RTX 5090の16ピン溶損、保証はBTOとPNYどちらに頼む?Digital Stormの2事例で見る窓口と対処【2026年10月】
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PNYは対応拒否、2Dゲーム中の異臭で発覚
出典(確認日2026年9月16日・10月4日追記):VideoCardz「RTX 5090 user finds hole melted into 16-pin power connector, PNY refused to help」/VideoCardz「Hardware Unboxed becomes latest media outlet with melted RTX 5090 connector, cable reaches 175°C」/Tom’s Hardware「RTX 5090 cable melting issues haven’t been replicated」/NVIDIA公式 GeForce RTX 5090製品ページ/PNY公式 GeForce製品3年保証規定(PDF)/CORSAIR公式「Evolving Standards: 12VHPWR and 12V-2×6」/Seasonic公式「Native 12V-2×6 Cable Guide」/Tom’s Hardware「$5,245 prebuilt RTX 5090 PC’s connectors melt after sitting boxed for a year」/Digital Storm公式「Warranty」にもとづきます。
RTX 5090の16ピン電源コネクタを巡って、また新たな溶損事例が報告されました。今回注目されているのは、高負荷なベンチマークや最新AAAゲームの実行中ではなく、比較的軽量な2Dゲームをプレイしているときにユーザーが異臭に気づいたことです。
PNY製GeForce RTX 5090を搭載したDigital Storm製BTOパソコンで、16ピン電源プラグの樹脂が大きく溶け、隣接する端子の間に穴が開いたような状態になっていました。PNYへ問い合わせたところ、GPUメーカーが供給したケーブルではないことを理由に対応を断られた一方、PCを販売したDigital StormはPNYとのやり取りを支援する意向を示したといいます。
故障した瞬間の消費電力やピンごとの電流は測定されておらず、この事例だけから「軽いゲームでもRTX 5090のコネクタが突然溶ける」と結論づけることはできません。ただし2026年9月には、Hardware UnboxedのRTX 5090環境でも12V-2×6ケーブルが175℃を超える異常加熱を起こしており、単純な「挿し込み不足」だけで説明するのが難しくなっているのも事実です。
焼損したあとで悩ましいのは、BTOメーカーとGPUメーカーのどちらに連絡するかです。2026年10月には、購入から1年以上たったDigital Storm製BTOのPNY製RTX 5090が溶損し、BTOの部品保証切れとPNYの「他社ケーブル」を理由とした拒否の板挟みになった事例も報じられました。両方の事例から、窓口の選び方と手元でできる予防手順をまとめます。
目次
要点まず何が起きたか
経緯PNY製RTX 5090の16ピン電源プラグが溶損
今回の報告はRedditのPCMasterRaceコミュニティに投稿されたものです。ユーザーはDigital Storm製のBTOパソコンを使用しており、そこにはPNY製GeForce RTX 5090が搭載されていました。異常に気づいたのは「Crypt of the NecroDancer」をプレイしていたときで、その前には「Shattered Pixel Dungeon」を約1時間プレイしていたと説明されています。どちらもRTX 5090へ非常に大きな負荷をかけるゲームとは考えにくく、投稿者自身も「RTX 5090を酷使してしまった」という趣旨の文章を皮肉として投稿しています。
I was playing Crypt of the NecroDancer to let my computer cool off after an hour of intense Shattered Pixel Dungeon (I stupidly had the graphics set to ultra) when I noticed the smell. Godspeed my little 5090, I never should have pushed you so hard.
by u/UnpluggedUnfettered in pcmasterrace
公開された写真では、16ピン電源プラグの一部が黒く変色しているだけでなく、隣り合う端子間の樹脂が失われ、実際に穴が開いたように見えるほど局所的な損傷が確認できます。ユーザーによると焦げた臭いに気づいたことで異常が発覚し、GPU側ソケットへ目立った損傷が広がる前にケーブルを取り外せたと海外メディアは伝えています。ユーザーは最終的にGPUをメーカーへ発送せず、近隣の修理業者へ約180ドルで修理を依頼できる見込みだとしています。現時点で故障原因の技術的な診断結果は公開されていません。
ユーザーが焦げた臭いに気づいたタイミングと、コネクタ内部で異常加熱が始まったタイミングが同じとは限りません。接触抵抗の増加や電流の偏りによって少しずつコネクタが劣化し、最終的に樹脂が変形した状態で臭いが発生した可能性もあります。故障した瞬間の消費電力やピン単位の電流測定データは公開されておらず、この事例だけから原因を断定することはできません。
核心GPU全体の消費電力と「1本のピンの発熱」は別の問題
GeForce RTX 5090 Founders EditionのTotal Graphics Powerは575W、NVIDIA公式は必要システム電力として1,000Wを挙げています。ここだけを見ると「GPUが575W近く使っていないならコネクタも安全なのでは」と考えたくなりますが、16ピンコネクタでは総消費電力だけを見ると問題を見逃すことがあります。
12V-2×6では、GPUへ電力を送るために6本の+12V接点と6本のGND接点が使用されます。理想的には複数の接点へ電流が分散されますが、接点ごとの接触抵抗が均等でなくなると、一部へ電流が偏る可能性があります。発熱量は電流の2乗に比例するため、全体の消費電力が規格内でも、特定の接点だけへ過剰な電流が集中すれば局所的な温度は急激に上昇します。CORSAIR公式も12V-2×6の技術解説で、複数の8ピンケーブルへ電流を分散していた従来方式に対し、12V-2×6は電力供給を1本のコネクタへ集約したことで、接続状態が不完全だと発熱リスクが生じうる構造だと説明しています。つまり「ゲームが軽かったか」だけでは、今回のような損傷を説明できません。
規格12V-2×6は半挿し対策止まりで、電流の偏りまでは監視しない
RTX 5090で採用されている12V-2×6は、RTX 4090発売当初に問題となった12VHPWRをそのまま使っているわけではありません。ATX 3.1で導入された12V-2×6は、基板側コネクタの電力端子を長くし、センスピンを短くする変更が行われました。Seasonic公式の解説によると、この変更によって電力端子が十分に接触していない状態ではセンスピンも接続されにくくなり、いわゆる「半挿し」のまま大電力を流してしまうリスクを減らしています。
ただし、この改良は主に「正常に挿さっているか」を検出しやすくするためのものです。6本ある12V接点へ何Aずつ流れているかをコネクタ規格自体が常時監視し、電流を均等に再分配する仕組みではありません。一般的な設計では、電源入力全体は監視できても個々の12V接点の電流異常まで検出・補正できないケースがあります。ASUS ROG Astral RTX 5090のように、追加回路でピンごとの電流状態を監視できる例もありますが、今回問題となったPNY製RTX 5090が同様のピン単位監視を搭載していたかは、公開情報だけでは確認できません。
実測Hardware Unboxedでは175℃、約22Aの電流偏りを確認
今回のPNY事例には故障時の測定データがありません。しかし、RTX 5090の16ピン電源問題を考えるうえで参考になるのが、2026年9月にHardware Unboxedで発生した別の事故です。
Hardware UnboxedがASUS ROG Astral RTX 5090とbe quiet! Dark Power 13を使用してテストしていたところ、12V-2×6ケーブルが異常な高温になりました。熱画像による測定では150℃を超え、最終的に約175℃まで上昇しています。電流を確認したところ、一部の導体にはほとんど電流が流れていない一方、別の導体には約22Aという大きな電流が測定されました。最終的に大きく損傷したのはGPU側ではなく電源ユニット側で、12V-2×6プラグがPSUへ溶着し、ペンチを使わなければ取り外せない状態になったと報告されています。Hardware UnboxedはPSU側のコネクタについて完全に挿入されていたと説明しており、少なくともこのケースでは単純な「差し込み不足」とは説明されていません。
2025年にもder8auer氏が別のRTX 5090環境を調査し、1本の12Vワイヤーへ約22Aが流れ、コネクタ周辺が150℃を超える状態を確認しています。今回のPNY製RTX 5090でも同じ電流偏りが起きていたと証明されたわけではありませんが、「完全挿入されていても別の故障モードが存在し得る」という点では、RTX 5090所有者にとって無視しにくいデータです。
再現性すべてのRTX 5090で異常加熱が起きるわけではない
一方で、RTX 5090を使えば必ず16ピンコネクタが異常加熱するわけでもありません。PCメーカーのFalcon Northwestは2025年、複数のRTX 5090 Founders Edition、異なる電源ユニット、複数のケーブル構成を使用して長時間テストを行いましたが、der8auer氏が確認したような電流偏りや異常発熱を再現できなかったと報告しています。ケースを閉じた状態で数日間負荷をかけたテストでも、温度や電流値は正常範囲に収まり、電源ケーブルの各ワイヤーの負荷はより均等だったと海外メディアは伝えています。
このことから、RTX 5090そのものが常に危険というより、コネクタ・ケーブル・端子の接触状態・電源・GPU側の電源回路など複数の条件が組み合わさったときに問題が表面化すると考える方が妥当です。公開された溶損写真だけから単一の原因を決めつけるのは難しいということになります。
保証BTOパソコンはGPU・ケーブル・PSUでメーカーが分かれる
今回のPNY RTX 5090で技術的な原因以上に注目したいのが、保証対応を巡る問題です。海外メディアによれば、ユーザーはPNYとDigital Storm両方へ連絡し、PNYは使用されていた電源ケーブルがPNY供給のものではないことを理由に対応を断った一方、Digital StormはPNYとの交渉を支援すると回答したとされています。ただしこの経緯はPNYの公式声明ではなく、あくまで所有者による報告です。PNY公式の保証規定はGeForce製品に3年間の限定保証を定めており、RTX 5090の製品ページにも3-Year Limited Warrantyと記載されています。したがって「PNY製RTX 5090の溶損は保証対象外」と一般化することはできません。2026年9月には、ATX 3.1電源に付属するネイティブ12V-2×6ケーブルを直接使用していた別のユーザーもPNYから保証を拒否されたと報告しており、PNY自身の公式サポートFAQがそのケーブルを推奨している点との矛盾を続報記事で検証しています。DLSS 5有効時にコネクタ温度がどこまで上がるかはQuasarZoneの検証記事で扱っています。
BTOパソコンでは、ユーザー自身がPNY製GPUを単品購入して組み込んだわけではなく、GPUへ接続する12V-2×6ケーブルは電源ユニットメーカーが供給したもの、あるいはBTOメーカーがシステム構成に合わせて選択したものになります。その状態でGPU側の電源接続部に異常が起きると、GPU・ケーブル・PSU・組み立て時の接続状態のどれが原因かは現物調査なしでは分かりません。メーカーが違えば、それぞれの保証範囲も違います。
事例21年間箱に入れていたBTOが溶損、どちらの保証も使えなかった
2026年10月3日に報じられた事例は、Digital Storm製BTO「Corsa」(Ryzen 9 9950X・PNY製RTX 5090・税別5,245ドル)です。2025年5月に父親が購入して届いたものの、動作確認だけして箱に戻し、息子が就職した2026年8月に使い始めました。その約2週間後に焦げ臭いにおいとモニターのちらつきが出て、ケーブルが溶けているのを見つけたとされています。損傷が最もひどかったのはGPU側ではなく、1,000W 80 PLUS Goldの電源ユニット側で、ケーブルが電源に溶着していたといいます。
連絡の経緯は次のとおりです。
PNYは取材への声明で、認定システムビルダー経由で販売したカードも含めて自社のRTXカードを支える立場を示し、この件を確認して本人に直接連絡するとしています。Digital Stormは取材に回答していません。結論はまだ出ておらず、PNYが対応を変える可能性があります。
ここで押さえておきたいのは、窓口が割れた理由が2つあることです。1つはBTO側の保証期間です。Digital Stormの保証ページによれば、同社の3年限定保証は、工賃が3年、同社在庫からの部品交換が1年間で、1年を過ぎた後は「メーカー保証が残っている部品に限り交換を手伝う」という扱いです。もう1つがGPU側で、PNYのGeForce向け保証は3年ですが、先の回答のとおり、電源側のケーブルが使われていると受け付けない運用が示されています。BTOでは電源ケーブルはBTOメーカーが選んだもので、買い手にはどのケーブルが付くか選びようがありません。
なお、この件はPNYのRTX 5090に固有の問題とは言えません。12VHPWR・12V-2×6の溶損はRTX 4090・5090の複数ブランドで報告されており、MSIの保証規定は「MSIが認めていない部品の使用による故障」を免責にし得る文面で、ASUSはPNYと同様に曖昧だと述べています。購入元を変えれば避けられる話でもありません。
対策焦げ臭いと感じたら、保証の残りを確かめてから窓口を選ぶ
BTOパソコンの場合、BTOメーカーの保証が残っているうちは、まずPCを組み立てて販売したBTOメーカーへ連絡した方が切り分けやすくなります。どのPSUを搭載し、どのケーブルを使用し、どのようにGPUへ配線して出荷したかを把握しているのはBTOメーカーだからです。一方、BTOの部品保証が切れていても、GPUやPSUのメーカー保証が残っていることがあります。対応の順番は次のとおりです。
Digital Stormの事例は、届いてから1年以上箱に入れていた間に部品保証が終わっていました。使い始める前でも保証は届いた日から進みます。贈り物や買い置きなら、届いたらいったん組み上げて動作確認し、12V-2×6の差し込みと電源側の接続を目で確かめておくと、保証期間内に不具合を拾えます。
12V-2×6の正しい挿し方やケーブルの取り扱い、これまでに確認されているRTX 5090の焼損事例については12V-2×6 / 12VHPWR コネクタ焼損 完全対策ガイド、ATX 3.0とATX 3.1の違いやRTX 5090で電源を買い替える必要があるかはATX 3.1 電源 完全ガイドで詳しく解説しています。
FAQよくある質問
PNY製GeForce RTX 5090を搭載したDigital Storm製BTOパソコンで、16ピン電源プラグが穴の開くほど大きく溶損した事例が報告されました。ユーザーは軽量な2Dゲーム「Crypt of the NecroDancer」をプレイ中に焦げた臭いに気づいたとしていますが、故障時のGPU消費電力やピン単位の電流値は記録されておらず、「低負荷なのにその場で溶けた」と断定することはできません。
2026年9月にHardware Unboxedで発生した別のRTX 5090事例では、12V-2×6ケーブルが約175℃に達し、一部の導体へ約22Aが流れる大きな電流偏りが実測されました。コネクタは完全に挿入されていたと説明されています。12V-2×6は従来の12VHPWRと比べて半挿し対策が改善されていますが、ピンごとの電流を監視し自動で均等化する規格ではありません。BTOパソコンではGPU・ケーブル・PSUのメーカーが異なるため、焼損した場合は焦げたケーブルを自己判断で処分・修理する前に、BTOの保証が残っていればまず購入先へ、切れていればGPUと電源それぞれのメーカー保証を確かめて問い合わせるのが現実的です。
2026年10月に報じられたDigital Stormの事例では、購入から1年以上たってBTOの部品保証が切れ、PNYも他社ケーブルを理由に断りました。保証の窓口は購入時に決まります。買ったら早めに組み上げて確認し、保証の起算日を意識しておくことが、焼損後に慌てないための最も確実な備えです。




