MSI「創業以来最大の難局」|ゲーミングPC・GPU価格が9ヶ月で最大30%値上がりへ|ASUS・ZOTACも同調
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ゲーミング製品の値上げは最大30%、その後の動きも整理
出典:Tom’s Hardware(MSI決算説明会、2026年3月)、Wccftech(2026年3月16日)、Wccftech(MSIの8月改定、2026年8月6日)、Tom’s Guide(ASUS)、TweakTown(ZOTAC)、TrendForce(Dell・Lenovo)、IDC(2026年6月2日)
グラフィックスカードもゲーミングPCも、2026年は値上がりが前提の年になりました。メモリ価格の高騰が止まらず、メーカー自身が「値下げ競争は起きにくい」と認めているためです。
MSIは2026年3月13日の決算説明会で、ゲーミング製品を9ヶ月かけて15〜30%値上げすると明らかにしました。9ヶ月は2026年12月ごろまでにあたり、8月にはMSIのグラフィックスカードが7月比で最大20%超引き上げられたと伝えられています。IDCは6月の時点で、メモリ不足の緩和は2027年末より前には見込めないとしています。
国内の店頭相場は、2026年10月4日時点でRTX 5090が約110万円まで上がった一方、RTX 5080は9月から横ばいです。値上げが続くのは一部の価格帯なので、買う人と待つ人の分かれ目は後半で整理しています。
目次
要点MSIが示した値上げの全体像
値上げ幅は15〜30%、期間は9ヶ月、対象はグラフィックスカード・ゲーミングノート・マザーボードなどです。背景には、16GBのDDR5モジュールが1年前の約40ドルから170〜180ドル(スポット取引では200ドル)まで上がったこと、NVIDIAからのGPU供給が約20%不足していることがあります。
発言MSI・ASUS・ZOTACが語った危機感
危機感を口にしたのはMSIだけではありません。3社とも「自社だけの問題ではなく、業界全体の構造問題」という見方で一致しています。
決算説明会で「今年は創業以来最も厳しい年」と述べました。PC市場は2026年に10〜20%縮小すると見ており、低価格帯GPUの比率を約3割減らして、中〜高価格帯に集中する方針です。MSI自身の在庫は1〜2ヶ月分とされています。
メモリ不足は2027年には正常化し始めるとしたうえで、「誰も最初に価格を下げたくない」という趣旨を述べました。供給が戻っても、各社が足並みをそろえて値下げに動くとは限らないという見方です。
「現状は極めて深刻で、グラフィックスカードのメーカーと販売会社の将来が危ぶまれる」という趣旨の告知を出し、キャッシュバックの提供を取りやめました。
PC全体では、DellとLenovoが顧客に15〜20%以上の値上げを通知しています。MSIの発表は、その流れがゲーミング製品にまで及んだ節目です。
背景なぜ今これほどの値上げが起きるのか
利益を上乗せしているのではなく、部材の調達コストと供給量の両方が悪化しています。
3つが重なった結果、メーカーが選んだのは値下げ競争ではなく、高い価格の維持と利益率の高い製品への集中です。値上げ幅が大きいのは、皮肉にも入門〜ミドルクラスです。
対象値上げの対象と幅|何がどれくらい上がるのか
| 対象製品 | 値上げ幅 | 時期・影響 |
|---|---|---|
| グラフィックスカード | 15〜30% | 9ヶ月かけて段階的に実施。低価格帯の影響が最も大きい |
| ゲーミングノートPC | 15〜30% | 同上。DDR5搭載モデルを直撃 |
| マザーボード メモリ搭載モデル | 15%前後 | 同上。DDR5対応機種全般 |
| DDR5メモリ単体 | 約4〜5倍(1年前比) | すでに高騰済み。自作では直撃 |
ASUS・Gigabyte・ZOTACもグラフィックスカードの値上げを実施しており、DellとLenovoのPCも値上がりしています。メーカーを選び直しても、相場そのものが上がっています。
その後発表から半年|8月の再改定と国内相場
3月の発表のあとも値上げは続きました。2026年8月6日の海外報道によると、中国の流通情報(Board Channels)で、MSIがグラフィックスカードを7月比で最大20%超引き上げたとされます。報じられた幅はRTX 5080が最大2,100元(約300ドル)、RTX 5070 Tiが最大1,350元(約200ドル)で、RTX 5060 Ti 8GBとRTX 5060は90〜100ドル、RTX 5050は最大80ドルです。ASUSとGigabyteも同じ時期に約20%の引き上げを通知したと伝えられています。中国市場向けの数字なので、日本の店頭価格がそのまま同じ幅で動くわけではありません。
国内の実売価格は、2026年10月4日時点の国内通販の掲載価格で次のとおりです。
| グラフィックスカード | 国内最安(10月4日) | 直近の動き |
|---|---|---|
| RTX 5090 | 約109.8万円 | 9月1日(約84.8万円)から約29%上昇 |
| RTX 5080 | 約26.8万円 | 9月1日と同額 |
| RTX 5070 Ti | 約21.0万円 | 8月22日から約7%下落 |
| RTX 5060 Ti 16GB | 約12.0万円 | 9月22日(約10.5万円)から約14%上昇 |
| RX 9060 XT 16GB | 約8.5万円 | 9月下旬(約8.0万円)から約6%上昇 |
円安も上乗せ要因です。2026年のドル円は153〜159円台で推移しており、ドル建ての値上げは円換算でさらに大きくなります。月ごとの実売価格の推移はグラボ高騰はいつまで続く?【2026年10月最新】に、卸価格を含む値上げの経緯はGPU価格がさらに2〜3割上昇?にまとめています。
見通しPC市場は縮小、価格は戻らない
IDCは2026年のPC出荷台数が前年比で11.3%減ると見ており、2026年第4四半期は前年同期比で約20%減とさらに深い落ち込みを見込んでいます。出荷が減っても、平均販売価格が約17%上がるため、市場全体の金額は約2,740億ドルに増える見通しです(3月時点の予測)。
IDCは、メモリ不足の緩和を2027年末より前には見込んでおらず、価格が2025年の水準に戻る可能性は低いとしています。MSIの10〜20%縮小という見立ても、この予測と大きくは離れていません。台数が減っても単価で売上を維持できる構造なので、メーカー側に先に値下げする理由がありません。
判断今どうすればいいか|購入判断の分かれ目
待って得をするのは、今のPCで困っておらず、2027年以降まで待てる人だけです。必要な人は、値上がりが止まっている価格帯を選ぶほうが安全です。
- 今のPCが遊びたいゲームの要件を満たしていない
- 1080p〜1440pが中心で、RTX 5070 Ti・RX 9070 XT・RX 9060 XT 16GBなど上がり止まりの価格帯で足りる
- メモリ価格の緩和が2027年末より先と見て、待つ間の機会損失が大きい
- 今のPCで困らずに遊べている
- RTX 5090を狙っている(約110万円は、4Kでの性能差に見合う価格ではない)
- 2027年以降まで待てる余裕がある
RX 9060 XTはGDDR6を採用しており、RTX 5060 Ti 16GB(約12.0万円)より約3.5万円安く16GBを確保できます。10月4日時点の最安は約8.5万円で、9月下旬から約6%上がっていますが、値下がりは期待しにくい状況です。
おすすめ値上げの波を避けて選ぶ2枚
16GBのVRAMで長く使いたい人にはRX 9060 XT、1080pを設定調整で遊ぶ人にはRTX 5060が、いまの相場では選びやすい価格帯です。
まとめまとめ|値上げは2027年末まで続く前提で選ぶ
MSIが示した15〜30%の値上げは9ヶ月かけて実施され、8月にも追加の引き上げが報じられました。IDCは2027年末まで緩和を見込んでおらず、価格が元に戻る前提で待つのは分が悪い状況です。
必要なら、値上がりが止まっているRTX 5070 Ti・RX 9070 XT・RX 9060 XT 16GBを狙うのが現実的です。RTX 5090は今の相場で買う理由がほとんどなく、急がない人は2027年以降の相場を待つのが無難です。




