Steam Deckでフロッピーからゲーム起動?Decky Linksとは|NFC・QRコード対応や仕組みを解説【2026年版】
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非公式プラグイン「Decky Links」とは?NFC・QRコード対応の仕組みを解説
出典:Decky Links公式リポジトリ(GitHub、開発者kmturley氏)、開発者本人によるReddit投稿(r/SteamDeck)にもとづきます。
PCゲームがダウンロード販売中心になったことで、ゲームショップの棚からパッケージを選び、ディスクを機器へ挿してプレイする体験は失われつつあります。Steam Deckのライブラリ画面から起動すれば済む今、あえてフロッピーディスクやNFCカードを使ってゲームを起動する仕組みに、どんな意味があるのでしょうか。
Decky Linksは、Steam Deckの拡張ツール「Decky Loader」向けに開発されているオープンソースのプラグインです。3.5インチフロッピーディスクだけでなく、NFCタグやQRコード、SDカード、USBメモリなどをゲームの物理キーとして使える仕組みで、開発者がRedditで公開したフロッピーディスクの起動デモが2026年8月上旬に大きな反響を呼びました。ただしフロッピーの中に数十GB、数百GBのゲームデータを書き込んでいるわけではなく、実際に保存されているのはSteamのゲームを起動するためのリンクだけです。
この記事では、開発元のGitHubリポジトリと開発者本人のReddit投稿を確認したうえで、Decky Linksでゲームがフロッピーから起動する仕組み、NFCタグやQRコードでの利用方法、標準で有効なメディアと無効なメディアの違い、既存の物理起動ソフト「Zaparoo」との違い、そして2026年8月8日時点で実際に導入できる段階なのかまで整理します。
目次
要点まず何が起きているのか
開発者のBlackIceLA氏(GitHub上ではkmturley氏)は2026年8月3日、Steam DeckのRedditコミュニティ「r/SteamDeck」へ、USB接続のフロッピーディスクドライブへ3.5インチフロッピーを挿入してSteamゲームを起動するデモ動画を投稿しました。投稿は取材時点で1,000件を超えるアップボートを集めています。使われているのは自作の非公式プラグイン「Decky Links」で、GPL-3.0ライセンスのオープンソースとしてGitHubで公開されています。フロッピーやNFCタグ、QRコードなどの物理メディアには、ゲーム本体ではなくSteamのゲームを起動するためのURI(steam://run/…といった形式のリンク)だけが記録されます。
概要非公式プラグイン「Decky Links」の正体
Decky Linksは、SteamOS上で物理メディアを検出したことをきっかけにSteamゲームを起動する、Decky Loader向けのプラグインです。GitHubのリポジトリでは「NFCタグ、フロッピーディスク、QRコードなどの物理メディアでSteamOS上のゲームを起動するプラグイン」と説明されています。開発者はReddit投稿で、Steam Deck向けに存在する物理メディア起動システム「Zaparoo」に近いことをやりたかったものの、Zaparooはモバイルアプリでのタグ登録や別ソフトの導入が必要だったため、SteamOSへより深く統合された仕組みを自作することにしたと説明しています。
仕組みフロッピーの中身はゲームではなくURI
Decky Linksで特に誤解しやすいのが、フロッピーディスクの中にSteamゲームそのものが入っているわけではない点です。一般的な3.5インチ2HDフロッピーディスクの容量は1.44MB程度しかなく、100GBを超えるタイトルも珍しくない現在のPCゲームを保存できるはずがありません。開発者がRedditで示した例では、フロッピーやNFCタグにはsteam://run/1174180のような、Steamのゲームを呼び出すURIだけが書き込まれます。Steam Deck本体のSSDやmicroSDカードには、これまで通りゲーム本体を通常インストールしておく必要があります。フロッピーやNFCタグを読み取り機へ提示すると、Decky Linksが記録済みのURIを検出し、Steamへゲームの起動を指示する仕組みです。つまりフロッピーは物理的なゲームディスクというより、「ゲームを呼び出すための物理ショートカット」に近い存在です。
連動挿すと起動し、抜くとゲームが終了する
Decky Linksが単純な起動ショートカットと違うのは、メディアの着脱そのものがゲームの実行状態と連動している点です。GitHubの説明によると、対応する物理メディアを提示すると自動的にゲームを起動する「Auto-launch」と、そのメディアを取り外すとゲームを終了する「Auto-close」が用意されています。しかも終了できるのは、実際にそのゲームを起動したメディアだけです。
規格NFCタグとリーダーの対応状況
フロッピーディスク以上に実用性が高いのがNFCです。GitHubの仕様では、NFCはフロッピーと並んで初期状態から有効になっているトリガーで、対応タグとしてMifare Classic、NTAG21x、Ultralightが挙げられています。リーダー側はPN532(UART接続)、ACR122U、Proxmark、nfcpyが対応機種として紹介されています。ゲームごとにNFCタグを用意しておけば、リーダーへかざすだけで対応するSteamゲームを起動できます。パッケージ画像を印刷したカードへNFCタグを貼り付ければ、ダウンロード版のゲームでありながら物理カードのコレクションを作ることも可能です。開発者自身もReddit投稿で「フロッピーディスクは読み込みが非常に遅く、NFCタグの方が検出が最も速い」と説明しており、普段使いする物理メディアとしてはNFCの方が現実的です。
カード化QRコードでゲームを起動する仕組み
Decky LinksはQRコードにも対応しています。USBカメラでQRコードを読み取り、そこに記録されたSteam URIをもとにゲームを起動する仕組みです。GitHubによると、QRコード自体はDecky Linksが生成する機能も持っており、ゲームページを開くと表示されるモーダルから、対応する各トリガーごとのペアリングボタンとあわせてQRコードを確認できます。さらに、両面4×6インチの印刷用カードを生成する機能も実装されています。表面にSteamのボックスアート、裏面に起動用QRコードを配置したデータが生成され、Steam Deck内の~/Documents/decky-linksへ保存されます。お気に入りのSteamゲームごとにカードを印刷して並べておき、遊びたいゲームのカードをカメラへ見せる、という使い方も可能になります。
トリガー標準で有効なのはNFCとフロッピーだけ
Decky Linksが対応するのはNFC、フロッピー、QRコードだけではありません。GitHubの仕様では、CD・DVDなどの光学メディア、SDカード・microSDカード、USBメモリのほか、MQTTメッセージ、シリアル入力、指定フォルダの監視といった開発者向けのトリガーも用意されています。ただし、すべてが初期状態で有効になっているわけではありません。USBメモリやSDカードなどは普段のデータ保存にも使われるメディアのため、Decky Linksが勝手にマウントして読み込むことを避ける目的から、初期状態では無効に設定されています。
安全性非Steamゲームも起動できるが実行できるURIは制限されている
Decky LinksはSteamで購入したゲームだけに限定された仕組みではありません。対応URIにはsteam://run/…のほかsteam://rungameid/…も含まれており、Steamライブラリへ登録した非Steamショートカットも起動対象になります。HTTPSのURLにも対応しています。一方で、物理メディアに書かれた任意のコマンドを何でも実行できる仕様にはなっていません。GitHubのセキュリティに関する説明では、バックエンド側でsteam://run/*、steam://rungameid/*、https://のみを許可する厳格な許可リストが用意されており、起動・ペアリング・QR生成のすべてが同じチェックを通ることが明記されています。設定項目も保存時と読み込み時の両方で検証されるほか、NFCタグへの書き込み時はトレーラーブロックを避けるなど、鍵情報が壊れないような配慮もされています。
共有別のSteam Deckでも同じカードが使える理由
Decky Linksは、ゲームと物理メディアの対応情報を中央のデータベースへ保存するのではなく、メディアそのものへSteam URIを直接書き込みます。GitHubでは「起動用リンクはメディア自体に記録されるため、あるDeckでペアリングしたディスクは、対象ゲームがそのライブラリにある限り、Decky Linksが動く別のDeckでも動作する。同期しておくデータベースは必要ない」と説明されています。家族で複数台のSteam Deckを使っている場合でも、同じNFCカードをそれぞれの端末で利用できる可能性があります。ただしゲームカード側にアカウントやライセンス情報が保存されるわけではないため、対象ゲームを所有しているSteamアカウントでサインインしていることは別途必要です。
比較Decky LinksとZaparooの違い
物理メディアからゲームを起動する仕組みはDecky Linksが初めてではありません。代表的な既存ソフトに「Zaparoo」があります。Zaparoo公式サイトによると、Windows、Linux、SteamOS、MiSTer、Batoceraなど複数のプラットフォームに対応したクロスプラットフォーム型の起動システムで、専用のデザイナーアプリやスクリプティングAPI、幅広い対応リーダーを備えています。一方Decky LinksはGitHub上で、対応範囲をSteamOSへ絞り、Steamとの統合をより深くしたシステムだと位置付けられています。Steam標準のURI起動・終了機能をそのまま利用するため、別サービスのインストールやライブラリのインデックス管理が不要な点を特徴として挙げています。
なお、Decky Links開発者はReddit上のやり取りの中で、Zaparooはタグ側の情報をサービス側のデータベースで一元管理する仕組みだという趣旨の説明をしていましたが、別のユーザーから「Zaparooでも直接NFCカードやフロッピーのテキストファイルへSteamリンクを書き込め、サービス側のデータベースなしで機種間を持ち歩ける」との指摘を受け、「調べたが見つけられていなかった、認識不足だった」と後から訂正しています。したがって、複数のOSやレトロゲーム機をまとめて管理したい場合はZaparoo、Steam Deckを中心にSteamOSへ自然に統合されたシンプルな仕組みを使いたい場合はDecky Linksという住み分けで捉えるのが実態に近いといえます。
導入今すぐ試せるのか
2026年8月8日時点で、Decky Linksは一般的なDeckyプラグインのようにストアから検索して簡単にインストールできる段階ではありません。GitHubリポジトリにはソースコードが公開されているものの、正式なReleaseは公開されておらず、開発者向けのビルド手順が案内されています。現在の開発環境ではNode.js 18以上とpnpm、テスト実行用のPython 3・venv、プラグインZip作成用のDocker、そして動作確認用にDecky Loaderを導入したSteam Deck実機が必要とされています。そのため、Linuxや開発環境に詳しくないユーザーが、現時点のソースコードを手動でビルド・導入するのはハードルが高い状況です。正式なDeckyプラグインとして配布され、GUIから簡単に導入できるようになるのを待つ方が安全でしょう。
注意点Decky Loader自体もアップデートの影響を受けやすい
Decky Linksを利用するには、前提としてDecky Loaderが必要です。Decky LoaderはSteam Deckへさまざまな機能を追加できる人気の拡張環境ですが、Valveの公式機能ではありません。SteamクライアントやSteamOSのアップデート後、一時的にDeckyのメニューが表示されなくなる問題が起きることもあります。実際、Decky Loaderの公式GitHubには2026年5月1日、SteamOS 3.7.22・Decky Loaderバージョン3.2.2の環境でプラグインメニューを開くと「An error occurred while rendering this content」というエラーが表示され、Deckyメニューが正常に描画されなくなったという不具合報告が投稿されています。Decky Linksに限らず、Steam Deckへ非公式プラグインを導入する場合は、SteamOSの更新直後に一時的な互換性問題が起きる可能性を踏まえておく必要があります。
背景なぜ物理メディアからゲームを起動するのか
Steam Deckならライブラリ画面からゲームを選ぶだけで起動できるため、操作効率だけで比較すればDecky Linksを使うメリットはほとんどありません。それでもReddit投稿が1,000件を超えるアップボートを集めた背景には、PCゲームが急速にダウンロード販売中心になったことで失われた「物理的にゲームを選ぶ体験」があります。かつてはゲームショップでパッケージを購入し、棚から遊びたいゲームを選び、ディスクやカートリッジを機器へ挿入するのが当たり前でした。現在のSteamでは数百本、数千本のゲームを一つのライブラリへ収められますが、ゲームそのものを手に取る機会はありません。Decky Linksは操作を効率化するツールというより、デジタル化されたライブラリへあえて物理的な操作を取り戻すためのプラグインと捉えると分かりやすいでしょう。ゲームパッケージを集めるのが好きだった人や、NFCカードや3Dプリンターを使った工作が好きなSteam Deckユーザーには特に興味深いプロジェクトです。
開発体制ジョークで終わらない作り込みと、Claudeを使った個人開発
フロッピーからSteamゲームを起動するという見た目だけを見るとネタプラグインのようにも思えますが、Decky Linksのリポジトリはかなり本格的に整備されています。GitHub上では、実機Steam Deckを使った手順書きのハードウェアテスト計画や、メディアの検出・ゲームの起動・取り外し時の挙動・エラー処理といった動作仕様をまとめた「SPEC.md」も公開されており、Pythonのテストコードも用意されています。URIの許可リストや、NFCタグ書き込み時にトレーラーブロックを避ける安全対策、MQTTなどの仮想トリガーを初期状態で無効にする設計も、単なる思いつきではなく作り込まれていることをうかがわせます。開発者はReddit投稿で、Decky Linksを「友人のClaude(と一緒に)」作り始めたと説明しています。ClaudeはAnthropicが提供する生成AIで、プログラミングやコード解析にも利用されています。複数のハードウェア種別を横断するテストコードを備えたSteam Deckプラグインを、AIコーディングを活用しながら個人開発している点も、Decky Linksの興味深い側面です。
評価期待したい点と気になる点
- フロッピーやNFCタグへ保存するのはSteam URIのみで、ゲームデータ自体は通常通りSteam Deck本体へインストールする、無理のない設計になっている
- 実行できるURIをsteam://run/*・steam://rungameid/*・https://のみに絞る許可リストなど、セキュリティ面への配慮がGitHub上で明示されている
- 中央データベースを使わずメディア自体にリンクを記録する設計のため、複数のSteam Deck間でカードを持ち歩ける可能性がある
- 2026年8月8日時点で正式なReleaseが存在せず、Deckyプラグインストアからの配信もされていない開発者向け段階にある
- 手動導入にはNode.js・pnpm・Python・Dockerなど開発環境が必要で、初心者が今すぐ試せる状態ではない
- Decky Loader自体が非公式ツールのため、SteamOSアップデート直後は一時的な互換性問題が起きる可能性がある
総括まとめ|Steamゲームを物理メディアから起動する発想のプラグイン
Decky Linksは、Steam Deckへインストール済みのゲームをフロッピーディスク、NFCタグ、QRコードなどの物理メディアから起動できる、非公式のDecky Loader向けプラグインです。フロッピーへ巨大なPCゲームを書き込んでいるわけではなく、メディアへ保存されたSteam URIをDecky Linksが読み取り、本体へインストール済みのゲームを起動する仕組みです。実用性だけで比較すればSteamライブラリから直接起動する方が簡単ですが、お気に入りのゲームごとにNFCカードやQRカードを作り、物理的なコレクションとして手元に置ける点は、ダウンロード販売が中心になった現在のPCゲームでは珍しい体験といえます。
フロッピーを使ったデモはインパクトがありますが、開発者自身も認めている通り読み込みは非常に遅く、実際に普及するとすれば扱いやすいNFCタグやQRコードを使った使い方が中心になる可能性があります。2026年8月8日時点ではまだ開発者向けの段階にあり、Deckyプラグインストアから簡単に導入できる正式版は確認できていません。今すぐ無理に手動導入するのではなく、Decky Loaderから手軽にインストールできるようになるか、今後の開発状況を確認しておきたいプラグインです。
Decky Linksはフロッピー・NFC・QRコードなどの物理メディアからSteamゲームを起動できる非公式Decky Loaderプラグインです。保存されるのはSteam URIのみで、ゲーム本体は通常通りインストールしておく必要があります。2026年8月8日時点ではGitHub上のソースコード公開のみで、Deckyプラグインストアからの正式配信は確認できていません。



