GMKtecの展示機がIFA 2026会期中に盗難|盗まれた192GBのAIミニPC「EVO-X5 Pro」とは何か、公式が経緯を説明
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施錠した保管庫がこじ開けられ、デモ機がすべて消えた
出典:GMKtec公式ニュース(IFA 2026総括・2026年9月8日)、GMKtec公式ニュース(EVO-X5 Pro発表)、PC Guide、Notebookcheck、Gizchina、VideoCardz、IFA Berlin公式にもとづきます。本記事の情報は2026年9月8日時点のものです。
ドイツ・ベルリンで開かれているIFA 2026で、ミニPCメーカーのGMKtecが自社ブースに保管していたデモ機を盗まれました。GMKtecの説明によると、9月6日の閉場後にデモ機を保管庫へ収めて施錠したものの、翌7日にスタッフが戻ったときには保管庫がこじ開けられ、中にあったデモ機がすべて無くなっていたとのことです。
盗まれた機材には、この会期中にAMDと共同で発表されたばかりのフラッグシップ「EVO-X5 Pro」のエンジニアリングサンプルが含まれています。まだ発売されておらず、価格も出荷時期も公表されていない製品で、市場に正規の在庫が存在しない段階の個体です。
この件は9月7日の時点で、あるリーカーの投稿を引用する形ですでに一部で伝えられていました。ただし当時はメーカー側の確認が取れておらず、断定を避けた書き方にとどまっていました。ここでは、GMKtec自身が認めた発見までの流れと、盗まれた機材が何だったのか、そして日本のユーザーにとって何が変わるのかを順に見ていきます。
目次
要点まず何が起きたか
経緯閉場後に施錠した保管庫が翌朝には開いていた
IFA Berlinは家電と情報機器の見本市で、2026年は9月4日から8日までメッセ・ベルリンで開かれています。GMKtecはホール5.2のブース455に出展し、会期中の9月5日にAMDと共同でEVO-X5 Proを世界初公開しました。

GMKtecの説明では、9月6日の閉場後、展示に使っていたデモ機をブース内の保管庫へ収めて施錠しています。ところが翌7日にスタッフがブースへ戻ったところ、保管庫がこじ開けられ、収めていたデモ機がすべて持ち去られていました。無くなったのはEVO-X5 Proのエンジニアリングサンプルと、ほかのフラッグシップ機のデモ用個体です。
ここで気に留めておきたいのが、これが会期の終了後ではなく、会期の途中で起きているという点です。IFAの会期は9月8日までで、盗難が発覚した7日と8日はまだ開催日が残っていました。展示のために持ち込んだ実機が、会期を残したまま失われたことになります。
先行メーカーの確認より先に出ていた投稿
この件が最初に外へ出たのは、GMKtecの発表よりも前でした。9月7日、あるリーカーがブースからミニPCが持ち去られたと投稿し、心当たりのある人物には当局へ連絡するよう呼びかけています。これを引用する形で同日中に記事化した媒体もありましたが、そこではメーカー側の確認が取れていないことを明記し、断定を避けた書き方になっていました。
GMKtecがこの件を認めたのは翌8日です。同社はIFAの総括として公開した文章の中で、保管庫がこじ開けられ、収めていたデモ機がすべて盗まれたと書いています。投稿が先行し、その内容をメーカーが後から追認した形です。
中身盗まれたEVO-X5 Proはどんな製品だったのか
被害の中心にあるEVO-X5 Proは、GMKtecがローカルでAIを動かすことに振り切って作った小型のワークステーションです。搭載するのはAMDのRyzen AI Max+ PRO 495で、Zen 5世代の16コア32スレッド、ブースト時の最大動作クロックは5.2GHzとされています。統合GPUは40基の演算ユニットを持つRadeon 8065Sです。

この製品でとくに大きいのがメモリまわりです。LPDDR5X-8533に対応し、最大192GBを積めます。しかもそのうち最大160GBをGPU側の専用メモリとして割り当てられる構成で、メモリ帯域は273GB/sとされています。単体のグラフィックボードでは、コンシューマー向けの最上位でも搭載メモリは32GBです。桁が違う容量を確保できるところに、この手のマシンの存在意義があります。
GMKtecはこの構成を根拠に、3,000億パラメータ級の大規模言語モデルをクラウドに頼らずローカルで動かせるとしています。会場では実際に言語モデルの推論が動かされ、出力速度は毎秒2桁トークン台に達していたと伝えられています。AI処理向けのNPUはXDNA 2世代で最大55 TOPS、企業利用を想定してdTPM 2.0とAMD DASHによる遠隔管理にも対応します。冷却はベイパーチャンバーと3基のファンの組み合わせです。
| 項目 | EVO-X5 Pro(未発売) | EVO-X2(現行モデル) |
|---|---|---|
| プロセッサ | Ryzen AI Max+ PRO 495 16コア32スレッド・最大5.2GHz | Ryzen AI Max+ 395 16コア32スレッド |
| 統合GPU | Radeon 8065S(40CU) | Radeon 8060S(40CU) |
| メモリ | 最大192GB/LPDDR5X-8533 | 最大128GB/LPDDR5X-8000 |
| メモリ帯域 | 273GB/s | 256GB/s |
| 価格・時期 | いずれも未公表 | 日本国内で購入可能 |
現行のEVO-X2と並べると、世代としての伸びしろがどこにあるかが分かります。演算ユニットの数は同じ40基で、コア数も変わりません。差が出ているのはメモリの容量と速度で、128GBから192GBへ、帯域は256GB/sから273GB/sへと広がっています。大きなモデルを丸ごとメモリに載せられるかどうかが用途を決めるタイプの製品なので、この差は小さくありません。逆に言えば、ゲームの描画性能という尺度で見たときの飛躍は、現時点の公表値からは読み取れません。統合GPUで実際にゲームがどこまで動くのかは、Ryzen AI Max+搭載ミニPCを実測値で比較した記事にまとめてあります。
未確定スペック表はまだ完全には公開されていない
もう一点、断っておきたいことがあります。EVO-X5 Proは正式なスペック表がまだ全面的には公開されておらず、資料によって記述が食い違う部分が残っています。
分かりやすいのが有線LANまわりです。GMKtecが報道向けに配布した文面では10ギガビット対応のポートが2つあるとされている一方、実機に触れた側からは有線LANは2ポートで10Gbps対応はそのうち1つという説明が出ています。製品告知のページに書かれているのは遠隔管理用のRJ45アダプタで、これも前の2つとは噛み合いません。USB4については、前面2ポートに加えて背面にUSB4 V2が2ポートという説明でおおむね一致しており、外付けGPUの接続や8K出力、最大4台までのクラスタ構成にも触れられています。
ストレージの搭載本数や最大容量、そして価格と発売時期については、いずれも確定した数字が出ていません。今の段階で細かい仕様を前提に購入計画を立てるのは早いというのが実際のところです。
連鎖Gamescomに続いて2週連続で起きている
今回の件は単独の出来事ではありません。その前週にケルンで開かれたGamescom 2026(8月26日から30日)でも、出展者の機材が盗まれる被害が少なくとも3件確認されています。インディー開発者のRyan Laley氏は、夜のあいだにブースから機材を盗まれ、会期の途中で出展を切り上げたと明らかにしました。警察も関与する事態になっています。
GamescomもIFAも、業界関係者だけでなく一般の来場者が入る大規模イベントです。ブースには最新の実機がむき出しに近い状態で置かれ、閉場後も会場内に残されます。ホールごと施錠されていても、その内側で保管庫が開けられれば持ち去られてしまうという点が、今回はっきりした形で出ました。日本国内でも東京ゲームショウのような一般公開日のあるイベントは同じ構造を抱えており、出展側の保管方法という地味な部分が、会期後半の展示内容を左右しかねないことになります。
今回無くなったEVO-X5 Proは、正規の販売がまだ始まっていない個体です。市場に同じ製品の在庫が存在しないため、仮に転売されたとしても出所をたどりやすい一方、購入者側から見れば「正規の流通が始まる前に出回っている個体」を見分ける手掛かりが乏しいことにもなります。発売前の製品が相場より安く売りに出ていた場合は、素性を確かめられない限り手を出さないのが無難です。
影響日本のユーザーにとって何が変わるのか
結論から書くと、今日の時点で買い物の判断が変わる要素はほとんどありません。EVO-X5 Proはもともと価格も発売時期も未公表で、日本での取り扱いについても何も決まっていないためです。GMKtecは今回の総括の中で、IFAでの反応を受けてEVO-X5 Proの投入を前倒しする方針を示していますが、これは会社としての意向の表明であって、日本での発売時期が確定したという話ではありません。
むしろ現実的なのは、いま買えるものとの距離感を把握しておくことです。Ryzen AI Max+ 395を積んだEVO-X2はすでに国内で流通しており、統合GPUの世代もメモリの規格も、EVO-X5 Proとの差は容量と帯域が中心です。大きなモデルをローカルで動かしたいという目的がはっきりしているなら、192GBという数字を待つ価値はあります。一方でゲームを主目的にするなら、同じ予算で単体GPUを積んだ小型PCを選んだほうが素直で、GMKtecからもRTX 5070を14.6リットルに収めたNEO-X1 Proのような選択肢が出ています。
- 盗難はメーカー自身が認めた事実で、伝聞の段階を抜けた
- EVO-X5 Proは最大192GB・160GBのVRAM割り当てという構成
- 展示品の盗難がGamescomから2週続けて起きている
- 価格と発売時期、日本での取り扱いはいずれも未公表
- 有線LANの構成など、資料間で食い違う仕様が残る
- 「投入を前倒し」は方針表明で、時期の確約ではない
Q&Aよくある質問
まとめまとめ|伝聞だった話がメーカーの言葉になった
IFA 2026の会期中、GMKtecがブースの保管庫に収めていたデモ機がすべて盗まれました。9月6日の閉場後に施錠し、翌7日の朝に保管庫がこじ開けられているのが見つかったという流れです。前週のGamescomでも出展者の機材盗難が複数起きており、一般来場者を受け入れる大型イベントで2週続けて同じ種類の被害が出たことになります。
持ち去られた中には、その会期中にAMDと共同発表したばかりのEVO-X5 Proの試作機が含まれていました。最大192GBのメモリのうち160GBまでをGPU側に回せる構成で、3,000億パラメータ級のモデルをローカルで動かすことを狙った製品です。ただし正式なスペック表は完全には公開されておらず、価格も発売時期も未定のままです。日本での購入判断という意味では、いま動く必要のある材料は出ていません。
IFA 2026の会期中、GMKtecがブースの保管庫をこじ開けられ、収めていたデモ機がすべて盗まれました。9月6日の閉場後に施錠し、7日朝に発覚しています。被害には市販前のEVO-X5 Proの試作機が含まれ、同機は最大192GBのメモリのうち160GBをGPU側へ割り当てられる構成です。価格・発売時期はいずれも未公表で、日本での購入判断に影響する材料はまだありません。



