UE5.8のASD Toolとは?SODBの作成条件とシェーダーのカクつきへの効果・実装条件を解説【Windows 11】
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DirectX 12のゲームでは、初回起動やプレイ中にPipeline State Object(PSO)を作る際、GPUドライバーがシェーダーをコンパイルします。この処理が長いロードや一時的なカクつきにつながることがあります。
UE 5.8のASD Toolは、開発者がゲームの調理済みビルドからState Object Database(SODB)を作るためのコマンドラインツールです。ストアがSODBをGPU・ドライバー別のPrecompiled Shader Database(PSDB)に変換して配信すると、収録済みPSOの実行時コンパイル負荷を抑えられます。
ただし、ASD Toolが加わっただけで、UE5製ゲームすべてのカクつきが解消するわけではありません。対応ビルド、SODBに収録された範囲、ストア・GPU・ドライバーの条件がそろい、ゲーム側が採用して初めてプレイヤーに届きます。
目次
要点UE5.8でASD用データを作れるように
UE 5.8のASDToolは、調理済みのWindowsビルドからGPU非依存のSODBを生成します。ストアが対応GPU向けPSDBを作成・配信し、ゲームは入手済みPSDBのPSOをドライバーから読み込めます。対象外のPSOは従来どおり実行時にコンパイルされます。
仕組みSODBからGPU別PSDBを配信する
UE 5.8のASDToolは、エディターやゲームを起動せずに動く単体のコマンドラインプログラムです。入力はシェーダーを含む調理済みビルドで、出力されるSODBにはゲームのシェーダーとPSO情報が入ります。
開発者が調理済みビルドからSODBを作成し、対応ストアへ提出します。ストアはGPUファミリーやドライバーに合うPSDBをコンパイルし、ゲームのダウンロード時に配信します。プレイヤー側ではストアクライアントが登録するため、ゲーム内でASDを有効化する設定はありません。
Epicの説明では、SODBはGPUに依存しないデータ、PSDBは特定のGPUファミリーとドライバー向けにコンパイルしたデータです。ゲームの実行ファイルやエンジン名などが登録情報と一致しない場合、ランタイムがPSDBを使わないこともあります。
開発条件ソースビルドとPSOキャッシュの準備が必要
ASDToolでSODBを作るには、Windows向けD3D12・Shader Model 6(SM6)で調理したビルドと、ソースからビルドしたUnreal Engineが必要です。ASDToolは事前ビルド済みの実行ファイルとして提供されないため、ゲーム側のエンジンソースからツールをビルドします。
収録対象は、SM6の計算シェーダーをまとめる方法と、PSOキャッシュを読み込む方法を組み合わせられます。グラフィックスPSOはPSOキャッシュに記録された分が対象になるため、どの程度の描画処理をカバーできるかはキャッシュの内容に左右されます。
| 開発側の項目 | ASD Toolで行うこと | 制約・注意点 |
|---|---|---|
| 対象ビルド | Windows / D3D12 / SM6(PCD3D_SM6)の調理済みビルドを用意 | レイトレーシングPSOは対象外 |
| シェーダーコード | 共有シェーダーコードを有効にし、アーカイブを出力 | プロジェクト設定で無効化している場合は有効化が必要 |
| ツールの用意 | エンジンソースからASDToolをビルド | ランチャー配布の事前ビルド済みバイナリはない |
| グラフィックスPSO | 記録済みまたは調理済みのPSOキャッシュを指定 | キャッシュの品質が収録範囲を決める |
計算シェーダーは-AllComputeでSM6の全計算シェーダーを収集できます。-BundleDirを指定すると、ディレクトリ内のPSOキャッシュからグラフィックスPSOと計算PSOを読み込みます。両方を使えば計算シェーダー全体と、キャッシュに記録されたグラフィックスPSOをSODBに含められます。
Epicは、シェーダーを変更したビルドごとにSODBを作り直すよう案内しています。変更がなければ既存のSODBを再利用できます。開発者はローカルでPSDBをコンパイル・登録して動作を試し、ETWイベントを調べるツールでPSDBのヒット状況を確認できます。
効果と限界ASDはPSOプリキャッシュと併用する
PSDBに対象PSOがあれば、ドライバーは保存済みのコンパイル結果を読み込みます。該当PSOがない場合は従来どおり実行時コンパイルに戻るため、ASDだけであらゆるシェーダー由来のカクつきをなくすことはできません。
また、ディスクから事前コンパイル済みシェーダーを読み込む際の小さな引っ掛かりや、PSDBに含まれないPSOにも備える必要があります。EpicはPSOプリキャッシュを有効に保ち、バンドル済みPSOキャッシュも継続して使うよう推奨しています。ASDはこれらを置き換える機能ではなく、事前準備を補う仕組みです。
- 収録済みPSOの実行時コンパイルを省き、初回ロードやプレイ中の負荷を減らせる可能性がある
- GPU・ドライバー別のデータをストアから配信できる
- すべてのPSOやレイトレーシングPSOを事前コンパイルすること
- ASD非対応ゲーム・ストア・GPU・ドライバーでの効果
GPU選びASD対応GPUを探している人向け
GPUの買い替えを検討中なら、ASD対応だけで決めず、遊びたいゲームの必要スペックや解像度、予算も合わせて確認してください。次の2機種は、メーカー世代としてMicrosoftが挙げる対応範囲に含まれます。対応ゲーム・ストアとドライバー条件も必要です。
プレイヤー今すぐ設定する必要はある?
プレイヤーがUE5.8のASD Toolを使ったり、ゲーム内設定を変更したりする必要はありません。ゲーム開発者がSODBを組み込み、ストアがPSDBを配信し、Windows・GPU・ドライバーの対応条件が満たされた場合に利用できます。
Microsoftは2026年10月21日、Windows 11 24H2以降でAMD・Intel・NVIDIA・Qualcommの対応ハードウェアへASDを広げたと発表しました。ただし、この展開はASD対応ゲームに対するものです。対応ゲームやストアの一覧は更新されるため、個別タイトルの採用状況を確認してください。
ストアの時期は一括りにできません。MicrosoftはSteamとEpic Games Storeへの拡大を「近日」と案内していますが、EpicのUE手順書ではEpic Games Store対応を2027年初頭予定としています。Steamの具体的な開始日は発表されておらず、両ストアで利用できるようになったと現時点で断定はできません。
Microsoftは『Call of Duty: Modern Warfare 4』について、ASD利用時の初回シェーダーコンパイルが「数分」から「数秒」になる例を示しています。これは同社による説明で、UE5.8のASDTool導入タイトルを独立測定した結果ではありません。ゲームごとの効果や、すべてのカクつきが消えることを示すものではない点に注意が必要です。
まとめUE5.8のASD Toolは開発者向けの配信準備機能
UE5.8のASDToolは、調理済みのWindows D3D12 SM6ビルドからSODBを作成し、ストア経由のGPU別PSDB配信につなげるツールです。ソースビルドやPSOキャッシュの準備が必要で、対象はレイトレーシングを除くSM6の収録PSOに限られます。
対応ゲームで必要なPSDBが配信されれば、シェーダーコンパイルによる待ち時間やカクつきの軽減が期待できます。採用時期や収録範囲はゲームごとに異なり、PSOプリキャッシュも引き続き必要です。プレイヤー側にASD用の追加設定はありません。
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出典公式資料
Epic Games「Generating a State Object Database for Advanced Shader Delivery」 / Epic Games「PSO Precaching」 / Epic Games「Manually Creating Bundled PSO Caches」 / Microsoft DirectX Developer Blog「Advanced Shader Delivery is Available Now Across Hardware」 / Microsoft DirectX Graphics Samples「Advanced Shader Delivery」



