AMDの2026年GPU戦略|RDNA 4新モデルは「RX 9060 XT」のみ注力?ラインナップ停滞の構造とRDNA 5への道
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新SKUなしのまま値上げ、RDNA 5は2027年にAT2のみの見方へ
「2026年のRDNA 4はRX 9060 XT 8GBへの注力のみ」という報道は、10月の時点でそのとおりになっています。RX 9070 XT・RX 9070・RX 9060 XT(16GB・8GB)の4モデルに新しいSKUは加わらず、8月にはRX 9000シリーズ全体の価格改定が報じられました。
Radeonを新品で買うなら、2026年中は現行のRDNA 4から選ぶことになります。RDNA 5は2027年中頃という当初の見方から後ろへずれ、ボードパートナーには2027年末〜2028年初頭を想定する声も出ています。9月にはAT2だけが2027年という見方も加わりました。
ただしRDNA 5の時期はすべて未公式の情報です。今のGPUで困っていなければ様子見でも構いませんが、VRAM不足などで今すぐ必要な人にとっては、待つ理由になりにくいというのが現時点の答えです。
目次
要点「2026年はRX 9060 XT 8GBのみ注力」という報道の中身
2026年2月4日、複数の海外PCメディアが中国のパートナーメーカー側の情報筋の話として、「AMDのRDNA 4における2026年のフォーカスモデルはRX 9060 XT 8GBのみになる見込み」と報じました。
RX 9060 XT 8GBはすでに2025年6月5日に発売済みです。「2026年に新しいRDNA 4モデルが出る」のではなく、「2026年に追加のRDNA 4 SKUを投入する予定がない」という意味です。RX 9070 XT・RX 9070・RX 9060 XT(16GB・8GB)の4モデルが、当面のRadeonラインナップのすべてです。
AMDはこのラインナップ計画を公式には発表していません。「2026年にゲーマー向けGPU不足は想定していない」とコメントする一方、新モデルを追加するかどうかは明言していません。あくまでパートナーメーカー筋の情報です。
その後3月から10月までに起きたこと
報道の後、ラインナップは増えず、周辺の状況だけが動きました。
| 時期 | 出来事 | 確度 |
|---|---|---|
| 3月 | GDC 2026でRadeonはGPU・アップスケーリング関連の発表なし | 確認済み |
| 6月 | Computex 2026でボードパートナーが、RDNA 5の発売は2027年末か2028年初頭になりうると証言 | パートナー筋・未公式 |
| 8月 | RX 9000シリーズ全モデルの価格改定が報じられる。RX 9070 XTは約20%、RX 9060 XT 16GBは約16%、8GBは約13%の引き上げ。中国市場向けの通知が出どころで、日本での反映は確認できていません | 報道・AMD未発表 |
| 9月 | RDNA 5のうち2027年に出るのはAT2のみ、他は2028年というリークが浮上 | リーク |
国内の実売では、RX 9060 XT 16GBが9月21日時点で、発売時の63,500円から86,799円まで上がっています。集計の詳細はミドルレンジGPU8モデルの価格上昇率の記事にあります。
理由なぜAMDはRDNA 4を拡充しないのか|5つの構造的理由
- AI向けHBM需要の拡大で、SKハイニクス・マイクロン・サムスンのいずれもコンシューマ向けGDDR6/7の生産能力をHBMへ振り向けています。GPUの材料費に占めるメモリの比率が上がり、16GB搭載モデルほど利益率が圧迫されます。AMDは2026年1月にパートナーメーカーへの卸値を引き上げ、8月にもRX 9000シリーズ全体の価格改定が報じられました。
- Lisa Su CEOは「RX 9070 XTの初週販売数は歴代Radeonで最高、前世代比10倍」と発言しています。ドイツMindfactoryではNVIDIA RTX 50シリーズ全モデルの合計を単独で超えた週もありました。売れているモデルに集中して利益を確保する判断は合理的です。
- AMDはフラグシップGPUで話題を作ってシェアを取る戦略を採っていましたが、「市場シェアを動かせなかった」と自ら認め、メインストリームに集中する方針へ転換しています。RDNA 4がRX 9070 XTで上限を切った設計も、この方針の表れです。
- 次世代のRDNA 5はTSMC N3Pでの製造を前提に開発が進み、すでにテープアウト済みと2025年12月に報じられました。LLVMにはGFX13(RDNA 5世代とみられる)の対応が入り続けており、開発そのものは止まっていません。RDNA 4を追加するより、次世代に人員と予算を回す判断は長期的には筋が通ります。
- NVIDIAはRTX 50 Superシリーズをパートナーメーカーへの通達なく無期限延期しました。競合に新製品がないなか、AMDがRDNA 4を急いで拡充する動機は薄れています。市場全体が新モデルの投入を止める動きになっています。
- RX 9060(非XT)は発表済みですが、BTO向けモデルとして展開されており、パーツ単体では買えません。単品で選べるRDNA 4は4モデルのままです。
VRAMRX 9060 XT 8GBと16GBの違い|「8GBで本当に大丈夫か」
2026年のフォーカスモデルとされるRX 9060 XT 8GBと16GB版の違いは、VRAM容量だけです。GPUコアも動作クロックも同じNavi 44で、スペックの差は次のとおりです。
| スペック | RX 9060 XT 16GB | RX 9060 XT 8GB |
|---|---|---|
| GPU | Navi 44(RDNA 4) | Navi 44(RDNA 4) |
| Compute Units | 32 CU | 32 CU(同一) |
| Stream Processors | 2,048 | 2,048(同一) |
| VRAM | 16GB GDDR6 | 8GB GDDR6 |
| メモリバス幅 | 128-bit | 128-bit(同一) |
| メモリ帯域幅 | 320 GB/s | 320 GB/s(同一) |
| TBP | 160W | 150W(10W低い) |
| 発売時のMSRP | $349 | $299($50安い) |
| 発売日 | 2025年6月5日 | 2025年6月5日 |
8GBと16GBの実性能差|無視できないシーンがある
1080p〜1440pの通常のプレイでは、8GBと16GBの差はほぼ出ません。差が出るのは、高品質テクスチャとレイトレーシングを組み合わせた、VRAMを大量に使うタイトルです。
Indiana Jones and the Great Circleの最高テクスチャ設定では、8GB版が16GB版より最大184%低いスコアになる報告があります。PCIe 4.0環境では、F1 25で8GB版が30%落ちたという報告もあります。
1080p中設定が中心で、重量級の新作を最高設定で遊ばないなら8GBでも足ります。長く使うなら16GB版が安全です。ただし国内では両社のミドルレンジで8GB版と16GB版の価格差が45〜50%まで開いているため、差額に見合うかで選ぶことになります。
GDCGDC 2026でRadeonがGPUを何も発表しなかった意味
NVIDIAがDLSS 4.5、MicrosoftがProject Helixを発表した場で、AMD RadeonはGPU関連を一切発表せず、FSR Redstoneの追加情報も出ませんでした。2026年のRadeonに新しい発表材料がなかったことの表れで、その後の新SKUなしという流れとも一致しています。
RDNA 5RDNA 5へのロードマップ|2027年以降の見方
| 時期 | 状況 | 確度 |
|---|---|---|
| 2025年2〜6月 | RDNA 4(RX 9000シリーズ)が順次発売。RX 9070 XTが歴代Radeon最高の初週販売 | 確認済み |
| 2026年(現在) | 新SKUの追加なし。価格改定の局面。開発リソースはRDNA 5へ | パートナー筋・実売で確認 |
| 2027年 | RDNA 5のうちAT2のみ発売との見方。RX 9070 XTクラスを引き継ぐ可能性 | リーク |
| 2027年末〜2028年 | RDNA 5の本格展開。当初の「2027年中頃」から後ろへずれた見方 | パートナー筋・リーク |
2025年12月には「RDNA 5は2027年中頃、TSMC N3P」と報じられていました。2026年6月のComputexでは、ボードパートナーの見方が、2027年第2〜第3四半期とするメーカーと、それを楽観的として2027年末か2028年初頭とするメーカーに割れました。9月のリークはさらに進み、2027年に出るのはAT2だけとしています。経緯はRDNA 5のAT2リークを検証した記事で扱っています。
RDNA 5に関する時期・スペックはいずれもリーカーやパートナー筋の情報です。AMDは発売日を公表しておらず、変更される可能性があります。
選び方今のRDNA 4をどう選ぶべきか
- 今すぐ高解像度で遊びたい人向け。価格が上がりやすい局面で、RDNA 5も2027年以降のため、必要なら待つメリットは薄い
- 長く使うなら安心感がある。8GB版との価格差が大きいので、差額に見合うかで決める
- 安く済ませたい人向け。重量級タイトルを最高設定で遊ぶと不利になる
- 今のGPUで困っていなければ有効。ただし待機は1年以上になりうるうえ、その間のメモリ高騰も見込む必要がある
おすすめ2026年のRDNA 4で現実的なおすすめ2枚
1440p以上で遊ぶなら冷却と静音性で選ばれているRX 9070 XT、予算を抑えつつVRAMを確保するならRX 9060 XT 16GBが選びやすい構成です。
まとめまとめ|新モデルは来ないまま、待つ理由は薄い
RDNA 4の新SKUが増えない構図は、DRAM危機・RX 9070 XTの成功・RDNA 5への集中という3つの要因から来ています。AMDが撤退したわけではなく、売れているモデルで利益を確保しながら次世代を準備している状況です。
RDNA 4は当面この4モデルのままで、RDNA 5は2027年にAT2のみ、本格展開は2028年にずれ込むという見方が出ています。今すぐ必要ならRX 9070 XT、予算が限られるならRX 9060 XT 16GBが現実的で、未公式のRDNA 5を理由に買い控える必要はありません。
出典:AMD RDNA 4発表プレスリリース・AMD Radeon RX 9060 XT 製品ページ・Wccftech(RX 9000シリーズの価格改定、2026年8月12日)・Igor’s Lab(RDNA 5の時期、2026年6月29日)・Tweakers(Computex 2026のボードパートナー取材)・Wccftech(RDNA 5のTSMC N3P、2025年12月26日)(2026年10月6日時点)






