HONOR「Tiangong AXB35」発表|RTX Spark・128GB搭載AIワークステーション、AMD版も同時展開
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RTX Spark・128GB搭載AIワークステーション、AMD版も同時展開
HONORが、コンパクトAIワークステーション「Tiangong AXB35」シリーズを公開しました。最上位の「AXB35 Ultra」はNVIDIAの新プラットフォーム「RTX Spark」を採用し、128GBの統合メモリと2TB NVMe SSDを搭載します。
興味深いのは、同じ筐体にAMD Ryzen AI Max+ 395を搭載する「Pro」と、Intel Core Ultra X7 358Hを搭載する「Standard」も用意されることです。AXB35は単なるRTX Spark搭載ミニPCではなく、Intel・AMD・NVIDIAの3種類のAIプラットフォームをほぼ同じ筐体で選べるワークステーションになっています。
HONORは最大1PFLOPのFP4 AI性能や最大300B規模のAIモデル展開をアピールしていますが、こうした数字は条件次第で変わるため、公称値をそのまま受け取らないための注意点も含めて整理します。

目次
要点まず何が発表されたか
HONOR公式のTiangongサイトによると、AXB35は企業向けのローカルAI推論・ナレッジベース・AIエージェント運用を想定したコンパクトワークステーションです。最上位のUltraはNVIDIA RTX Spark・128GBメモリ・2TB SSDを搭載し、最大1PFLOPのFP4 AI性能をうたいます。ProはAMD Ryzen AI Max+ 395・128GB・1TB、StandardはIntel Core Ultra X7 358H・64GB・512GBという構成です。筐体寸法は70×192×203mm・重量約1.5kgで、55W/85W/132Wの3電力モードと240W外付け電源を採用します。2026年9月19日時点で価格・発売日は未発表です。
構成3モデルのスペック比較
| 項目 | AXB35 Standard | AXB35 Pro | AXB35 Ultra |
|---|---|---|---|
| プラットフォーム | Core Ultra X7 358H | Ryzen AI Max+ 395 | NVIDIA RTX Spark |
| メモリ | 64GB | 128GB | 128GB(統合メモリ) |
| SSD | 512GB | 1TB | 2TB |
| 公称AI性能 | 最大180 TOPS | 最大126 TOPS | 最大1PFLOP FP4 |
| 想定モデル規模 | 35B級 | 最大300B | 最大300B |
ここで注意したいのは、180 TOPS・126 TOPS・1PFLOPという数字だけを横並びにして「IntelよりAMDが遅い」「RTX Sparkが8倍速い」と単純比較できない点です。演算精度やNPU・GPUなど計測対象が異なるため、実際のLLM推論速度や画像生成性能は同一モデル・同一ランタイムで比較する必要があります。3モデルに共通する仕様としては、M.2 2280 PCIe x4×2とM.2 2242/2280 PCIe x4×1の計3スロット、10GbE RJ45×2ポート、Wi-Fi 7、USB4×2、USB-A×4、HDMI 2.1、DisplayPort 1.4を備え、Windows 11とUbuntuの両方に対応します。
UltraRTX Spark+128GB統合メモリの意味
最上位のAXB35 Ultraでは、NVIDIA RTX Sparkと128GBメモリ、2TB NVMe SSDを組み合わせています。NVIDIA公式が公開しているデスクトップ向けRTX Sparkの仕様は、20コアのGrace CPU、Blackwell RTX GPUの6,144 CUDAコア、最大128GB LPDDR5X統合メモリ、TDP最大140Wという構成です。一般的なゲーミングPCでは、システムメモリとは別にGPU用の専用VRAM(例えばGeForce RTX 5090なら32GB)を使用しますが、RTX SparkはCPUとGPUが128GBの大容量メモリを共有するため、通常のGeForceではVRAM容量が足りずロードできない大規模モデルを扱いやすくなります。
「300Bモデル対応」はそのまま受け取らない方がいい
HONORはAXB35 Pro・Ultraについて「最大300Bモデル」の展開を掲げていますが、300Bは「3,000億パラメータのモデルなら何でも快適に動く」という意味ではありません。実際に扱えるモデル容量は量子化・コンテキスト長・並列処理数・使用ソフトウェアなどによって変わります。比較材料になるのがNVIDIA自身のDGX Sparkです。同じ128GB統合メモリを搭載するDGX Sparkについて、NVIDIAは単体で推論最大200Bパラメータ・ファインチューニング最大70Bパラメータ、2台接続時で最大405Bパラメータという目安を公式に示しています。HONORの300Bという数字も、特定の条件を前提とした「展開可能なモデル規模」と見るべきで、300Bモデルを常に高速かつ実用的な速度で推論できることを保証する数字ではありません。
筐体公称「約2L」を計算すると約2.73L
もう一つ確認しておきたいのが筐体サイズです。HONORはAXB35を「約2L」の筐体として紹介していますが、公称の外形寸法70×192×203mmをそのまま直方体として計算すると70×192×203=2,728,320mm³、約2.73Lになります。メーカーが示す「約2L」が内部容積など別の算出方法を意味している可能性はありますが、少なくとも外形寸法から求めた占有容積は2Lよりかなり大きくなります。NVIDIAのDGX Sparkは150×150×50.5mmで、同じ方法で計算すると約1.14Lです。したがってAXB35 Ultraは「RTX Sparkを最小クラスの筐体に詰め込んだPC」というより、多少大きくする代わりにM.2スロットや10GbEといった拡張性を高めたワークステーションと見る方が実態に近いと考えられます。デュアル10GbEはNASや別のAIサーバーと大容量データをやり取りする用途を意識した構成と考えられ、M.2を3基搭載できる点も、モデルファイルやRAG用データでストレージを消費しやすいローカルAI用途でのDGX Sparkとの差別化要素になりそうです。
ゲーム用途RTX SparkはAI専用GPUではない
RTX SparkはAI専用GPUではありません。NVIDIA公式ではDirectX 12 Ultimate・DLSS 5・Reflex 2・G-SYNC・Game Ready Driverへの対応が明記されています。ただしAXB35 Ultraを通常のGeForce搭載ゲーミングPCと同じ感覚で選ぶのはまだ早いでしょう。RTX SparkのCPUはx86ではなくArmベースのGrace CPUです。NVIDIAの開発者向けドキュメントでは、既存のx86・x64アプリケーションはWindows on Armのエミュレーションを利用する場合があり、機能ごとにサポート状況を確認する必要があると説明されています。特に注意が必要なのがドライバーで、NVIDIAは「x86・x86_64のカーネルモードドライバーはWindows on Arm上では動作しない」と明記しており、ARM64版ドライバーの提供か、ドライバー依存機能をオプション扱いにする対応が必要だとしています。RTX Spark自体のゲーム性能は興味深いものの、既存のWindowsゲームを何でも従来のx86ゲーミングPCと同じように動かせるとは限りません。AXB35 Ultraの本命は、やはりゲームよりローカルAIでしょう。
影響ゲーミングPCユーザーから見た注目点
- 同じ筐体でIntel・AMD・NVIDIAの3プラットフォームをほぼ横並びで選べる
- RTX Spark版はM.2×3・デュアル10GbEなどDGX Sparkより拡張性を高めた設計
- Ryzen AI Max+ 395版も同時展開され、価格発表後は直接比較の材料になる
- 価格・日本発売とも2026年9月19日時点で未発表
- 公称「約2L」は外形寸法から計算すると約2.73Lで、DGX Sparkの約1.14Lより大きい
- RTX SparkはArmベースのため、既存x86ゲームやドライバー依存ソフトの互換性は個別確認が必要
比較今すぐ買うなら?同じRyzen AI Max+ 395・128GB搭載モデル
AXB35 Proと同じ「Ryzen AI Max+ 395・128GB」という組み合わせは、実はすでに国内で購入できるミニPCにも存在します。GMKtecの「EVO-X2」「EVO-X3」128GBモデルです。AXB35自体はまだ価格・発売日とも未発表のため、同じプラットフォームを今すぐ試したい場合の現実的な選択肢として比較しておきます。
| 項目 | AXB35 Pro | GMKtec EVO-X2(128GB+2TB) | GMKtec EVO-X3(128GB+2TB) |
|---|---|---|---|
| プラットフォーム | Ryzen AI Max+ 395 | Ryzen AI Max+ 395 | Ryzen AI Max+ 395 |
| メモリ | 128GB | 128GB | 128GB LPDDR5X |
| SSD | 1TB | 2TB | 2TB(PCIe 4.0) |
| 特徴的な拡張性 | 10GbE×2・M.2×3 | DeepSeek-R1 70Bクラス対応をGMKtecが明記 | 背面OCuLinkで外付けGPUを直結可能 |
| 価格(2026年9月19日時点) | 未発表 | ¥587,999 | ¥715,299 |
| 入手性 | 法人向け問い合わせのみ | Amazon.co.jpで購入可能 | Amazon.co.jpで購入可能 |
EVO-X2とEVO-X3はどちらも同じRyzen AI Max+ 395・128GBですが、性格が少し異なります。EVO-X2はGMKtec自身がDeepSeek-R1 70Bクラスのローカルモデルへの対応を明記しており、ローカルLLM用途を前面に押し出した構成です。EVO-X3は背面にOCuLinkを標準搭載し、外付けGPUを直結して拡張できる点が特徴で、標準はバランス85W設定のため動作音を抑えて長時間の推論を回したい用途に向きます。AXB35 Proはこの2機種と同じプラットフォーム・同じメモリ容量でありながら、10GbE×2ポートとM.2×3スロットという法人ネットワーク環境を意識した拡張性を備えており、価格が発表されればこの3機種を横並びで検討できることになります。
まとめまとめ|RTX Sparkそのものより「同じ筐体でAMDと比較できる」のが見どころ
HONOR Tiangong AXB35 Ultraは、NVIDIA RTX Spark・128GB統合メモリ・2TB SSDをコンパクト筐体に収めたAIワークステーションです。最大1PFLOP FP4や300Bモデル対応という数字に目が行きますが、実際には128GB統合メモリ・M.2×3・デュアル10GbE・Windows 11/Ubuntu対応といった周辺仕様の方が製品の性格を分かりやすく表しています。公称「約2L」ながら外形寸法から計算すると約2.73Lになる点も、DGX Sparkとの設計思想の違いを示すポイントです。そして今回のニュースで特に注目したいのは、同じ筐体にRTX Spark版とRyzen AI Max+ 395版が存在することです。価格が発表されれば、RTX Spark+128GBとRyzen AI Max+ 395+128GBにどれだけの価格差が付くのかという直接比較が可能になります。
AXB35は価格・日本発売とも未発表で、現時点では法人・開発者向けの色が強い製品です。ゲーミングPCユーザーにとっては、購入対象というより、RTX SparkとRyzen AI Max系の方向性を同じ筐体で比較できる材料として見ておくのが実態に近いでしょう。
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出典:HONOR公式Tiangongサイト「AXB35 AI工作站」・NVIDIA公式「RTX Spark」製品ページ・NVIDIA公式「DGX Spark」製品ページ・NVIDIA Windows on Arm Porting Guide・VideoCardzにもとづきます(2026年9月19日時点)。





