TSMC CoPoS 完全解説|CoWoS 限界突破・ガラスコア基板で 30% コスト減・2028年量産・次世代 GPU 価格への影響【2026年6月版】
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TSMC CoPoS 完全解説
CoWoS 限界突破・ガラスコア基板で 30% コスト減・2028年量産・次世代 GPU 価格への影響
TSMC が AI 半導体の次世代パッケージング『CoPoS(Chip-on-Panel-on-Substrate)』を急加速。円形ウェハから四角い大型パネルへ移行することで、AI チップ製造の経済性が大きく変わる可能性があります。ゲーマー視点での次世代 GPU 価格・供給力への影響まで、わかりやすくまとめました。
TSMC が AI 半導体パッケージング次世代技術 『CoPoS(Chip-on-Panel-on-Substrate)』を急加速しています。現在 NVIDIA H100 / H200 / B200 や AMD MI300X など主要 AI GPU で採用されている CoWoS(Chip-on-Wafer-on-Substrate)は、円形 300mm ウェハ依存ゆえに大型パッケージで面積効率が悪く、コスト・供給の両面で限界が見え始めています。
CoPoS は 四角い大型パネル(一時 310×310mm キャリア → パイロット 250×250mm → 量産 510×515mm、最大 750×620mm)を使うことで、面積利用効率を 90% 超に引き上げ、単位面積コストを 20〜30% 削減する見通しです。さらに Ibiden(5,000 億円投資)+ Innolux 協業の『ガラスコア基板』を ABF 層で挟む3層構造で、反り 16% 抑制 ・ 電気抵抗 27% 低減 ・ インダクタンス 42% 低減 という TSMC 公式実験データを獲得しています。
量産は 2028年下半期(著名アナリスト Ming-Chi Kuo 予測)、ガラスコア本格化は 2030年以降の見通し。NVIDIA Feynman(2028)と AMD MI500(2027)が CoPoS 初採用候補とされる一方、TSMC 幹部は 「CoPoS は当面 CoWoS を置き換えず補完技術」と明言しています。CoWoS の現状と限界、CoPoS スペック、ガラスコア基板、量産タイムライン、競合 Intel / Samsung、そしてゲーマー視点での次世代 GPU 価格・供給力への影響まで、ここから順番に見ていきます。
目次
CoWoS の現状と限界|なぜ CoPoS が必要なのか
まず現行 CoWoS の状態を整理します。CoWoS(Chip-on-Wafer-on-Substrate)は、TSMC が 2012 年頃から展開している先進パッケージング技術で、AI ブームに乗って NVIDIA H100 / B200 / GB200、AMD MI300X など主要 AI GPU の中核になっています。
派生 3 種と現行上限
- CoWoS-S モノリシック Si インタポーザ・現行上限 約 2,700mm²(3.3× レチクルサイズ)。NVIDIA H100 / A100 などで採用
- CoWoS-R RDL(再配線層)インタポーザ・コスト重視構成
- CoWoS-L RDL + LSI(Local Silicon Interconnect)。NVIDIA B200 / GB200 で採用、2 ダイ各 460mm² を ~900GB/s die-to-die で接続
CoWoS ロードマップ(拡張計画)
TSMC は CoWoS をすぐ捨てる気はありません。むしろ 2029 年までに 14× レチクル超・58 dies・HBM5E ×24 スタック・48 倍演算性能(2023年比)へ拡張するロードマップを公式に示しています。
CoWoS-L 9.5× レチクル
120×150mm 基板 / HBM5 × 12 スタック。NVIDIA Rubin Ultra が初採用候補。当初 4 ダイ構成を計画していましたが、歩留まり課題で 2 ダイ構成に縮小済み。
CoWoS 14× レチクル
3D 積層演算チップレット × 20 + HBM5 × 20 を統合可能。同じく 2028 年に CoPoS が量産入り見込みのため、「ウェハベース継続 vs パネル移行」の分岐点になります。
CoWoS 14× レチクル超
最大 58 dies ・ HBM5E × 24 スタック ・ 演算性能 48倍(2023年比)の SiP(System in Package)。CoWoS の理論的最終形態に近い水準まで拡張されます。
NVIDIA が 60% 確保
NVIDIA は TSMC CoWoS キャパの 約 60%を確保済み。515,000 ウェハのうち 510,000 が CoWoS-L 割当で、Rubin が 2026 年新規キャパをほぼ独占吸収する見通し。AMD・Apple・他社の AI チップ供給が逼迫します。
限界の核心|「円形ウェハ × 大型パッケージ」のミスマッチ
12inch(300mm)円形ウェハから大型矩形パッケージ(例:120×150mm)を切り出すと、ウェハ周辺部の三日月状デッドスペースが大量発生します。CoWoS-L が大型化すればするほどこの無駄が増え、面積利用効率は 70% を下回る状況に。AI チップの大型化トレンド(NVIDIA Rubin → Rubin Ultra → Feynman)が止まらない以上、円形ウェハの呪縛を解く必要が出てきました。これが CoPoS が急がれる根本理由です。
CoPoS スペック詳細|四角いパネルで 90% 超効率
続いて CoPoS(Chip-on-Panel-on-Substrate)の中身を見ます。
パネルサイズ 3 段階
一時ガラスキャリア
製造工程の前段で使う一時的なガラスキャリア。最終製品ではなく、加工中の支持体として機能します。Ming-Chi Kuo 氏の解説資料で初公開されたサイズです。
パイロット用ガラスパネル
2026 年 6 月完成予定のパイロットライン(嘉義 Chiayi 候補・AP7 工場含む)で使われる量産前検証用サイズ。2 月から装置搬入が始まっています。
量産用ガラスパネル
2028 年下半期から始まる本格量産で使われるサイズ。FOPLP 系列の最大拡張版では 620×750mmまで視野に入ります。AI チップ大型化のニーズに直接応える設計です。
面積利用効率の劇的改善
- 12inch 円形ウェハ 面積利用率 70% 未満(大型パッケージ切り出し時)
- CoPoS 矩形パネル 面積利用率 90% 超(無駄な周辺部がない)
- 単位面積コスト削減 20〜30%(記事タイトル「30%」、本文「20-30%」レンジ)
- 主目的 9.5× レチクルサイズ超の ultra-large package の経済性改善
- 対象世代 NVIDIA Feynman(2028)・AMD MI500(2027)以降のデータセンター AI
ガラスコア基板|Ibiden + Innolux の3層構造
CoPoS と並ぶもう一つの大きな技術革新が 「ガラスコア基板(Glass Core Substrate)」です。従来の有機基板やシリコン系構成に対し、ガラスをコア層に採用することで、大型パッケージ化・反り抑制・量産性・コスト面で有利になります。
ABF-GCP 3 層構造
Ming-Chi Kuo 氏が示した「3つの誤解」訂正
- 誤解 1 「ガラス=インタポーザ」 ✗ 配線役はチップ側 RDL(再配線層)とガラス基板側の TGV / ABF 層が分担
- 誤解 2 「ガラスが ABF を置き換える」 ✗ 両者は共存。ABF 層なしのガラス単体構造ではない
- 誤解 3 「チップはガラスに直接接合」 ✗ チップは ABF 層表面に接合される(ガラス直接接合ではない)
TSMC 公式実験データ(0.8mm ガラスコア・85×110mm サンプル)
パートナー企業の役割
Ibiden(イビデン)
NVIDIA / AMD AI チップ向けハイエンドパッケージ基板の中核サプライヤー。岐阜県工場拡張に 2026〜2028 年で 5,000 億円投資。CoPoS / ガラスコア基板の本格量産を見据えた先行投資です。
Innolux(群創)
液晶パネル大手としてガラスハンドリング・大判矩形プロセス・パネル製造の優位性を活用。液晶生産で培った「四角い大判ガラスを正確に扱う技術」がパッケージング分野に流用される構造です。
量産タイムライン + 競合パッケージング技術
続いて CoPoS と関連技術の量産タイムラインを整理します。CoPoS(パネル化)と ガラスコア基板(材料変更)は別タイムラインであることに注意してください。
4 段階タイムライン
競合パッケージング技術の動向
CoWoS-L → CoPoS → ガラスコア
パイロット 2026年6月 → 量産 2028年H2(CoPoS)→ 2030年以降(ガラスコア)の3段階。CoWoS スケール拡張 + CoPoS 移行のハイブリッド戦略で対抗。
Foveros / EMIB + Thick Core ガラス
2026〜2030 量産。Arizona にパイロットライン。Thick Core ガラスは2026年2月時点で 100mm スパンで warpage <20μm(有機基板 50μm 超に対し優位)。「業界初のガラス基板」を主張。
I-Cube / X-Cube + ガラス基板
Sejong のパイロットラインから量産検証へ。2026年H2 量産目標(AI ASIC 向け)=ガラス基板の最速候補。Samsung Electro-Mechanics × Sumitomo 協業も進行中(2027 以降量産)。
「ウェハベースが遥かに先進」
欧州テクノロジーシンポジウムで「wafer-level-based process is far more advanced than panel」と発言。パネルレベル統合ツールは既存ロジックチップ製造ツールを流用できないため、CoPoS は当面 CoWoS を置き換えず 補完技術と明言。
ゲーマー視点|次世代 GPU 価格・供給力への影響
本記事の核心、ゲーマー視点での影響です。結論を先に言うと、CoPoS がゲーミング GPU の価格を直接下げる効果は 2030年代前半まで顕在化しにくいです。ただし間接効果はゼロではありません。
データセンター AI GPU への直接影響
Rubin → Rubin Ultra → Feynman
- Rubin(2026 H2) CoWoS-L 継続
- Rubin Ultra(2027) CoWoS-L 9.5× レチクル ・ HBM4E ×16
- Feynman(2028) CoPoS 初採用候補 + SoIC(Cu-Cu hybrid bonding 3D 積層)+ カスタム HBM
MI300X → MI400 → MI500
- MI300X(現行) CoWoS-S
- MI400 / MI455X / MI430X(2026) CoWoS-L 移行 ・ HBM4 ・ CDNA 5
- MI500(2027) CoWoS-L 3.5D ・ HBM4 ・ SerDes 224GB/s ・ PCIe 7.0 ・ 1000× AI 性能目標
ゲーミング GPU への波及(重要|直接影響は限定的)
RTX 60 シリーズ(Rubin 世代)
複数リーク報道で 2027年 H2 〜 2028年登場見込み。3nm(N3)製造 ・ モノリシック中心の見通しで、最上位のみマルチダイの可能性。RTX 50 SUPER は2027年末に後ろ倒し報道あり。CoPoS は間に合わない可能性が高い。
RDNA 5(UDNA 1 の可能性)
ボードメーカー筋の情報によると 2027年末〜2028年初登場見込み。詳細未確認 ・ MCM(マルチチップモジュール)拡張の可能性。同じく CoPoS 採用は間に合わない可能性が高く、モノリシック設計+既存パッケージで出てくる見込み。
ゲーマー価格への波及シナリオ(時系列)
判定|ゲーマー4シナリオ
CoPoS の状況を踏まえ、今から動くべきゲーマー像を4シナリオで整理します。
2026〜2027 に欲しい用途がある
現行世代(RTX 50 / RX 9000)で買うのが正解。「CoPoS で安くなる」を待つ意味は薄く、待っても次世代 GPU は2027〜2028 まで来ません。今ある用途なら今買って、しっかり使い倒すのが合理的です。
RTX 60 / RDNA 5 に賭けたい
2027年末〜2028年初の登場見込み。現行はミドル帯(RTX 5060 Ti / RX 9070)で凌ぐ戦略が合理的。GTA 6 PC 版(2027〜2028 見込み)の発売時期とも重なるため、その時点でハイエンド構築を検討する2段階作戦が現実的です。
2030年以降の安定化を待つ
「ガラス基板 + CoPoS 成熟」までは メモリ価格を含むサプライ全体の正常化を待つ局面。ただし2030 年まで4年待つ間に、ゲームの世代も変わります。「待ち続ける」だけでは PC ゲーム体験が薄くなるリスクも考慮してください。
半導体技術トレンド注視派
CoPoS 関連の動きは 2026 年 6 月のパイロットライン完成を皮切りに、Computex 2027 ・ Hot Chips 2027 ・ NVIDIA Feynman 発表(2028 想定)の節目で情報が出ます。本記事を ブックマークして、新情報が出るたびに当サイトの追記をご確認ください。
おすすめ PC 構成|CoPoS 量産まで「凌ぐ」ミドル帯
CoPoS 量産は 2028 年下半期、ゲーミングへの波及は 2030 年代前半。「今は無理にハイエンドを買わず、ミドル帯で2〜3年凌ぐ」のが合理的な戦略です。2027〜2028 年に RTX 60 / RDNA 5 が登場した段階で、その時点の最新世代へ乗り換える2段階作戦を前提に、BTO 2 台 + アップグレードパーツ 2 点をご紹介します。
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まとめ|CoPoS は AI 半導体の構造変化、ゲーマー波及は 2030 年代前半
TSMC が加速する CoPoS は、円形ウェハの呪縛を解いて AI 半導体のコスト構造を変える重要な技術革新です。パネルサイズ 510×515mm 量産・面積利用効率 90% 超 ・ コスト 20〜30% 減、加えて Ibiden + Innolux 協業のガラスコア基板で反り 16% 抑制 ・ インダクタンス 42% 低減という TSMC 公式実験データが裏付けとなっています。
量産は 2028 年下半期、NVIDIA Feynman / AMD MI500 が初採用候補。ただし TSMC 幹部は「CoPoS は CoWoS を即座に置き換えず補完技術」と明言し、CoWoS も 2029 年までに 14× レチクル ・ 58 dies ・ 48倍演算性能まで拡張予定。当面は「CoWoS 継続 + CoPoS 併用」のハイブリッド構造です。
ゲーマー視点での結論は 「CoPoS で待っても安くならない」。RTX 60 / RDNA 5 は 2027〜2028 年登場見込みでモノリシック設計のため CoPoS 恩恵を受けません。今欲しい用途があるなら現行 RTX 50 / RX 9000 で買い、次世代まで凌ぐミドル構成(RTX 5060 Ti クラス)で 2〜3 年を乗り切るのが合理的です。本記事は2026 年6月時点の整理であり、Computex 2027 ・ NVIDIA Feynman 発表 ・ TSMC CoPoS 量産アナウンス時点で内容を追記していきます。







