選択を誤れば即死。元ヴァニラウェア開発者が6年かけたデジタルゲームブック『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女』がSteamで非常に好評
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手描きのデジタルゲームブック『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女』がSteamで「非常に好評」
選択肢を選び、サイコロを振って物語を進める「ゲームブック」は、1980年代の紙媒体で一時代を築いたジャンルです。文章と挿絵が中心のこの読み方を、映像や音声の演出が主流になった今のPCゲーム市場でどう成立させるかは、簡単な課題ではありません。
ジギタリス出版が開発し、15 Industryがパブリッシングを手がける『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女(Veritas Tales: Witch of the Dark Castle)』は、紙のゲームブックの読書体験をそのままデジタル化した読書型ファンタジーアドベンチャーです。2026年7月9日にSteamで配信が始まり(Steam公式ページのリリース日表記は7月8日ですが、日本時間では7月9日発売として各所で報じられています)、本稿執筆時点でユーザーレビュー164件中87%が好評、評価区分は「非常に好評」を獲得しています。無料の体験版も配信中です。
この記事では、Steam公式ストアページの情報と開発者インタビューをもとに、本のページをめくる感覚を再現した画面構成、選択ミスで即死する厳しい難易度、紙のゲームブック文化を受け継ぐ「指セーブ」の仕組み、そして開発者・西村芳雄氏がカプコンとヴァニラウェアで歩んできた30年以上のキャリアと本作に込めた思いまで、公式情報と直接引用にもとづいて整理します。
目次
概要基本情報まとめ
本作の基本情報を先にまとめます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女(Veritas Tales: Witch of the Dark Castle) |
| ジャンル | アドベンチャー・インディー・RPG(読書型ファンタジーアドベンチャー) |
| 開発・パブリッシャー | ジギタリス出版(開発、西村芳雄氏主宰)/15 Industry(パブリッシャー) |
| 配信日 | 2026年7月9日(Steam公式ページのリリース日表記は7月8日) |
| 価格 | 1,980円(本稿執筆時点でリリース記念セール中、10%オフの1,782円) |
| 対応プラットフォーム | PC(Steam)。無料体験版配信中、Steamクラウド・ファミリーシェアリング対応 |
| プレイ人数・主人公 | シングルプレイ専用。戦士「ハヴェロック」/女魔法使い「パネリ」から選択(実質2シナリオ) |
| 対応言語 | インターフェース=日本語・英語・簡体字中国語/フル音声=日本語のみ/字幕=日本語・英語・簡体字中国語 |
| テキストボリューム・プレイ時間 | 30万字以上(英語換算で15万語以上)、想定プレイ時間20時間以上 |
| 音楽 | 崎元仁氏・ベイシスケイプ |
| Steamレビュー | 164件中87%が好評、「非常に好評」(本稿執筆時点) |
ゲームブック本のページをめくりながら冒険するデジタルゲームブック
Steam公式ストアページでは、本作を「『ネバーエンディング・ストーリー』のような読書型ファンタジーアドベンチャー」と紹介しています。手にした本を開いたなら、もう読者のままではいられない――そんな触れ込みの通り、画面そのものが1冊の本として作られており、プレイヤーはページをめくる操作で物語を読み進めていきます。
主人公は、戦士「ハヴェロック」と女魔法使い「パネリ」の2人から選択可能です。どちらを選ぶかによって物語の視点が変わり、実質的に2つのシナリオを楽しめる構成になっています。
読み進める中で提示される選択肢は、その後の展開そのものを分岐させる仕組みです。脳筋で殴り合うか、口先で交渉するか、見て見ぬふりで通り過ぎるか――プレイヤーの振る舞いと、サイコロの出目が、世界の応え方を変えます。

即死些細な判断ミスで即死する厳しい冒険
本作の大きな特徴は、判断を誤るとあっさり死んでしまう厳しい難易度です。紙のゲームブックがそうであったように、正解らしく見える選択肢が罠につながっていることも珍しくありません。
開発者インタビューで西村氏は、本作を作るうえで意識したこととして「選択ミスですぐに死ぬ」「甘い言葉は大抵の場合ワナ」「ギャンブル」という3つを挙げています。親切な難易度調整とは真逆の、紙のゲームブックが持っていた緊張感をそのまま持ち込んだ設計です。
戦闘の行方や物語の展開は、プレイヤーの選択だけでなく、サイコロの出目にも大きく左右されます。有利に見える選択をしても、ダイス運が悪ければあっさり命を落とすことがあり、紙のゲームブックが持っていた理不尽さと緊張感を、そのままデジタルに持ち込んだ作りです。

指セーブページを戻る「指セーブ」もデジタルで再現
紙のゲームブックには「指セーブ」と呼ばれる独特の読み方があります。危険な選択に進む前にページの間へ指を挟んでおき、選んだ結果が良くなければ、指を挟んだページまで戻って読み直す――正式なルールではなく、読者が自然と身につけていた回避策です。
『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女』は、この指セーブの感覚をデジタル上の機能として組み込んでいます。ページを戻って選び直せる仕組みがあることで、厳しい即死判定と向き合いながらも、プレイヤー自身のペースで物語を読み進められます。
開発者インタビューで西村氏は、ページを戻れる仕組みについて「逸脱が選択できることは良いことだ」と説明しています。逸脱そのものを推奨しているわけではなく、逸脱という選択肢自体を用意しておくことを大切にしているという趣旨です。
開発者元カプコン、ヴァニラウェアの開発者が6年かけて制作
本作を開発したのは、西村芳雄(にしむら よしお)氏です。ゲーム業界で30年以上のキャリアを持つベテランで、背景制作チームのチーフとして数々の作品に携わってきました。
カプコン在籍時には、初代『モンスターハンター』などの背景制作を担当しました。その後ヴァニラウェアに移り、20年以上にわたって背景チームを牽引し、『オーディンスフィア』から『十三機兵防衛圏』まで、『ドラゴンズクラウン』を含む数々の作品の背景美術を手がけています。
ヴァニラウェアを離れた後は、奈良県曽爾村の山奥に居を構え、畑を耕しながら本作の制作に取り組みました。制作期間は6年に及び、劇中に登場する300点以上のイラストはすべて西村氏自身の手で描かれています。Steam公式ページでは、生成AIは制作のどの段階でも一切使用していないと明記されています。
きっかけ『ドラゴンズクラウン・プロ』の特典制作がきっかけ
本作の制作のきっかけは、2018年にアトラスが発売したPS4向けタイトル『ドラゴンズクラウン・プロ』の先着購入特典として制作したデジタルゲームブック「悪霊島の秘宝」にあります。開発者インタビューで西村氏は、この特典コンテンツを手がけた経験が成功体験になり、独立して本格的なデジタルゲームブックを作る決意を後押ししたと振り返っています。
もうひとつの原点は、西村氏自身の子供時代の経験です。開発者インタビューによると、西村氏は子供の頃、読書が得意ではなかったといいます。そんな中でゲームブックと出会ったことで本が読めるようになった経験があり、この原体験が本作を作る動機のひとつになっています。
系譜古典ゲームブックの影響を受けた硬派でユーモラスな世界
Steam公式ストアページは、本作を「ファンタジーの源流を味わってみないか」という言葉で紹介しています。『エルデンリング』『バルダーズ・ゲート3』『ダンジョン飯』――今のプレイヤーが熱狂しているファンタジー作品の源流には、ゲームブックやテーブルトークRPG(TRPG)の時代があった、という考え方です。
Steamページが本作のリスペクト元として挙げているのは『グレイルクエスト』『ソーサリー』『ファイティング・ファンタジー』の3シリーズです。開発者インタビューでは、その中でも特に、1985年に二見書房から出版された『暗黒城の魔術師』(J・H・ブレナン著、真崎義博訳)――グレイルクエストシリーズの1冊――から強い影響を受けたと明かしています。
剣と魔法の世界を、選択肢とサイコロという簡素な仕組みだけで表現していた時代の手触りを、硬派さとユーモラスさの両方を保ったまま再現しようとしている点が、本作の世界観の軸になっています。
音楽音楽は崎元仁氏とベイシスケイプが担当
音楽は、崎元仁氏とベイシスケイプが担当しています。崎元氏は『ファイナルファンタジータクティクス』『ベイグラントストーリー』などで知られる作曲家で、自身が設立した音楽制作会社ベイシスケイプとしても『十三機兵防衛圏』をはじめ数多くのゲーム音楽を手がけてきました。
『十三機兵防衛圏』は西村氏がヴァニラウェアで背景美術を担当した作品でもあり、本作の音楽起用には、かつての制作現場でのつながりがうかがえます。
評価Steamでは「非常に好評」を獲得
本稿執筆時点(2026年7月22日)で、『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女』にはユーザーレビューが164件寄せられており、87%が好評、Steam上の評価区分は「非常に好評」です。発売から日が浅いタイトルとしては高い評価水準です。
好評の背景には、いくつかの要因が考えられます。ひとつは、300点以上の手描きイラストが持つ温かみと、生成AIを一切使わずに作られたという制作姿勢です。もうひとつは、選択とダイス運で生死が分かれる硬派な難易度が、紙のゲームブック文化を知る層はもちろん、初めて触れる層にも新鮮な緊張感として受け止められている点です。開発者自身のキャリアと人生が透けて見える作品であることも、評価を後押ししている可能性があります。
レビューの件数・好評率は今後も変動するため、購入を検討する際にはSteam公式ストアページの最新表示もあわせて確認することをおすすめします。
- 紙のゲームブックやテーブルトークRPGの文化に触れたことがある、または興味がある人
- 選択とダイスの出目によるシビアな緊張感を楽しめる人
- 手描きイラストの温かみや、作り手の人生が透けて見える作品に惹かれる人
- じっくり読み進める20時間規模のボリュームを求めている人
- テンポの良いアクションやリアルタイム性を求めている人(本作は文章を読み進める形式)
- 頻繁な即死やダイス運による理不尽さが苦手な人
- フルボイスでの音声読み上げを重視する人(フル音声は日本語のみ対応)
- 対応言語がインターフェース・字幕とも日本語・英語・簡体字中国語に限られる点が気になる人
体験版無料体験版も配信中
本作には無料の体験版が用意されており、購入前に操作感や文体を確認できます。
価格は通常1,980円で、本稿執筆時点ではリリース記念セールにより10%オフの1,782円で購入可能です。セール期間は今後変更される可能性があるため、購入を検討している場合はSteam公式ストアページで現在の表示価格を確認してください。
Steam公式ページの動作環境欄には、OSやCPU・GPUの具体的な指定はなく、最低・推奨ともにDirectX Version 11のみが記載されています。挿絵とテキストが中心の作りのため動作の重さを心配するようなタイトルではありませんが、手持ちのPCで気になる場合は、まず無料体験版で確認しておくと安心です。
Steamクラウドとファミリーシェアリングにも対応しており、シングルプレイ専用タイトルとして必要な機能はひととおり揃っています。
FAQよくある質問
まとめまとめ|手描きの一冊が体現する、ゲームブックというジャンルの手触り
『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女』は、選択とサイコロの出目で生死が分かれる硬派な難易度と、紙のゲームブック文化を受け継ぐ「指セーブ」の仕組みを、300点以上の手描きイラストとともにデジタル上で再現した一冊です。開発を手がけた西村芳雄氏は、カプコンとヴァニラウェアで30年以上にわたって背景美術に携わってきたベテランで、業界を離れたのちは奈良県曽爾村の山奥で6年をかけて本作を独りで作り上げました。
2018年の『ドラゴンズクラウン・プロ』特典制作をきっかけに独立し、1985年の『暗黒城の魔術師』をはじめとする古典ゲームブックへの敬意を随所に込めた作品でもあります。本稿執筆時点でユーザーレビュー164件中87%が好評、Steam上の評価区分は「非常に好評」です。
無料の体験版も配信されているため、まずはそちらでページをめくる感覚と、選択ひとつで生死が分かれる緊張感を確かめてみることをおすすめします。
出典:Steamストア公式ページ(ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女)、開発者インタビュー記事(2026年5月22日公開の経歴特集記事、2026年7月9日公開の本作インタビュー記事)にもとづきます。開発・パブリッシャーはジギタリス出版/15 Industry。レビュー件数・好評率は本記事執筆時点(2026年7月22日)の表記にもとづきます。



