ソニー、PSディスク生産終了は撤回せず|2026年度第1四半期決算説明会でCFOがユーザー反発に「気持ちを受け止めたい」と説明
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CFO陶琳氏「気持ちを受け止めたい」・方針変更や延期の言及はなし・2026年度第1四半期の決算数値もあわせて解説
「ユーザーの反発を受けて、ソニーはディスク生産終了を考え直すのでは」——2026年7月31日の決算説明会を受けて、そう感じた方もいるはずです。PlayStation向け新作のディスク版生産を2028年1月に終える方針は、発表直後から署名活動や消費者団体からの批判にさらされてきました。
結論から言うと、決算説明会でソニーが示したのは方針の見直しではありません。執行役CFOの陶琳氏は、ユーザーからの意見や気持ちを理解していると述べつつ、2028年1月からのディスク生産終了という計画そのものには触れず、コンテンツ全体のデジタル化を理由に方針を維持する姿勢を説明しました。
この決定そのものの内容や、既存ディスクへの影響については、すでに公開済みの記事で詳しく整理しています。この記事では重複を避け、7月31日の決算説明会でしか語られなかった新しい発言、つまりユーザー反発への向き合い方、小売店との関係、そして決算数値と絡めた事業への影響の説明に絞って取り上げます。
目次
要点決算説明会で示された基本姿勢
2026年7月31日の決算説明会の質疑応答で、CFOの陶琳氏はPlayStation新作ディスクの生産終了方針への反発について問われ、ユーザーの気持ちを受け止めたいという姿勢を示しました。ただし、2028年1月からの実施という計画自体を撤回・延期するという発言はなく、コンテンツ全体のデジタル化を理由に方針を維持する説明に終始しています。
ディスク生産終了の発表そのものは2026年7月1日に行われたもので、対象は2028年1月以降に発売される新作のみです。手元にあるディスクや、それ以前に発売されるタイトルには影響しません。発表の詳しい内容や誤解しやすいポイントは、プレステ新作ディスク版、2028年1月に生産終了へで整理していますので、今回の決定の中身を知りたい方はそちらをあわせてご覧ください。
受け止めユーザーの反発にどう向き合ったか
7月1日の発表以降、SNS上の反対の声だけでなく、署名活動や消費者団体からの批判、一部では法的な動きも報じられるなど、反発は決して小さくありませんでした。決算説明会の質疑応答では、こうした反応について記者から直接質問が向けられています。
陶琳氏はこれに対し、「もろもろのご意見とお気持ちをたくさんコミュニティから寄せられていることは理解しています」と述べたうえで、ゲームは多くの人に愛され、それぞれの思い出にもつながるエンターテインメントであるという認識を示しました。そのうえで、こうした気持ちを受け止めながら、今後のデジタルエコシステムの中でゲーマーとの関わり方を考えていきたいという姿勢を語っています。
ここで整理しておきたいのは、気持ちを受け止めるという説明と、方針を見直すという説明はまったく別物だという点です。今回の質疑で陶琳氏が語ったのは、あくまでユーザーの声を理解しているという姿勢であり、2028年1月からのディスク生産終了という計画そのものを変更・延期するという発言はありませんでした。「ソニーが折れたのでは」と受け取るのは早計です。
言い換えると、決算説明会で新しく分かったのは「反発を無視していない」という姿勢面の情報であって、「計画が変わるかもしれない」という事実ではありません。この違いを見落とすと、続報を誤って受け取ってしまいかねない点には注意が必要です。
理由コンテンツ全体のデジタル化が決め手に
方針を維持する理由について、陶琳氏は「PlayStationだけではなく、もろもろのコンテンツのデジタル化が進んでいるなかで、非常に時間をかけて慎重に検討を重ねたうえで出した結論」と説明しました。ゲームに限らず、映像や音楽を含めたコンテンツ全体でデジタル化が進んでいる流れの延長線上にある決定であり、拙速な判断ではないという立場です。
発表(2026年7月)から実施(2028年1月)までは、およそ1年半の猶予が設けられています。陶琳氏はこの期間について、販売店やパブリッシャー、ユーザーが準備するための時間という意味合いを説明しており、単純なコスト削減ではなく、ゲームの購入がすでにデジタル中心へ移っているという実態を踏まえた長期的な事業判断だという位置づけです。
流通小売店との関係とコードインパッケージ
決算説明会でもう一つ具体的に語られたのが、小売店との関係です。陶琳氏はPlayStationが約30年にわたり小売パートナーと築いてきた関係を重視していると述べ、実施の1年半前という早い段階で方針を公表したのも、各国・各地域のパートナーの声を聞き、意見交換をする時間を確保するためだと説明しました。
具体例として挙げられたのが、北米ですでに始まっている販売形態です。ディスクの代わりにダウンロードコードを封入したパッケージを、店頭で商品として販売する取り組みが先行して行われています。陶琳氏は、地域ごとの特性を踏まえながら、ソニーと販売店の双方にとってメリットのある事業モデルを模索していきたいという考えを示しました。日本でも今後、ディスクの代わりにコード入りパッケージやゲームカードのような商品が店頭に並ぶ可能性はありそうです。
コード入りパッケージは、店頭で何かを購入するという体験こそディスクに近いものの、機能はディスクと同じではありません。コードを一度アカウントに登録すると、原則として別のユーザーへ譲渡・転売はできなくなります。中古としての売買や貸し借りといった、ディスクならではの機能までは引き継がれない点に注意が必要です。
決算2026年度第1四半期の主要な数字
ディスク終了の議論とあわせて公表された、2026年度第1四半期(2026年4〜6月)のPlayStation関連の実績も見ておきましょう。ソフト販売におけるダウンロード版比率や、事業全体の収益は次の通りです。
| 指標 | 2026年度第1四半期 | 比較 |
|---|---|---|
| PS4/PS5向けフルゲーム販売本数 | 6,610万本 | 四半期の実績値 |
| うちダウンロード版比率 | 82% | 前年同期83%・前四半期(2025年度第4四半期)85%・2025年度通期78% |
| PS5累計出荷台数 | 9,530万台(6月末時点) | 当四半期の出荷は160万台 |
| ゲーム&ネットワークサービス 売上高 | 9,371億円 | 前年同期からほぼ横ばい |
| 同 営業利益 | 2,020億円 | 前年同期1,480億円から約37%増 |
※決算数値はソニーグループの決算説明会資料をもとにしています。
ダウンロード版比率は82%と、前四半期の85%からはやや下がったものの、前年同期の83%とはほぼ同水準です。急にデジタルへ寄ったわけではなく、これまでと同じく8割前後の水準が続いていることが分かります。ゲーム&ネットワークサービス部門は、売上高がほぼ横ばいだった一方、営業利益は前年同期比で約37%の増益でした。
この数字を踏まえて、陶琳氏はディスク生産終了による事業への影響についても言及しています。実施が2028年からであるため現時点の業績には影響がないとしたうえで、コンテンツ収益の大半がすでにデジタル経由であることから、ディスク生産終了による事業へのマイナスの影響は見込んでいないと説明しました。
共存論PCとの違いをどう説明したか
質疑応答では、ディスクをなくすことがPCとの差別化を弱めるのではないか、という質問も出ました。ゲーミングPCでも同じようにゲームをダウンロードで購入できる以上、PlayStationならではの強みが薄れるのではないか、という趣旨の指摘です。
これに対し陶琳氏は、「ディスクがPCとの差別化だとは考えていない」と明言しました。そのうえでPlayStationの強みとして挙げたのは、厳選されたコンテンツ、本体を買えば性能が保証される一定の動作環境、そしてハイエンドなゲーミングPCと比べて購入しやすい価格帯の3点です。ゲーミングPCは構成次第で性能に差が出ますが、PlayStationは本体を買うだけで一定の性能が担保されるという点を強みとして説明しています。ディスクの有無にかかわらず、PlayStationとPCゲームは今後も共存できるという見方を示しました。
この説明自体は理解できる一方で、購入価格だけを比べる整理には補足が要るように思います。ディスク版があった時代の「PlayStationの手頃さ」には、本体価格の安さだけでなく、遊び終えたソフトを中古で売って次のタイトルの資金に充てられるという実質的な安さも含まれていました。ディスクがなくなれば、この売却という選択肢そのものが失われるため、本体の実売価格をハイエンドPCと比べるだけでは、実際の総支出の差を語り切れていない面があります。
展望決算後に残る論点
いわゆる次世代機、PS6については、この日の質疑応答で具体的な言及はありませんでした。ディスクドライブを搭載するかどうかを含め、次世代ハードウェアの仕様は現時点で公式に発表されていない未確定の情報です。
もう一つ、ディスクを持たない環境が広がるほど気になるのが、通信インフラ側の安定性です。7月24日にはPlayStation Networkで大規模な接続障害も発生しており、ダウンロード版だけに購入手段が絞られた将来、同じような障害が起きたときの影響範囲は今よりも大きくなります。詳しくはPSNで大規模障害が発生、PS5・PS4のオンライン機能に影響で取り上げています。
FAQよくある質問
2026年7月31日の決算説明会で、ソニーグループの執行役CFO陶琳氏は、PlayStation新作のディスク生産終了方針への反発について、ユーザーの気持ちを受け止めたいという姿勢を示しました。ただし、2028年1月からの実施という計画自体を撤回・延期する発言はなく、コンテンツ全体のデジタル化を理由に方針を維持しています。
あわせて、小売店との30年の関係を踏まえたコードインパッケージの取り組みや、2026年度第1四半期の決算数値、PCとの差別化に関する考え方も語られました。ダウンロード版比率は82%とこれまでと同水準を保ち、ゲーム部門の営業利益は前年同期比約37%増と好調です。ユーザーの反発を受け止める姿勢と、計画そのものの変更は別の話だという点を踏まえたうえで、今後の続報を追っていく必要がありそうです。



