークに接続できるかを確認
インターネット接続有線Ethernet、または個人用(WPA-Personal)のWi-FiWinREから接続できるかを確認
ハードウェア要件Windows 11の最低ハードウェア要件を満たしていることTPMが有効かどうかを含めて確認

実務で効いてきそうなのが3つ目です。Wi-Fiは個人用(WPA-Personal)に限ると明記されています。企業や学校で使われるWPA-Enterpriseの認証方式では、この条件を満たしません。社内ネットワークしかない環境では、有線Ethernetを用意する前提になります。

2つ目も見落としやすい条件です。Windows本体でWi-Fiが動いていても、WinREで同じ無線アダプターを扱えるとは限りません。ここはPCメーカー側の作り込み次第です。

つまずき失敗したときに出る2つのエラーコード

Cloud rebuildが失敗すると、WinREの画面にエラーコードが表示されます。公式資料で説明されているのは次の2つです。

0x800704C6 はネットワーク未接続デバイスがネットワークに接続されていないことを示します。エラー画面でキャンセルを選び、トラブルシューティングからCloud rebuildを選び直して、Ethernetをつなぐか利用可能なWi-Fiへ接続してから再開します。
0xc1900200 はハードウェア要件かドライバー不足Windows 11の最低ハードウェア要件を満たしていないか、必要なドライバーがWindows Updateに存在しないことを示します。最も一般的な原因はTPMが有効になっていないことだとされています。

0xc1900200への対処は具体的に案内されています。UEFI/BIOSのセットアップへ入り、セキュリティまたはトラステッドコンピューティングのメニューでTPMが有効かを確認します。項目名はPTT、fTPM、Security Deviceと表記されている場合があります。設定を保存して再起動したあと、Windows上で Windowsキー+R から tpm.msc を実行し、状態が「TPMは使用する準備ができています」になっていることを確かめてから、Cloud rebuildを再試行します。

準備・ダウンロード・インストール中に電源を切らない

Cloud rebuildは準備、ダウンロード、インストールの各段階を進み、その間にPCが何度か再起動します。この途中で手動での再起動や電源断を行うと、Windowsが起動できない状態になる可能性があると明記されています。画面の進行表示が出ている間は触らないでください。

下地WinREが保存済みのWi-Fi情報を使えるようになった

同じビルドでは、WinRE側のネットワーク機能も改善されています。回復の処理でネットワークが必要になったとき、通常のWindows側に保存されている利用可能なWi-Fiプロファイルの情報を使えるようになりました。

これまでは回復環境で改めて認証情報を用意する必要がありましたが、この機能によって自動的にオンラインへ復帰しやすくなります。既定で有効で、IT管理者は無効化することもできます。Cloud rebuildだけでなく、クラウドを使う回復処理全体に効く下地の改善です。

判定USBメモリは本当に不要になるのか

結論から言うと、USBメモリが完全に不要になる機能ではありません。不要にできるケースが増える機能です。

状況Cloud rebuildで対応できるか
Windowsは起動しないが、WinREは起動しネットにもつながる対応できる。この機能が最も効く場面
WinRE自体が壊れている対応できない。前提条件を満たさない
システムSSDを新品へ交換した直後対応できない。新しいSSDにWinREが存在しない
WinREがネットワークアダプターを認識しない対応できない。従来どおりインストールメディアが必要
社内Wi-Fi(WPA-Enterprise)しかない有線Ethernetを用意できれば対応できる

特にSSDの故障と混同しないでください。Cloud rebuildが強いのは、SSDは読み書きできるがWindowsのシステムが壊れて起動できなくなったケースです。SSD自体が故障して交換した場合は、その新しいドライブに回復環境がないため、これまでどおりWindows 11のクリーンインストールの手順が必要になります。

そもそも再インストールで直らない問題もあります。NVMe SSDで訂正不能なエラーが増えている、メモリエラーでファイルが繰り返し壊れる、といった状態ではWindowsを入れ直しても再発します。ストレージ側の異常の見分け方はNVMe SSDのMedia and Data Integrity Errorsで、ブルースクリーンからの切り分けは停止コードから探す診断チャートで扱っています。

ゲーミングPC実行前に何が消えるかを把握しておく

ゲーミングPCで実行する場合は、Windowsの修復ではなく完全な初期化だと考えたほうが実態に近くなります。システムディスクへ入れているSteamやEpic Games Storeのゲーム、MOD、セーブデータ、スクリーンショット、各種ツールの設定は失われます。

ゲーム本体は再ダウンロードできますが、数百GB規模のライブラリをシステムSSDへ置いていると復旧に時間がかかります。クラウドセーブに対応していないタイトルのセーブデータや、ゲームフォルダへ直接入れたMODは、Windowsがまだ何らかの形で読める段階で退避しておくのが安全です。

普段からゲームライブラリを別のSSDへ分けておくと、こうしたOS障害からの復旧はかなり楽になります。ただし公式資料はシステムディスクの再フォーマットについて述べており、接続されたすべての物理ドライブが消去されるとは書かれていないものの、Preview段階の機能である以上、重要なデータは事前にバックアップしておくのが確実です。

現状いま使えるのか

2026年10月8日時点では、通常のWindows 11で誰でも使える機能ではありません。Cloud rebuildが入っているのはInsiderのテスト版(ExperimentalチャネルとBeta(26H1)チャネル)で、機能自体もPreview扱いです。Microsoftはテスト版の機能について、変更・削除・置き換えられ、一般向けには提供されないこともあると説明しています。「設定」からの入口が追加されたビルドもExperimentalチャネルのもので、通常のWindows 11の設定画面には表示されないことがあります。

そのため、この機能を使いたいという理由だけで、普段ゲームに使っているメインPCをInsiderのBetaチャネルへ切り替える必要はありません。正式提供を待つほうが安全です。

FAQよくある質問

個人用ファイルを残して実行できますか
できません。Cloud rebuildはシステムディスクを再フォーマットし、ローカルのファイル、アカウント、アプリ、設定をすべて削除します。ファイルを残したい場合は、従来の「このPCをリセットする」でファイルを保持する選択肢を使います。
会社のWi-Fiでも使えますか
個人用(WPA-Personal)のWi-Fiに限られます。WPA-Enterpriseの認証を使う環境では条件を満たしません。有線Ethernetでインターネットへ接続できれば実行できます。
新品のSSDに交換した直後に使えますか
使えません。Cloud rebuildは正常なWindows回復環境が前提で、空のSSDにはWinREが存在しません。この場合はインストールメディアやメーカー提供の回復メディアが必要です。
0xc1900200が出ました
まずTPMが有効か確認してください。最も一般的な原因とされています。UEFI/BIOSでTPM(PTT、fTPM、Security Deviceと表記される場合があります)を有効にし、Windows上でtpm.mscを実行して準備完了になっているか確かめてから再試行します。
途中で止まったらどうなりますか
Windowsが起動できなくなる可能性があります。準備・ダウンロード・インストールの間は複数回の再起動が入るため、手動での再起動や電源断は避けてください。

まとめ救えるケースが増える最終手段

Cloud rebuildは、Windowsが起動しない状態でもWinREからOSを丸ごと入れ直せる回復機能です。Windows UpdateからイメージとドライバーをまとめてダウンロードするためUSBメディアもカスタムイメージも要らず、いま入っているWindowsの健全性にも依存しません。

2026年10月8日時点の結論

いちばん重要なのは、これがデータを残す機能ではないことです。システムディスクは再フォーマットされ、ローカルのファイル、アカウント、アプリ、設定はすべて消えます。戻るのはOneDriveに上げてあったものだけです。

使うには4つの前提が要ります。正常なWinRE、WinREに含まれたネットワークドライバー、有線Ethernetか個人用Wi-Fi、そしてWindows 11の最低ハードウェア要件です。Wi-Fiが個人用に限られる点は、社内ネットワークしかない環境で効いてきます。

USBメモリが完全に不要になるわけではありません。WinREが壊れている、SSDを新品に交換した、WinREがネットワークを認識しないといった場合は、これまでどおりインストールメディアが必要です。救えるケースを増やす機能、という位置づけが実態に近いといえます。なお現時点ではInsider向けのPreview機能で、メインPCを切り替えてまで試す段階ではありません。

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