NVIDIA、DLSS 5の開発者向け制御を公開。AIによる映像改変はマスクや強度調整で抑制可能に

NVIDIA、DLSS 5の開発者向け制御を公開。AIによる映像改変はマスクや強度調整で抑制可能に

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ニュース / SIGGRAPH 2026 基調講演
NVIDIA、DLSS 5の開発者向け制御を公開
AIによる映像改変はマスクや強度調整で抑制可能に
NVIDIAは米ロサンゼルスで開催された「SIGGRAPH 2026」(コンピュータグラフィックス分野の国際学会)の基調講演で、次世代ニューラルレンダリング技術「DLSS 5」の仕組みと開発者向け制御機能を公開しました。処理内容が異なる3種類のAIモデル、「構造」と「色調」を個別に調整するスライダー、キャラクターやオブジェクトごとに効果を制限できるマスキング機能が用意されており、2026年3月の初公開時に指摘された「AIでキャラクターの顔立ちが変わる」という批判への回答になっています。
対応予定は2026年秋3種のAIモデル+2つの強度スライダー顔だけAI処理から除外できるマスキング機能

出典:NVIDIA公式ニュースルーム(対応タイトル15本の正式リスト・対応パブリッシャー)/NVIDIA公式・日本語版(DLSS 5の基本設計・提供時期)/SIGGRAPH 2026基調講演(YouTube、3種類のAIモデル・強度調整・マスキング機能の詳細)/AP News(2026年3月の批判の背景)

2026年3月にDLSS 5が初めて公開された際、AI処理によってキャラクターの顔立ちや表情の印象が変わって見えるとして、批判の声が上がりました。画質を底上げするはずの新技術が、見た目そのものを変えてしまうのではないかという不安は、GeForce RTX 50シリーズを使うプレイヤーにとって軽視できない問題です。

NVIDIAは米ロサンゼルスで開催された「SIGGRAPH 2026」の基調講演で、次世代ニューラルレンダリング技術「DLSS 5」の仕組みと、開発者向けの制御機能を新たに公開しました。処理内容が異なる3種類のAIモデル、映像の「構造」と「色調」を個別に調整できるスライダー、キャラクターやオブジェクトごとに効果を制限できるマスキング機能が用意されており、開発者はゲームごとの美術的な方向性を保ったまま、DLSS 5の効果を調整できるようになります。

本記事では、SIGGRAPH 2026で明らかになった開発者向け制御の仕組みを中心に、DLSS 5がどこまで映像を描き変えるのかを整理します。基本的な技術の解説はDLSS 5発表——「フレーム生成」の次はAIが映像を描き直す。ニューラルレンダリングの仕組みと2026年秋の対応ゲームを解説、対応ゲームの最新状況はDLSS 5 対応タイトル一覧【2026年4月版】——確認済み15タイトル・対応GPU・リリース時期まとめにまとめていますので、あわせてご確認ください。

位置づけDLSS 5は画質とFPSを高めるだけの技術ではない

DLSS(Deep Learning Super Sampling、NVIDIAが開発するAI画質向上技術)は、これまで低い内部解像度から高解像度の映像を再構築する「Super Resolution」や、AIで中間フレームを作る「フレーム生成」、レイトレーシング映像のノイズを除去する「Ray Reconstruction」を中心に発展してきました。

これに対してDLSS 5は、ゲームエンジンがレンダリングした映像をもとに、照明や材質の表現そのものをAIで補強するリアルタイムニューラルレンダリング技術です。NVIDIAによると、DLSS 5は各フレームのカラーデータとモーションベクトル(物体の動きを表す情報)を入力として受け取り、キャラクター・髪・生地・肌・光源などの意味をAIモデルが分析します。そのうえで、肌の表面下散乱(サブサーフェススキャッタリング。光が皮膚の内部で拡散して見える現象)、生地の光沢、髪に当たる光など、従来のリアルタイムレンダリングでは計算負荷が大きかった表現を生成します。最大4K解像度でのリアルタイム動作を想定しており、元の3Dコンテンツとの整合性やフレーム間の映像の安定性も重視した設計になっています。

つまりDLSS 5は、低解像度の映像を鮮明にしたり、フレーム数を増やしたりするだけの技術ではありません。ゲームエンジンが出力した映像に対して、AIによる追加のライティング・マテリアル表現を加える機能です。NVIDIAはSIGGRAPH 2026の講演で、DLSS 5が既存のDLSS処理を置き換えるのではなく、従来のレンダリングパイプラインを拡張する技術だと説明しています。

モデル切替処理負荷が異なる3種類のAIモデルを用意

DLSS 5には、処理負荷と生成するディテールの度合いが異なる3種類のAIモデルが用意されます。ゲーム全体で同じモデルを使い続ける必要はありません。

シーンに応じてリアルタイムに切り替え可能演出を重視するイベントシーンでは高品質なモデルを、動きの激しい戦闘シーンでは比較的軽いモデルを選択するといった実装が可能になる見込みです。
背景とキャラクターなど、要素ごとに異なるモデルを適用シーン単位の切り替えだけでなく、背景とキャラクターに異なるモデルを充てるなど、画面内の要素ごとに処理を変える使い方も想定されています。
切り替えによる追加の待ち時間は発生しないNVIDIAはモデルを切り替えても追加の遅延は生じないと説明しています。3つのモデルはA・B・Cという簡易な識別名で区別されていることまでは分かっているものの、正式名称や処理負荷・画質の具体的な差は記事公開時点で明らかになっていません。

強度調整「構造」と「色調」を2つのスライダーで調整

SIGGRAPH 2026では、DLSS 5の効果を調整する主要なパラメーターとして、以下の2種類が紹介されました。

項目内容
Structural Intensity
(構造の強度)
映像に含まれる高周波成分、つまり細かなディテールの強さを調整する項目です。アンビエントオクルージョン(物体の隙間や継ぎ目にできる陰影)、反射、表面下散乱、材質の細かな凹凸といった表現に影響し、値を高くすると肌や布、金属などの質感がより強調されます。名称に「構造」とありますが、キャラクターモデルやステージの形状自体を変更する機能ではありません。NVIDIAは、元の形状を変えるのではなく、画像内のディテールを補強する処理だと説明しています。
Tone Intensity
(色調の強度)
照明や色調など、映像の比較的広い範囲に現れる低周波成分を調整する項目です。光の当たり方、明暗、コントラスト、シーン全体の雰囲気などに影響するため、値を上げすぎると開発者が設計した色彩や演出との差が大きくなる可能性があります。

構造と色調を分けて調整できることで、「材質の細部は強調するが、元の照明や色合いはできるだけ維持する」といった設定が可能になります。ただし、記事公開時点で公開されている主要な調整項目はこの2種類が中心です。NVIDIAはパートナーからの意見をもとに、追加の制御機能も開発していると説明しています。

マスキング顔や特定オブジェクトだけAI処理から除外可能

DLSS 5では、ゲーム内のオブジェクトにマスクを設定し、AI処理を適用する範囲を制限できます。例えば、背景の建物や衣服には強い補正をかけながら、キャラクターの顔には適用しない設定が可能です。完全に除外するだけでなく、オブジェクトごとにStructural IntensityとTone Intensityを個別調整する使い方も想定されています。

この機能は、今回の発表が答えている炎上騒動——2026年3月にDLSS 5が初公開された際に起きた、AIによるキャラクター改変への批判——を踏まえると特に重要です。詳しい経緯はDLSS 5でキャラの顔が別人化|RTX 50ユーザーが知るべき4つの懸念とオフにできるのか【最新動向まとめ】で取り上げていますが、初公開時の比較映像では『バイオハザード レクイエム』の主人公グレース・アッシュクロフトの唇や目元、肌の見え方が変化し、元の疲労感や恐怖を表すデザインが薄れているとの指摘が相次ぎました。『ホグワーツ・レガシー』や『Starfield』の映像についても、AI処理でキャラクターの印象が変わっているとして議論になっています。

マスキングを適切に設定すれば、顔や物語上重要なオブジェクトを元のレンダリングに近い状態で維持しながら、背景や材質表現だけをDLSS 5で補強できます。もっとも、最終的な見た目はゲーム開発者の調整に左右されます。プレイヤー側にマスクや各強度を変更する設定が提供されるとは発表されておらず、ユーザーがゲーム内オプションから細かく調整できるかは記事公開時点で不明です。

遅延対策未来のフレームを待たず、1フレーム単位で処理

一般的な動画生成AIは、前後の複数フレームをまとめて処理することで時間方向の一貫性を保ちます。しかし、ゲームで未来のフレームを待ってから映像を生成すると、入力に対する表示の遅れが大きくなってしまいます。

DLSS 5は、基本的に1フレーム単位で映像を分析し、カラーデータとモーションベクトルから出力を生成します。NVIDIAは、未来のフレームを参照する必要がなく、ゲームの応答性を維持できる設計だと説明しています。

ただし、DLSS 5を有効にした場合の具体的な処理時間やシステム遅延、フレームレートへの影響は記事公開時点で公開されていません。「1フレームずつ処理するため大きな遅延を発生させない」という設計上の説明と、実際のゲームで体感できる遅延は分けて考える必要があります。

動作環境製品版は単一GPUで動作、対応GPUは未発表

SIGGRAPH 2026で公開された資料では、DLSS 5の製品版モデルが単一GPUで動作し、VRAM効率にも配慮されていることが示されました。大規模な拡散モデルから知識を移した、よりコンパクトなモデルをリアルタイム処理に利用する設計です。これにより、一般的なゲーミングPCでも利用できる規模までモデルを小型化しながら、最大4Kでのリアルタイム処理を目指しています。

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対応GPUはまだ発表されていません

DLSS 5がGeForce RTX 50シリーズ限定になるのか、RTX 40シリーズなどでも使用できるのかは記事公開時点で不明です。GPUごとの画質設定や利用可能なAIモデル、必要VRAM容量、実際の性能低下についても、今後の発表を待つ必要があります。

対応タイトル対応予定ゲームは15本、Bethesda・CAPCOMなど9社が参加

DLSS 5は2026年秋の提供開始が予定されています。NVIDIAの公式ニュースルームでは、対応予定タイトルとして以下の15本が正式に発表されました。

タイトルパブリッシャー
AION 2NCSOFT
アサシン クリード シャドウズUbisoft
Black State未公表
CINDER CITY未公表
Delta ForceTencent
ホグワーツ・レガシーWarner Bros. Games
JusticeNetEase
NARAKA: BLADEPOINTNetEase
NTE: Neverness to EvernessHotta Studio
Phantom Blade ZeroS-GAME
バイオハザード レクイエムCAPCOM
Sea of Remnants未公表
StarfieldBethesda
The Elder Scrolls IV: Oblivion RemasteredBethesda
Where Winds Meet未公表

Bethesda、CAPCOM、Hotta Studio、NetEase、NCSOFT、S-GAME、Tencent、Ubisoft、Warner Bros. Gamesなどが、DLSS 5への対応を表明しています。Black State・CINDER CITY・Sea of Remnants・Where Winds Meetの4作品については、記事公開時点でパブリッシャーが公表されていません。具体的な配信日やタイトルごとの実装時期も発表されていません。最新の対応状況はDLSS 5 対応タイトル一覧【2026年4月版】——確認済み15タイトル・対応GPU・リリース時期まとめでも管理しています。

結論AIによる画質向上と「原作の見た目」は両立できるか

今回公開された3種類のAIモデル、2つの強度調整、オブジェクト単位のマスキングは、DLSS 5がゲームの映像を一律にAI風へ変えてしまうことを防ぐための重要な機能です。特にキャラクターの顔を処理対象から外し、背景や衣服、髪、反射だけを補強できる点は、発表当初に指摘された問題への有効な対策になり得ます。

一方で、記事公開時点で判明している主要な調整項目は限定的です。プレイヤー側がDLSS 5だけを無効化できるのか、対応GPUはどこまで広がるのか、画質向上と引き換えにどの程度の性能を消費するのかも明らかになっていません。

評価できる点
  • 顔だけを処理対象から外せるマスキング機能
  • 構造と色調を個別に調整できる柔軟性
  • 処理負荷の異なる3モデルをシーンごとに使い分け可能
  • 未来のフレームを待たない設計で応答性を維持
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まだ判明していない点
  • プレイヤー側でDLSS 5だけをオフにできるか
  • 対応するGeForce RTXシリーズの範囲
  • 有効時の処理負荷・システム遅延・フレームレートへの影響
  • 3種類のAIモデルそれぞれの正式名称と性能差
まとめ

DLSS 5の評価は、NVIDIAが用意したデモ映像ではなく、実際のゲームに組み込まれた際の画質、安定性、性能、設定の自由度によって決まります。今回公開されたマスキングや強度調整は、2026年3月の批判に対する具体的な回答である一方、対応GPUや性能への影響はまだ明らかになっていません。2026年秋の正式リリースに向けて、続報を確認していく必要があります。

FAQよくある質問

DLSS 5のマスキング機能では何ができますか?
ゲーム内のオブジェクトごとにAI処理の適用範囲を制限できます。背景や衣服には補正をかけながらキャラクターの顔には適用しない、といった設定が可能で、完全に除外するだけでなくStructural IntensityとTone Intensityをオブジェクト単位で個別調整することも想定されています。
3種類のAIモデルにはどんな違いがありますか?
処理負荷と生成するディテールの度合いが異なります。演出を重視するシーンでは高品質なモデル、動きの激しい戦闘シーンでは軽いモデルを選ぶといった使い分けが想定されていますが、正式名称や具体的な性能差は記事公開時点で公開されていません。
Structural IntensityとTone Intensityの違いは何ですか?
Structural Intensityは質感などの細かなディテール、Tone Intensityは照明や色調など広い範囲に影響する項目です。両者を個別に調整することで、材質の細部だけを強調し、元の照明や色合いを維持するといった設定が可能になります。
DLSS 5は2026年3月に起きた「顔が別人化」騒動にどう対応したのですか?
キャラクターの顔をAI処理から除外できるマスキング機能などで対応しています。今回公開された制御機能を使えば、顔や物語上重要なオブジェクトを元のレンダリングに近い状態で維持しながら、背景や材質表現だけをAIで補強できます。ただし、プレイヤー側で細かく調整できるかは記事公開時点で不明です。
DLSS 5はどのGPUで使えますか?
記事公開時点で対応GPUは発表されていません。製品版モデルは単一GPUで動作するよう設計されていますが、GeForce RTX 50シリーズ限定になるのか、RTX 40シリーズなどでも使えるのかは今後の発表を待つ必要があります。
対応予定のゲームは何本ありますか?
記事公開時点で15本が正式に発表されています。AION 2、アサシン クリード シャドウズ、バイオハザード レクイエム、Starfieldなどが対応予定で、Bethesda・CAPCOM・Ubisoftなど9社が参加を表明しています。
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ゲーミングPC歴は15年以上。毎年パーツを更新しながら最新トレンドを追いかけています。初心者にもわかりやすく、上級者も満足できる情報発信を心がけています。