DistributedCOMのイベントID 10016とは?ゲームが落ちた直後に出ても原因とは限らない理由
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ゲームが落ちた直後にあっても、原因ではないことが多い記録
出典:記事末尾に挙げたMicrosoft公式ドキュメントにもとづきます(2026年10月7日確認)。
PCゲームが突然デスクトップへ戻り、イベントビューアーの「Windowsログ」→「システム」を開くと、ソースが「Microsoft-Windows-DistributedCOM」、イベントIDが10016の記録が見つかることがあります。説明欄には「アクセス許可を与えることはできません」とあり、CLSIDやAPPIDという長い文字列も並ぶため、クラッシュの原因に見えてしまいます。
結論から言うと、10016があるだけでは、ゲームが落ちた原因とは判断できません。Microsoftは、サポート文書(KB4022522)で例示している10016について、Microsoftのコンポーネントが必要な権限なしにDCOMコンポーネントへアクセスしたときに記録される想定された動作だと説明しています。機能への悪影響はなく、無視するのが推奨される対応です。
調べるべきなのは、10016そのものより、同じ時刻の別の記録です。ゲームだけが終了したならApplication Errorの1000、画面が一瞬暗くなったならTDR関連、PCごと再起動したならKernel-Power 41やWHEA-Loggerというように、症状ごとに見る場所が決まっています。レジストリやDCOMの権限を変えるのは、その後でも遅くありません。
目次
概要イベントID 10016とは何の記録か
10016は、COMサーバーを起動(ローカルアクティブ化)しようとした主体に、その権限が設定されていなかったことを記録するイベントです。Microsoftの文書にあるログは、次の形をしています。
ソース: Microsoft-Windows-DistributedCOM
イベントID: 10016
説明: アプリケーション固有のアクセス許可の設定では、CLSID {…} と APPID {…} のCOMサーバーアプリケーションに対するローカルアクティブ化のアクセス許可を、ユーザー NT AUTHORITY\SYSTEM に与えることはできません。…
COMは、あるプログラムが別のコンポーネントの機能を呼び出すためのWindowsの仕組みで、DCOMはそれをネットワーク越しにも使えるよう拡張したものです。名前に「Distributed」とあっても、ネットワークの障害とは限りません。Microsoftの例示ログにも、同じPC内の通信を示す「LocalHost(using LRPC)」と書かれています。
CLSIDはCOMクラスを識別する128ビットの一意な識別子で、AppIDは同じ実行ファイルでホストされる複数のDCOMオブジェクトの設定をまとめる識別子です。つまり、どのCOMコンポーネントに関する記録なのかを示す名札であり、エラーコードではありません。
公式見解Microsoftは無視してよいと説明している
MicrosoftがKB4022522で説明している仕組みは次のとおりです。コードはまず、ある引数の組でDCOMコンポーネントへのアクセスを試み、失敗したら別の引数の組でやり直します。最初の試行を省かないのは、成功する場面があり、そのほうが望ましいからです。この最初の失敗が10016として残ります。
理由は2つ挙げられています。機能に悪影響がないことと、権限を変えると意図しない副作用が出うることです。ゲームのクラッシュ対策として、CLSIDの所有者変更やコンポーネントサービスでの権限書き換えを紹介する記事もありますが、10016が原因だと確認できていない段階で行う作業ではありません。
イベントの説明文には「このセキュリティアクセス許可は、コンポーネントサービス管理ツールを使って変更できます」と書かれています。これは変更できる場所を案内する定型文で、変更を求める指示ではありません。
ログが気になる場合は、イベントビューアーのカスタムフィルターで、既知のCLSID・APPID・SIDの組を表示から除外する方法がMicrosoftから案内されています。記録を消す方法ではなく、見えなくする方法です。一般的なゲーミングPCでそこまでする必要は薄く、そのままで構いません。
時刻ゲームが落ちた時刻の近くに見つかる理由
ゲームの終了を調べるときは、落ちた時刻の前後でイベントビューアーを絞り込みます。Windowsはゲームの裏でも多数のサービスやシェル機能を動かしているため、その時間帯に10016を含む複数の警告やエラーが混ざるのは自然なことです。
たとえば19時32分10秒にゲームが落ち、19時32分11秒に10016が残っていれば、因果があるように見えます。しかし、時刻が近いことと原因であることは別の話です。確かめる目安は2つあります。
なお、Microsoftが挙げているのは具体的なイベントの例です。10016であれば何が書かれていても無視してよい、という意味ではありません。ここで述べているのは、ゲームのクラッシュ調査で10016から手を付ける必要はない、という優先順位の話です。
切り分け症状別に先に見るイベント
ゲームの調査では、「警告があるか」ではなく「症状に直接つながる記録があるか」を探します。症状から、見る場所を決めてください。
| 症状 | 先に見るイベント | 見る項目 |
|---|---|---|
| ゲームだけがデスクトップへ戻った | アプリケーションログのApplication Error 1000、Windowsエラー報告の1001 | 障害が発生しているアプリケーション名、モジュール、例外コード |
| 画面が一瞬暗くなって落ちた | Displayの4101、信頼性モニターのLiveKernelEvent | ディスプレイドライバーの応答停止と回復の記録 |
| PCごと再起動した | Kernel-Power 41、WHEA-Logger | BugcheckCode、ハードウェアエラーの種類 |
ゲームだけが落ちた場合、Microsoftはアプリケーションのクラッシュ診断で、Application Errorの1000を実際にアプリがクラッシュしたイベントとして扱っています。ログには、障害が発生したアプリケーション名、障害モジュール、例外コードなどが入ります。1000と近い時刻にWindowsエラー報告の1001が残ることもあり、Microsoftは両方を調査の材料にしています。読み方はイベントID 1000でゲームが落ちる原因を探す診断チャートにまとめています。障害モジュールがWindows標準のDLLでも、別のモジュールが起こした破損に巻き込まれた側のことがあるため、DLL名だけで原因を決めないでください。
画面の暗転を伴うなら、GPUが一定時間応答しなくなり、WindowsがTDR(Timeout Detection and Recovery)で復旧を試みた可能性があります。TDRの既定のタイムアウトは2秒です。10016の権限を変えても、GPUドライバーの応答停止は直りません。Displayの4101はイベントID 4101でディスプレイドライバーが応答しなくなる原因、確認の手順はLiveKernelEvent 141・117でGPUが落ちる原因で扱っています。
PCごと再起動したときのKernel-Power 41は、次の起動時にWindowsが正常終了していなかったと検出して記録するイベントで、電源の故障を直接示すものではありません。BugcheckCodeやダンプ、電源、OC設定を順に確認します。詳しくはKernel-Power 41でゲーム中に再起動する原因を参照してください。同じ時間帯にWHEA-Loggerがあるなら、CPU・メモリ・PCIeなどハードウェア側の記録として10016より優先します。WHEA-LoggerとPCIeエラーの診断ガイドが入口になります。
手順ゲームが落ちたときの確認順序
- ゲームが落ちた正確な時刻を控えます。
- 「Windowsログ」→「アプリケーション」で、その時刻のApplication Error 1000とWindowsエラー報告1001を探します。アプリケーション名がゲームの実行ファイルか、例外コードは何かを読みます。
- 「Windowsログ」→「システム」で、Display、WHEA-Logger、Kernel-Power、stornvmeなど、症状に直接結び付くイベントがないかを確認します。
- 何も見つからないときは、信頼性モニター(perfmon /rel)で、アプリケーションエラーやLiveKernelEventが記録されていないかを見ます。
- 10016しか残っていない場合も、DCOMの権限は触らず、ゲーム側のログ、GPUドライバー、温度、メモリ、ゲームファイルの整合性など別の情報へ進みます。
イベントログに記録がないことは、問題がないことの証明にはなりません。クラッシュの記録が残らないケースはゲームが落ちるのにイベントビューアーに何も出ない原因で扱っています。
正体CLSIDとAPPIDから何の記録か調べたいとき
10016が何に関するものか知りたい場合は、イベントの詳細タブに出るCLSIDとAPPIDから調べられます。CLSIDの登録先はレジストリのHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Classes\CLSID以下、AppIDはHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Classes\AppID以下です。
レジストリエディターで名前を見るだけなら、読み取りなので調査の材料になります。一方で、所有者やアクセス許可の変更は、名前を確かめることとは別の作業です。10016が出ているという理由だけで行う必要はありません。なお、詳細タブには、ユーザー名やPC名に関わるSIDも出ます。相談先へ画面を共有するときは、その部分を隠してください。
FAQよくある質問
まとめまとめ|10016は消すより、症状に合う記録を探す
10016は、COMコンポーネントへのアクセス権限に関する記録で、Microsoftが例示しているものは想定された動作です。ゲームが落ちた時刻の近くにあっても、それだけで原因とは言えません。権限を書き換える対策も、Microsoftは推奨していません。
ゲームが落ちた直後に10016を見つけても、DCOMの権限やレジストリには触れず、症状に合うイベントを先に探します。ゲームだけが終了したならApplication Error 1000と1001、画面の暗転ならDisplayやLiveKernelEvent、PCごとの再起動ならKernel-Power 41とWHEA-Loggerです。
10016しか見つからないときも、ゲーム側のログやGPUドライバー、温度、メモリなどの確認へ進んでください。


