AMD FSR Frame Generationの「フレームペーシング」問題|10タイトル再検証でもダブルタップ現象が解消せず
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10タイトル再検証で「ダブルタップ」現象が複数確認
出典:Hardware Unboxed「Has AMD Fixed FSR’s Biggest Flaw?」、海外メディアの報道「AMD still hasn’t fixed FSR Frame Generation’s frame pacing problem」、Overclock3D「AMD FSR Frame Generation still has issues」、AMD公式Frame Generation Swapchain技術資料・FSR Frame Generation 4.0.1技術資料。検証そのものはHardware Unboxedによるもので、当サイト独自の実測ではありません。日程・数値は本記事公開時点(2026年8月22日)の情報にもとづきます。
「FSR Frame Generationを有効にすると表示fpsは伸びるのに、体感の滑らかさが数字ほど伴わない」と感じたRadeonユーザーは少なくないはずです。海外の大手ベンチマークチャンネルHardware Unboxedが2026年8月20日に公開した再検証で、その違和感を裏付けるデータが示されました。
検証はRadeon RX 9070 XTと240Hz対応モニター「MSI MAG 321UPX」を使い、サイバーパンク 2077やボーダーランズ4など10タイトルで実施されています。ドライバー側でFSR 3.1をアップグレードした5タイトルと、ゲーム側がFSR 4をネイティブ統合した5タイトルのどちらでも、生成フレームと実フレームの表示間隔が均一にならない「ダブルタップ」と呼ばれる現象が確認されたと報告されています。
この記事では、確認された10タイトルの結果を伝聞ベースで整理したうえで、AMD公式のFSR SDK技術資料をもとに、なぜこの問題が起きるのかという構造的な理由まで掘り下げます。あわせて、Radeonユーザーが手元の環境で今すぐ確認できるVRR・V-Sync・フレームリミッターの設定手順も解説します。
目次
検証概要Hardware UnboxedがRadeon RX 9070 XTと10タイトルで再検証
今回の検証を実施したのは、海外の大手ベンチマークチャンネルHardware Unboxedです。使用したGPUはRadeon RX 9070 XT(前世代のRX 7900 XTとの比較はこちら)、ドライバーはAMD Software: Adrenalin Edition 26.7.1、モニターは最大240Hz表示に対応するMSI製の「MSI MAG 321UPX」です。
検証対象は10タイトルです。前半5タイトルは、ゲーム側がもともと搭載するFSR 3.1のフレーム生成を、Adrenalinドライバー側の機能で最新の実装へアップグレードする形で検証されています。対象はサイバーパンク 2077、マフィア:オリジン、ボーダーランズ4、ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク、ホグワーツ・レガシーの5本です。後半5タイトルは、ゲーム側が最初からFSR 4系をネイティブ統合しているケースで、紅の砂漠、レゴ バットマン:レガシー・オブ・ザ・ダークナイト、アサシン クリード ブラックフラッグ(Resynced)、バイオハザード レクイエム、Alan Wake 2が対象です。
現象の説明「ダブルタップ」とは生成フレームと実フレームの表示時間が揃わないこと
1枚のフレームが画面に表示され続ける時間のことを「フレームタイム」と呼びます。フレーム生成が理想どおりに機能していれば、実際に描画されたフレームと、AIが補間で作った生成フレームは、ほぼ同じ間隔で交互に表示されるはずです。しかし今回の検証で確認された「ダブルタップ」は、生成フレームが短時間だけ表示された直後に次の実フレームが長めに表示される、という短長のリズムが繰り返される状態を指します。
この状態は、Steamのfpsカウンターやゲーム内オーバーレイが示す平均fpsの数値には表れません。表示上は「120fps」という高い数値が出ていても、実際には短い間隔と長い間隔が交互に来るため、目で見ると微細なカクつきや二重表示のような違和感として体感されます。Hardware Unboxedの検証では、約100〜140fps表示のタイトルでもこの現象が確認されたと報告されています。
検証結果10タイトルのうち大半でダブルタップを確認
以下はHardware Unboxedが報告した内容にもとづく整理です。当サイトが独自に検証した数値ではない点にご注意ください。
FSR 3.1をドライバー側でアップグレードした5タイトル
約120fps表示時でも、生成フレームと実フレームの表示間隔が不均一になる「ダブルタップ」とティアリング(画面のズレ)が確認されたと報告されています。
平均98fps付近で推移するものの、高速に移動するシーンでリフレッシュのタイミングが変動する挙動が確認されたと報告されています。
約103fps付近で推移し、表示が安定している区間と不安定な区間が混在する結果になったと報告されています。
約138fpsという高い表示fpsでも、ダブルタップとティアリングが確認されたと報告されています。
具体的なfps数値は明記されていませんが、FSR 3.1組の中でも顕著なペーシング問題が見られたタイトルとして総括されています。
FSR 4をゲーム側にネイティブ統合した5タイトル
Frame Generationを有効にした約115fps表示でも不安定な挙動が見られ、Frame Generationを無効にした約90fps表示のほうがかえって安定していたと報告されています。
20〜30フレーム程度安定した後、1〜2ペア分だけ不安定になる周期的なパターンが見られ、他の9タイトルと比べると問題は比較的軽微だったと報告されています。
ダブルタップが確認されたと報告されています。具体的なfps数値は明記されていません。海外報道では「Remastered」と表記されていますが、2026年8月時点でFSR 4・DLSS 4.5・XeSS 3にネイティブ対応しているのは同年7月9日発売のリメイク版「Resynced」であるため、本記事ではそちらとして扱っています。
ダブルタップが確認されたと報告されています。具体的なfps数値は明記されていません。
シーンによって程度の差はあるものの、ダブルタップが確認されたと報告されています。
今回の結果で見過ごせないのは、新しい機械学習ベースのFSR 4をゲーム側がネイティブ統合していても、ドライバー経由でFSR 3.1をアップグレードした旧来のタイトルと同様にダブルタップが確認されている点です。Hardware Unboxedは、NVIDIA DLSS Frame Generationと比較しても、表示間隔の一貫性で見劣りする結果になったと結論づけたと報告されています。
ただし、これは今回のテスト環境・対象タイトルにおける一度の検証結果です。GPUの世代やドライバーのバージョン、ゲームごとの実装、モニターのリフレッシュレートが変われば結果も変わり得るため、この1回の比較だけで「NVIDIA DLSSは常に滑らかでAMD FSRは常にカクつく」と一般化するのは避けるべきです。自分の環境でどちらが快適に感じるかは、実際に同じ場面を見比べて確認するのが確実です。
技術的な核心フレーム生成とフレーム表示のタイミングは別コンポーネントが担当
なぜFSR 4という新しい実装に切り替えてもダブルタップが解消しないのか。AMD公式のFSR SDK技術資料を確認すると、その理由は設計そのものにあります。AMDの現行FSR SDKでは、中間フレームを作る「AMD FSR Frame Generation」と、そのフレームを画面にいつ表示するかを管理する「AMD FidelityFX Super Resolution Frame Generation Swapchain」が、別々のコンポーネントとして分離されています。FSR 4.1のようなアップスケーリング側の進化と、この2つのコンポーネントは独立した仕組みです。
2026年6月24日時点の最新版は、フレーム生成側が「AMD FSR Frame Generation 4.0.1」、表示タイミング側が「Frame Generation Swapchain 3.1.7」です。前者は、連続する2枚のソース画像から機械学習アルゴリズムで中間フレームを生成する技術で、AMD公式資料によるとRadeon RX 9070 XTの4K解像度では処理時間が約2.2ミリ秒、RX 9060 XTの1440pでは約2.1ミリ秒と、生成処理自体は高速です。問題は、生成された中間フレームと実フレームを「いつ画面に送り出すか」を管理する、後者のSwapchain側にあります。
原因の構造Windowsは表示タイミングを正確に保証しないOS
Frame Generation Swapchainの技術資料には、Windowsはリアルタイム性を保証するOSではなく、可変リフレッシュレート対応ディスプレイはタイミングのわずかな誤差にも影響を受けやすいと説明されています。可変リフレッシュレート、いわゆるVRR(AMD FreeSyncやNVIDIA G-SYNC等)に対応したモニターでは、フレームごとに許容される表示間隔の幅が決まっています。資料が示す例では、VRRの対応範囲が64〜120Hzの場合、1フレームあたりの表示間隔は8.33〜15.625ミリ秒の範囲に収める必要があるとされています。
この範囲を精密に守るため、Swapchainの内部実装は、CPU側で待機処理を使ってタイミングの精度を高め、プレゼンテーション処理専用に2本の追加CPUスレッドを生成する設計になっていると資料は説明しています。裏を返せば、Windows側のスケジューリングにわずかな揺らぎが生じるだけで、この精密なタイミング管理が崩れ、生成フレームと実フレームの表示間隔が不均一になる余地が生まれるということです。FSR 4でフレーム生成の画質そのものが向上しても、この表示タイミング側の課題が残る限り、体感の滑らかさは改善しません。
重要な区別これは入力遅延の問題ではありません
フレーム生成をめぐっては、「表示fpsは伸びるが操作の遅延(入力レイテンシ)はベースfps相当のまま」という別の問題がよく語られます。今回の検証で確認された「ダブルタップ」は、これとは異なる問題です。入力レイテンシは操作してから画面に反映されるまでの時間の話であるのに対し、フレームペーシングは、表示されたフレームどうしの間隔が均一かどうかという、見た目の滑らかさに関わる話です。両者は独立して発生し得ます。
フレーム生成が表示fpsを伸ばす一方で入力レイテンシがベースfps相当のまま変わらないという実態については、当サイトの別記事フレーム生成の「fps」を信じてはいけないで、DLSS Multi Frame GenerationやReflex 2の実測データをもとに詳しく整理しています。今回のダブルタップ現象とあわせて把握しておくと、フレーム生成の「表示上の数字」と「実際の体感」のズレをより正確に理解できます。
追加検証V-SyncをONにしても「ダブルタップ」は解消しないとHardware Unboxedが報告
今回の検証公開後、「V-Sync(垂直同期)を有効にすればフレームペーシングの問題は直るのではないか」という視聴者からの指摘が相次ぎました。これを受けてHardware Unboxedは2026年8月21日、追加の確認結果を伝えています。海外メディアの報道によると、ドライバー側でV-SyncをONに強制した状態であらためて複数タイトルを確認したものの、V-Syncの設定にかかわらずフレームペーシングは壊れたままだったと結論づけたと報告されています。
紅の砂漠については、ドライバー側のV-Sync強制に加えて、ゲーム内のV-Sync設定も有効にした状態で確認していますが、Frame Generationを有効にした約115fps表示時に見られたダブルタップ現象は残ったと報告されています。V-Syncはディスプレイの垂直走査に合わせて描画を同期させる仕組みであり、生成フレームと実フレームの表示間隔そのものを補正する機能ではないため、この結果は前述のFrame Generation Swapchainの設計上の課題とも矛盾しません。
V-Sync ONはティアリング(画面のズレ)を抑える効果は期待できますが、生成フレームと実フレームの表示間隔が不均一になる問題そのものを解消するわけではないと、Hardware Unboxedの追加検証で示されています。「V-SyncをONにすれば直る」という情報を見かけても、フレームペーシングの根本解決とは切り離して考えてください。
今すぐできることRadeonユーザーが確認しておきたい6つのポイント
そのうえで、Frame Generationを使い続けるべきかどうかの目安をまとめました。
- シングルプレイのタイトルで、すでに実測90fps前後以上出ている場合
- 体感で違和感がなく、平均fpsの伸びを優先したい場合
- VRR・V-Syncの設定を見直しても目立った変化を感じない場合
- 240Hzなど高リフレッシュレート環境で表示の一貫性を最重視する場合
- 今回問題が確認されたサイバーパンク 2077やゴッド・オブ・ウォー ラグナロクなどをプレイ中でカクつきを感じる場合
- 反応速度が勝敗に直結する対戦系タイトルをプレイする場合
FAQよくある質問
総括まとめ|フレーム生成は生成とペーシングが別問題
Hardware Unboxedが2026年8月20日に公開した再検証では、Radeon RX 9070 XTと10タイトルを使い、AMD FSR Frame Generationの表示タイミングを検証した結果、生成フレームと実フレームの表示間隔が不均一になる「ダブルタップ」現象が複数タイトルで確認されたと報告されています。FSR 3.1をドライバー側でアップグレードしたタイトルと、FSR 4をゲーム側にネイティブ統合したタイトルの両方で同様の傾向が見られた点が重要です。
AMD公式のFSR SDK技術資料によると、フレームを生成する「FSR Frame Generation」と、表示タイミングを管理する「Frame Generation Swapchain」は別々のコンポーネントです。FSR 4で生成側の画質が向上しても、表示タイミング側の課題が解消されない限り、体感の滑らかさは改善しません。これは、フレーム生成が引き起こす入力レイテンシの問題とは別の話です。
Radeon RX 9070 XTなどでFrame Generationを使っていて違和感がある場合は、VRR(FreeSync)が有効になっているかの確認、ティアリング対策としてのVRR範囲内でのV-Sync ON、基準fpsをモニターのリフレッシュレートの半分弱に抑えるフレームレートリミッター設定を試してみてください。ただしV-Sync ONはダブルタップ現象そのものの解決策ではないと報告されている点には注意が必要です。それでも改善しない場合は、タイトルやシーンによってFrame GenerationをOFFにする選択も現実的です。



