Piston Vとは?Windows 11とBazziteをタッチ画面で切り替える謎のゲーミングMini PCが登場
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Windows 11とBazziteをタッチ画面で切り替える、メーカー不明のゲーミングMini PC
出典:VideoCardz.com / ETA PRIME公式YouTube「The New Piston V Is An Unreleased “SteamOS” Mini PC…Who Made It?」 / AMD公式 Ryzen AI 9 365製品ページ。本記事の情報は2026年8月13日時点のものです。
小型PCの世界には、時おり「どこの誰が作ったのか分からない」製品が現れます。今回話題になっている「Piston V」も、そうした一台です。
実機を手にしたのは、ハンドヘルドPCやMini PCのレビューで知られる海外YouTubeチャンネル「ETA PRIME」。届いた製品には資料が一切付属しておらず、メールやメッセージ、オンライン販売ページを調べてもメーカーを特定できなかったといいます。それでいて中身は、AMD Ryzen AI 9 365を積み、Windows 11とBazziteをデュアルブートでき、本体前面の円形タッチディスプレイから起動OSを選べるという、作り込まれた一台でした。
この記事では、Piston Vのスペック、円形ディスプレイの使い方、実際に確認されているゲーム性能、そしてなぜSteamOSではなくBazziteが採用されているのかを、海外メディアの報道とAMD公式スペックにもとづいて整理します。
目次
要点実機はあるのに、作り手が分からない
ETA PRIMEのもとに届いた「Piston V」は、AMD Ryzen AI 9 365とRadeon 880Mを搭載し、Windows 11とBazziteのデュアルブートに対応する小型PCです。本体正面の円形タッチディスプレイから起動OSを選択でき、Bazzite起動後はCPU・GPU・メモリ使用率やプレイ中のゲームアートワークも表示します。ここまで作り込まれた実機でありながら、2026年8月12日時点でメーカー名・価格・発売日はいずれも公表されておらず、ETA PRIME自身もAliExpressやeBayを含めて調べたものの製造元を特定できなかったと述べています。
動画ETA PRIMEによる実機レビュー
スペック確認されているPiston V試作機の構成
現在確認されているPiston V試作機の構成は次のとおりです。
| 項目 | Piston V試作機 |
|---|---|
| CPU | AMD Ryzen AI 9 365(10コア20スレッド) |
| 内蔵GPU | Radeon 880M(12CU) |
| メモリ | 32GB DDR5-5600、デュアルチャネル |
| ストレージ | 1TB M.2 2280 PCIe 4.0 SSD |
| 電力設定 | 54W持続動作 |
| OS | Windows 11+Bazzite(デュアルブート) |
| 電源 | 90W |
| 前面ディスプレイ | 円形タッチディスプレイ |
※出典:海外メディアが報じたETA PRIMEの実機検証内容にもとづきます。
中核となるRyzen AI 9 365は、4基のZen 5コアと6基のZen 5cコアを組み合わせた10コア20スレッドCPUです。AMD公式仕様では最大クロック5.0GHz、標準TDP 28W、cTDPは15〜54Wとなっています。内蔵GPUはRDNA 3.5世代のRadeon 880Mで、12基のGraphics Coreを搭載し、最大2.9GHzで動作します。Piston Vでは、このRyzen AI 9 365を54Wクラスまで使う構成になっていることが確認されており、ハンドヘルドPCのようにバッテリー持続時間を優先する必要がないぶん、性能を比較的引き出しやすいMini PC構成といえます。
訂正内蔵GPUはRadeon 890MではなくRadeon 880M
Piston Vについて調べる際に注意したいのがGPU名です。ETA PRIMEはレビュー動画内で「Radeon 890M」と述べていますが、Ryzen AI 9 365に搭載されているGPUは正式にはRadeon 880Mです。AMD公式仕様でも、Ryzen AI 9 365は12CUのRadeon 880Mを搭載すると明記されており、海外メディアもこの動画内の言及を誤りだと訂正しています。
Radeon 890Mは、上位モデルのRyzen AI 9 HX 370などに搭載される16CU構成のGPUです。Piston Vのゲーム性能を評価する際には、この2つを混同しないよう注意が必要です。今回確認されているPiston Vは、あくまで「Ryzen AI 9 365+Radeon 880M」のMini PCです。
円形ディスプレイ前面のタッチ画面からOSを選択
Piston Vで最も目を引くのが、本体正面の円形ディスプレイです。単なる温度モニターではありません。起動時にはWindowsとBazziteの選択画面が表示され、前面ディスプレイをタッチして使用するOSを選べます。
WindowsとLinuxをデュアルブートしているPCでは、通常は起動時にGRUBなどのブートメニューをモニターへ表示し、キーボードやコントローラーを使ってOSを選択します。Piston Vでは、その操作を本体前面だけで完結させようとしているわけです。リビングのテレビへ接続する据え置き型ゲーミングPCでは、かなり相性のよい仕組みです。Windowsでしか動かないゲームを遊ぶときはWindows 11、Steam中心に遊びたいときはBazziteといった切り替えを、本体を起動した直後に行えます。
Bazziteを起動すると、円形ディスプレイの役割も変化します。確認されている実機ではCPU、GPU、メモリ使用率などのシステム情報を表示でき、さらにゲームを起動すると、現在プレイしているゲームに合わせたアートワークを円形ディスプレイへ表示する動作も確認されています。ただし、現段階では完成された機能とはいえません。Bazzite上ではタッチ入力が機能せず、ETA PRIMEもディスプレイを自由に設定する専用アプリを見つけられなかったとしています。FPSなど任意の情報へ変更することもできなかったようです。つまり、現在の円形ディスプレイはPiston V向けにあらかじめ用意された専用機能が動作している可能性があります。正式発売されるのであれば、表示内容を変更できる管理アプリが用意されるのかが注目ポイントになります。
OS選定SteamOSではなくBazziteを採用
Piston Vについて「SteamOS Mini PC」と表現している海外記事もありますが、実際に搭載されているLinux OSはBazziteです。BazziteはSteamOSそのものではありません。SteamのGaming Modeを利用でき、ゲーム機に近いUIでSteamライブラリを操作できるため、SteamOSに近い使用感を実現できるLinuxディストリビューションです。
これまでBazziteが注目されてきた中心はROG AllyやLegion GoなどのWindowsハンドヘルドPCでした。Piston Vが面白いのは、その考え方をデスクトップMini PCへ持ち込んでいるところです。PCデスクではWindows 11を使い、テレビへ接続してゲームをするときにはBazziteを使う、といった運用も考えられます。
ゲーム性能1080pで複数のAAAタイトルが動作
Piston Vでは、すでに複数のAAAゲームを使った動作テストも行われています。海外メディアがETA PRIMEのテスト結果をまとめており、『Marvel’s Spider-Man 2』『Ratchet & Clank: Rift Apart』『Cyberpunk 2077』などが1080pで動作しています。
| ゲーム | 設定・条件 | 確認された性能 |
|---|---|---|
| Marvel’s Spider-Man 2 | 1080p・High・FSR Frame Generation | 75fps以上 |
| Ratchet & Clank: Rift Apart | 1080p・FSRなし | 約45fps |
| Ratchet & Clank: Rift Apart | FSR Frame Generation有効 | 70fps台 |
| Cyberpunk 2077 | 1080p・Steam Deckプリセット | 40fps台後半 |
| Cyberpunk 2077 | FSR Frame Generation有効 | 約80fps |
※出典:海外メディアが報じたETA PRIMEのテスト結果にもとづきます。
テストを見る限り、Radeon 880Mだけでも1080pで設定を調整すれば、比較的重いPCゲームを動かせる性能があります。特に『Cyberpunk 2077』がSteam Deck向け設定で40fps台後半まで動いている点は、Mini PCとしては興味深い結果です。
Piston Vの性能評価では、FSR Frame Generationの有無を分けて考える必要があります。『Cyberpunk 2077』ではFrame Generationを有効にすると約80fpsまで増えていますが、無効の状態では40fps台後半です。『Ratchet & Clank: Rift Apart』でも、FSRなしでは約45fpsですが、Frame Generationを使用すると70fps台になります。Frame Generationは実際にレンダリングしたフレームの間へ生成フレームを追加する技術なので、表示されるfpsだけを見て、ネイティブで80fpsを描画できるGPUと同じ性能だと考えるべきではありません。
Piston Vの実力を見るなら、現状では「1080p・設定調整で40〜60fps前後を狙い、対応ゲームではアップスケーリングやFrame Generationを組み合わせるMini PC」と考えるのが妥当でしょう。RTX 5070やRTX 5060を搭載したデスクトップゲーミングPCの代わりというより、省スペース性を優先しながらSteam Deckより高い電力枠を使える据え置き型ゲーム機に近いポジションです。
構成の狙い32GBデュアルチャネルと54W動作の意味
Piston Vの試作機には32GBのDDR5-5600メモリが搭載されており、デュアルチャネルで動作しています。Radeon 880Mのような内蔵GPUには専用VRAMがなく、システムメモリの一部をGPUと共有します。そのためMini PCでは、CPUだけでなくメモリ構成もゲーム性能へ影響しやすくなります。Piston Vが最初から32GB・デュアルチャネルになっているのは、ゲーム用途を意識した構成と考えられます。
海外メディアの報道によると、SO-DIMMとM.2 SSDには背面パネルからアクセスできるため、少なくとも試作機ではメモリとストレージを交換できる設計になっています。最近のMini PCではLPDDRメモリを基板へ直接実装している製品もあるため、SO-DIMMを採用している点は長期利用ではメリットになりそうです。
電力面では、Ryzen AI 9 365が持つ15〜54WのcTDP範囲に対して、確認された実機は54Wで継続動作する設定になっています。AMDの公式仕様でもRyzen AI 9 365のcTDP上限は54Wです。これはPiston VがハンドヘルドPCではなく、コンセントから給電する据え置き型Mini PCである強みで、90W電源が使用されていることも確認されています。ただし、54Wを長時間維持した際のCPU温度、GPU温度、騒音、クロック推移などについては、現時点では十分な検証データがありません。Mini PCでは冷却性能が最大性能を左右するため、正式製品が登場した場合は実ゲーム時の温度とファンノイズを確認したいところです。
なお、Piston Vは独立GPUを搭載したPCではありません。ゲーム描画を担当するのはRyzen AI 9 365に統合されたRadeon 880Mのみです。そのため4K最高設定で最新AAAゲームをプレイするような用途には向きません。大型GPUを搭載しないことで本体を小型化し、WindowsとBazziteを使い分けながらリビングPCとして利用するという方向性の製品と見るほうが、Piston Vの特徴を理解しやすいでしょう。
発売情報メーカー・価格・発売日はすべて不明
2026年8月12日時点では、Piston Vの発売日は発表されていません。それどころかメーカー名も判明していません。ETA PRIMEはAliExpressやeBayを含めて検索したものの、同製品を発見できなかったとされており、海外メディアも市販される製品なのか、単なるプロトタイプなのか分からないとしています。価格についても情報はありません。したがって現時点で「○月発売」「○ドルで発売予定」といった情報が出回った場合は、正式発表なのか確認する必要があります。実機がここまで完成している以上、市販化される可能性はありますが、現段階では発売を前提に考えないほうがよいでしょう。
Q&Aよくある質問
Piston Vは、Ryzen AI 9 365とRadeon 880Mを搭載し、Windows 11とBazziteをデュアルブートできる未発売のゲーミングMini PCです。最大の特徴は本体前面の円形タッチディスプレイで、起動時にはWindowsとBazziteを選択でき、Bazzite起動後はCPU・GPU・メモリ使用率やゲームのアートワークを表示できます。
ゲーム性能についても、1080p設定で『Cyberpunk 2077』が40fps台後半、『Ratchet & Clank: Rift Apart』がFSRなしで約45fps、対応ゲームではFrame Generationによって70〜80fps前後まで表示fpsを伸ばす動作が確認されています。ただし搭載GPUは一部で報じられているRadeon 890Mではなく、AMD公式仕様上はRadeon 880Mです。
2026年8月13日時点ではメーカー、発売日、価格のすべてが不明です。Piston Vがそのまま市販されるかは分かりませんが、WindowsとLinuxゲーミング環境を1台にまとめ、PC本体側のUIまでゲーム機向けに作り込むという発想は注目できます。SteamOSやBazziteを採用した据え置き型ゲーミングPCが今後増えていくなら、Piston Vはその流れを先取りしたような1台になるかもしれません。



