『Dear Passengers』がSteamウィッシュリスト150万件突破|発表からわずか1週間で世界12位に急浮上した理由
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発表からわずか1週間で世界12位に急浮上した理由
情報源:Steam公式ニュース/FLEXUS公式サイト。ウィッシュリスト登録数は開発元が発表した数字であり、Steamが一般公開しているデータではありません。数値は2026年7月23日時点の情報にもとづきます。
無名に近いスタジオの新作が、発表直後からSteamの上位に食い込むこと自体は珍しくありません。ただし、そのほとんどは短期間で話題が失速し、実際の販売にはつながらないまま終わることも多いのが実情です。
そんな中、ウクライナのFLEXUSが手がける協力型アクション『Dear Passengers』は、公開から36時間で70万件、約2日で100万件、そして5日で150万件というペースでウィッシュリストを伸ばし、2026年7月23日時点でSteam「人気のウィッシュリスト」12位に到達しています。
気になるのは、この盛り上がりが一時的な話題で終わるのか、実際の販売にもつながるのかという点ではないでしょうか。急伸を後押しした複数の要因に加えて、発表映像をめぐる批判や、現時点でまだ分かっていない発売日・価格についても順番に整理していきます。
ゲーム概要世界最悪の航空会社で乗客と貨物を運ぶ一人称協力アクション
『Dear Passengers』は、プレイヤーが「世界最悪の航空会社」の乗務員となり、乗客と貨物を目的地まで運ぶ一人称視点のアクションゲームです。ひとりが航空機を操縦し、ほかのプレイヤーは客室で乗客への食事や飲み物の提供、貨物の管理、発生したトラブルへの対応を担当します。

ただし、運航する機体は万全とはいえません。乱気流やエアポケットによって乗客や荷物が機内を飛び回り、ひとつの問題を放置すると、ほかのトラブルを巻き込んだ大惨事へ発展する可能性があります。離陸前には、搭乗させる乗客と積み込む貨物を選ぶ場面もあり、報酬が高い依頼ほど扱いにくい乗客や危険な貨物が含まれやすく、収益と安全性のどちらを優先するか判断が求められます。

シングルプレイにも対応すると案内されていますが、ひとりで遊ぶ場合の詳しい仕様は7月23日時点で発表されていません。
ゲーム概要:Steam公式ストアページ。
急拡大の軌跡発表から36時間で70万件、5日で150万件を突破
『Dear Passengers』のウィッシュリスト登録数は、発表直後から急激に増加しました。開発元の発表による推移は次のとおりです。
| タイミング | ウィッシュリストの推移 |
|---|---|
| 2026年7月14日 | 正式発表 |
| 公開から36時間 | 70万件突破 |
| 公開から約2日 | 100万件突破 |
| 公開から約5日 | 150万件突破 |
| 2026年7月23日時点 | Steam「人気のウィッシュリスト」ランキング12位 |
推移の出典:Steam公式ニュース(70万件達成)/Steam公式ニュース(100万件達成)/Steam公式「人気のウィッシュリスト」。登録数はSteamが一般公開しているデータではなく、開発元が発表した数字です。
Steamの「人気のウィッシュリスト」ランキングでは、2026年7月23日時点で12位に掲載されています。『The Blood of Dawnwalker』『Unrecord』『Phantom Blade Zero』『Persona 4 Revival』など、以前から注目されてきた大型タイトルを上回る位置です。PCゲーム市場ではほぼ無名だったスタジオの新作が、発表直後から世界上位へ入る異例の動きとなっています。
100万件到達時、FLEXUSは有料広告や報酬を支払ったクリエイター施策を実施していなかったと説明しています。発表トレーラーやゲームを紹介する動画が自然に共有され、コメント、ミーム、切り抜き動画などを通じて急速に広がったといいます。
「広告を一切利用していない」という説明はFLEXUS自身によるもので、外部機関が検証したマーケティング費用の情報ではありません。
拡散要因映像を見るだけで面白さが伝わるトレーラー構成
『Dear Passengers』が短期間で注目された最大の理由として、トレーラーの分かりやすさが挙げられます。映像を見るだけで、ひとりが航空機を操縦し、残りのプレイヤーが客室で問題に対処するという役割分担を理解できます。さらに、乗客や荷物が飛び回る様子、機体の外で作業する場面、危険な貨物など、トラブルが次々と発生するゲームであることも短時間で伝わります。
独特なアバターの見た目と分かりやすいゲームプレイのコンセプト、ストリーマーの実況に向いた音声表現、ポップカルチャーを想起させる要素によるミーム性の高さが、トレーラーの拡散につながったと海外のゲーム市場分析では指摘されています。複雑なシステムや世界設定を説明しなくても、「友人と航空会社を運営したら大惨事になった」という状況だけで動画として成立します。SNSで数秒の映像を見たユーザーにも面白さが伝わりやすく、短い切り抜き動画との相性もよい点も見逃せません。
拡散要因配信者向けのハプニングが自然に生まれる設計
近年のSteamでは、友人同士の会話や失敗そのものがコンテンツになる協力型ゲームが相次いで人気を集めています。海外では、このような比較的小規模でカオスな協力ゲームを「friendslop」と呼ぶことがあります。必ずしも肯定的な言葉ではありませんが、『Content Warning』『R.E.P.O.』『PEAK』など、配信や短編動画を通じて広がる作品群を示す表現として使われています。
海外の集計では、2026年にSteamで人気の高い上位20タイトルのうち5本がこの種の協力ゲームに分類されるといいます。『Dear Passengers』も、この流れと非常に相性がよい作品です。
操縦ミス、乗客への対応失敗、貨物の破損、乱気流、仲間の判断ミスなど、プレイヤーが台本を用意しなくても配信映えする場面が発生します。成功することだけでなく、失敗することもゲームの魅力になる設計です。ひとつの試合やフライトから複数の切り抜き動画を作りやすいため、発売後も動画配信者を通じて広がる可能性があります。
拡散要因操縦席と客室、身近な題材で役割分担が明確
協力型ゲームでは、プレイヤーごとの役割を理解しやすいことも重要です。『Dear Passengers』では、操縦席と客室という物理的に分かれた場所が用意されています。操縦担当は機体を飛ばし、客室担当は乗客や貨物を管理するため、自分が何をすべきか把握しやすい設計です。
一方で、トラブルが拡大すれば担当外の作業にも対応しなければなりません。操縦担当が機体を安定させられず、客室担当が吹き飛ばされた乗客や荷物に対処するといった連鎖が、協力プレイ中の会話を生み出します。
航空機という題材も世界共通で理解されやすいものです。専門的なフライトシミュレーターではなく、「格安航空会社の運航を何とか成立させる」というコメディとして提示したことで、航空ゲームに詳しくないユーザーにも届いたと考えられます。
開発体制PCでは無名でも、モバイルで3億DL超の実績を持つスタジオ
『Dear Passengers』はFLEXUSにとって初の本格的なプレミアムPCゲームとされていますが、同社はゲーム開発そのものが初めてというわけではありません。FLEXUSは2020年に設立されたウクライナ・キーウ拠点のスタジオで、70人以上のスタッフが所属しています。
| 項目 | 実績 |
|---|---|
| 設立 | 2020年 |
| 拠点 | ウクライナ・キーウ |
| 従業員数 | 70人以上 |
| 累計ダウンロード数 | 150カ国以上で3億件超 |
| 『Tower Craft』 | 8000万件以上のインストール |
| 『Dye Hard』 | 6000万件以上のインストール |
開発元情報:FLEXUS公式サイト。
モバイルゲーム市場では、広告映像の冒頭数秒でゲーム内容を伝え、ユーザーの関心を引く技術が重視されます。『Dear Passengers』のトレーラーも、開始直後から航空機内の異常事態を連続して見せる構成となっており、モバイルゲームで蓄積した映像制作やユーザー獲得の経験が、今回の発表にも生かされている可能性があります。
そのため、「突然現れた経験のないインディースタジオ」というより、モバイル市場で大規模な実績を持つ会社がPC向けタイトルへ進出したと捉えるほうが正確でしょう。
留意点トレーラーは完成版のゲームプレイを保証しない
ウィッシュリスト150万件という数字は大きいものの、ゲームの成功が確定したわけではありません。現時点で公開されている情報の中心は、発表トレーラーとSteamストアページです。一般ユーザーが実際にプレイできる体験版はまだ配信されておらず、トレーラーで描かれた状況をどこまで自由に再現できるかは確認できません。
映像に含まれる一部の表現、特に手の動きなどの細部を、実際のゲーム内で自然に再現することは簡単ではないという指摘も海外のゲーム市場分析にあります。特に、次の情報は2026年7月23日時点で明らかになっていません。
ウィッシュリスト登録は購入予約ではありません。価格、完成度、発売時期、配信者の評価によって、実際の販売本数は大きく変化します。登録者のなかには、SNSで話題になったため一時的に追加したユーザーも含まれると考えられ、発売時にどれだけのユーザーが購入へ移るかが次の焦点です。
再現性への指摘:海外のゲーム市場分析ニュースレター。
論争発表映像の表現をめぐり批判の声も
急速に注目を集める一方、発表トレーラーに登場するプレイヤー名やキャラクター表現について、一部のユーザーから批判も出ています。実在する人物や事件を連想させる名前が使用されているとの指摘に対し、FLEXUSは登場人物はフィクションであり、犯罪行為を支持する意図はないと説明しました。
また、同社の求人情報に生成AIを使用するアーティストを求める記述があったことから、『Dear Passengers』にも生成AIが利用されているのではないかとの疑問が広がりました。これに対して開発元は、『Dear Passengers』の制作に生成AIは使用しておらず、該当する求人は別のモバイルプロジェクトに関する古い内容だったと回答しています。求人ページからも、生成AIに関する記述はすでに削除されています。
ゲーム本編の評価とは別の問題ですが、短期間で世界的な注目を集めたことで、宣伝映像や企業情報も厳しく確認される状況になっています。
出典:海外の報道。
今後の展開Gamescom向けデモを準備、一般公開版も配信へ
FLEXUSの共同創業者Semen Kozyura氏は、Gamescom 2026のウクライナゲーム展示ブースに向けて、プレイ可能なデモ版を準備していると現地メディアに説明しています。Gamescomでの展示後には、一般ユーザー向けのデモも公開する予定だといいます。ただし、一般公開版の配信日や配信方法はまだ発表されていません。
『Dear Passengers』は2026年中にPC(Steam)での発売が予定されています。正確な発売日について、開発元は完成度を犠牲にして急いでリリースする考えはないとしています。まずはGamescomで公開されるデモが、発表トレーラーで示された物理演算や協力プレイをどこまで再現できているかに注目が集まりそうです。
開発者コメント:現地メディアの報道/現地のゲーム開発者向けメディアのインタビュー。
まとめ150万件の期待にゲーム本編が応えられるか
『Dear Passengers』の急伸は、Steamにおいて協力型ゲームへの需要が依然として強いことを示しています。分かりやすい舞台、明確な役割分担、物理演算によるハプニング、配信や切り抜き動画との相性という複数の要素が、発表トレーラーに集約されていました。
FLEXUSはPCゲームでは無名だったものの、モバイルゲームで3億件以上のダウンロード実績を持ち、ユーザーの興味を短時間で引く映像やゲーム企画について一定の経験があるスタジオです。一方で、現時点では実際のプレイ感、コンテンツ量、価格、長期的なリプレイ性などは判断できません。150万件のウィッシュリストを一時的な話題で終わらせず、実際の販売と継続的なプレイヤー数につなげられるかが、FLEXUSにとって最大の課題になりそうです。



